2001年にブランドIPをプレイモアが引き継ぎ,SNKプレイモアへと社名を変更。さらに2016年にはSNKに社名を変え,現在も精力的にゲーム開発を続けており,10月22日には「餓狼伝説 City of the Wolves」のNintendo Switch 2版が発売される。
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今回のスタジオツアーが行われたのは,大阪市淀川区にあるSNK本社だ。国内のゲームメディアが集まり,同社の心臓部ともいえる開発施設を見学できた。
来訪者を出迎えるのは,エントランスに並ぶ数々の関連アイテムだ。開発現場で使われていたものなのか,「JAPAN」という付箋が貼られたNEOGEO CDやアーケード筐体,1999年に発売された阪神タイガースカラーのネオジオポケット カラーなど,当時の品々が展示されている。
さらに,2018年発売のNEOGEO miniや,2019年に発売されたものと思われる「名刀 河豚毒」の模擬刀なども並び,展示品の数々からSNKブランドの歴史の長さを実感できる。
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社内の会議室も,こうした歴史をリスペクトしたものになっている。「テリー」「舞」「ギース」「リョウ」「覇王丸」「京」「庵」といった歴代の人気キャラクターをテーマとしており,壁面にイラストが飾られているだけでなく,床のカーペットまでキャラクターをイメージしたデザインが採用されている。
例えば「ギース・ハワード」ルームでは,「リアルバウト餓狼伝説」のポスターに描かれた,豪華な椅子に腰かけるギースの姿が上座の背後に配されている。つまり,下座側に座ると,ギース本人と真正面から目が合うというわけだ。なんとも粋な仕掛けである。ちなみに,カーペットも黒をベースに稲妻のような黄色いラインが走る,渋いデザインとなっている。
今回見学できたのは「ギース」と「覇王丸」のルームのみだったが,これはほかの会議室が使用中だったためだ。SNK本社がフル稼働していることを感じさせる光景で,喜ばしい限りである。
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次に案内されたのが,社内のモーションキャプチャスタジオである。もともとエントランススペースや周回エリアとして使われていた空間を改装し,今年3月から稼働を開始したという,出来立てほやほやのスタジオだ。
周囲には44台もの最新カメラが設置されており,高精度のモーションキャプチャが可能となっている。また,壁面には大型のLEDスクリーンが設置され,アクターは演技したその場で,収録したモーションの出来栄えを確認できるという。担当者によれば,「ここまで大きなLEDスクリーンを使っているスタジオは,ほかにないのではないか」とのことだ。
すでに「餓狼伝説 CotW」のモーションキャプチャにも使用されており,今後追加されるコンテンツには,このスタジオで収録したモーションが取り入れられていくという。
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これまでSNKでは,アニメーションをハンドキー(手付け)で制作してきたが,モーションキャプチャの導入によって作業効率が向上し,社内に専用スタジオを設ける機運が高まったという。
ゲームデザイナーが収録に参加できるだけでなく,実際の演技を見ながらその場で動きを変更したり,アクター側からアイデアを提案したりできるため,クリエイティブ面でもよい影響が生まれているそうだ。
「餓狼伝説 CotW」には,クリスティアーノ・ロナウドやサルバトーレ・ガナッチといった実在の人物も登場する。彼らの動きを制作する際にもモーションキャプチャが活用され,手付けだけでは表現が難しいモーションを表現できたという。ただし,彼らの彼らの撮影自体はこのスタジオでは行われていない。
とはいえ,すべての動きをモーションキャプチャだけで制作できるわけではない。収録したモーションは,アーティストがハンドキーアニメーションの手法を用いて修正・調整を加えることで完成する。
最新技術を取り入れながらも,現場の職人芸は健在というわけだ。今後のSNK作品にも期待が高まる。
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SNKの本社内にはサウンドルームがあり,デバッグ室,録音ブース,コントロールルームに分かれている。
サウンドなのにデバッグとはどういうことかというと,ユーザーの視聴環境を再現し,音の聞こえ方をチェックするための部屋なのだという。なるほど,制作時にプロ仕様の機材を使っていても,ユーザーの環境では音の聞こえ方が異なる可能性があるわけで,大切な工程といえるだろう。
