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nForce 700
  • NVIDIA
  • 発表日:2007/12/17
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NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
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印刷2007/12/17 23:01

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NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表

nForce 780i SLIリファレンスボード
画像集#002のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 2007年12月17日11:00PM,NVIDIAはPCI Express 2.0に対応した新チップセット「nForce 700」シリーズを発表した。同シリーズはPCI Express 2.0に対応するほか,11月13日の記事でパフォーマンス速報をお伝えした「3-way NVIDIA SLI」(以下,3-way SLI)をサポートするのが特徴だ。また,11月5日の記事でお伝えした「ESA」(Enthusiast System Architecture)対応チップセット第1号でもある。本稿では,nForce 700シリーズを中心に,3-way SLIの詳細にも踏み込んでみることにしよう。
 なお,本稿は2007年10月に開催された報道関係者向け事前説明会の内容をベースにしている。秘密保持契約の関係で,このタイミングでの掲載となったことをあらかじめお断りしておきたい。

画像集#003のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
nForce 700シリーズについて解説したDrew Henry氏(General Manager, Desktop MCP, NVIDIA)
画像集#004のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
事前説明会では,「GeForce 8800 GT」や「ESA」と合わせて,nForce 700シリーズの説明が行われた


nForce 680i SLIのPCIe 2.0対応版にすぎない!?

nForce 700シリーズ


 今回発表されたのはIntel製CPU向けの「nForce 780i SLI」「nForce 750i SLI」という2製品。正直に述べると,AMD製CPU向けモデルや“nForce 780の後継製品”についてもかなり詳しく語られたのだが,後日「詳細に触れてはならない」というお達しが出されてしまったので,本稿では書くことができない。「AMD製CPU向けnForce 700シリーズは2008年の早いタイミングで発表予定とされている」こと以外は述べられないので,この点もご了承いただきたい。

 さてnForce 780/750i SLIだが,型番から想像がつくように,2006年1月に発表された「nForce 680/650i SLI」チップセット直系の後継製品となる。いきなり夢を壊すようなことをいってしまうと,nForce 680/650iのPCI Express 2.0対応&“Penryn世代”デスクトップCPU対応バージョンであり,それ以上でもそれ以下でもない。

事前説明会で展示されていたnForce 780i SLIマザーボード。左から順に,ASUSTeK Computer「P5N-T Deluxe」,GIGABYTE UNITED「GA-780SLI-DS5」,MSI「P7N Platinum」となる。いずれも製品版では仕様が変わる可能性あり
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nForce 780i SLI SPP+MCP
画像集#005のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 チップセットは,ノースブリッジに相当するSPP(System Platform Processor)と,サウスブリッジ相当のMCP(Media Communications Processor)の2チップ構成。対応CPUパッケージはLGA775,FSBクロックは最高1333MHzをサポートし,開発コードネーム「Yorkfield」ベースのCore 2 Quad,あるいは同「Wolfdale」ベースのCore 2 Duoにも対応する。
 SPP内蔵のメモリコントローラはDDR2-1066サポートで,「SLI Ready Memory」規格品ならDDR2-1200動作まで対応できるとのことだ。

 以下,nForce 780i SLIとnForce 680i SLIの両上位モデルを中心に見ていくが,最大の違いは,やはりPCI Express周りだろう。

上はnForce 780i SLI,下はnForce 680i SLIのブロックダイヤグラム
画像集#009のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
画像集#010のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表

 nForce 680i SLIは,PCI Express x16スロットを3基用意するのが特徴だったが,同チップセットにおいてその内訳はSPPから16レーン×1,MCPから16レーン×1,8レーン×1だった。
 これに対してnForce 780i SLIでは,まずSPPがPCI Express 2.0に対応。さらに,PCI Expressブリッジ/スイッチングチップである「nForce 200」を組み合わせ,“SPP−nForce 200経由”で,PCI Express 2.0 x16(※PCI Express 1.1でx32に相当)を2系統提供する。3本めのPCI Express x16スロットはMCPから提供され,こちらはPCI Express 1.1規格準拠だ。
 いうなれば,nForce 780i SLIのMCPによるPCI Express x16は,nForce 680i SLIのそれとまったく同じ。実際NVIDIAも,MCP自体はnForce 680i SLIのそれとまったく同じと認めている。USBやSerial ATA,サウンド,ネットワークの各機能に,nForce 780i SLIで変わった点はない。

●参考:nForce 780i SLIとnForce 680i SLIのPCIeスロット構成
  • nForce 780i SLI:PCI Express 2.0 x16 ×2 + PCI Express 1.1 x16 ×1
  • nForce 680i SLI:PCI Express 1.1 x16 ×2 + PCI Express 1.1 x8 ×1

