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「Radeon Software」が「AMD Software Adrenalin Edition」に名称変更。超解像技術「Radeon Super Resolution」を新たに導入
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これまで,Radeon向けドライバソフトウェアの名称は「Radeon Software Adrenalin Edition」であったが,今バージョンから「AMD Software Adrenalin Edition」に変更された。AMDによると,たとえばCPUのオーバークロック機能やワンクリックオーバークロックなど,GPU以外の機能も実装するようになったこともあり,より広い用途に向けたソフトウェアであることを示すために,名称を変更したそうだ。
名前が変わったのも重要ではあるが,より重要なのは,以下に示す3つの新機能が実装されたことにある。
- 多数のゲームで利用できる超解像技術「Radeon Super Resolution」(以下,RSR)
- 「FidelityFX Super Resolution」(FSR)の画質を向上させた「FSR 2.0」
- 「AMD Link」のクライアントがAMD製GPU以外にも対応
順に紹介していこう。
ゲームに依存せず使い方もシンプルなRSR
実際には制限もある
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Adrenalin 22.3.1の段階でRSRが利用できるGPUは,Radeon RX 6000シリーズおよびRadeon RX 5000シリーズ,つまりRDNA世代以降の単体GPUに限定されている。ただ,近日中にRyzen 6000シリーズの統合GPUにも対応する予定とのことだ。
AMDによると,アップスケーリング後の画像を出力する部分がハードウェアに依存しているため,旧世代のGPUではRSRに対応できないとのこと。旧世代のAMD製GPUのユーザーには残念なことだが,ハードウェア側の都合となると,今後の対応も難しいだろう。
さて,RSRに対応するGPUを搭載したPCにAdrenalin 22.3.1をインストールすると,Radeon Settingsの「グローバルグラフィックス」や,ゲームタブの個別ゲーム設定に,「Radeon Super Resolution」というトグルスイッチが現れる。
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このスイッチをオンにすると,RSRが有効になる。グローバル設定だけでなく,ゲーム個別の設定でもRSRのオン,オフを切り替えられるが,個別設定はRadeon Settingsでゲーム側の設定にアクセスできるタイトルに限られるそうだ。
使い方は簡単で,RSRをオンにした状態でゲームを起動して,ゲーム側の解像度をディスプレイのネイティブ解像度未満に設定するだけである。Radeon Settingsがゲーム側の設定にアクセスできるタイトルなら,自動的にネイティブ解像度未満に設定される仕組みだ。
筆者が試した解像度3840×2160ドット(以下,4K)のディスプレイでは,デフォルトでゲーム側の解像度が1920×1080ドットに設定されたうえで,RSRによるアップスケーリングで4K解像度の映像を表示していた。
RSRが機能しているかどうかは,ゲーム中に[Alt]+[Z]キーを押してAMD Softwareのサイドバーを起動するか,[Alt]+[R]キーでRadeon Settingsを起動すれば確かめられる。「Radeon Super Resolution」のトグルスイッチの下に「アップスケールステータス」という項目が表示されるので,そこにグリーンのチェックマークと,ゲーム解像度,ディスプレイ解像度が表示されていれば,RSRが正常に機能していることを示す。
一方,RSRが機能していないときには,機能しない理由が短く表示されるので参考にできるだろう。
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なお,Radeon Settingsがゲーム側の設定にアクセスできないゲームタイトルだと,このステータスも表示されないが,グローバルグラフィックスの設定でRSRがオンになっていれば,RSRが機能するようだった。とはいえ,すべてのゲームでRSRが使えるかは不明で,またAMDも「数千タイトルで利用できる」というぼかした言い方をしている。そのため,RSRが機能しないタイトルも,あるかもしれない。実際に試してみるしかないだろう。
AMDによると,FSRの技術をRSRに使用しているそうなので,RSRの画質は,FSR相当と考えてよさそうだ。アップスケールだけにややボケ気味にはなるが,描画負荷が高くて高解像度ではフレームレートが低くなるゲームなら,フレームレート向上のために役に立つだろう。
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画質が向上したFSR 2.0が登場
対応ゲーム第1弾は「DEATHLOOP」
Adrenalin 22.3.1では,FSRにも変更が加わり,「ネイティブ解像度に匹敵するか,超える画質が得られる」とAMDが主張する「FSR 2.0」にアップデートされたのだ。
改めておさらいしておくと,FSRとは,AMD独自の超解像&アンチエイリアシング技術だ。RSRとの大きな違いは,ゲーム側の対応が必要な点にある。
これまでのFSR(以下,FSR 1.0)では,空間的超解像アルゴリズムが使用されていた(関連記事)。新たに登場したFSR 2.0では,「時間的超解像アルゴリズム」を併用することで,大幅に画質を高めることに成功したそうだ。
対応タイトルの第1弾は,「DEATHLOOP」になるとのこと。AMDが公開したサンプル画像を掲載しておこう。画質確認の参考になるはずだ。
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なお,FSR 2.0も,DLSSのようなAI技術は使用していないとのこと。また,前出のRSRは,FSR 1.0の技術を使用しており,FSR 2.0の技術は使われていないそうだ。時間的超解像アルゴリズムでは,フレーム間の相関を取る必要があるので,RSRのようなポストエフェクトのみの処理は難しいのかもしれない。
AMD LinkのクライアントがAMD製以外のGPUに対応
Adrenalin 22.3.1における最後の目玉が,リモートプレイ機能「AMD Link」の拡張である。AMDは,2021年に行ったRadeon Softwareのアップデートで,AMD LinkのWindows版クライアントやマルチプレイを実装した(関連記事)。Adrenalin 22.3.1では,この2点を強化しているという。
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これまで,AMD LinkのWindows版クライアントは,AMD製GPUまたはAPUを搭載するPCにしか対応していなかった。これがAdrenalin 22.3.1からは,Intel製CPUやNVIDIA製GPUを搭載するPCでも利用できるようになったとのこと。Intel製の統合グラフィックス機能しか搭載していない薄型ノートPCでもAMD Linkのクライアントにできるので,かなり便利となりそうだ。
なお,これまでのWindows版AMD Linkクライアントは,Radeon Softwareに同梱されていたので,AMD製以外のGPUやAPUを搭載するPCにはインストールできなかった。Adrenalin 22.3.1も他社製GPUのPCにインストールできない点は同じなので,Windowsクライアントのみ,AMDから配布されることになるはずだ。ただ,本稿執筆時点で,AMDは配布方法公開していないので,気になるRadeonユーザーはAMD公式Webサイトをチェックしてほしい。
マルチプレイ機能である「Link Game」は,これまでの最大2人から,最大4人での同時プレイに拡張された。インターネット経由でもゲームに参加できるのは従来どおりなので,場所を選ばずに多人数でのマルチプレイができるのは,AMD Linkの使い勝手を向上してくれそうだ。
AMDのRadeon Software公式Webページ
- 関連タイトル:
AMD Software
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