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印刷2008/04/18 12:02

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted

 2004年に大きな負債を抱え,表舞台から姿を消したアメリカの名門ゲーム会社Interplay Entertainmentが,華々しく返り咲こうとしている。給料の未払い問題などを抱えていたが,そのカムバックを演出したのは,最近話題に挙がることが多いあの開発会社だ。今回は,Interplay Entertainmentが辿ってきた軌跡を紹介しよう。

あのInterplayが世紀のカムバック!?
約5年で一気に転落してしまった名門

 Interplay Entertainmentは,海外産のPCゲームが好きな人にとって,いまでも記憶に残る会社だろう。プログラマーでありゲームデザイナーでもあったBrian Fargo(ブライアン・ファーゴ)氏が,Interplay Productionsという名称で1983年に起業し,Electronic Artsから「The Bard's Tale」(1985年)や「Wasteland」(1987年)などの名作RPGを生み出した。1988年になるとパブリッシングも手がけるようになり,「Neuromancer」(1988年)や「Battle Chess」(同)をヒットさせたり,スタートレックの公式ライセンスを獲得したりして,デベロッパ/パブリッシャとして台頭した。

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往年のゲーマーには親しみあるInterplayが,完全復活を遂げようとしている。公式サイトも再オープンが予告され,同社としては初めてとなるMMORPGを始め,複数タイトルの開発が計画されている

 1993年に,初めて高さの概念を取り入れたFPS「Descent」をリリースしたあとは,Shiny Entertainmentから発売されたヒット作「MDK」(1997年)や,通行人をひき殺すとポイントが加算されるという残虐さが問題になった「Carmageddon」(1997年)など,日本でも話題になった作品があった。さらに,核戦争後の世界をテーマにした「Fallout」(1997年),「Baldur's Gate」(1998年)も発売し,アクションRPG全盛期に,正統派RPGの大御所としての地位を確立したのだ。Interplayの最も華々しい時代といえるだろう。

 社名をInterplay Entertainmentに変更したのも1998年だ。この年,同社はNASDAQへ上場し,さらなる躍進を図ったのである。ただ,業界内外からの評価とは裏腹に,Descentの後継シリーズにあたる「Freespace 2」(1999年),Xatrixの「Kingpin: Life of Crime」(1999年),Shiny Entertainmentからリリースされた「Sacrifice」(2000年)そして,「Messiah」(2000年)などのアクションゲームのセールスが軒並み予想を下回り,そこにゲーム開発の遅延が加わることで,Interplayの業績は急激に悪化。2000年に発売された「Baldur's Gate II: Shadows of Amn」など,RPGの堅調なヒットだけでは取り返しの付かないほど,経済的な負担が増えていたのだ。

 こうして,力の衰えを見せ始めたInterplayは,2002年にパブリッシング業務をVivendi Universal(現Vivendi Games)に任せるという決断を下した。そして,提携関係にあったフランスのTitus Interactiveにほとんどの経営権を委託する形で,ファーゴ氏は辞職したのだ。そして,業績の悪化が表面に現れたことで,株価の低迷を理由に,NASDAQから除外されてしまった。

 ファーゴ氏から経営者としてのバトンを受け取ったのは,Titus InteractiveのCEO Herve Caen(ハーヴ・カン)氏だった。だが,当時のTitus Interactiveの業績も芳しくなく,フランス国内外で雇用者に対する賃金未払い問題が取り沙汰されていた。

 ちなみに,Baldur's GateシリーズでInterplayを支えていたデベロッパBioWareには,いくつかの作品に関して,十分な対価が支払われていなかったという。そんな最中,「Neverwinter Nights」を開発中だったBioWareは,係争の末に同作に関するライセンスの保有権をInterplayから勝ち取り,Infogrames(Atari)から発売した。このBioWareのNeverwinter Nightsにまつわる“難産”は,今でも業界の語り草となっている。荒波に揉まれながら“企業”としての立場を守り抜いた同社は,独立系開発会社として,業界内では一目置かれる存在になったのだ。

