インタビュー
「MHF」シーズン5.5インタビュー:頼狩人(ラスタ)やパローネ=キャラバンなど今後の展開を運営プロデューサーの杉浦一徳氏に聞いてきた
マッチングがしづらい状況の「パローネ=キャラバン」は
プレイしたくなるような改善を施すのが最優先
次に,シーズン5.0で導入された「パローネ=キャラバン」についてお聞きします。プレイヤー数が増加しているにも関わらず,現状のキャラバンはいわゆる過疎状態ですよね。先日,ワールドの一部がパローネ=キャラバン推奨となりましたが,それだけで終わりというわけではないですよね?
杉浦氏:
もちろんです。あの変更については,チャットでのクエスト募集で,キャラバンクエストと通常のクエストの相性が悪いという判断から,キャラバンクエストを積極的に募集できるよう,第一歩として行ったものです。シーズン6.0ではもともと予定している要素の拡張と,お客様の要望を踏まえたリファインを行います。
4Gamer:
現状,改善すべき点はどこにあると捉えていますか?
受注できる航路ランクの仕様とマッチングの関係ですね。現在だと,高ランクの航路をクリアしている人が低ランクの航路をプレイするメリットが薄いので,低ランクの人がクエストメンバーを集めにくいという,マッチングがしづらい状況になっています。まだ具体的なお話をできる段階ではないのですが,シーズン6.0では,まずその部分を改善したいです。
4Gamer:
細かい問題としては,高ランクになるほど剣士が不利になるという点もありますよね。
ええ,やはりキャラバンクエスト攻略には,さまざまな状況に対応できる汎用性の高い武器が望ましいですから,ガンナーが有利になる部分が出てきます。そういう事情から,完全に解決するのは難しいのですが,お客様からご意見や要望が寄せられている部分ですので対応策を検討中です。
4Gamer:
そのほか,プレイヤーから寄せられている要望などはありますか?
杉浦氏:
寄せられているご要望としては,とにかくプレイする人を増やす対策を施してくれというものに集中しています。近々,キャラバンに関するアンケートを実施するので,それ以外の問題もピックアップできると思いますが,まずは人が集まって遊べるようにするというのが最優先の課題ですね。
先ほども申し上げましたが,パローネ=キャラバン自体,まだまだ予定していた要素をすべて実装したわけではありません。これから実装する要素との相乗効果や悪い影響など,見えていない部分も考慮していく必要があります。今,スタッフと検討しているのは,皆さんがやってみたいと思えるようなものにパローネ=キャラバンを改善することです。
4Gamer:
それは,強力な武器の素材を報酬に加えるような方法は取らないということですか?
杉浦氏:
そういう方法は最低限に抑えて根本的な改善をしましょう,ということを意識していますね。また,これから始める人と,ある程度進めた人との交流をどうするかといったところでも議論を重ねています。
大胆に改装したメゼポルタ広場ほかシーズン5.0の反響
シーズン5.0で追加/変更されたそのほかの部分についてお聞きします。まずメゼポルタ広場についてですが,全面リニューアルは基本的に便利になったと感じますし,私の周りのプレイヤーの声もおおむね好評でした。
杉浦氏:
はい。非常に評判はいいですね。ただ,プレイヤー主導のイベントや猟団での集まりなどがやりにくくなったというご指摘も受けています。以前のドンドルマの街のように,猟団で集まれる場所として,猟団部屋をより活用できないかと検討しています。
4Gamer:
求人区に4人部屋だけでなく多人数部屋も設置する,というのはどうでしょう?
杉浦氏:
それも考えてはいます。ただ,現状は求人区の検索など,さまざまな方面で影響が出ると予測できるので,そういった部屋をすぐに設置するわけにはいきません。お客様からは「もっと猟団で遊べるようにしてほしい」という要望が多く届いているので,猟団部屋の改善をまず優先したいという事情があります。猟団が機能しにくいという状況は,猟団システムを作った我々からすると本末転倒ですから。この猟団の問題点を解決することで,何かよりよい手段が見つかることもあるでしょうし。
新モンスターのパリアプリアについての評判はどうですか?