「SLI Extender」と位置づけられるnForce 200
画像集#011のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 このとき注意すべきは,スロット構成こそPCI Experss 2.0 x16 ×2となるものの,SPPとnForce 200間のバスラインはあくまでPCI Express 2.0の16レーン1本であること。前述のとおり,nForce 200はブリッジ/スイッチングチップなので,グラフィックスカードを2枚差した場合,2本分のPCI Express 2.0 x16スロットで接続されるが,伝送されたデータはnForce 200側で取りまとめてSPPと通信する。要するに,実質的なピーク性能はPCI Express 2.0 x8 ×2と変わらないのだ。
 とはいえ,PCI Express 2.0は倍速伝送バスなので,「PCI Express 2.0 x8=PCI Express 1.1 x16」。nForce 680i SLIより上のスペックは実現できている。

基本仕様はそのままに,既存の(2-way)SLIサポートとなる下位モデルのnForce 750i SLI。MCPのPCI Express 1.1 x16サポートが省略され,SPP側のPCI Express 2.0サポートも「シングルカード時は16レーン,SLI構成時は8レーン×2」となる。図だと少々分かりにくい(※16レーン×1,8レーン×1となっている)ので注意
画像集#012のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表


3-way SLIはGPU界の

ジェットストリームアタックだ!?


 PCI Express周りが強化されたnForce 780i SLIとの組み合わせで訴求されるのが,3基のGPUを駆動させる3-way SLIだ。

事前発表会で3-way SLIの解説を行うChris Daniel氏(Product Manager, GPU Product, NVIDIA)
画像集#013のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 マルチGPUソリューションに関しては先駆的なNVIDIAだが,4基のGPUを駆動させるソリューションとして先に提唱した「Quad NVIDIA SLI」(以下,Quad SLI)は,実際のところ,2基のGPUを搭載する特別なグラフィックスカードを2枚用意した,“2×2”駆動だった。これに対して3-way SLIでは,1基のGPUを搭載する,一般的なグラフィックスカードを3枚同時駆動させるシステムとなる。
 3枚のグラフィックスカードで,同一フレームのレンダリングをアクセラレーションする仕組みが実現されるのは,民生用グラフィックスの世界ではこれが初めて。3枚のグラフィックスカードを動作させるためには,PCI Express x16スロットが3本必要になり,その条件を満たすのが,先のパフォーマンス速報で用いたnForce 680i SLIや,今回のnForce 780i SLIということになるわけだ。

事前説明会の会場で実動状態が公開された3-way SLIシステム
画像集#014のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 3-way SLIでも,ビデオカードの背中に備え付けられたSLIコネクタ(※通称:ゴールドフィンガー)を「SLIブリッジコネクタ」で結ぶことになる。このSLIブリッジコネクタは従来のSLIで用いられてきたものとは異なり,3-way SLI専用のものが必要だ。
 NVIDIAによれば,この新しいブリッジコネクタは,nForce 780シリーズ搭載マザーボード製品に同梱される予定となっている。また,先にお伝えしたとおり,nForce 680i SLIユーザーに向けた3-way SLI用ブリッジコネクタは,PCショップの「Faith」が取り扱っている

3-way SLIに対応した新ブリッジコネクタの配線イメージ。3基のGPUを頂点とした三角形をイメージしてもらいたい
画像集#015のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 3-way SLI用となる新しいSLIブリッジコネクタでは,3枚のグラフィックスカードを,ループさせるような配線で結ぶ。このため,グラフィックスカード側のSLIコネクタは二つ用意されている必要があり,つまり,現行製品では「GeForce 8800 Ultra」「GeForce 8800 GTX」の2種類しか対応しない。SLIコネクタが一つしか用意されていないカードは,問答無用で非対応となる。
 デュアルGPU駆動の従来のSLIではピクセルデータの転送にPCI Expressバスを活用する“SLIコネクタを使わないSLI”もサポートされてきたが,3-way SLIでこうしたモードがサポートされるかについては言及されなかった。


3-way SLIのレンダリングモードと

推奨ハードウェア環境


 かつてのQuad SLIでは,3種類のレンダリングモードが提供されていた。詳細は筆者の連載バックナンバーを参照してほしいが,具体的には以下の三つだ。

  • 4-way AFRモード(AFR:Alternate Frame Rendering):4基のGPUが異なる先のフレームをレンダリングする
  • 4-way SFRモード(SFR:Split Frame Rendering):4基のGPUが同一フレームを手分けしてレンダリングする
  • AFR of SFRモード:2基のGPUが1枚のフレームを共同でレンダリングし,その先のフレームをもう2基のGPUが共同でレンダリングする

