企画記事
冬休み特別企画:「プロレス団体をつくっちゃおう!ONLINE」を考えよう!
だから,自分が好きで長年見続けているプロレスで,こんな感じのプロレスゲームがあったらな……と,毎晩,ベッドの中で天井を見上げながら考えていた。
もっとも,これまでにプロレスを題材にしたオンラインゲームがなかったわけではない。プレイステーション2専用だったが,そのものずばり「オンラインプロレスリング」なるタイトルも存在した(ほかにもPC以外でちょこちょこあった)。が,現在サービスは行われていない。
そこで,プロレスを題材にしたオンラインゲームを考えてみよう! というのが,この企画「『プロレス団体をつくっちゃおう!ONLINE』を考えよう」である。ただでさえ忙しい年末に,我ながら何をやっているのか……という気もするが,こんな酔狂な企画に賛同してくれるパートナーが現れた。
一人は,連載「男色ディーノのゲイムヒヒョー」の著者である,現役プロレスラーの男色ディーノ選手。ディーノ選手は無類のゲイム好きであるうえ,最近では「電撃オンライン」で「ゲイムがつくりたいです」と題したブログを通じ,ゲイム作りにチャレンジ中である。
そしてもう一人は,天龍源一郎選手の出身地で高級外車を乗り回しながら不動産業を営んだり,料理教室に通ったり,さらには暗黒プロレス組織666でスタッフをしたりしている世界のPKさん。PKさんは最近まで,某オンラインゲームパブリッシャで“ビジネスとしてのオンラインゲーム運営”を行っていたこともあり,今回の企画にうってつけの人物と言えるだろう。
そんなこんなで,現実のプロレスとそれを取り巻く諸環境を,どのようにオンラインゲームに落とし込んでいくべきなのか,これをクソ真面目に語り合った過程と結果,そして将来的な展望をお届けしよう。
プロレス団体をつくるのか,プロレスラーをつくるのか
まず考えられるのは,アクション系のプロレスゲームではあるが,ほかのプレイヤーと対戦するような場合,いわゆる“プロレス的なロールプレイを好む層”(相手の力を9まで引き出して,10の力でたたきつぶす)と,格闘ゲーム的に“ただ相手を倒せばいいというプレイスタイルを好む層”(相手が力を出す前に,速攻で潰しに行く)との対立が避けられない。これは,プロレスゲーム史を振り返れば明らかである(知らない人は知らないだろうが)。
アクション系ではなく,動作ロジックを細かく設定したレスラーをエディットし,それを自動で対戦させるようなシミュレーションタイプでも,同様の事態は必ず発生する。
そこで今回は,“プロレス団体を経営するシミュレーション”として検討することにした。だが,プロレス団体がプロレスラーの集合体である以上,プロレスラーを育成する要素も必要。その両方を併せ持つゲームとして,検討していこう。
ところで現在,この日本にいくつのプロレス団体が存在するかご存じだろうか。2007年に,日本唯一のプロレス専門週刊誌になってしまった「週刊プロレス」に,連絡先として掲載されているだけで70団体。実はこれ以外にも小規模なプロレス団体は各地方に存在しており,その実数は計り知れない。
こうなると気になるのが,「実際にプロレス団体はどうやって設立するのか?」である。かつて,自身の団体FMWで一世を風靡した元参議院議員の大仁田厚氏は,事務所に一本の電話を引いたところから,FMWをスタートさせたと語っていた。だが現在では,もっと手軽に自宅兼事務所と携帯電話があれば,まあ何とかなってしまうケースもあるのだとか。
さらに最近では,“団体”ではなく,いわゆる“プロデュース興行”というものが増えている。これは,団体として選手を抱え込むのではなく,興行ごとに各団体やフリーランスの選手を招聘するというもの。これならば,「スタッフは手弁当として,選手のファイトマネーと会場やリングを借りる予算」(PK氏)があれば,とりあえずの団体旗揚げはできてしまうそうである(世の中には,リングを貸し出すことを業務とする会社があるのだ)。もちろんここで重要なのは,収益性よりロマンだ。
プロレス団体を旗揚げする人のバックボーン
・メジャー団体出身のプロレスラー
・インディー団体出身のプロレスラー
・フロント(プロレス団体の事務方)
・タニマチ的なファン
・純粋なファン
などのパターンがあるという。
