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「ATI Catalyst 9.11」が公開に。Flash PlayerのGPUアクセラレーション対応&バイオ5の問題解決がトピック
対応GPUは,ATI Radeon HD 2000〜5000シリーズのGPUと,「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット。ATI Radeon HD 5700シリーズに対応したATI Catalystは,今回の2009年11月版が初めてとなる。
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※2009年12月3日追記
同日付で,DirectX 9世代のGPUやグラフィックス機能統合型チップセットに対応したCatalyst 9.11も公開されていると,読者から指摘をいただいたので,リンクを追加した。
なお,この「旧製品向けCatalyst 9.11」はWindows XP/Vista向け。WDDM 1.1がサポートされないという理由で,Windows 7は正式サポート外(※Windows Vista用ドライバがインストールされる)になっているため,Windows 7用のリンクは示していない。
「Display Driver」のバージョンは8.671。「ATI Catalyst 9.10」の同8.661からは0.01の引き上げとなった今回だが,最大のトピックは,次世代Adobe Flash Playerで,高解像度ビデオコンテンツの(GPUなどによる)ハードウェアアクセラレーションを可能にする「Adobe Flash Player 10.1 prerelease」への対応を果たしたことだろう。
もう一つ,トランスコード周りのアップデートもあったので,英文リリースノートの内容を,以下のとおりお届けしたい。
●Catalyst 9.11の新要素
- 「Adobe Flash Player 10.1 prerelease」利用時におけるH.264ビデオコンテンツのGPUアクセラレーション
ATI Radeon HD 5800/5700およびATI Radeon HD 4000シリーズ搭載環境に対応。アプリケーションはAdobe Labsからダウンロードできる。
(※日本AMDのニュースリリースでは,ATI Radeon HD 3000シリーズのモデルナンバーを持ったグラフィックス統合型チップセットなどもサポート対象として挙げられているが,リリースノートには記載がなかった) - ATI Video Converterを利用した縮小トランスコードの品質向上
1920×1080/60i形式のインタレースビデオコンテンツを,iPodなどの320×240ドット/30p形式のプログレッシブビデオファイルへトランスコードするときの画質を調整
恒例のバグフィックスは下記のとおり。4Gamerでもレビュー記事で何度か指摘してきた「日本語版『バイオハザード5』で,パフォーマンスが上がらない問題」にメスがさっそく入ったのは,日本のPCゲーマーにとって朗報だろう。また今月は,それ以外にもゲーム関係のバグフィックスが目立っている印象だ。
ATI Catalyst Control Center(以下,CCC)やマルチディスプレイ周りの修正も含め,今回も英文リリースノートの和訳を下記のとおり試みたので,興味のある人は参考にしてほしい。
●Catalyst 9.11で解決した問題(Windows XP/Vista/7共通)
- CCCからディスプレイの拡張オプションを設定するとき,確認ダイアログが表示されない問題
- 3台のマルチディスプレイ環境が拡張デスクトップ設定にあるとき,ATI CrossFireX(以下,CFX)設定の有効/無効を設定できない問題
- HDMI接続したディスプレイに対してATI Eyefinityの「SLS」(Single Large Surface)モードを適用すると,CCCが応答しなくなる問題
●Catalyst 9.11で解決した問題
- AC3形式(の音声ファイルを含んだ)ビデオをトランスコードすると,出力されたファイルにおかしな部分が生じる問題(※どうおかしくなるのかは明らかになっていない。原文は「Transcoding of AC3 files no longer shows corruption in transcoded files」)
- CFX構成時に,「Battlefield 2142」を実行し,グラフィックス設定を「low」に指定すると,オブジェクトの表示がおかしくなる問題
- CCCの「HDTV Support」に,「Add 720P 50Hz in the Display Manager (PAL)」という選択肢が表示されない問題
●Catalyst 9.11で解決した問題(Windows Vista)
- いくつかのGPUを搭載した環境で,「Anno 1404」を実行したとき,地形の代わりに真っ黒なテクスチャが表示される問題
