オススメ機能
Twitter
お気に入り
記事履歴
ランキング
パッケージ
X-BEAT(エクスビート)公式サイトへ
読者の評価
65
投稿数:7
レビューを投稿する
準備中
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
ベトナムはPCオンラインゲームの次なる天地になるのか?
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2008/05/02 15:58

業界動向

ベトナムはPCオンラインゲームの次なる天地になるのか?

X-BEAT(エクスビート)
 オンラインゲームが注目されている国といえば,日本はもちろんのこと,韓国,中国に台湾あたりを思い浮かべる人は多いだろう。しかし最近,オンラインゲームに関する話題の中で,これら以外の国の名前が上がることが増えてきた。
 例えばシンガポールであり,タイであり,ベトナムあたりである。アメリカやヨーロッパより日本からの距離は近いのに,言葉の壁もあってか,実際のところオンラインゲームがどのように遊ばれているのかなど,なかなか伝わってこないのが,こうした国々である(輸出産業としてオンラインゲームを持っていないのも大きいだろう)。

 そんな中,これまでオンラインゲームはおろか,ゲーム業界とは接点のなかったはずの日本の企業が,ベトナムでオンラインゲーム事業を展開することを発表した。そこで今回,ベトナムのオンラインゲーム事情についてまとめてみつつ,その企業の思惑を聞いてきた。
 果たしてベトナムのオンラインゲーム事情は,現在どのようなことになっているのだろうか。


人口の約56%が30歳以下と若く,GDP成長率の高いベトナム


X-BEAT(エクスビート)
 ベトナムは,その正式名称がベトナム社会主義共和国であることからも分かるとおり,政治体制として社会主義共和制がとられ,ベトナム共産党が実質的な一党体制で統治する国家である。
 経済システムでは,1986年にベトナム共産党の第六回大会でドイモイ政策が採択され,市場経済システムも取り入れることにより,経済成長を実現。停滞した時期もあったものの,2000年に施行された会社法により,会社設立手続きが簡素化されて企業設立が増加。こうしたこともあり,景気は回復した。
 現在では,さらなる市場経済化と国際経済への統合を推し進めており,2007年1月にはWTO(世界貿易機関)への正式加盟も果たしている。

●中国,ベトナム,韓国,台湾,日本の実質GDP成長率
 2004年2005年2006年
中国実質GDP成長率10.10%10.40%11.10%
名目GDP総額1兆9316億ドル2兆2438億ドル2兆6447億ドル
ベトナム実質GDP成長率7.80%8.40%8.20%
名目GDP総額454億ドル529億ドル609億ドル
韓国実質GDP成長率4.70%4.20%5.00%
名目GDP総額6809億ドル7913億ドル8874億ドル
台湾実質GDP成長率6.15%4.16%4.89%
名目GDP総額3311億ドル3561億ドル3655億ドル
日本実質GDP成長率2.70%1.90%2.40%
名目GDP総額498兆3284億円501兆7344億円508兆9251億円

 そんなベトナムの国土は,約33万平方キロメートル(九州を除いた日本の面積に相当)。そしてそこに,約8416万人が暮らしている。そのうちの約56%(約4670万人)が,30歳以下と若いのも特徴的だ。ちなみに日本の人口を約1億2000万人とした場合,30歳以下の人口は約36.8%の4410万人である。
 近年のGDP成長率と,若い人口動態などから,今後も経済発展が見込まれているのが,ベトナムというわけである。


ゲームセンターよりも安く遊べるインターネットカフェ


X-BEAT(エクスビート)
 さて,そんなベトナムでは,どんなオンラインゲームが人気を集め,どういった形で遊ばれているだろうか。
 まず,ベトナムのPC世帯普及率は,約7〜8%と非常に低い。これはおおよそ,日本の10分の1と見ていいだろう。しかし,PCユーザーは約1600万人にも上るそうだ。これは,ベトナム全土に1万5000店舗ほど存在するインターネットカフェの利用者を含んでいるからである。逆に言えば,ベトナムのPCユーザーの多くは,インターネットカフェの利用者なのだ。
 ベトナムのインターネットカフェの利用料金は,1時間に3000〜5000ドン程度(約20〜32円程度)。大型スーパー店内などにあるゲームセンターでのプレイ料金が1プレイあたり1000〜5000ドン程度(約6.5〜32円程度)であることと比較して,かなり割安感がある。そして,インターネットカフェの利用者の40%が,オンラインゲームでプレイしていると見られている。
 ゲームセンターよりも安く楽しめる娯楽。それがベトナムにおける,オンラインゲームの立ち位置なのかもしれない。