プロレス団体を経営するシミュレーションゲームを考える場合,上記五つの前歴からどれを選択するかで,スタート時の状況が変化する……というのも面白そうだ。その場合,それぞれにメリットやデメリットもあるだろう。
例えば……,
▽メジャー団体出身のプロレスラー
・メリット……お金はそこそこ持ってそう(タニマチ多そう)
・デメリット……新弟子が育ちにくい。タニマチとの付き合いが多く,体調や現場との意思疎通に不安
▽インディー団体出身のプロレスラー
・メリット……新弟子がすぐにデビューできる
・デメリット……資金がない
▽フロント
・メリット……金銭的な勘定がうまい。営業力が高い
・デメリット……選手が言うことを聞かない
▽タニマチ的なファン
・メリット……資金が豊富。引退後の選手の就職も斡旋できる
・デメリット……地元以外での興行は苦手。選手が言うことを聞かない
▽純粋なファン
・メリット……熱意に溢れ,夢がある限り逆境に負けない。貧乏にも強い
・デメリット……資金がない。フリー選手を招聘するときに,高額のファイトマネーを要求されがち。選手が言うことを聞かない
といったところか(基本,プロレスラーというのはプロレスラー以外からの意見に耳を傾けないらしい)。
また,設立時には本拠地も選択できるようにしたい(理由は後述)。
それぞれに,メリットとデメリットがある
プロレス団体は,何を目指せば良いのか
というかそもそも,プロレス団体を設立したあと,何を目指せばいいのだろうか。
ここでディーノ選手は,「プロ野球チームをつくろう!ONLINE」や「プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」にはまった経験から,
「ディヴィジョンのようなものを用意して,とにかくこれの上位を目指すしかないんじゃないかしら?」
と発言。これにかぶせる形で,PKさんも
「4年に1回,プロレスジャパンカップが開催されて,そこで好成績を収めると,上のディビジョンに行けるようにしよう」
というアイデアを出した。
が,“プロレス”を題材にしたときに,何を基準に“好成績”とするかもまた難しい問題である。プロレスというジャンルが,同一ルールの上で単純に強さを競い合うものであれば,ここで悩む必要はない。が,プロレスとは定義にしろスタイルにしろさまざまなものがあるのだ。
この難問に悩み続けることしばし。突如ディーノ選手が,
「ここでリアリティを求めるより,ゲイムというファンタジーの世界ということを前提に,統一コミッショナーの下で全団体が常に対抗戦を行っている形にしたらいいんじゃないかしら?」
という解決策を提示した。
そう,いわばSWS構想のようなものである。SWSとは,1990年にメガネスーパーが全日本プロレスや新日本プロレスなどから選手を引き抜いて旗揚げしたプロレス団体。大相撲をモデルにした“部屋制度”を採用し,各部屋がしのぎを削り合うという,非常に“プロスポーツ的”なアプローチをプロレスに持ち込んだのだが,1992年に崩壊してしまった。その原因として,団体のエースだった天龍源一郎選手は近著「七勝八敗で生きよ」の中で,「選手が,みんなガキだった」と述懐しているが,やはり某専門誌(の,当時の編集長)が“金権プロレス”のレッテルを貼り,執拗なまでのバッシングを繰り返していた影響も見逃せない。そういう意味では,悲劇の団体という見方もできるだろう。
ともあれ,SWSの旗揚げと崩壊(と,加えるならFMWの一時的な成功)の結果,各部屋が散り散りになってしまったことが,インディー団体の大量設立と,それに伴うプロレスのアンダーグラウンド化,サブカルチャー化につながったと見る向きも多い(インディー団体が増加したことにより,プロレスにおけるさまざまな表現が可能になったという評価もできる)。
だがもしも,このSWS構想が順調に進み,大きな資本と権威を持った統一コミッションが誕生していたら……? これは,当時からずっとプロレスを見続けている人が,一度は考えることである。歴史の“if”を楽しめるのが,フィクションやファンタジーの魅力であるのならば,今回考えているプロレスゲームにも,こういったifを採用するのもいいだろう。
地方のインディー団体(ローカルインディー)からスタートし,対抗戦で勝ち続けて行くことで富と名声を少しずつ手に入れ,やがて上位のディヴィジョン(全国区インディー)との入れ替え戦に挑戦。ゆくゆくは,最上位ディヴィジョン(メジャー)の頂点に立つ……なんとも夢のある話ではないか!
