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18世紀ブラジルで,自由を求めて奴隷船を奪い取れ。海戦タクティカル「Black Sailors: Bay of All Saints」[gamescom latam 2026]
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印刷2026/05/07 18:49

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18世紀ブラジルで,自由を求めて奴隷船を奪い取れ。海戦タクティカル「Black Sailors: Bay of All Saints」[gamescom latam 2026]

 ブラジルのサンパウロで開催されたgamescom latam 2026で,サルヴァドールを拠点とするインディーデベロッパのMandinga Gamesが,今年3月に発表した海戦タクティカルシミュレーション「Black Sailors: Bay of All Saints」PC / Xbox Series X|S)を出展した。


 Black Sailorsでは,18世紀の植民地時代のブラジルを舞台に,奴隷の身分から脱し,船を奪って海賊となった者たちの戦いが描かれる。

 史実では,数百万人のアフリカ人がそれぞれの故郷から引き離され,かつては首都でもあったサルヴァドールのトドス・オス・サントス湾に送り込まれた。奴隷商を船から追い出して自立したという伝承がこの地域に残されているわけではないものの,ゲームでは,自由と正義,そして復讐を求めて植民地支配に戦いを挑んでいくことになるという。

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 船の挙動を物理演算でシミュレートする,ターン制ストラテジーを基盤とするゲームプレイもユニークだ。特筆すべきは,プレイヤーと敵が交互に動くのではなく,「計画(Planning)」と「解決(Resolution)」のフェーズに分かれて行動する点であろう。

 プレイヤーは各ターン,乗組員を帆に配置して速度を上げたり,砲座に配置して攻撃準備を整えたりといった指示を出してターンを終了。すると敵味方の行動が同時に実行され,戦場がリアルタイムのように動き出すというわけだ。この「Into the Breach」を彷彿とさせるシステムにより,艦隊戦特有の重厚な機動と,先読みの面白さを両立させている。

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 スタジオ共同設立者のチアゴ・デ・メロ・プルデンテ(Tiago de Melo Prudente)氏によると,ゲームのコンセプトは2024年にリリースされた「Arco」と,海戦アドベンチャーの名作「Sid Meier’s Pirates!」などにインスパイアされ,具体化していったという。

 海戦アクションやクルーマネージメントの要素は,これまで多くの大航海時代もので扱われてきた。しかし,それらが往々にして列強諸国の征服者側の立場で描かれてきたのに対し,本作では“抑圧された側が主役”という,「脱植民地主義」の視点を掲げている。

 サルヴァドールは大西洋奴隷貿易の最大拠点の1つであり,現在もアフリカ圏外で最も黒人の人口が多い都市として知られるが,プルデンテ氏は「学校教育を含む多くの歴史観が,アフリカの多様な文化を単一のブロックとして扱い,その個性は見過ごされてきた」と指摘する。

 決して出自が1つではない奴隷たちや虐げられた原住の民,そして西洋社会からのはみ出し者たちが力を合わせて社会を作っていったというブラジルの歴史の縮図として,Black Sailorsは企画されたわけだ。

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 プルデンテ氏は「本作に登場する乗組員たちは,単なるアフリカ人ではありません。ダホメの戦士,オヨの鍛冶屋,イフェのハンターなど,それぞれが固有の母国と文化,および戦う動機を持っています」とし,また「彼らが強制的に集められた場所で,いかにして新たな文化を形成し,自由のために立ち上がったか。それをエンターテインメントの枠組みで描きたかったのです」と語ってくれた。

 それでいて,ゲームの雰囲気は決して重苦しいものではなく,クエンティン・タランティーノ監督の映画作品「ジャンゴ 繋がれざる者」に近いものを目指しているという。

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 そんなBlack Sailorsの開発は,地元政府の文化振興予算を獲得したことから始まり,ID@Xboxのサポートを受けるなどして,ブラジルのインディー作品のなかでも早くから大きな期待がかけられてきた。

 しかし,そのセンシティブなテーマゆえに,Steamページの公開直後から,北米を中心とした一部の層による激しい攻撃(ヘイト)が生じたらしく,プルデンテ氏は「一時は開発の手を止め,フォーラムの管理に追われるほど絶望的な状況だった」と振り返った。
 その心の傷は,まだ完全には癒えていない様子であった。

 もっとも,この騒動が図らずも本作を広く知らしめることとなり,多様性を支持する多くのユーザーが防波堤として現れた。結果としてウィッシュリストは1週間で2000件を突破することとなった。

 こうした背景についてプルデンテ氏は,「皮肉なことだけど,攻撃を受けたことで,このゲームが多くの人に知られるきっかけになり,そのなかには必要としている人々がいることも証明された」と,現在は前向きに開発に取り組んでいると教えてくれた。

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 Black Sailorsは今後,約12か月の開発期間が想定されている。Steamページでは日本語化の予定は表明されていないものの,ページそのものはすでに日本語化されており,プルデンテ氏も「日本でのニーズがあれば対応していきたい」と抱負を語っていた。

 ブラジルの歴史に根ざしたナラティブと,タクティカルゲームとしての奥深さ。これらをどのように融合させるのかという点では,非常に興味深い1作といえる。その動向を見守っていきたい人は,ウィッシュリストに追加しておくといいだろう。

「Black Sailors: Bay of All Saints」を紹介してもらった,Mandinga Gamesのチアゴ・デ・メロ・プルデンテ氏
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