X-BEAT(エクスビート) X-BEAT(エクスビート)

「Audition」は総アカウント数550万と大ヒット中


「Audition」の日本版「ダンシングパラダイス」
X-BEAT(エクスビート)
 ベトナムで最も多くの登録者数を誇るのは,オンラインダンスゲーム「Audition」。日本では,「ダンシングパラダイス」としてお馴染みだが,ベトナムではなんと総アカウント数550万にも届く勢いで,しかも課金プレイヤーは50%にも上るという。また,全体の65%は女性プレイヤーなのだそうだ。
 なお現在,ベトナムでオンラインゲームを提供している会社の数は十数社程度。しかし,Vina Game,VTC Game,FPT online,Asia Softの4社が,市場のほとんどを占有しているという状況だ。各社の登録アカウント数の合計は,約1900万と推定されている。

 Audition以外だと,ベトナムにオンラインゲームが普及するきっかけとなった中国産MMORPG「VoLam TruyenKy」(Swordsman Online,武林伝奇)にも,根強い人気があるそうだ。これは2006年に17万だったアカウント数が,2007年後半には200万にまで急激に伸びている。課金プレイヤーはそのうち20万人程度で,1人あたり1か月に6万ドン(390円程度)ほどを支払っているらしい。その結果,本作のサービスを行っているVina Gameの2007年6月以降の売り上げは,同社が運営する全タイトル合計で1か月あたり218万ドルにも達しているのだとか。
 このほか,日本でも運営されているタイトルとしては,「Mu Online」(邦題「ミュー 奇蹟の大地」)や「CABAL ONLINE」などがある(「Ragnarok」(邦題 ラグナロクオンライン)は2008年2月にサービス終了)。「Counter Strike」などのFPSも,男性を中心に人気を集めているようで,とくに今後はFPSが人気ジャンルになるのではないかと目されているという。ただし,その内容について問題視する声も上がっているそうだ。ベトナムという国の歴史的背景を考えると,それもやむなしといったところかもしれない。

X-BEAT(エクスビート)
「Mu Online」の日本版「ミュー 奇蹟の大地」
X-BEAT(エクスビート)
「CABAL ONLINE」(画面は日本版のもの)

●ベトナムでサービスされている主なオンラインゲーム
運営会社ゲームタイトルプレイヤー数(万人)売り上げ(億円)
Vina Game・VoLam TruyenKy
・VoLam TruyenKy 2
など
1000約29
VTC Game・Audition
・Vuong Quoc Xe Hoi
など
400約13
FPT online・MU
・Priston Tale
など
200約5
Asia Soft・Cabal
・Ghost
など
300約3
その他-no data約5
-1900約55



低スペックPCでも楽しめるカジュアルゲームが人気


ホビーとして釣りを楽しむ習慣のないベトナムでは,「釣りパラダイス!」のようなタイトルは,理解の範疇外かもしれない
X-BEAT(エクスビート)
 ベトナム市場では,低スペックなPCでもプレイできるカジュアル寄りのタイトルに人気が集まっている……と見ても差し支えないだろう。
 とくにAuditionの人気沸騰以降は,ファッション性や音楽との融合が重視され,コミュニティ性にはさほど重きを置いていない模様だ。また,ネットワークの向こう側にいるプレイヤーと遊ぶというより,インターネットカフェの店内で,友達と遊ぶ……そんなプレイスタイルが目立つという。台湾や中国,韓国などと割と似た状況である。
 だがベトナムの場合,前述したように,ゲームセンターよりも安価にゲームを楽しめる場所として,インターネットカフェが利用されているからこそ……というとらえ方ができそうだ。

 カジュアルゲームというと,カードゲームやスポーツ系のタイトルが日本には多く存在する。しかしベトナムには,そういったものがほとんど存在していないそうだ。
 というのも,そもそも野球や競馬(これを純粋にスポーツと言って良いのかは疑問だが)のような,日本で実際に多くの人が慣れ親しみ,ゲームでも楽しんでいるような娯楽が,ベトナムには浸透していないというのである。また,釣りなどにしてみても,趣味として楽しむのではなく,食糧を得る手段でしかないそうだ。
 こういった文化的な差異も,好まれるオンラインゲームのジャンルと密接に関わっているのは間違いないだろう。