そこでゲームの目的を,
“最強”の団体を目指してプロレス団体を経営する
と設定し,常に同じレベルの団体と対抗戦が行えるように,
同じレベルの団体同士が競い合える体制を整える
ことにする。
プロレスラーを雇用する方法を考えよう
団体にとって一番の宝は,プロレスラーである。なんせ,プロレスラーがいないことには,対抗戦だってできやしない。そして対抗戦に勝ち抜いていくためには,プロレスラーを鍛えていかなければならない。
となると,“プロレス団体経営シミュレーション”のほかに,“プロレスラー育成シミュレーション”の要素も必要となる。だがここで,“プレイヤー=プロレスラー”となってしまっては,従来のプロレスゲームと大差がない。やはり,経営者の視点で,いかにプロレスラーを雇用し,育成していくか……という点にのみ焦点を置きたいところである。
プロレス団体がプロレスラーを雇用する場合,言い換えれば,プロレスラーがプロレス団体に所属する方法として,現実にはどういった方法があるだろうか。
多くの場合(いにしえの手法)は,プロレスラー志望者がプロレス団体に履歴書を送り,書類審査に通過したら,入門テストを受験。これをくぐり抜けたプロレスラー志望者のみが,新弟子としての入門を許可される。
しかし近年,とくにインディー系の団体では,学生プロレス出身者がそのままプロレスラーになったり(ディーノ選手もこのタイプ),プロレス団体に併設されたプロレス学校に通ったり,海外でプロレスラーとしてデビューしてから帰国したり……といった具合に,プロレスの枠内で許容される表現の幅が広がるのと同時に,プロレスラーになるための道筋も多様になってきている。
ただ,前述のとおり“プロレス団体経営シミュレーション”として,団体経営者側から見た場合,多様化しているプロレスラーへの道筋を忠実に再現していくのは,少々しんどい。
第一,統一コミッションが支配するという設定の世界であることを考えると,プロレスラーになるための道筋は,おそらく限られているはずだ。例えば,プロレスラーに対して統一コミッションがライセンスを与えていると考えても無理はない。
ならば,統一コミッションが“プロレスラー志望者”を対象に書類審査や入門テスト(基礎体力テスト)を行い,それをくぐり抜けた“プロレスラー候補生”を,各団体の経営者が無作為にスカウトし,育成しているという設定にすれば良いだろう。
と,ここでディーノ選手が,
「じゃあいっそのこと,カードゲームみたいにしたらどうかしら。いくばくかのゲーム内マネーを使って,“選手パック”を買うと,ランダムで選手が雇えるのよ」
と,「プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」や「プロ野球チームをつくろう!ONLINE」で遊び続けている人ならでは(?)のアイデアを出してきた。
なるほど。団体対抗戦を行うにしても,選手カードでデッキを組むという形は分かりやすいだろう。
では,その選手カードにどのような数値を持たせておくべきだろうか。3人で侃々諤々の議論が繰り広げた結果,だいたい以下のような形にしようということでまとまった。
表面:名前 / 出身地 / 身長 / 体重 / 髪型 / 特殊スキル / 使用コスト |
裏面:上半身の筋力 / 下半身の筋力 / 敏捷性 / 打たれ強さ / 性格 / 打撃技 / 投げ技 / 関節技 / 跳び技 / 知名度 / 経験値 |
特筆すべきは,特殊スキルである。PKさんが,
「プロレスラーとしての能力値が低いカードを引いてしまうこともあるが,そういった選手に,“デザインができる”“マスクやコスチュームを作れる”“音響ができる”“リングアナウンサーができる”“リングを組み立てるのが得意”“タレント”“ホスト”みたいな特殊スキルを持たせたい。試合に出すと間違いなく負けるような選手でも,こういったスキルの持ち主が,ほかの興行の手伝いに行ってお金を稼いでくれるなら,解雇しなくてもいいし」
と,不動産会社経営者として(?)の優しい一面を覗かせたところ,ディーノ選手もこれに賛同。仕様として盛り込むことにした。
どんなカードを引けるかは運次第
プロレス以外に役立つ特殊スキルもある
プロレスラーのトレーニングといえば“カード”しかない
