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「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
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印刷2008/04/09 14:51

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「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」

Danny Chen氏(Product Manager, Global Product Marketing Div., Retail Product Business Unit, Cooler Master)
画像集#002のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
 内部に余裕のあるデザインと静音性を重視した設計で一定の評価を得たPCケース「COSMOS」。同製品を手がけるCooler Masterは,バリエーションモデル「COSMOS S」を2008年5月に日本市場へ投入予定だ。
 4Gamerでは,Cooler Masterで一般小売り市場向けPCケースの製品マネージャーを務めるDanny Chen(ダニー・チェン)氏に話を聞いた。今回は,氏の説明するポイントを中心に,実機の写真と合わせて,COSMOS SというPCケースが,自作派PCゲーマーにとってどういう意味を持つのかを探ってみたい。


COSMOSが天使ならCOSMOS Sは悪魔!?

COSMOSとは似て非なる,冷却能力重視のPCケースに


ぱっと見たところは「黒いCOSMOS」といったCOSMOS S。4本のバーによって“COSMOSらしく”見える
画像集#003のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
 Chen氏はまず,2007年秋に登場したCOSMOSの特徴が,鋳造アルミ製の4本のバーによる外観と,静音性を重視し,ツールフリーで各種デバイスを固定できるという機能面にあると定義。そのうえで「静かさを求めたCOSMOSに対して,COSMOS Sではパフォーマンスを目指す。COSMOSが昼ならCOSMOS Sは夜。天使と悪魔といっていいほどまったく異なる」と述べる。
 COSMOSとCOSMOS Sで共通なのは,「エンドユーザーが見て,すぐにCOSMOSシリーズであると分かる」(Chen氏)4本のバーだけ。外観から機能まで,「スポーツカー的であり,既存の製品を超越した,Sクラス的な」意味を持つ「S」のついた新製品において実現が図られているのは,より高い静音性ではなく,徹底した冷却性能なのである。

 まず決定的に異なるのはエアフロー周りだ。COSMOSでは,ファンの動作音などがなるべく漏れ出さないよう,ケース前面には肉厚の扉,そして吸音加工済みの側板を用意し,さらには(ユーザーの耳から遠い)ケースの底面から吸気するといった配慮があった。これに対してCOSMOS Sでは前面扉が廃される一方,前面と側面ではメッシュ加工を採用する。「ケース前面から新鮮な空気を大量に取り入れ,背面と上面から一気に排気する」(Chen氏)仕様へと変えられている。

COSMOS Sのエアフローを矢印で示してみた(※画像をクリックすると,矢印のない写真を閲覧できます)。ケース前面から外気を取り入れ,上面と背面から排気する格好だ。電源ユニットを本体底面後方に置くスタイルはCOSMOSと同じだが,“底面からの吸気に頼らない”点において,COSMOSとは決定的に異なる
画像集#004のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」

 筐体も,振動を押さえるためのスチール素材ではなく,冷却能力を重視したアルミ素材を採用。さらには120mm角ファンは最大6基搭載可能で,側面には200mm角相当のファンが取り付けられているあたり,やはりCOSMOSとは似て非なる存在と理解すべきだろう。

左:本体前方下部には,5インチベイ3基分の高さにHDDを4基搭載でき,120mm角ファンを備えたHDD搭載用ユニット「4-in-3 Device Module」を装備。これが吸気ファンの役目を果たしている。単体販売されている同ユニットを買い足せば,前面吸気ファン×3化も可能だ
右:背面のファンは120mm角×1とシンプルで,基本的には上面排気が中心となる。なお,ファンの上に見えるのは液冷ユニットのホースを通すためのアタッチメント
画像集#005のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」 画像集#006のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」

左は上面側,下は底面側から撮影したカット。上面は120mm角ファン×3を搭載可能(標準では1基)となっており,メッシュ加工された通風口(?)から排気する。COSMOSとは仕様が異なるものの,底面にも吸気口が用意されているから,ここにファンを取り付ければ底面からの吸気も可能
画像集#007のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」 画像集#008のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」

 「ケース前面から新鮮な空気な空気を大量に取り入れる」という観点に立つと,気になるのは側面の大型吸気ファンだ。COSMOSとは異なり,標準では底面ファンを搭載しないのでこの点は問題ないとしても,側面の大型ファンは,むしろエアフローを乱す存在にならないのだろうか?

