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Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き
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印刷2015/10/26 12:00

業界動向

Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き

画像(001)Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き

 「アサシン クリード」や「スプリンターセル」などの人気シリーズで知られるフランスの大手ゲームパブリッシャUbisoft Entertainmentを,同じフランスの巨大メディア企業Vivendi買収しようとしていることが報道された。かつてActivision Blizzardの大株主であったVivendiだが,Ubisoft側はこの動きに警戒感を強めているという。フランスだけでなく,世界のゲーム市場にも大きな影響を与えそうな話だけに,欧米メディアの注目も集まっている。


VivendiのUbisoftに対する敵対的買収


 フランスに本拠を置く,日本でも知名度の高い大手ゲームパブリッシャであるUbisoft Entertainment。この2015年も,10月22日に北米で発売された「Just Dance 2016」を皮切りに,「アサシン クリード シンジケート」「レインボーシックス シージ」といった,人気シリーズの最新作を中心にアメリカのホリデーシーズンに挑んでいる。

Ubisoftは現在,写真上の,少し紫がかった青色のロゴを使っているが,カラフルな虹の下に「Ubi Soft」という2つの単語で社名を表記していた昔のロゴを覚えている読者も少なくないだろう
画像(002)Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き

 Ubisoftは1986年,ギルモ家の5人兄弟が設立した会社で,当初はElectronic Artsなど,北米のゲームをフランス国内で流通,販売するビジネスを中心に行っていた。やがて,自らもゲームを作るようになり,1995年には,現在でも同社の看板キャラクターであるRaymanを主人公にしたプラットフォームアクション「Rayman」をリリース。2001年に「Myst」「Prince of Persia」などの版権を北米の企業から取得したことなどで,次第にマーケットの注目を集めるようになった。
 翌2002年に発売された「Tom Clancy's Splinter Cell」の成功をきっかけに躍進し,今ではカナダのモントリオールやイタリアのミラノ,中国の上海などに開発拠点を持ち,約9200人の社員を擁する,ヨーロッパの最大手のゲームパブリッシャに成長したのだ。

 Ubisoftが公開した2015年4月1日〜6月30日までの2016年度第1四半期の業績報告によれば,春にめぼしいタイトルがなかったため,前年同期比で73%と収益は下降したものの,それでも当初の予想を20%ほど上回る9660万ユーロの実績を挙げたという。ここ4〜5年は,株価も堅調に推移しているようだ。
 ちなみに同じ報告では,収益の27%をPlayStation 4プラットフォームから得ていると紹介されており,この数字はXbox OneとXbox 360を合わせたよりも大きい。さらに同社は昔から積極的にPCをサポートしてきたメーカーとしても知られており,現在でもほとんどの新作タイトルにPC版が用意されているところが,筆者個人としては好印象だ。小粒ながら,PC専用タイトルの開発も続けている。

1986年の設立以来,Ubisoftを率いてきたイヴ゙・ギルモ氏
画像(003)Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き
 そんなUbisoftに突然,買収問題が持ち上がったのだ。
 イギリスのゲーム情報サイトGamesIndustry.biz10月21日に掲載した記事によると,現在Ubisoftは,同じフランスの巨大メディア企業であるVivendiから敵対的な買収攻勢を受けているという。Vivendiは10月15日にUbisoftの6.6%に相当する株式を1億4030万ユーロ(約190億円)で取得して,株主になった。

 GamesIndustry.bizの記事には,Ubisoftの創設者であり現在CEOを務めるイヴ・ギルモ(Yves Guillemot)氏が社内向けに出したEメールが掲載されており,それによると「(この株式取得は)望んだものではなく,好ましくない」という。ギルモ氏はさらに,「過去約30年にわたって独立企業として存続してきた我々の目標は,リスクを承知で革新をもたらし,世界中のプレイヤーから愛されるべきゲームのフランチャイズを作ることです」「我々は,独立を守るために戦います。Vivendiであろうがなかろうが,我々の目標から我々の目をそらすような行為は,未来永劫,許されるものではありません。」と,かなり強い調子で語っている。