そこで育成システムを検討した結果,例えばある選手の下半身の筋力を強化したいとき,プレイヤーは「育成→ヒンズースクワット」などの項目を選択。そしてそこで,トランプのカードをめくり,その数字に応じた回数分,スクワットを行うということにした。それだけ,下半身の筋力が強化されるわけである。
もちろん,カードの数字はランダムだ。トレーニングをすれば,必ずや数値的な効果が出る……というのはゲーム的な幻想に過ぎないが,ここにゴッチ式トレーニングの思想を組み込むことで,プロレス的なリアリティの補強を図っているととらえていただけると幸いである。
また,プロレスの魅力は多彩な技の数々にもある。この技を,ゲーム内でどのように扱うべきだろうか。やはり,プレイヤーとしてみれば,選手の得意技をある程度カスタマイズしたいところ。ここでディーノ選手が,
「技をカードにして,アイテム課金にすればいいんじゃないかしら?」
という非常に実利的な提案をした。さらに,これを受けたPKさんも,
「技は儲かる。みんな不知火とか欲しいでしょ」
と同調。ここから議論を深めていった結果,課金アイテムとして「投げ技パック」「打撃技パック」「関節技パック」「跳び技パック」などを用意し,それぞれにランダムで必殺技や,それに準じる大技を入れることにした。
そして,選手カードの能力値が,その技を使いこなせる段階まで上昇していれば,必殺技ないし得意技として設定できる(選手の能力に応じて三つぐらいまで)という仕様を考えた。
せっかく購入した技カードが,自分の選手には設定できない……といったケースも当然出てくるが,技カードをプレイヤー同士で交換する仕組みを用意すれば,トレーディングカード的な楽しみも生まれるだろう。
カードをめくって回数を確定することで行う
ただし,何が手に入るかはお楽しみ
手持ちの選手に設定できるとは限らない
選手が揃ったら,いざ対抗戦だ! と,その前に
選手カードに使用コストという項目を設けている以上,デッキには総使用コストの上限を設けておく必要があるだろう。そうしなければ,ほかのプレイヤーとの対抗戦時に,圧倒的なまでに不利な状況が生まれかねない。
そこでまず,ディヴィジョンごとに抱えられる選手の数も制限することにする。ここではとりあえず,ローカルインディーで8人まで,全国区インディーで16人まで,メジャーで24人までと仮定したい。なお,8人のままでメジャーを目指すことも不可能ではない。
そして抱えている選手から,対抗戦ごとにデッキを組み(選手を選抜し),それをぶつけ合うという方式を採用することにしよう。このとき,ディヴィジョンごとに総コストの上限を設定しておくことで,比較的均等な条件での対抗戦が行われるようになるはずだ(元UWFインターナショナルのファンとして,あの10.9のような悲劇を繰り返したくない)。
例えば,1月3日に水道橋あたりの会場で興行(ノーマル興行,デスマッチ興行,ルチャ・リブレ興行,女子限定興行,若手限定興行……などのバリエーションがあっても楽しそうだ)があるとして,第一試合から第三試合までとメインイベントがシングルマッチ,第四試合のみタッグマッチという形で,枠だけが決まっているのだ。
そして,この興行の場合なら,6人の選手カードを使ってデッキを組み,登録をして待機。すると,同じディヴィジョンで同じ興行に参戦する,ほかのプレイヤーの団体との対抗戦が,自動的に行われるのである。
試合経過のダイジェストを見ることもできるが,スキップして結果だけを見れば済むような形もあれば,プレイ時間を多くとれない人の利便性も向上するだろう(どこかで見たことがある仕様だが)。
また,さらにプレイ時間のない人に向けて,デッキだけ組んでおけば,適当に試合が消化されるという仕組みも用意しておきたい。
ここでの勝敗には,選手固有の能力値のみならず,外的な要因も影響を及ぼす。
例えば,本拠地の近くの会場であれば,移動時間が短いため,選手の体調や気分が良い状態で試合に臨める。逆に,本拠地から遠い会場の場合,選手によっては体調を著しく悪化させてしまうこともある。ちなみにディーノ選手は,
「バス移動が本当に憂鬱なのよね。試合をするのはいいんだけど,移動がしんどいの」
と,移動という外的要因が選手に与える影響を語ってくれた。