 

復活を影で支えた名作RPGの存在

 1983年から長い時間をかけてブランドを築き上げてきたInterplayだったが,その凋落はあっけないほど早かった。2004年に,PlayStaion 2とXbox版「Baldur's Gate: Dark Alliance II」をリリースしたあと,Interplayはオフィスレンタル料の未払いという割と情けない理由でしばらく姿を消してしまう。BioWareやWarner Brothers,そして社員への未払いも加わり,カリフォルニア州からビジネスライセンスを一時的に停止され,公式サイトも突如としてアクセスできなくなった。こんな状態だったために,約1100万ドル(約11億円)の負債と共に,Interplayは倒産してしまったと思っていた人が多かった。

 だが,Interplayは,小さなオフォスに引っ越し,ファーゴ氏がInterplayを辞職したあとに設立したinXile Entertainmentに,The Bard's Taleのライセンスを売却するなど,さまざまな資産を切り売りしつつ,存続していたのだ。

 また,カン氏は倒産のウワサをかき消すかのように,「Falloutのフランチャイズを利用したMMORPGを開発する」と発言したのだ。だが,負債を解消できるほどの資金を投資するスポンサーも現われず,2005年には一定の資金が集まるまでゲーム開発を行ってはならないという通達を,州政府から受けてしまう。そういったことを考えると,FalloutのMMO版というのは,絵空事のようにしか聞こえなかったわけである。

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結果的にInterplayを救ったのは,Bethesda Softworksが開発中のシングルプレイアクションRPG「Fallout 3」だ。Interplayが手掛ける「MMO Fallout」は,2010年頃まで待たなければならなそうだが,この荒廃した独特な世界観が,再び脚光を浴びることになりそうだ

 ところが最近,そんな夢物語が一気に現実性を帯びてきた。Falloutは,その突拍子もないゲーム内容から欧米では根強い人気を誇ったカルト的ヒット作であり,インターネット上では,続編の要望も少なくなくなかった(関連記事)。それに応えたのがThe Elder Scrollシリーズでトップ開発会社に躍り出たBethesda Softworksである。同社は,「Fallout 3」を開発するためにInterplayからFalloutのシングルプレイ用ゲームに関するライセンスを獲得。2008年秋のリリースを目指し開発が進められている。「The Elder Scrolls IV: Oblivion」のゲーム性を踏襲していることもあり,期待作の一つとして,多くのゲーマーから注目を集めているのだ。

 Interplayは,Bethesdaからのライセンス料をもとに負債を解消し,カムバックを果たす。2007年11月には,州政府の許可が下りてゲームスタジオの創設に漕ぎ着けているが,そんなInterplayを窮地から救うことになったFalloutは,同社の手によりMMOとして制作されるという噂もあり,筆者の知るところでは,2010年のローンチを目指しているらしい。なお,Falloutのアートやゲームデザインで活躍したJason Anderson(ジェイソン・アンダーソン)氏が,新作の開発部隊を率いている。

 新生Interplayには,Descentの4作目やMDKの3作目の話なども出ているようだ。1980年代から1990年代のゲーム業界を彩ったInterplayを知るファンには,なんとも嬉しい話だろう。同社の今後の活躍と完全復活に期待したい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。7歳になる長男をサッカーチームに所属させている奥谷氏。サッカーへの興味を掻き立てるために,今年は冬の間からアニメ「キャプテン翼」のビデオを見せていたという。そんな中迎えた試合でゴールキーパーを任された息子さんは,相手選手が近くに来るたびに,空手のポーズをしていたとか。「若島津くんの真似?」と首を捻りながら観戦していた奥谷氏だったが,ボールがゴールに飛んでくると,案の定,息子さんは空手チョップでボールを弾こうとしていたという。結果,試合開始の10分ほどで3点も相手チームに取られてしまった……。現実とアニメの違いを把握していない息子のプレイっぷりに,奥谷氏は肩を落としているという。とりあえず,森崎くんのようにボールを怖がらなくってよかった,というのは慰めにはなってないですかね。

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