再びゲーム業界への進出を図るVivendi


 当連載の読者なら,Vivendiという企業名に聞き覚えがあるはずだ。掲載が2008年2月1日だから,かなり昔の記事になるが,当連載の第159回「巨人となったVivendiの歴史」でも詳しく紹介しているが,同社は1853年,ナポレオン三世統治下のパリで,水道管理を担う会社としてスタートしたというから,かなり古い会社だ。
 1980年代に業務を広げ,やがてメディアやテレコミュニケーションの巨大企業に成長。フランスだけでなく,イタリアやブラジルなどにも強い営業基盤を持つという。
 1998年,Vivendiはいよいよゲーム業界へ進出する。傘下のHavasというメディア関連会社が,Sierra On-LineDavidson & Associatesなど北米のゲーム開発会社を買収することにより,Vivendi Games(VU Games)が誕生し,欧米ゲーム業界の大きな存在になったのだ。Davidson & Associatesの傘下にはBlizzard Entertainmentがあり,「World of Warcraft」の成功の影にVivendi Gamesの支援があったことは間違いない。
 しかし一方で,Electronic Artsと並ぶ歴史を持ち,古くから活躍していたSierra On-Lineを(いろいろな理由はあったにせよ),買収後に消滅させるなど,開発者やファンの不興を買うこともやっている。

今回,VivendiはUbisoftの6.6%の株式を取得したが,実はUbisoftの大株主は19.9%の株式を保有するElectronic Artsなのだ。2004年にEAが株式を取得したときも,「敵対的な買収」として話題になった。ライバルに経営状況が筒抜け,というのはあまり心地よくないと思うのだが,どうなのだろう
画像(004)Access Accepted第476回:Vivendiが仕掛けたUbisoft買収の動き

 そして2007年は,VU Gamesのピークと言ってもいい年になった。12月,「コール オブ デューティ」シリーズの成功で波に乗っていたActivisionの株式の52%を取得する形で同社と合併し,名実ともに世界最大のゲームパブリッシャであるActivision Blizzardが誕生したのだ。
 だが,その頃Vivendi本体は投資の失敗などを理由に業績が急激に悪化していた。そのため,Activisionを20年以上も率いていたボビー・コティック(Bobby Kotick)氏を追い出したうえで,ゲームとは関係のない企業にActivision Blizzardを売却しようとしていたという。
 当然ながらこの動きはActivision Blizzardの強い不信感を招き,2013年にはActivision Blizzardの幹部らが持ち株会社を設立してVivendi Gamesから株を買い戻し,独立を果たすことになった。
 ここで一度Vivendiはゲーム業界から離れていったのだ。

2015年のホリデーシーズンには「アサシン クリード シンジケート」や「レインボウシックス シージ」などがリリースされるUbosoftだが,それ以降も,新IPの「For Honor」など,期待作が控えている。同作は,騎士,侍,バイキングなどが戦う大迫力のオンラインアクションだ
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 Ubisoftの経営状態は,業績報告を見る限り良好であり,今回,Vivendiが手に入れた株式は,すぐに議決権を掌握できるというほどではない。Vivendiがどの程度,本気で敵対的買収を仕掛けているのかも不明だが,同社にはこうした我々の知っている過去があるため,Ubisoftの経営陣が警戒するのも無理はないだろう。
 ギルモ氏は,Vivendi Gamesがクビにしようとしたコティック氏と同様,ずっとゲーム畑を歩んできた人物でもあり,それだけにVivendiを「ゲームの専門知識も,業界で成功するために必要なものも理解しない人々」と呼んではばからない。

 大作の続編ばかりでなく,1人でコツコツと作ってきた作品が認められた「For Honor」や,舞台を石器時代に移した「Far Cry Primal」など,新鮮なゲームも作り続けているUbisoft。2016年以降も注目すべきメーカーとして,今後の動きが気になるところだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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