3-way SLIで最大パフォーマンスが得られるという3-way AFRモード
画像集#016のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 3-way SLIでは,3基のGPUが異なる先のフレームをレンダリングする「3-way AFRモード」のみが紹介されたので,当初はこのモードのみがサポートされると見られる。AFR of SFRモードは,GPUが奇数個駆動となる3-way SLIだと難しそうな一方,単一フレームを3基のGPUで共同レンダリングする“3-way SFRモード”なら,技術的には可能そうなのだが……。

 3-way SLIについては,現在15社程度のゲームスタジオが最適化を表明しているという。「3-way SLIへの最適化」というとなにやら難しそうに聞こえるが,最適化の方針は従来のSLIとほとんど変わらない。つまり,従来のSLI(のAFRモード)に最適化されたゲームタイトルなら,3-way SLIでの高速化が見込めるわけだ。逆にいうと,従来のSLIでパフォーマンスがあまり伸びなかったタイトルだと,3-way SLIにしてもスケーリング効果は見込めないということでもある。
 下に示したのは,NVIDIAによる3-way SLIのスケーリング効果データだ。グラフの棒は下からそれぞれシングルGPU,デュアルGPU,トリプルGPU駆動時のパフォーマンスを表している。

NVIDIAが計測したベンチマークテスト結果。解像度はいずれも2560×1600ドット時のもので,バーは左から順に「3DMark06」(4x AA/16x AF),「ロスト プラネット」(8x AA/16x AF),「Company of Heroes」(8x AA/16x AF),「Call of Juarez」(8x AA/16x AF),「Crysis」(No AA/No AF)
画像集#017のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表

 デュアルGPU駆動では超えられなかった,実効パフォーマンス向上倍率200%を,3-way SLIでは軒並み超えていることがちゃんと見て取れる。もっとも,(デュアルGPUによる)従来型SLIのパフォーマンス向上率と比べて,3-way SLIの上がり幅が小さくなっているのも確かだ。コストパフォーマンスは従来のSLIより悪く,「よりぜいたくなソリューション」といえるかもしれない。

3-way SLIで推奨されるハードウェア
画像集#018のサムネイル/NVIDIA,PCIe 2.0&3-way SLI対応の「nForce 700」チップセットを発表
 ぜいたくといえば,3-way SLIでは右に示したとおり,非常にぜいたくな推奨環境が示されている。例えば,「クアッドコアCPUと組み合わせる場合は定格出力1100W以上推奨」といった具合。また,GeForce 8800 Ultra/GTXは6ピンのPCI Express外部電源ラインを2系統要求するので,2系統×3枚=6系統が必要になる点も忘れてはならない。なお2007年12月17日時点で,NVIDIAの運営するSLI情報サイト「SLI Zone」が3-way SLI用に推奨している電源ユニットは以下のとおりだ。

  • 2theMAX SP-1200
  • Cooler Master RealPowerPro 1250W
  • GIGABYTE ODIN Pro 1200W
  • PC Power & Cooling Turbo-Cool 1200
  • Tagan TG1100-BZ


順当なアップグレードといえるnForce 780i SLI

この先に待つHybrid SLIにも期待


 nForce 780シリーズは,時代のニーズに合わせた順当なアップグレードといったところで,とくにnForce 780i SLIがサポートする3-way SLIやESAといったあたりには,そういったコンセプトが滲み出ている。
 3-way SLIは,技術的には非常に興味深いものの,GeForce 8800 Ultra/GPUという超ハイエンドGPUのみの対応となるため,一般ユーザーには縁遠い存在だ。いまnForce 780i SLIベースで3-way SLIを実現しようとすると,最低でも1枚7〜8万円台のGeForce 8800 GTX搭載グラフィックスカードが3枚必要になる。これだけのコストをかけて,得られるのはGeForce 8800 GTX 1枚時の2〜2.5倍のパフォーマンスであり,これに価値を見いだせる人は,正直,限定されるだろう。

 むしろSLI関連では――先の事前説明会では予告に留まったが――同じ製品型番ではなく,同じアーキテクチャ世代のGPUならSLI構成が可能になるという,2008年登場予定の「Hybrid SLI」こそが本命になるだろう。“3-way Hybrid SLI”が可能になれば,その時々にユーザーが購入した複数のGPUでパフォーマンスアップを図れることになるわけで,一般ユーザーにとってもSLIは身近になるはずだ。
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