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GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携
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印刷2008/05/27 20:43

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GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携

カナダTeradici Product Marketing Manager Zaid Lammam氏
画像集#001のサムネイル/GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携
 エルザジャパンは,カナダTeradiciと包括的提携をし,リモートグラフィックスソリューションの国内販売などを行うことを発表した。
 Teradiciの技術によって製造されるELSA Vixelは,ハイエンド3Dグラフィックスをグラフィックス機能をほとんど持たない端末上で動かすことのできるソリューションだ。サーバー上でのアプリケーションの実行を端末に表示するThin Clientや,Windowsでいうところのリモートデスクトップの概念に近いものだが,そういったものとは違い,フルHDの動画に対応したり,ワークステーションクラスのグラフィックスを高いクオリティで再現するという特徴を持つ。

ELSA Vixelの端末
画像集#002のサムネイル/GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携
 基本的にワークステーションクラスの話なので,ゲーマーにはあまり関係ないのだが,技術的に面白いので軽く紹介しておこう。この製品の本質は,PCを遠隔操作できることにある。
 こういうものは,キーボードやマウスの入力をホスト側に伝えて,ホストの画面情報を圧縮してクライアント側で再現する仕組みになっている。マウスを動かしたり,文字表示したりという小さな変更ならば,変更部分だけ送られるので,端末側でもホストとほぼ同じ画面の再現がリアルタイムで実現できる。しかし,画面全体にわたる大規模な変化にはついていけないので,オフィスアプリケーションや文字端末などで使われることが多かった。Teradici技術を組み込んだVixelの場合は,これまでにあった類似技術と違い,ハイクオリティな3Dや高画質動画などを扱っても平気なくらいの画面圧縮技術が使われていると思っておけば間違いない。


 結局,高性能PCと同等のマシンが裏で動いていて,それを回線越しに扱うわけで,本体と端末を分けてなにがうれしいかというと,本体部分をデータセンターやサーバールームに置くことでハードウェアのセキュリティ管理ができるのが大きい。機密データがHDDごと盗まれるといった危険は少なくなる。将来的には,1対1ではなく,サーバー側に多数のホストを置き,さらに多数のクライアントに割り当てるといった,使用効率を上げる方向での改良も行われる予定である。

画像集#005のサムネイル/GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携
 接続基本処理はすべてハードウェアで行われるのも特徴だ。
 映像入力はDVIケーブルの接続で行われるため,CPUやGPUへの負荷はかからない。また,USBハブ機能を内蔵しており,ホスト側に対しては拡張USBカードのように機能し,端末側につけられたマウスやキーボードをそのまま認識できるため,入力部分についても特別なドライバはまったく必要がない。唯一,音声部分はUSBオーディオで実現されているためRealtek HD Audioのドライバのインストールが必要な場合がある(Windows Vistaでは不要)。ドライバもほぼ不要なので,OSなども選ばない。

 発表会場では,「Crysis」を高解像度でプレイするデモも行われた。わずかに遅延があるものの,影響はさほど大きくないことがお分かりだろうか。静止画部分はロスレス圧縮,動きのある部分でもビットレートは高いのでかなり高品質な映像が送られる。


 この技術は,インターネット越しで転送することも可能だ。自宅から会社のワークステーションにアクセスして高性能3Dグラフィックスを利用したりもできなくはない。回線負荷ないし使用帯域は画面によって異なり,フル3Dで画面中動くようなものだと最大67Mbps程度必要になるとのこと。光接続であれば,インターネット越しでもなんとかなるという感じだ。ただ,機器側で帯域幅を指定できるので,もっと遅い回線でも使用は不可能ではない。その場合は,画質やフレームレートが若干犠牲になる。

左がELSA Vixelホスト用カード。ロープロファイル対応で全面にヒートシンクがついている。ちょっとヒートシンクでなにも見えなさすぎなので,右はリファレンスカードの例。ELSA版はディスプレイコネクタが1本に見えるが,これはDVI2本を束ねたようなDMS-59コネクタが採用されているため
画像集#003のサムネイル/GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携 画像集#004のサムネイル/GPUなし端末でCrysisもできる? エルザジャパン,Teradiciと提携

 ということで,ELSA VIXELは,サーバー側のTera1200チップを使ったカードとクライアント側のTera1100チップを使った製品が8月以降に8万円程度で登場する見込みである。普通のゲーマーにはまだ関係ない製品であるが,もしかしたら将来的にはサーバー側でゲーム処理をする「G-Cluster」の高級版みたいなことができるようになるのかもしれない。Teradiciのチップは,いろんなPCに搭載されたり,将来的にはノートPCなどにも搭載されたりしていく可能性があるという。そういう時代になればデータセンターでゲームを実行する環境ができるなど,あるいは本体はデータセンターに置いて手元は端末だけと,PC利用のあり方そのものが変わっていくのかもしれない。そんな未来を感じさせる製品である。
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