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Access Accepted第651回:欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント
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印刷2020/06/29 20:18

業界動向

Access Accepted第651回:欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント

画像(001)Access Accepted第651回:欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント

 Twitterに「#MeToo」ハッシュタグを付けてセクシュアルハラスメントを告発・共有する#MeTooムーブメント。2017年に大きな社会問題として知られるようになったが,欧米のゲーム業界では再びそうした動きに絡んだ報道が相次いでいる。人権に関わる重要な問題の1つであるセクシャルハラスメントについて,今週は過去の事例を振り返りつつ,最近の事例を紹介したい。


ゲーム業界はまだ,
#MeTooに対する準備ができていない


画像(002)Access Accepted第651回:欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント
 #MeTooムーブメントと呼ばれる,セクシュアルハラスメント告発の運動がよく知られるようになったのは,2017年10月のことだ。ミラマックス設立者の1人として知られるハリウッド映画産業きってのプロデューサーが,日本でもよく知られる女優や従業員など10人以上の女性からセクシュアルハラスメントの告発を受けたことが世界中に拡散した。2018年初めには,Time誌がこうした女性達を「サイレントブレイカー」(沈黙を破った人)としてまとめ,「2017年のピープルオブザ・イヤー」に選んでいる。

 ゲーム業界では,ATARIを設立したノーラン・ブッシュネル(Nolan Bushnell)氏が,「社外ミーティング」と称して雇っていた女性達をジャグジーに誘っていたことを,過去の思い出として話したことが問題になったが,証明できない古い話であったことなどから,大きな問題には発展しなかった。
 北米メディアのThe Guardianはこのとき「ゲーム業界はまだ,#MeTooに対する準備ができていない」(The Video Games Industry isn’t yet ready for its #MeToo moment)と題した記事を書き,ゲーム業界の女性達が大きな声を上げないのは,業界で働く人の79%が男性だという状況が圧力になっていると伝えている。

 2019年8月には,「Everything is Going to be OK」というインディーズゲームで脚光を浴びたナタリー・ローヘッド(Natalie Lowhead)氏が,10年前の2009年に,カナダの会社に招待されたパーティーで知り合った男性に性的暴行を受けたことを,自身のブログサイトで告発している。今のところ刑事事件や訴訟には至ってはいないようだが,作曲家だという相手の男性は,さまざまなゲームプロジェクトに携わり,日米のゲーム業界にも深いつながりを持った人物だった。

The Guardianの,#MeTooの風はゲーム業界で吹かないという記事はCNNでも取り上げられ,「ゲーム業界の,黙りこくる文化」と評された
画像(003)Access Accepted第651回:欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント

 カナダでは,同じ2019年8月,「Night in the Woods」のデザイナーの1人だった人物が女性から告発を受け,自身が設立したゲームスタジオを退職。その直後に自殺するという痛ましい事件も起きている。ハリウッドほど注目されることはなかったものの,ゲーム業界でもセクシャルハラスメントやパワーハラスメントの問題が,しばしば取り上げられるようになった。


告発が相次ぐ欧米ゲーム業界


 それから約1年,アメリカを中心にしたBLM(Black Lives Matter)運動が収まらない中,#MeTooムーブメントの再燃とも呼べそうな報道が,欧米ゲーム業界で相次いで起きている。

 きっかけとなったのはこの6月に起きた,「Fallout」「Baldur's Gate」で知られる旧Interplay Productionsで活躍し,現在もフリーランスの脚本家としてさまざまなプロジェクトに参加する人気開発者,クリス・アヴェロン(Chris Avellone)氏に対する告発報道だった。ビデオインタビューでアヴェロン氏を取り上げた海外ゲームメディアのTwitterアカウントに,「Karissa」と名乗る女性が,イベント後のパーティーで酒を強要され,意識が朦朧としているときにセクシュアルハラスメントを受けたと書き込んだのだ。この書き込みに,「The Waylanders」というRPGを開発中のスペインのGato Studioの女性開発者が同意を示した。
 これを重視したポーランドのTechlandは,アヴェロン氏との契約打ち切りを発表。続いてスウェーデンのParadox Interactiveがアヴェロン氏の関係した部分は使用しないと発表している。Techlandは,E3 2018で「Dying Light 2」の発表をアヴェロン氏に任せるほどの関係にあり,また,Paradox Interactiveでは,「Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2」の開発に参加していたという。こうして,いくつかのメーカーがアヴェロン氏と距離を置く事態に発展しているのだ。


 同じ6月に,Ubisoft Entertainmentのクリエイティブディレクターとして,「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」以降の多くのシリーズ作品に関わってきたアシュラフ・イズマエル(Ashraf Ismail)氏が,既婚者であることを隠してほかの女性と交際していたことが明らかになった。それまでは「アサシンクリード ヴァルハラ」の開発を指揮する立場だったが,Ubisoftがメディアに伝えるところによれば,同氏はすでにそのポジションを退き,休職したという。
 さらに,以前Insomniac Gamesで働いていたという女性開発者が,複数のメンバー(すでに離職)からセクシュアルハラスメントを受けたことを告発した。Insomniac Gamesは,「在職していない人物による個人への告発についてはコメントしない」としているが,同時に,告発は認識しており,対処のための措置を講じているとも発表している。

 このように,現在の欧米ゲーム業界では,セクシュアルハラスメントに対する告発が続いている。事実関係や,訴訟への発展など現段階ではハッキリしないことも多いが,BLM運動の広がりや,6月がLGBTプライド月間でもあることなどから,それに関連してクローズアップされていると思われるが,ゲーム産業に良い人材が定着するために,今回の一連の出来事を一過性のムーブメントとして捉えず,個々の事例を検証したうえで,業界全体で取り組むことが望まれている。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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