- インタレース形式を採用したいくつかのビデオファイルを再生したとき,画面の一番下に緑色の線が表示される問題
- CFX構成時に「Age of Conan: Hyborian Adventures」を実行し,グラフィックスオプションを中〜高程度に設定すると,画面がまたたいて表示される問題
- 「PowerDVD」でH.264形式のビデオファイルを再生するとビデオの表示がおかしくなる問題
- マルチディスプレイを拡張デスクトップまたはクローンモードに設定した状態で,「PowerDVD」からMPEG-2 HD形式のビデオファイルを再生すると,再生が間欠的に止まる問題
- マルチディスプレイを拡張デスクトップに設定した状態で「Supreme Commander」を実行すると,プライマリディスプレイがまたたく問題
- CFXを有効化すると,拡張デスクトップを無効化できない問題
- ドライバのインストール後,CCC内,「Avivo Video」−「Advanced Quality」メニューにあるde-noiseの設定値がデフォルトにリセットされない問題
- CFX有効時に「Crysis Warhead」を実行し,グラフィックス設定を「Very High」に設定すると,アプリケーションが応答しなくなる問題
●Catalyst 9.11で解決した問題(Windows 7)
- ATI Radeon HD 3870 X2デュアルGPUソリューションを2基搭載したシステムで,calMemCopy()によりシステムが不安定になる問題(※Brook+命令と思われるcalMemCopy()だが,これをどうすると不安定になるのかは分からない。原文は「calMemCopy() no longer causes some systems with 2 ATI Radeon HD 3870 X2s to become unresponsive」)
- 「PowerDVD 10」の利用時に,Blu-ray Discの高ビットレートサウンドが出力されないことのある問題(※「高ビットレートサウンド」の詳細は不明。可逆圧縮のビットストリームではないかと思われるが……。原文は「Resolved, high bit rate audio from Blu-ray discs might not output when using PowerDVD 10」)
- 拡張ディスプレイ設定時に,DirectX 10版「World in Conflict」でマルチプレイから抜けるとき,画面表示がおかしくなる問題
- いくつかのシステムで,DirectX 9/10版「Tom Clancy's H.A.W.X」のプレイ時にサウンドが出力されない問題
- 二つ以上のデジタルサウンドソースが有効な場合,ビデオやサウンドの再生が乱れる問題(※問題の生じる条件は明らかになっていない。原文は「Choppy video and audio no longer occurs when more than one digital audio source is enabled」)
- ディスプレイ解像度を2560×1600ドットに設定していると,「Wolfenstein」が応答しなくなる問題
- 「WinDVD」の起動後,いったん最小化してから復帰させると,Blu-ray Discの再生を行えない問題
- 「WinDVD」が再描画されず,画面上に残る問題(※「いつ」発生する問題かについての言及はない。原文は「WinDVD application now repaints and no longer remain on screen」)
- 日本語版「バイオハザード5」で,ドライバの互換性に不備があった問題
- いくつかのGPUで,720p/60HzのHDTVカスタムモードを設定したとき,デスクトップが短くカットされて表示される問題(※ということだと思われる。原文は「Selection for “Add 720P 50Hz in the Display Manager (PAL)” no longer missingunder HDTV Support in Catalyst Control Center」)
以上,着実な進歩を感じられるアップデート内容になったと述べていいのではなかろうか。まだまだアプリケーション自体がプレリリース版なので,現時点ではあくまでも保証外となるが,世界的デファクトスタンダードといえるAdobe Flash Playerの次世代版における(DXVAベースの)GPUアクセラレーションが効くようになるというのは,PCゲーマーはもとより,一般PCユーザーにとっても重要な話。また,バイオハザード5日本語版で生じていた問題が解決を見たというのも,国内のPCゲーマーにとっては重要なポイントだ。
対応するGPUやチップセットを利用している人にとっては,自己責任で導入する価値が大いにあるバージョンとまとめておきたい。
- 関連タイトル:
AMD Software
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