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BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
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印刷2012/11/24 13:29

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BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

画像集#002のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
 シンガポール時間2012年11月23日,台湾BenQはシンガポールで報道関係者向けイベント「Regional Media Meeting 2012 Singapore」を開催。その場で,ゲーム機との親和性が高いとする短焦点プロジェクタ「W1080ST」を発表した。1m先に65.7インチ,解像度1920×1080ドットの画面を投影できる製品だ。「短焦点で1920×1080ドットのいわゆるフルHD解像度に対応するプロジェクタ」は世界初だとBenQは謳っている。

W1080ST。型番のSTは「Short Throw」(短焦点)の意味だ。最大のアピールポイントが製品型番に入っている
画像集#003のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

短焦点で1920×1080ドット表示が可能なことがもたらすメリットを謳うスライド
画像集#004のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
 W1080STの何がどう「ゲーム機との親和性が高い」のか。BenQはそれを,Wii U&WiiやPlayStation 3のPlayStation Move,Xbox 360のKinectといった,モーションセンサーを活用するインタフェースを用いるとき,スクリーンとプレイヤーとの間にプロジェクタを置ける点にあるとしている。
 これまで,フルHD解像度に対応したプロジェクタでは長めの投影距離が必要だったが,W1080STであればスクリーンから1mのところに置けるため,スクリーンとプレイヤーとの距離バランスを考えたり,プレイヤー自身の影が映ってしまったりする問題をクリアできるというわけだ。

手前がスクリーンとプロジェクタの間が2m空いた状態。奥がW1080STとスクリーンの間が1m空いた状態だ。家庭用プロジェクタの投影距離は2〜3mが標準的だが,W1080STならこの距離で1920×1080ドット表示ができる
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画像集#006のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
W1080STのレンズ開発には,かなりの手間がかかっているという
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Martin Moelle氏(Sub-Regional Head, Australia, Japan & Korea)。氏にはイベント後,直接話を聞いている
 ちなみにW1080STは,Texas Instruments(以下,TI)製の1080p対応DMD(Digital Micromirror Device)を採用するDLP(Digital Light Processing)プロジェクタである。BenQはTI製DLPの最大顧客であるため,いち早く採用できたというのがW1080ST登場の経緯だが,BenQで日本と韓国,オーストラリア市場を統括する,ベンキュージャパンのMartin Moelle(マーティン・モーレ)氏によれば,この非常に短い投影距離で歪みのない画面を生むにあたって,レンズの設計が相当なチャレンジだったという。

 「『短焦点で大画面』はBenQが得意とするところ」(Moelle氏)ながら,フルHD解像度を歪みなく表示させるには,歪みを補正する機能,専門用語でいうところの台形補正を行うためのレンズ技術が必須であり,ここには,BenQと長年協力関係にある日本のメーカーによる設計が活かされているとのことだ。イベント会場にはデモ機が置かれていたが,投影されている映像は,解像感はもちろんのこと,映像自体の輪郭も相当にくっきりして見えたので,このあたりの調整はうまく行っていると述べていいのではなかろうか。

画像集#008のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
 気になる表示遅延は「その構造上,少なくとも液晶ディスプレイよりは大きい」とMoelle氏。「そもそもW1080STは,ゲーマー向けプロジェクタとしてではなく,Blu-ray DiscやDVD Videoに向けたビデオプロジェクタとして開発されたものなので,ゲーマー向け液晶ディスプレイのようなゲーム特化型の要素は盛り込まれていない」と氏は率直に述べていたが,FPSや格闘ゲームなど,表示遅延が“致命傷”となり得るタイトルには向かないということだ。
 ただ,デモで用いられていたXbox 360用のKinectタイトル「Dance Central」のようなゲームをプレイする限り,遅延は気にならないとのことなので,ゲーマー向けではない液晶ディスプレイやテレビと同等程度の速度は確保されていると言えるかもしれない。

Dance Centralを用いたデモの様子
画像集#009のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

 そのほか特徴をチェックしてみると,まず,インタフェースの豊富さが目を引くところである。ビデオ入力はHDMI×2,アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1,コンポーネント×1,S×1,コンポジット×1なので,据え置き型ゲーム機(やPC)の2〜3台はゆうに接続できると考えていいだろう。モノラルながらスピーカーも内蔵しているので,音質は問わないから手っ取り早くサウンドを出力させたいというニーズにも応えられるようになっている。
 3.5mmミニピン端子経由で,HDMI入力したサウンドをスルー出力することも可能だ。

背面のインタフェース群。かなり充実していると述べていいだろう。なおUSB標準BとRS-232の両端子は「for service」(サービス用)とされ,現時点で用途は不明だ
画像集#010のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

