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印刷2011/02/21 17:29

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第295回:Electronic ArtsとActivision Blizzard。対称的な2つのゲームメーカー

奥谷海人のAccess Accepted

 Activision BlizzardとElectronic Arts。ゲームメーカーとしては世界最大規模であり,有名なゲームを数多く生み出すトレンドセッターだ。一見すると,組織の改革に苦しむElectronic Artsと,ヒット作の連発で笑いが止まらないActivision Blizzardという図式だが,株式市場の視点は意外にも異なっている。パッケージ販売を主体とする従来のビジネスモデルに対して,次々に誕生する新たなビジネスモデル。こうした欧米ゲーム市場の動きに,この2つのメーカーがどのように対応しようとしているのかを紹介する。

第295回:Electronic ArtsとActivision Blizzard。対称的な2つのゲームメーカー

 

デジタルコンテンツ市場に向けて展開するElectronic Arts
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Electronic Artsの将来は,この「Star Wars: The Old Republic」にかかっているかもしれない。なにしろ,約6億ドルで買収したBioWareが,「World of Warcraft」のライバルとして開発している作品で,プレイヤーキャラクターからNPCまで,すべてに音声を用意するという膨大な作業が行われているため,史上最大の開発予算がつぎ込まれているとされる

 「ゲーム業界は,燃えさかる海底油田のプラットフォームに立っているようなものだ。じっとしていれば爆死してしまうし,あわてて飛び込んだら溺死してしまうだろう」

 ――これは,2011年2月1日,ロサンゼルス近郊のバーバンク市で行われたGameSupply Conferenceで基調講演を行ったPeter Moore(ピーター・ムーア)氏の言葉だ。ご存じのようにMoore氏は北米の大手ゲームメーカー,Electronic ArtsでEA SPORTS部門を率いている,欧米のゲーム業界ではなかなかの有名人。そんな同氏は昨年(2010年)メキシコ湾で発生した石油プラットフォームの爆発事件の映像を見せながら,「ゲーム業界は,変化するよう追い立てられて,初めて変化する」と続けたという。

 この言葉の裏側にあるのは,ゲーム業界は「自ら変わろうとしなければ,滅びてしまう」ということだろう。現在の欧米ゲーム業界は,パッケージビジネスに依存する古い体質から抜け出せておらず,ソーシャルゲームやモバイルゲーム,そしてデジタル流通といった,ここ数年で顕著になった新しいトレンドに対応できていないというのだ。
 このGameSupply Conferenceは,名称からも分かるようにゲーム小売店や流通業者向けのイベント。これを聞いた会場の人達の反応は,どのようなものだったのだろうか。

 ここ数年のElectronic Artsは,とても絶好調とは言い切れない状況だ。長らく守ってきた業界トップの座をActivision Blizzardに明け渡し,新興メーカーのZyngaには株式評価額で抜かれてしまうなど,かつての勢いは失われつつある。2008年以来,現在までに全従業員の17%ほどにあたる約1500人を解雇するなど,過激なリストラや部門統合策を打ち出している。2008年中頃には一株あたり50ドル前後だった株価も,同じ年の後半には一気に17ドルほどに落ち,それ以来,20ドルに届いたことはほとんどないという状況だ。

 しかしその一方,パッケージビジネスで成長してきた歴史の長いゲーム企業の中では,最も強く“ラインナップのデジタル化”を推進してきたのもこのElectronic Artsだ。
 ソーシャルゲーム分野でZyngaに続く業界第2位だったPlayfishを,2009年9月に高額買収したのに続き,翌2010年1月には世界で最もプレイされていると言われるiPod向け有料アプリ「Angry Birds」の開発であるChillingoを傘下に収めた。最近は,ケイブと提携したりなど, 日本のデジタルコンテンツ市場にも目を向けつつある。

 そんな改革がようやく実を結び始めたのが,2010年だ。デジタルコンテンツのセールスが前年比で一気に39%も上昇し,2010年12月で終わった第3四半期には約2億1100万ドル(約176億円)の利益を得ている。現在,モバイルゲームやソーシャルゲーム,DLCやブラウザゲームまでを含めたデジタルコンテンツ事業は,Electronic Artsの全収益の20%を超えるほどに成長した。
 Electronic ArtsのCEO,John Riccitiello(ジョン・リキテロ)氏は,投資家を対象とした業績報告で,年内にリリースされる予定の「Battlefield 3」や「Star Wars: The Old Republic」,そしてオンライン化が進められたスポーツタイトルなどの新作を背景に強気の発言を行い,そのため株価は10%ほど上がり,一時は久々に20ドルを超えるほどにまでなった。株式市場はElectronic Artsの示す方向性に,期待を抱いているようだ。