また,本拠地(あるいは,各選手の出身地)での興行の場合,地元のファンが大勢かけつけくれるため,大きな声援を受けていつも以上の力を発揮できることもあるだろう。いわば,ホーム/アウェイ方式のようなものである。
このほかにも,タッグを組ませた選手同士の相性が良ければ,能力が通常よりも上がる……といったケースも考えられそうだ。
対抗戦は自動的に進行する
試合結果は,選手の能力のほか,さまざまな外的要因を加味して決定
対抗戦に勝利すれば,お金が儲かる! が,強さと集客力は別
そこで,この興行の総売り上げが,勝ち数に応じた形で分配されることにする。例えば,総売り上げが3000万円夫(筆者がさっき考えたゲーム内通貨。読みは“エンプ”)だとしたら,1800万円夫と1200万円夫が,双方の団体に入る仕組みだ。
もちろん,現実のプロレスでは1800人程度の興行でここまでの売り上げを記録することはないし,会場費を含む経費も必要となる。しかしこのゲームの中では,興行にかかるコストに関しては,統一コミッショナーが面倒を見てくれているということにしておく。
また,ここで考慮すべきは,1800人を収容できる会場だからといって,1800人を集められるわけではないということ。現実の場合でも,観客動員数を増やすためには,それに見合ったマッチメイクが必要となるわけだが,本作ではマッチメイクは半自動である。プレイヤーができることと言えば,集客力のある選手(≒人気のある選手)をデッキに組み込むことしかない。
強くて,しかも集客力のある選手がいるのであれば,このあたりで悩む必要はないだろう。が,現実にもこの二つが同居している選手ばかりではない。そこで,選手の能力とは異なる隠し要素として,それぞれに潜在的な集客力が設定されていることにする。
そして各選手は試合に出場するごとに各種パラメータが上昇するほか,経験値を獲得していき,この経験値が集客力に影響を及ぼすものとしたい。なんせ現実にも,試合経験は豊富なのに集客力がほぼ皆無な選手もいるのだ(ディーノ選手,PKさんの口からは具体的な固有名詞が出た気もするが,物騒なので割愛)。
ただし,出場選手の集客力によって,興行収益は増減する
団体を存続させるためのコストなども検討しなければ
お金は大事だ。現実のプロレス界で巻き起こるトラブルの原因としても,お金の問題がかなり多くの割合を占めている。史実としても有名なのは,アントニオ猪木によるアントンハイセル事業だが,もっと細かい話(といっても重要なのだが)として,ファイトマネー支払いの遅延による選手の離脱などの噂は,ちょくちょく耳にする。
話を元に戻そう。ゲームの中とはいえ,プロレス団体を経営するには,常に出費がつきまとう。“団体”として選手やスタッフを抱えていれば,当然,人件費だってかさむものである。先に,ディビジョンごとに抱えられる選手の上限が異なると述べたが,つまるところ,選手を抱えれば抱えるほどに,毎月出て行くお金も増えていくのである(ギャラアップを求める選手もいるだろうし)。
また,団体が大きくなれば,いつまでも自宅兼事務所を使い続けるわけにもいかず,より大きな事務所を借りる必要が出てくるはずだ。さらに,ある程度の規模の団体ともなれば,自前で道場を持たないことには,対外的な格好もつかない。当然,これらは家賃という名の出費を生む。
……これでは,ディビジョンが上がるごとに出費ばかりが増えていって,何もいいことがないではないか! と思う人もいるだろう。そこで,出費に見合うだけのメリットも必要だ。
例えば,自前の道場を持つことで,選手の育成スピードがアップするというのは,道場幻想を持つプロレスファンなら,納得して受け入れられるはず(メジャー団体になると,ロスに道場を作れるけれどコストのわりに効果が……というのもアリか)。
また,ディヴィジョンがメジャーになると地上波のテレビ放送が付いたり,選手をCMに起用してくれる企業が現れたり……といった形で,収入が増えるというのはどうだろうか。その結果,副産物的に団体自体の集客力が向上するというのも考えられるだろう。
要するに,ディビジョンが上がるごとに出費も増えるが,収入も増える,というわけである。ディーノ選手は,
「まあ,ファンタジーだけどね,世知辛いよりはいいわよね」
とは言っていたが……。
強くなればお金が儲かる
リングには金が埋まっている
あれ? プロレス的な“遊び”の要素が少ないのでは……?
