AMDは,同社製GPUおよびチップセット向けドライバスイートの最新バージョン,
「ATI Catalyst 8.3」を,
日本時間2008年3月5日深夜にリリース予定だ。
※公開されました。リリースの詳細は3月6日の記事を参照してください。
CrossFire導入以来のマイルストーン(=重要な段階)であり,将来のリリースに向けたベースキャンプとなると,AMDドライバチームはCatalyst 8.3を位置づけている
 |
2008年2月13日の記事でお伝えしたとおり,Catalyst 8.3における最大のトピックは,最大4枚のグラフィックスカードによる「ATI CrossFire」(以下,CrossFire)を実現する
「CrossFireX」,そしてグラフィックス機能統合型チップセット「AMD 780G」と単体グラフィックスカードの組み合わせによるCrossFire構成を実現する
「Hybrid Graphics」がサポートされる点にある。
だが,Catalyst 8.3における機能拡張はそれだけに留まらない。AMDはCatalyst 8.3を「(将来に向けた)ベースキャンプとなるリリース」と位置づけており,それら以外にも数多くの機能が追加されているのだ。順に見ていくことにしよう。
Catalyst 8.3の新機能(1)
〜大小の拡張が多々なされたCrossFire周り
1.AFRにフォーカスしたマルチGPUパフォーマンスの向上
2〜4枚のグラフィックスカードでパフォーマンスの向上を目指すCrossFireXにおいては,ゲームのフレームを4基のGPUで順番に描画するAFR(Alternate Frame Rendering)にフォーカスすることで,ジオメトリとピクセル演算の両方でパフォーマンス向上のメリットが得られるようになっている。SFR(Split-Frame Rendering)もサポートされるが,こちらの場合,マルチGPUの恩恵を受けられるのはピクセルシェーディングのみで,パフォーマンス向上率には制限がある。
DirectX 9/10タイトルのパフォーマンス向上率を示したグラフ。なお,DirectX 10のグラフで右の3本に4GPUのスコアが載っていないように見えるが,これが何を意味するのかはよく分からない。“塗り忘れ”の可能性が高いような気はする
 |
 |
2.さまざまなGPUの組み合わせをサポート
ATI Radeon HD 3800シリーズであれば,すべての組み合わせでCrossFire動作が可能とされる
 |
CrossFire導入初期には,“CrossFire Edition”のグラフィックスカードが必要だったりと,制約が多かったが,CrossFireXにおいては,RV670コアのGPUを採用するグラフィックスカードは,すべての組み合わせがサポートされる。そのとき,グラフィックスメモリ容量や動作クロックは,組み合わせ対象となるグラフィックスカードのうち,最も低いものに揃えられるという制限はあるものの,例えば「『ATI Radeon HD 3870 X2』と『ATI Radeon HD 3850』によるCrossFireX」といった組み合わせが可能になったのだ。
3.ディスプレイ接続の柔軟性が向上
CrossFire使用時にはマルチディスプレイ接続を利用できず,マルチGPU環境でマルチディスプレイ接続を行うときには「ATI Catalyst Control Center」(以下,CCC)からCrossFireを無効化する必要があった。これに対してCatalyst 8.3では,CrossFireXを無効化することなくマルチディスプレイ環境を実現可能になった。
なお,同機能はATI Radeon X1800/X1900/HD 2000/HD 3000シリーズでサポートされるとのことだ。
4.AMDおよびIntelの主要チップセットで動作
CrossFireXはAMDとIntelの主要チップセットでサポートされる(※NVIDIAはサポート外)。最高のパフォーマンスを実現するのは「AMD 790FX」チップセットとされる一方,「Intel P35 Express」のように,片方のグラフィックスカードがサウスブリッジ側にPCI Express x4接続となるようなケースも,条件付きながら対応する。
さまざまな接続形態へ柔軟に対応すると謳われている。ただ,Bifurcation(分岐)とハブの数によって機能に制限が設けられており,とくにサウスブリッジを介した接続時にはOpenGLタイトルがサポートされないといった制限がある
 |
5.42x AA相当のアンチエイリアシングに対応
新しいAnti-Aliasing Edge Detectフィルタによって,42x AA相当のアンチエイリアシングをサポートした。
6.Hybrid Graphicsのサポート
Hybrid Graphicsの公式サポートがCatalyst 8.3で始まる。同機能の詳細は
AMD 780チップセットの解説記事に詳しいので,そちらを参照してほしい。
Catalyst 8.3の新機能(2)
〜UE3タイトルでのAA,DX10.1,縦横比維持拡大など
1.UE3採用タイトルへのアンチエイリアシング対応
Unreal Engine 3.0採用タイトルは,標準状態でアンチエイリアシングをサポートしないという仕様があるが,DirectX 9モードでの実行時に,ドライバ側で独自にアンチエイリアシングをサポートできるようになった。CCCから有効化することで利用可能だ。Unreal Engine 3.0タイトルにおけるアンチエイリアシングの独自サポートは,しばらくの間NVIDIAの“専売特許”だったが,この構図が崩れることになる。
2.アスペクト比を維持したままの拡大表示機能実装
ワイドスクリーン仕様のディスプレイに縦横比4:3の画面を出力し,全画面表示しようとすると,そのままでは横に伸びた画像になってしまうが,Catalyst 8.3では,アスペクト比(=縦横比)を維持した状態での拡大が可能になった。
3.DirectX 10.1対応
Windows Vista Service Pack 1のリリースに合わせて,ATI Radeon HD 3000シリーズの単体GPUにおけるDirectX 10.1(Direct3D 10.1)のサポートが有効化された。言うまでもないかもしれないが,DirectX 10.1の新機能であるプログラマブルテッセレーションも,Catalyst 8.3で利用可能になっている。
4.Avivoに新機能追加
動画再生支援機能であるAvivo HDにおいて,ノイズリダクションとエッジ強調度合いをエンドユーザーが明示的に指定できるようになった。
5.Windows VistaにおけるHydraVisionサポート
マルチディスプレイ利用時に,ウインドウ配置などを制御できる機能である「HydraVision」がWindows Vista環境でサポートされた。
新機能の多くはWindows Vista環境向け
リリースノートの内容は6日にお届け予定
一つ注意しておいてほしいのは,明示されている,いないにかかわらず,今回発表された新機能の多くがWindows Vista環境をターゲットにしていること。厳密にどれがWindows Vista専用かについては,リリースノートの公開(=ドライバスイートの公開)を待つ必要があるだろうが,Hybrid GraphicsがWindows XPをサポートしない(
関連記事)以上,Catalyst 8.3がWindows XP環境でのCrossFireXをサポートしているというのは期待しづらいところだ。
ともあれ,おそらくいつもの流れなら日本時間で今晩中にはドライバが公開されるはず。リリースノートの内容は,あらためてお伝えしたいと思う。