 

竜宮城脱出の意志が見えないActivision Blizzard
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「Call of Duty: Black Ops」の拡張パック「First Strike」は,発売開始から24時間で140万ダウンロードを記録するという大ヒット。しかし,いくらヒットしているとはいえ,「Call of Duty」シリーズと「World of Warcraft」シリーズとの2本立てだけでは,今後の大きな成長は難しいだろう。Activision Blizzardはどのような未来像を描いているのだろうか?

 Electronic Artsとは正反対なのが,Activision Blizzardだ。2010年は邦貨で3600億円を超える実績をあげ,「日の沈まぬ帝国」とも呼ばれる同社は,「Call of Duty」シリーズと「World of Warcraft」シリーズの二枚看板がヒットを続けており,他社もうらやむほどの好調さを維持している。ところが,営業報告の前に11.8ドルをつけていた株価は,その翌日に10%ほど下落するという,Electronic Artsとは逆の反応を株式市場が示したのだ。

 その理由は,Activision Blizzardの方向転換が,うまく進んでいないという印象にあるのだろう。確かに,デジタルコンテンツ事業では,Electronic Artsより25%ほど多い,年間100億ドル(約850億円)に達する実績を上げているが,そのほとんどがWorld of Warcraftによるもの。世界で1200万ものアカウントを保有する同作に頼り切っている状態だ。それ以外に新興市場へ投資を行っている様子はほとんどなく,Call of Dutyシリーズのデジタルコンテンツを専門に扱う会社として,Beachhead Studiosを設立させた程度。

 確かにCall of Duty: Black Opsは,世界で2200万本を超える好調なセールスを記録しているが,シリーズの人気が永久に続くことはない。また,これまで「Callof Duty」シリーズを開発してきたInfinity Wardとの関係がこじれ,主要メンバーが退社するという事態に陥ったため,シリーズ最新作とされる「Call of Duty: Modern Warfare 3」は,Infinity Wardに残ったメンバーに,いくつかのデベロッパが協力するという変則的な形で制作されている。そのためか,現在のところ,2011年中に完成するかどうかの見通しは立っていないと思われる。

 さらに,かつては看板タイトルであった「Tony Hawk」シリーズと「Guitar Hero」シリーズの制作を継続しないという発表は,同社のマイナスイメージを目立たせる結果になっている。どちらも,ゲームシステムの変更やプラットフォームの乗り換えなど,アイデア次第で十分に売れるシリーズだと個人的に思うのだが,Activision Blizzardは双方の開発会社をすでに閉鎖した。
 「Blur」のBizarre Creationsや,「True Crime」シリーズのLuxofluxなどと合わせて,相当な数の人員削減が行われていることも,Activision Blizzardが,「見通しのよくない将来に備え,リストラを行っている」と判断されているようだ。

 Activision Blizzardには,上記のCall of Duty: Modern Warfare 3や,アクションRPGとしてファンの多い「Diablo III」,そして「Halo」シリーズを手がけたBungieの「Destiny」と呼ばれる新規プロジェクトなど,期待作は少なくない。
 しかし,Electronic Artsをはじめとする多くのゲーム企業と異なり,デジタルコンテンツやソーシャルゲームなど,新たなゲーム市場に投資を行っている雰囲気に乏しく,今後の方向性を示せてはいない。
 Call of DutyやWorld of Warcraftの大成功に浸り,竜宮城での楽しい日々から抜け出す意志がない。株式市場の反応は,そういった印象を受けてのものなのだろう。

 欧米ゲーム業界をリードする,Electronic ArtsとActivision Blizzard。将来の取り組みについて対称的な態度を見せるこの2社が,これからどのような方向に進んでいくのかが注目される。今後,サンフランシスコで開催されるGame Developers Conferenceや,ロサンゼルスのElectronic Entertainment Expoで,2011年後半から2012年にかけて発売されるタイトルラインナップが明らかになるだろう。両社の方向性は,これらのイベントを通じてさらに明確になっていくはずだ。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
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