 ちなみにベトナムでは,オンラインゲームの事業者に対し,利用者のアクセス時間を管理することが義務づけられている。その内容は,ゲーム内で得られる得点がプレイを開始してから180分間は100%,181〜300分間は50%,そして300分を超えると0%になるというもの。さらに,ギャンブル性の高いゲームも禁止されている。となると,いわゆる“廃”なプレイが前提となるようなタイトルは,ベトナムでサービスすること自体が難しそうである。


ベトナムを拠点にアジアのオンラインゲーム市場を目指すソフトサイン


ソフトサイン代表取締役 計和友紀氏
 さて,そんなベトナムのオンラインゲーム市場に,日本から乗り込もうというベンチャー企業がある。メール送受信エンジンの開発などで知られるITベンチャー企業ユミルリンクの創業者,計和友紀氏が,新たに設立したソフトサインがそれだ。
 ベトナムのオンラインゲーム市場は,2007年で約55億円と目されており,さらに年間100%の成長が期待されている。ソフトサインは,そこにチャンスを見いだしたという。
 とはいえ,ベトナムと日本の貨幣価値の差を考えると,わざわざ日本から乗り込むだけのメリットがあるのか,疑問に思うところである。計氏によると,ソフトサインはベトナムのIT企業NCS corporationとの合弁で,NCS mediaを設立。そこを通じて,オンラインゲーム事業を行うそうである。
 これにはまず,ベトナムの法制度上,オンラインゲーム配信といった特定の事業は,外資単独での法人設立が不可能であるという理由がある。それに加え,近年,政府の肝いりで進められているIT技術者の育成により,優秀なエンジニアが多く存在するメリットもあるのだそうだ。つまり,現地でエンジニアを採用することにより,人件費を圧縮できるのである(ベトナムのエンジニアの平均月収は,日本円にして2〜3万円らしい)。そのため,金額的な売り上げは日本より低くても,コストはそれ以上に低く,粗利や営業利益率が高くなるという点にも魅力があるようだ。
 そんなベトナムで,オンラインゲームの技術&運営サポートの体制を築き上げ,そこを拠点にアジアを中心とした国内外へサービス(技術)の提供を行おうというのが,ソフトサインの狙いだ。


“日本産”オンラインゲームのベトナム投入を目指す……が


 しかし,それならばわざわざオンラインゲーム事業にこだわらず,IT関連事業一般でも良いのでは? という疑問も生まれる。これについて計氏は,日本で生まれたコンテンツは世界中で受け入れられているということ,そして将来的に可能性のある分野としてオンラインゲームに着目したという。
 計氏自身が,主にコンシューマゲームを長く,そしてかなり遊んできたからこその発想なのだろう。当初ソフトサインは,日本産のオンラインゲームをベトナムへ輸出するための橋渡しをしようという構想を持っていたのだ。

 しかし,“日本産”に限ってオンラインゲームを見てみると,それほど潤沢なタイトルがあるわけではない(4Gamer読者ならばお分かりだろう)。その中から,ベトナムで受け入れられそうなタイトルを選び出すのは至難の業である。そこで現在は,韓国産も視野に入れ,ベトナムで展開するタイトルを選定中であるとのこと。6月にはゲームポータルをオープン予定で,7月には投入タイトルのクローズドβテストを,8月にはオープンβテストを実施し,9月には正式サービスを開始したいとしている。
 現在のところ,カジュアルタイトルとMMORPGの二つを視野に入れているそうだが,とくにMMORPGに関しては長期的なスパンで育てていき,長くファンに支えられる形を目指したいのだそうだ。ただし,残念ながらどちらも日本産ではないようである。

 とはいえ,計氏は日本産のオンラインゲームを諦めたわけではない。オンラインゲームなどに関する技術力で,韓国などとの差が急激に縮まることがないのであれば,日本人は持ち前の企画力などで勝負し,開発を海外に出せば良いと考えているという。そしてゆくゆくは,自社オリジナルのタイトルを開発し,広く配信していきたいという夢もあるらしい。
 そのためにはまず,はじめの一歩が肝心。ソフトサインが,最初にどんなタイトルをベトナムに持ち込み,市場にどのようなインパクトを与えられるのか。ベトナムのオンラインゲーム市場そのものの明日も含め,いまから気になるところである。

X-BEAT(エクスビート) X-BEAT(エクスビート)
  • 関連タイトル:

    X-BEAT(エクスビート)

  • 関連タイトル:

    CABAL ONLINE

  • 関連タイトル:

    ミュー 奇蹟の大地

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
トピックス
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:01月15日〜01月16日