![]() |
本業のかたわら,1人で7年かけて開発を続けてきた作品で,展示イベントへの出展は今回が初めてだという。
![]() |
忘れることが“繁栄”とされる世界で,数学の教科書を振り回す
本作の舞台は,ネオンがきらめく香港をモチーフにした,ピクセルアートの不思議な世界だ。
主人公は口の悪い学生Cyrus。彼はある日,痛みを伴う記憶から人々を守ると称する強大な組織「The Circle」が支配する並行世界へと引き込まれてしまう。
![]() |
ゲーム内のメニュー画面は,タイトルにもなっている「繁栄の書」という本のデザインになっている。そのページに記されているのは「記憶することは苦しむこと。忘却することは栄えること。」という一節。過去を忘れることこそが救いとされる,この世界のいびつさを感じさせる演出だ。
![]() |
とはいえ,序盤のCyrusはごく普通の学生にすぎない。そんな彼の最初の武器は,なんと分厚い数学の教科書。魔法を使いこなすようになる前の彼は,カバンから取り出した教科書で,目の前の敵を殴り倒していくことになる。
すべての操作は“タイミング”が鍵
ブースには2台の試遊機が並び,ストーリーとゲームプレイを15分間通して遊べるフル体験版と,戦闘だけをタイムアタック形式で楽しめる「BATTLE ONLY」モードの2種類が用意されていた。
![]() |
戦闘は,パリィや回避,スキルコンボ,リソース管理を軸にしたもので,タイミングよく攻撃をさばき,反撃を叩き込むことが求められる。屋上や洞窟,入り組んだ街中をパルクールで駆け抜ける移動アクションも特徴だ。
実際にプレイしてみて特徴的だと感じたのは,攻撃時に表示される“円”だ。この円が縮んで戻ってくる瞬間に合わせてボタンを押すと,スタミナを消費せずにスキルを連続で発動できる。リズムゲームのような判定がコンボの気持ちよさに直結していて,うまくつながったときの手応えはなかなかのものだった。
![]() |
![]() |
![]() |
会場には,開発者のSingKeys氏本人もブースに立っていた。7年間,本業を終えてから自分の時間でゲームを作り続けてきたという同氏に,開発のきっかけや本作に込めた思いを聞いた。
4Gamer:
本作は7年間,1人で開発されているそうですね。普段は開発に専念しているのでしょうか。
![]() |
いえ,フルタイムの仕事をしていて,仕事が終わってから自分でゲームを作っています。
4Gamer:
本業を持ちながら7年間,同じゲームを作り続けるのは簡単なことではないと思います。何が原動力になっているのでしょうか。
SingKeys氏:
7年前から,僕がこのゲームを作っていることを知って,楽しみにしてくれているプレイヤーがいるんです。その期待を裏切るわけにはいきません。
それに,自分を代表するようなゲームを作りたかったんです。フルタイムの仕事をするだけで人生が過ぎていくのは嫌で,自分自身を表せるものを残したいと思いました。
4Gamer:
そもそも,香港を舞台にしたゲームを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。
SingKeys氏:
当時,「UNDERTALE」(PC / PS4 / PS Vita / Nintendo Switch / Xbox One / Xbox Series X)を遊んでいたんです。あれも1人で作られたゲームで,大好きな作品です。1人でもこんなに面白いゲームが作れるんだと思って,「自分にもできるかもしれない」と始めました。
それと,香港を題材にしたゲームって,有名なのは「Sleeping Dogs」(PC/PS3/Xbox 360,邦題:スリーピングドッグス 香港秘密警察)くらいで,ほかにほとんどないんですよね。だから,香港のゲームを作りたかったんです。
4Gamer:
日本のゲームファンには,九龍城砦がよく知られています。本作にもそういった場所は登場しますか。
SingKeys氏:
九龍城砦は少し前の時代のものですが,本作の舞台はもっと現代の香港です。ただ,画面の雰囲気づくりでは参考にしている部分もあります。
香港らしさはアートだけでなく,食べ物などの文化面にも盛り込んでいます。
4Gamer:
試遊した学校のパートは,ご自身の体験がもとになっているのでしょうか。先生にチョークを投げつけられたりとか……。
SingKeys氏:
一部はそうですが,チョークはないですね(笑)。
数学の教科書を武器にしたのは,学生時代の教科書がすごく分厚かったからです。「これで人の頭を叩いたら倒れるんじゃないか」とよく考えていて,そのアイデアをゲームに入れました。主人公は魔法も使えるんですが,序盤はカバンに数学の教科書しか入っていない。目の前に敵がいるから,それを取り出して戦うしかないんです。
![]() |
![]() |
![]() |
4Gamer:
タイトルの「繁栄の書」は,その数学の教科書のことではないんですね。
SingKeys氏:
違います(笑)。「繁栄の書」は,ゲームの後半に登場する本です。この世界のある支配者は,人々に自分たちが魔法を使えることを忘れさせ,魔法を禁じるためにこの本を広めました。主人公は,偶然その“クラック版”を手に入れることになるんです。