プロレス的な“遊び”の権化とも言えるディーノ選手も,やはりそのことには気付いたようで,
「ああ,そうねぇ……。じゃあ,ログインしたときに,自分の団体のトピック的なものが『東京スポーツ』や『週刊プロレス』っぽいレイアウトで表示されるなんてどうかしら?」
という大胆な解決案を提示。確かに,東京スポーツや週刊プロレスのようなレイアウト,見出しの画面が表示されるだけで,プロレス特有のケレン味や非日常性が再現されるような気がしてくるので,これは採用したい。
一方,PKさんは,
「ときどき,プロレスっぽい強制イベントが入るといいんじゃないですかね。団体のお金がなくなってきて倒産のピンチになると,のちに出資法違反でたいへんになるような会社がスポンサーになってくれるとか。一時的にお金は入るけど,団体の集客力ががくっと下がるんですよ。あと,未来のエースが好調なときに限って痴情のもつれで刃傷沙汰になったり……」
なんて危険思想を語り出したのだが,こういった強制イベントがなければ,プロレスファンというのは長期的に遊んでくれないかもしれないので,こういう要素も盛り込むことにしたい。
プロレスっぽい味付け
細部の仕様を変更すれば,総合格闘技版も作れる?
プロレスやゲーム,それからプロレスゲームが好きな人は,きっとこの記事を読んで,「オレならもっと,こうするぜ!」的なことを思うはず。
この記事の感想や,このゲームをもっと面白くできそうなアイデアを思いついた人は,ぜひとも知らせてほしい。アンケートフォームなどは用意していないので,ご自身のブログなどに感想的なことを書いていただければ,きっと検索エンジンを駆使して読みに行くことだろう。
もし素敵なご意見などがたくさん見つかったら,それを踏まえたうえで,この企画の続編あるいは改訂版などを,何らかの形でお届けすることもあるかもしれない(お約束はできないが)。
ちなみに,ディーノ選手は,
「これ,本当に遊んでみたいわね」
としきりに繰り返していたし,オンラインゲームを運営しまくっていた経験を持つPKさんは,
「これ,開発コストを抑えれば,基本プレイ料金無料のアイテム課金で黒字を出せる!」
と断言していた。
実際にこのゲームが形になるとして(誰が作るんだろう……),本当に黒字が出せるのかどうかは不明だが,ディテールを変えればほかのジャンルを題材としたゲームにアレンジすることもできそうだ。
それこそ,韓国でK-1版を,アメリカでUFC版を……といった具合に,ビジネスチャンスがグローバルに広がる可能性だってある。韓国人やアメリカ人が,この手のゲームを好むかは不明だが,少なくともアメリカには「World of Mixed Martial Arts」のような経営シミュレーションゲームを作ってしまうGrey Dog Softwareのようなデベロッパがあるのだから,きっと潜在的な市場はある……に違いない。
ぼんやりとながら,そこそこ本気でいつか作れるといいなぁと思っているので,開発費をどうにかするべく,明日から毎日一杯のコーヒー分ぐらいずつのお小遣いを貯金するつもりだ。
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