 また,HDMI 1.4aに対応して3D立体視が可能になった点や,同時にNVIDIAの「3DTV Play」にも対応することでPC接続時にも3D立体視できるようになった点,サイズが312(W)×244(D)×109(H)mmと比較的小型な点も特徴といえそうである。

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天板部には3D Vision対応を謳うロゴがプリントされる
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立体視用のアクティブシャッター式メガネは別売りだ

画像集#013のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
 そのほか主なスペックは表1のとおり。表中「SmartEco」とあるのは,「ランプの消費電力を最大70%低減させ,ランプの寿命を延ばしつつも,輝度あたりのコントラスト比を最適な状態に設定することで,見栄えをできる限り劣化させない」と謳われる動作モードとなっている。

画像集#022のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

十分な投影距離を確保できれば最大300インチワイドを実現できるのもW1080STの強みだ。なお数十cm程度の距離で80インチワイド,1280×720ドット程度の解像度を実現できる超短焦点プロジェクタについて聞いてみたところ,色再現性などの課題から,ゲームやビデオ用としては厳しいという回答が得られた
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 65.7インチワイドの画面を投影するのに必要なスクリーンサイズはざっと横1.5m,縦0.9m程度になり,たとえば1人暮らしの人が六畳一間で使えるかというと,室内に本棚やベッドなど,邪魔になるものがなければいけるレベルと思われる。現実的には,スクリーンはある程度の高さに設置する必要があったり,部屋の中央付近にプロジェクタを設置しなければならない可能性が高かったりと,ハードルは低くない――BenQからはリビングでの利用が推奨されている――が,BenQが,ゲーム機(やPC)の画面をフルHD解像度で出力し,プレイするのに堪えると謳うプロジェクタを発表してきたことは,憶えておいても損しないだろう。

 なお,現時点で国内発売のスケジュールは未確定ながら,現時点では2013年2月頃に9万9800円前後での市場投入を目指しているとのことだった。


下位モデル2製品も近々登場予定

「ゲーマー向けプロジェクタ」の可能性は?


GP10とWiiを組み合わせたデモ。GP10は小型プロジェクタなので,Wii本体より一回り大きいくらいのサイズに収まっている
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 イベントでは,W1080STの下位モデルとして,1mの距離からだと画面サイズが40インチになることを除けばW1080STのスペックをほぼ踏襲し,据え置き型の現行世代ゲーム機と接続しても使えるとされる「W1070」,解像度1280×800ドット対応の「Wii向き」(BenQ)で,ランプの代わりに長寿命のLEDを採用することでランプ交換が不要となる「GP10」も展示されていた。W1070は2013年1月頃,GP10は2012年12月後半にいずれも8万9800円前後の価格で国内発売すべく,BenQでは準備を進めているという。

画像集#016のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能 画像集#017のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
W1070。レンズの口径を除くと,W1080STとの区別はほとんどつかない。W1080STとの価格差は1万円程度になる見込みなので,なかなか悩ましい選択になりそうだ
画像集#018のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能 画像集#019のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
W1080ST&W1070とはまったくデザインが異なるGP10。USB接続型ストレージデバイスやSD&SDHCカードから直接データを読み出して再生するためのUSB標準A端子やカードリーダー,「ファイル転送やUSBディスプレイ向け」とされるUSB Mini B端子も備えている

 両製品の主なスペックは表2を参照してもらえれば幸いだ。

画像集#023のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能

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イベントで,スライドを示しながらプロジェクタ新製品を紹介した,BenQのShayene Neo(シェイエン・ネオ)氏
画像集#021のサムネイル/BenQ,ゲーム用途を想定した短焦点プロジェクタを発表。1m先に65.7インチのフルHD画面を表示可能
W1070とPlayStation 3を用いた3D立体視のデモ
 今回,ゲームプレイに向くというプロジェクタを出してきたBenQ。となると次の可能性は,ゲーマー向け液晶ディスプレイ「XL2420T」のプロジェクタ版のような製品が登場するのかということだが,前段で紹介した構造上の表示遅延に加えて,画面が大きすぎ,四隅が見づらい問題などがあって,プロゲーマーやコアゲーマーの間でニーズがないことから,純粋な意味でのゲーマー向けプロジェクタを展開する予定はないという。
 ただし,前述のとおり,ゲーム用途では体感系との親和性が高いことから,「(高品位な)ステレオスピーカーの内蔵など,より五感を刺激するような方向での進化はあり得る」とMoelle氏が補足していたことは付記しておきたい。

 ちなみに氏は,現在,日本では年15〜20%のペースでプロジェクタ市場が縮小しており,同時に数十万円クラスのハイエンドモデルしか売れなくなってきているとも語っていた。そんな日本市場において,「ゲームに使える短焦点プロジェクタ」が状況を変える存在になれるのかどうか,今後に注目しておきたいところである。

ベンキュージャパン公式Webサイト

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