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リーナス・トーヴァルズ氏がNVIDIAを「最低の企業」と呼ぶビデオが話題に。中指を突き立てるに到ったその理由とは
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では,なぜTorvalds氏はそこまで怒っているのか。
NVIDIAとAMDのLinuxサポートでは,NVIDIAがプロプライエタリな(Proprietary,私的財産の。ここでは「閉ざされた」とほぼ同じ意味)ドライバしか用意していないのに対し,AMDはプロプライエタリなCatalystとは別に,オープンソースプロジェクトへの協力を行っていることがよく取りざたされるが,そもそもTorvalds氏はプロプライエタリに対して寛容だ。そもそも,AMDのオープンソースプロジェクトは,AMD側のコミュニティに対するサポートも,コミュニティ側の新製品に対するサポートも追いついていないため,新しいハードウェアで3Dアクセラレーションを使おうと思ったらCatalystを使うしかないのが現状だったりする。
つまり,本質はそこではないわけだ。実際,ビデオの47分くらい,「NVIDIA独自のスイッチャブルグラフィックス機能『Optimus』をLinuxで使うのが難しかった」という話のあたりから先を聞いてみると,その理由が見えてくる。
簡単にいえば,NVIDIAがハードウェアの情報をオープンにしていないため,Torvalds氏などが責任を負えないところでトラブルを起こしていると,Torvalds氏は考えているようなのだ。「NVIDIAはAndroidのハードウェアもたくさん売っているが,最悪だ」とも述べているあたりからすると,NVIDIAがきちんと情報を出してくれれば,Torvalds氏をはじめとするカーネル開発者がトラブルに対処できるはずなのに,それができない。これが,氏を苛立たせているのだと思われる。
ほかのハードウェアベンダーも,自社製品の秘密は当然守るため,「出てこない情報」というのはあるだろう。ただ,名指しで中指を突き立てていることからすると,Torvalds氏やカーネル開発者からの要望に対して出てくる情報が,他社と比べて圧倒的に少なかったのではなかろうか。
……今回のビデオを機として,状況に変化が出てくればよいのだが。
リーナス・トーヴァルズ氏からの「中指突き立て」にNVIDIAが反論のコメントを発表。サポート方針に変更はなし
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