杉浦氏:
最初,パリアプリアのギミックが明らかになるまでは皆さん戸惑っていたようですね。「何だこれ?」から,だんだん「何かあるぞ」という感じに変わっていって,「ものすごく面白い」というほどではないけれど,「こういうのもアリだよね」という評価をいただいていると捉えています。それは元々のコンセプトにも合致していて,パワープレイではない,ちょっとひねった新鮮味のあるものを提供できたかなと捉えています。
4Gamer:
パリアプリアの武具の評判はどうですか?
杉浦氏:
モンスターの特徴を反映した防具が欲しいという要望は常にあるので,パリアプリアの武具はそれに沿ったデザインにしています。その点で気に入ってくださる方がいますね。武器は斬れ味ゲージに特徴を持たせたので,興味を持って生産してくれた方が多かったようです。
4Gamer:
ハンターランク100以上のパリアプリアのクエストが,変種でなく剛種なのはどういった理由なんですか?
杉浦氏:
変種モンスターはすでに充実しているという事情と,ある程度やり込んでいるお客様からは,剛種のように手応えのあるモンスターと戦いたいというご要望が多いという理由からです。今後の新モンスターは,ハンターランク100以上を剛種クエストにする可能性が高いですね。
4Gamer:
なるほど。そうなると気になるのが,剛種チケット入手用のクエスト群です。性質上,剛種チケットを入手できるクエストをプレイする機会が非常に多くなっているので,もう少しバリエーションが増えないものかと思うのですが。
おっしゃることはよく分かります。ただ,新しいクエストをいくつ用意しても,最も効率が高いものに人気が集中することは変わらないでしょう。したがって,そこを充実させるよりは,もっと別のクエストで面白さを表現したいというのが本音です。剛種チケットのクエストに関しては,配信のローテーションで対応している状態ですね。
4Gamer:
極めて低い確率であったとしても,すべての変種クエストで剛種チケットを入手できるようになってもいいのかな,とも思います。
杉浦氏:
それも検討していないわけではないです。ただ,剛種チケットは一度高めのハードルとして定めたものですから,そこを変えると大規模な方針転換となってしまいます。なので,今は検討中としかいえません。
4Gamer:
現状は,剛種武器を作ることがプレイの目的になっている人も増えてきましたしね。
杉浦氏:
そうですね。剛種武器が最終目標に限りなく近くなっていると思います。しかし,剛種チケットと剛種クエストはセットで難度を設定しているため,剛種チケットを出やすくしてしまうと,今度は剛種クエスト自体を絞らなければなりません。それはそれで今より大きなストレスになってしまいかねませんから,なかなか難しい問題ですね。
4Gamer:
クエストでいうと,「秘伝のメモ」クエストはどうでしょう?
メルクリメモやネオジムメモが確定で入手できるクエストはリニューアルされましたが,それ以外のクエストは変化がないので,たとえばハンターランク100以上のメモクエストなど,新しいものが欲しい気がするのですが。
杉浦氏:
それも難しい問題ですね。おっしゃるとおり,ハンターランク100以上のメモクエストを入れたとすると,ハンターランク100以上の皆さんはそちらに集中すると思います。そうなると,ハンターランク100未満の人達と一緒にクエストをやる機会がさらに減ってしまいます。そういったハンターの二極化は避けたいんですよ。
4Gamer:
なるほど。
杉浦氏:
ただ,設定した当時はそのハンターランク帯のクエストが少なかったという事情がありました。今ならアクラ・ジェビアやベルキュロスといったモンスターのクエストがありますから,あまりこだわる必要はないので,将来的に内容を見直す機会もあるかもしれません。
4Gamer:
今後も大型モンスターが追加されると思いますが,それに伴って素材も増えると思います。アイテムボックスがますます圧迫されていくと思うのですが,拡張の予定はありますか?
