連載
インディーズゲームの小部屋:Room#154「VVVVVV」
本作の主人公は,乗っていた宇宙船が何らかの理由で故障し,乗組員が全員バラバラに,謎の空間に投げ出されてしまった探検隊のリーダーだ。プレイヤーはこのリーダーを操作し,散り散りになってしまったほかのメンバーを助け出して,異次元空間からの脱出を目指すのだ。
L’Abbaye des Mortsは’80年代風のグラフィックスが大きな魅力の一つとなっている作品だったが,本作のグラフィックスはそれに輪をかけてシンプル。L’Abbaye des Mortsではあえて少ない色数に絞りながらも,それをうまく使って廃墟となった教会の雰囲気を表現していたが,本作ではもっと単純に“とりあえず背景に色塗ってみました!”みたいな,かなり割り切った色づかいがなされており,見た目は正直なところかなり寂しい。
また,本作にも武器の類はいっさい登場せず,キャラクターの基本操作はすべて方向キーのみで行える。ただし,本作ではジャンプの代わりに“重力の反転”を駆使してトラップを潜り抜けていくというのが特徴的。重力の反転は方向キーの上下で行うことができ,例えば床(画面下)に足をつけているときに反転させると,天井(画面上)に足を向けて“落ちて”いくという寸法だ。一度重力を反転させると,床か天井に着地するまでは次の反転ができないのでご注意を。
そんなプレイヤーの行く手に立ちはだかるトラップには,何だかよく分からないロボットみたいなものや,幽霊みたいなものなどもあるが,もっとも多いのは床や天井,さらには壁にまで設置された大量のトゲだ。VVVVVVという本作のタイトルは,このトゲを表現しているのではないかと思うのだが,いずれにせよ,どのトラップも触れれば即死してしまう。そして本作では,非常によく死ぬのだ。
中でも筆者が苦戦したのは,重力を反転させると,着地するまで落ち続けるという本作の特徴を利用した縦穴トラップ。グネグネと曲がりくねった両側の壁一面にトゲが生えており,ちょっとでも操作をミスするとトゲに触れて,ハイ,やり直し。しかも本作は画面切り替え式スクロールなので,次の画面がどんな地形になっているかは,スクロールしてみるまで分からないから,なお厄介だ。
この場面に限らず,本作では何度も失敗を繰り返しながら地形を覚え,細心の注意を払ってコントロールしなければクリアできないというシーンが続出する。同じ場所で10回や20回やり直すなんてことは,本作においてはもはや当たり前の光景と言ってもいいだろう。ただし,その分細かくチェックポイントが設けられており,失敗してもやり直しがそれほど苦にならないという点はありがたい。チェックポイントは「C」と書かれたオブジェなので,見つけたら確実にタッチしておきたい。
本作は,公式サイトやSteamを通じてデモ版が配信されているほか,製品版は4.99ドルにてダウンロード販売中。公式サイトからは,本作のダウンロード体験版だけでなく,Web体験版にもアクセスできるので,すぐにでも遊んでみたいという人は公式サイトをチェックしてみよう。
■「VVVVVV」公式サイト
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