録音ブースは,声優の演技や小道具を使った効果音を収録するための部屋だ。現在は海外のスタジオとリモートで連携することも多いそうで,現地のスタジオで声優が演技し,大阪のコントロールルームにいるスタッフが遠隔でディレクションを行うという。その際には,英語のネイティブスピーカーが間に入り,意思疎通をサポートするそうだ。
なお,「餓狼伝説 CotW」は,このサウンドルームが立ち上がってから最初に収録を行った作品とのことだ。
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効果音の制作には,さまざまな小道具が使われる。例えば,京が技を繰り出す際には,体の動きに合わせてジャケットがはためくが,その音は実際のジャケットを手で動かして収録しているのだという。
歴代作品の収録に使われてきた,いわば“京のジャケット”とでもいうべき品が存在するそうだが,残念ながら倉庫の奥にしまい込まれており,今回は見ることができなかった。
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スタジオの壁には数多くの楽器が飾られており,その中には「新世界楽曲雑技団」のステッカーが貼られた白いベースもあった。新世界楽曲雑技団は1991年に結成され,「餓狼伝説」をはじめとした格闘ゲームの楽曲を手がけてきたサウンドチームである。
サウンドを担当する山添浩史氏によれば,このベースは当時の開発で実際に使われていたものだという。会社は何度か移転しているものの,このベースだけは捨てられずに残っていたそうだ。
SNKサウンドの歴史が今も受け継がれていることを感じさせてくれる,胸が熱くなるエピソードである。
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最後に見学したのが開発ルームだ。広い室内には無数のパソコンやディスプレイが並び,スタッフたちが一心に作業している。その光景は,まさに誰もが思い描く“ゲームの開発現場”そのものだ。
「餓狼伝説 CotW」のディレクターである近谷駿斗氏は,マルチディスプレイを駆使して同作の動作をチェック。アートディレクターの山本哲也氏は,コラボキャラクターである「東京リベンジャーズ」のドラケンを調整していた。また,プログラマーの山田清範氏のデスクには,主要機種のコントローラが3つも並んでいた。
それぞれの持ち場で作業に打ち込む姿からは,開発が精力的に進められていることがうかがえた。
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今回のスタジオツアーを通して改めて実感したのは,SNKが今なお多くのスタッフを擁し,精力的にゲーム開発を続ける現役バリバリのゲームメーカーであるということだ。最新設備を備えたモーションキャプチャスタジオや,海外とのリモート収録にも対応するサウンドルーム,そして多くのスタッフが作業に打ち込む開発ルームなど,その現場からは新しい作品を生み出そうとする熱意が伝わってきた。
一方で,エントランスに展示された往年のアーケード筐体やゲーム機,サウンドルームに飾られた新世界楽曲雑技団のベースなどからは,長い歴史を持つブランドならではの伝統も感じられた。単に過去の資料を保存しているだけでなく,かつての開発で使われていたものが今の制作現場にも残されているというのは,なんとも感慨深い。
こうした新旧を大切にする姿勢は,SNKの作品展開にも表れている。「餓狼伝説 CotW」ではシリーズの新たな可能性を追求する一方,「METAL SLUG ULTIMATE COLLECTION」ではロケテストバージョンの「メタルスラッグ」を収録するなど,往年のファンにとってもうれしい取り組みが進められている。新しいファンを獲得しながら,長年SNK作品を愛してきたファンの期待にも応えようとしているわけだ。
考えてみれば,本社のロビーをモーションキャプチャスタジオに改装するというのは,なかなか大胆な決断である。来訪者を迎えるための空間を,ゲーム制作のための施設へと作り替えてしまうのだから,見栄えよりも開発環境の充実を優先した“攻め”の姿勢がうかがえる。
歴史あるブランドでありながら,過去の栄光にとどまることなく,新しい技術や制作手法を積極的に取り入れていく。その一方で,長年培ってきた技術や文化も大切に受け継いでいる。そんなSNKの現在地を垣間見ることができ,今後の展開がますます楽しみになったスタジオツアーだった。
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