やりたいという気持ちは,当然あります。ただ,以前にもご説明したとおり,アイテムボックス周りのデータは,MHFの中でも最も慎重に扱うべきものです。したがって,そのほかのデータの問題を完全にクリアにしたうえで取り組むべき課題であると考えています。それまでは申し訳ないのですが,武具工房にいる「武具屋お手伝い」より開くことができる「追加倉庫」を利用していただければと思います。追加倉庫についても利用回数制限を緩和したいと思っているのですが,サーバートラブルを起こしてしまったばかりなので,申し訳ないのですが運用が安定するまでお待ちいただくことになってしまいます。
運用が安定してきた狩人祭
今後の課題は最終日の微調整か
4Gamer:
最近,狩人祭が非常に安定してきたように感じられます。
杉浦氏:
はい。僅差で勝負が付くこともあれば,大きな差が出ることもあります。入魂祭だけでなく,公式狩猟大会を含めたいろんな努力の積み重ねが結果に繋がってきているのが目に見えるようになりました。その結果,以前のような大規模猟団の力だけで勝敗が決まるというようなことは減りましたね。
4Gamer:
負けている側だけがボーナス試練でポイントを入手できるので,最終日に負けている組になるかどうかで勝敗が決まることも多いように感じます。
杉浦氏:
そうですね。確かにそういうこともあると思いますので,1日1回にしている途中経過の更新をもっと頻繁にする案など,いろいろと検討はしています。
4Gamer:
たとえば数時間単位で,ボーナス試練の権利が入れ替わったりとかですか。
そこまでいかなくとも,途中経過が見られることで駆け引きが変わると思うんですよ。たとえば,点差によって攻めるか退くかで,状況は大きく変わりますよね。我々は,決して答えが一つとは思っていないので,皆さんが盛り上がりそうで,かつ最も早く実装できるものを常に検討しています。
4Gamer:
なるほど。
杉浦氏:
一発逆転のボーナス試練探しを楽しんでいる方もいれば,通常の試練で入魂数を稼いでいる方もいます。完全に公平なルールができたとして,それが盛り上がるかという保証はありませんし,いろんな楽しみ方があっていいんじゃないかと。現状は安定しているので,大きく手を入れるのはリスクもあると思っています。
4Gamer:
当面は現状のままであると。
杉浦氏:
基本的なルールに関してはそうですね。ただ,褒賞システムに手を入れて,今回から「個人目標」システムを導入します。これは,過去の入魂数の平均値をもとにした目標値を段階的に提示して,目標値を超えたら割り増しで,目標値を下回ったら割り引きになります。
今回からは,入魂数が多い人には最大で1.5倍のボーナスがついて,入魂数が少ない人は0.5倍のマイナスボーナスになります。
4Gamer:
祭ポイントをもらえる基準は,猟団の総入魂数を入魂した人数で割った平均が20魂以上というのが前提で,配布されるポイントは基本的に頭割りというのは変わらないんですよね?
杉浦氏:
そうです。入魂した猟団メンバーそれぞれがもらえる祭ポイントの量に,個人の入魂状況に応じたボーナス/マイナスボーナスがつくという仕様の変更です。
シーズン6.0は8月中旬から順次公開
好評のネットカフェイベントも継続して展開
4Gamer:
それでは少し気が早いのですが,シーズン6.0についての予定などを教えてもらえますか?
8月中旬からプレビューサイトを公開する予定です。メインビジュアルを見ると,新モンスターの概要は分かるんじゃないかなと思います。ビジュアル内にいくつかヒントを散りばめていますので,どんな攻撃をするかなど予想していただければと思います。
4Gamer:
アクラ・ヴァシムのときとは違って,ちゃんと分かるんですね(笑)。新モンスター以外ではどうでしょう?
杉浦氏:
ほかには新スキルも実装する予定です。武器に関わるものもあるので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
武器に関わる,というと?