側板。200mm角相当のファンと,それを囲むメッシュ加工のアルミが目を引く
画像集#009のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
 「前面から吸気する仕様を採用したPCケースの側面に吸気ファンを付けると,トータルのエアフローにあまりいい影響は及ぼさない。その意味で指摘は正しい。だが,3-way NVIDIA SLI環境などを考えると,エアフローに若干の問題が生じたとしても,カードを直接的に冷却できたほうがいいのも確かだ。それともう一つ重要なポイントとしては,大きなファンを搭載しているほうが,“冷える”イメージが伝わりやすい(笑)」(Chen氏)

 側面のファンが冷却性能をアピールするためのアイキャッチになっている部分があるというわけである。さらに氏は「COSMOS Sの200mm角ファンは,きちんと“200mm角ファン用の回転軸”を使っている」とアピールする。「他社は120mm角ファン用の軸を使いながら,羽根を大きくしているため,どうしても回転が不安定になるが,我々が自社工場で製造している200mmファンでは,十分な大きさの軸を採用することで回転を安定させた。これが風切り音などの安定につながり,いきおい静音化にもつながる」とのことだ。
 もっとも実際に動かしてみたところ,必ずしも静かではない。今回Cooler Masterから入手したCOSMOS Sは量産前サンプルで,最終製品とは若干仕様が異なる可能性があるとされている点は注意してほしいが,200mm角ファンが回転すれば,やはり動作音は耳につく。一般的な大型ファンと比べれば静かかもしれないが,冷却能力に主眼の置かれたケースなので,動作音については割り切る必要があるだろう。


フルアルミ化で得たものと失ったもの

全体的な方向性はむしろStacker 83x系に近い?


 このほか,COSMOS Sの主なスペック,COSMOSとの相違点は下に示したのとおりだ。

※1 単体販売されている「4-in-3 Device Module」を利用すれば最大3
※2 140mm角ファン×2を取り付けることも可能
画像集#010のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」

 ポイントは,COSMOS Sがいわゆるフルアルミ仕様となっている点である。これはもちろん,HDDなど筐体と接触するデバイスの冷却効率を上げるためだが,取っ手があってメンテナンス時などに移動しやすいCOSMOSが,COSMOS Sでさらなる軽量化を果たし,より扱いやすくなっているのは歓迎したい。
電源ユニット吸気口用の防塵(ぼうじん)フィルタのメンテナンスには,PCケースを開ける必要がある
画像集#011のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
 もっともプラスだけではなく,アルミ素材の利用がマイナスに作用する部分も出ている。COSMOSの場合,底面の吸気口に用意されたダストカバーは,ケースを閉じた状態でも簡単に筐体の前後から引き出せたが,COSMOS Sではダストカバーが筐体内へ移動している。その理由は「純粋にアルミ素材が持つ強度の問題だ。COSMOSと同じレベルの強度をアルミで確保するにはこうデザインする必要があった」(Chen氏)ためだという。ケーブルなどが這う実際の使用環境でダストカバーを取り外して掃除するのは,少々面倒な作業になる。

 このほか細かい部分では,電源スイッチがタッチセンサー仕様になったことと,ケース前面上部のI/Oインタフェースにスライド式のダストカバーが取り付けられた点が,COSMOS Sの新要素といえる。COSMOSの前面扉と似たような黒いミラー加工となっているのは好みが分かれると思われるが,それでもカバーが付いたのはありがたい。

電源スイッチやI/Oインタフェース周りはCOSMOSから一新。カバーはミラー加工のため,開け閉めで手の脂が汚れとして付着しやすいが,コネクタをホコリから守れるのも確かだ。なお,右の写真を見ると分かるように,タッチセンサーを含め,LEDは赤で統一されている
画像集#012のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」 画像集#013のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」


COSMOS Sには,Cooler Masterのロゴ入り袋が付属し,製品ボックス(※段ボール)でも,袋に入った状態で梱包されている
画像集#014のサムネイル/「『COSMOS』とは正反対」。Cooler Masterが用意するもう一つのフラグシップPCケース「COSMOS S」
 Cooler Masterは,COSMOS SをCOSMOSの上位モデルと位置づけており,同社の市場想定価格は3万5000〜4万円程度。同社の想定するユーザーは「PCエンスージアストとゲーマーで,お金持ちの人(笑)」(Chen氏)とのことだ。
 機能面だけを見るなら,むしろCOSMOSよりも(冷却能力を重視したCooler Master製アルミケースシリーズである)Stacker 83x系に近い印象を受けるCOSMOS S。正直なところ,静音PCケースが高い支持を集める日本でCOSMOS以上の人気を集めるか? と聞かれると「うーん」と唸らざるを得ない――実際,Chen氏から聞かれたときも唸ってしまった――が,冷却能力と拡張性を重視するハイエンド指向のゲーマーにとっては,相応に価値があると思われる。日本法人であるクーラーマスターからの具体的な出荷情報を待ちたいところだ。

 ところでChen氏は最後に「2009年には,ハイブリッド仕様の新しいPCケースを投入する」と述べていた。具体的な仕様はさすがに秘密だそうだが,COSMOSとCOSMOS Sの両方の特徴=静音モードとパフォーマンスモードを簡単に切り替えられるような仕組みを導入するとのことだ。ハイエンドのPCケースを好む向きは,記憶に留めておくといいかもしれない。
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