![]() |
4Gamer:
Xでは,流行りの新しいギミックではなく,戦闘の手応えとストーリーで勝負したいと書かれていました。本作が他のインディーゲームと違うのは,どんなところだと考えていますか。
My approach to game dev might seem a bit foolish. Instead of building around a trendy new gimmick, I just want to win people over with pure combat feedback and storytelling.
SingKeys | The Book of Prosperity (@singkeyshk) September 23, 2026
SingKeys氏:
ここに出展されているゲームは,どれも面白いと思います。そのうえで本作は,すべての操作がタイミングを重視しているのが特徴です。
数学の教科書で攻撃すると円が出ますよね。「osu!」を遊んだことがあれば分かると思いますが,あの円が戻ってきた瞬間にボタンを押すと,スタミナを消費せずにスキルを続けて発動できるんです。
4Gamer:
Steamのウィッシュリスト登録数は,現在1300件ほどだそうですね。
SingKeys氏:
4月から始めて,今は1300件ちょっとです。もちろん1万件を目指したいですね。達成できると思っていますが,もう少し頑張らないといけません。
7年前はネットに公開して,友達の間で少し話題になったくらいで,大きな反響はありませんでした。でも今は,投稿するたびに「いいね」をくれるファンの人たちがいます。
4Gamer:
ブースにもいる鳥のキャラクターと,「SingKeys」という名前の由来を教えてください。
![]() |
SingKeysは広東語で,鳴き声の音程がどんどん上がっていく鳥(オニカッコウ)のことです。香港では毎朝4時や5時ごろに鳴いて,みんなを起こすんですよ。僕も嫌々起こされている1人ですけど(笑)。
この鳥は香港をよく表していますし,自分の存在をみんなに知ってほしいという気持ちもあって,この名前にしました。
4Gamer:
ときどき大きな声で「ここにいるよ」と知らせてくれるわけですね。香港といえば,パイナップルパンやエッグタルトが恋しくなります。
SingKeys氏:
近いんだから,飛んで来てください(笑)。
4Gamer:
ありがとうございました!
「The Book of Prosperity」は2027年の発売を予定しており,Steamでは日本語対応の体験版が配信中だ。
7年間,本業のかたわらで声を上げ続けてきた“香港の鳥”が作る,香港のためのアクションRPG。数学の教科書を振り回す手応えを,ひと足先に味わってみてはいかがだろうか。


















![画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/001.jpg)
![画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/002.jpg)
![画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/003.jpg)
![画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/004.jpg)
![画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/005.jpg)
![画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/006.jpg)
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/007.jpg)
![画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/010.jpg)
![画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/009.jpg)
![画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/008.jpg)
![画像ギャラリー No.012のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/012.jpg)
![画像ギャラリー No.013のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/013.jpg)
![画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/011.jpg)
![画像ギャラリー No.014のサムネイル画像 / 数学の教科書で敵を殴る,香港発のアクションRPG「The Book of Prosperity」。本業のかたわら7年間,1人で作り続ける開発者に話を聞いた[OIGS2026]](/games/047/G104753/20261003011/TN/014.jpg)