杉浦氏:
武器にまつわる大きなギミックの登場といってもいいくらいのものになります。スキル構成にも大きな影響を与えるかもしれません。
4Gamer:
なるほど。これは発表が楽しみですね。
杉浦氏:
あと大きなところでは,先ほどお話したようにラスタの新要素追加と,パローネ=キャラバンの改善ですね。そのほかは……まだお話できませんが,派手ではなくともけっこう面白いものが揃っていると思います。
この秋には,ネットカフェのオフラインイベントをまた実施するんですよね。
杉浦氏:
はい。8月下旬から9月上旬を考えています。賞品もちょっと豪華になって,優勝チームにはNポイント4000点を前回の賞品に加えて差し上げるという豪華なものになります。また,前回は4人一組での募集でしたが,メンバーを集めにくいというご意見も多かったので,次回は募集単位を2人一組にします。
4Gamer:
開催地はどこになるのでしょう?
杉浦氏:
どうしても東京開催は外せないのですが,そのほかは北海道と宮城,新潟を予定しています。東京より西については,その次の回で開催する予定です。毎回3か所ずつ違う地域を回りたいと考えています。
4Gamer:
いろんなところに旅行ができると思うとうらやましいですが,連日の移動になると大変そうですね。
杉浦氏:
はい。正直言うと大型アップデート前に実施しますので,平日も仕事が普段より多いうえに,土日も日帰りでイベントと大忙しです。ですが,お客様と直接触れ合うことは励みになりますし,また地域によって遊び方が少しずつ異なりますので,非常に勉強にもなります。それに,いくらネットビジネスとはいえ,お客様の顔を見ないまま続けるのは無理じゃないかとも思います。ハードだけれども,「これはやるだけの価値がある!」と前回感じたので,これからも続けていきたいと思います。
4Gamer:
以前おっしゃっていた,オフラインイベントを開催できるほどの店舗規模ではないネットカフェへの支援対策は進んでいますか?
杉浦氏:
はい。システム的に支援できるよう着々と進めています。最近のキャンペーンの成果が出て,ネットカフェでの利用率も順調に伸びています。おかげさまで5月には,販売代理店の調査結果でオンラインゲームのシェア全国1位を獲ることができました。
4Gamer:
ちょっと気になったのが,カップルのキャンペーンの利用率です。
杉浦氏:
実は先ほど確認したら2万人以上,つまり1万組以上のカップルにご利用いただいているそうです。これをきっかけにMHFを始めていただいた女性の方も多いと聞いています。
4Gamer:
それでは最後に,2周年を迎えるにあたってメッセージをお願いします。
1周年のときはゲーム内イベントが2本しかできず少々悔しい思いをしたので,2周年の今回は記念イベントを10本ご用意いたしました。本来なら質と量の双方をアップすべきなのですが,量がやや質を上回っている感じです。次の3周年は質も量並みに引き上げることが目標で,すでに3周年に向けてさまざまな企画は動き出していますが,まずは2周年のイベントをいろいろ楽しんでいただきつつ,さまざまなご意見をいただきたいです。もちろん,今後の大型アップデートも新しいコンテンツを用意したり,大きな話題を発表できるよう着々と準備中です。ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
プレイヤー数の増加だけでなく,プレイヤー層もどんどん広がっているというMHF。その要因は,モンスターやクエストの追加はもちろんのこと,ハンゲームとの提携,狩人祭におけるエンターテイメント性の強化等が挙げられる。またインタビュー中で杉浦氏が指摘している通り,各種のキャンペーンおよびVS.クエストを使ったオフラインイベントで,ネットカフェにおける楽しみ方を提供したことも重要だろう。
ここで言及しておきたいのが,狩人祭にしろVS.クエストにしろ,必ずしも最初からプレイヤーにすべてが受け入れられていたわけではない点。運営・開発がプレイヤーの要望や意見を取り入れ,長い時間をかけて試行錯誤した結果,今のようなプレイヤーに楽しまれるポジションを確立できたのである。すなわち,シーズン5.0のパローネ=キャラバン,5.5のラスタシステムとも,アップデートとともに,より親しまれるコンテンツになっていく可能性は高いだろう。わりと時間を置かずに発表されるというシーズン6.0の情報とともに,こうした実装済みコンテンツの進化にも注目していきたい。
- 関連タイトル:
モンスターハンター フロンティアZ
- この記事のURL:
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.