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ゴールデンウィークの真っ只中,多くのファンが詰めかけた本公演について,本記事では,公演パンフレットのエピソード紹介記事も担当した筆者がレポートしていきたい。
『オケカツ!』自体は昨年3月の仙台フィルハーモニー管弦楽団主催公演以来であり,首都圏での開催となると2022年8月以来ということで,久しぶり,あるいは初めて参加されるファンも多かったのではないだろうか。
とりわけ,今回は『アイカツ!』あかりGeneration 10周年イヤーから『アイカツスターズ!』10周年イヤーへとバトンをつなぐべく,「-Anniversary Baton-」と銘打ち,両作品の楽曲に絞った構成。両作品のグッズを持ったファンの姿も目立っていた。
まず,プログラムについて簡単に説明しておこう。本公演は昼夜2回が行われ,昼公演と夜公演で一部のプログラムが異なる。そして,そのプログラムの差異にも,主催者側のメッセージが感じられる構成になっていた。
なお,本公演では前半が『アイカツ!』あかりGenerationパート,休憩を挟んで後半が『アイカツスターズ!』パートという構成となっている。
本記事では,昼夜公演合わせて,一つの流れのなかでレポートしていこうと思う。
「アイカツ!シリーズ」オーケストラコンサート
『オケカツ!』2026 -Anniversary Baton- 演奏曲
【昼公演】
「芸能人はカードが命」
「Du-Du-Wa DO IT!!」
『アイカツ!』BGMメドレー(あかりGeneration Ver.)
「はじまりの予感」
「あかり、オオゾラッコーン、行きまーす!」
「アイカツダッシュ!」
「わたしたちのアイカツ!」
「Passion flower」(歌唱:天音みほ)
「いばらの女王」
「ロンリー・グラヴィティ」
「チュチュ・バレリーナ」
「START DASH SENSATION」(歌唱:遠藤瑠香)
「Lovely Party Collection」(歌唱:遠藤瑠香,堀越せな,藤城リエ,未来みき,天音みほ,松岡ななせ,星咲花那)
「SHINING ROAD」
「1, 2, Sing for You!」(歌唱:藤城リエ)
「POPCORN DREAMING♪」
「裸足のルネサンス」
「Bon Bon Voyage!」
「Dreaming bird」
「Summer Tears Diary」(歌唱:天音みほ,星咲花那)
「The only sun light」(歌唱:相沢梨紗)
「Message of a Rainbow」(歌唱:堀越せな,松岡ななせ)
「STARDOM!」
「episode Solo」
アンコール
「TRAVEL RIBBON」
「MUSIC of DREAM!!!」(歌唱:堀越せな,藤城リエ,未来みき,松岡ななせ,星咲花那)
【夜公演】
「芸能人はカードが命」
「Du-Du-Wa DO IT!!」
『アイカツ!』BGMメドレー(あかりGeneration Ver.)
「はじまりの予感」
「あかり、オオゾラッコーン、行きまーす!」
「アイカツダッシュ!」
「わたしたちのアイカツ!」
「Passion flower」(歌唱:天音みほ)
「タルト・タタン」(歌唱:藤城リエ)
「ロンリー・グラヴィティ」
「チュチュ・バレリーナ」
「Lovely Party Collection」(歌唱:遠藤瑠香,堀越せな,藤城リエ,未来みき,天音みほ,松岡ななせ,星咲花那)
「SHINING ROAD」
「スタートライン!」(歌唱:遠藤瑠香,堀越せな)
「POPCORN DREAMING♪」
「アニマルカーニバル」(歌唱:未来みき,星咲花那)
「裸足のルネサンス」
「Bon Bon Voyage!」
「Dreaming bird」
「荒野の奇跡」(歌唱:松岡ななせ)
「Summer Tears Diary」(歌唱:星咲花那,天音みほ)
「Forever Dream」(歌唱:相沢梨紗)
「STARDOM!」
「episode Solo」
アンコール
「TRAVEL RIBBON」
「MUSIC of DREAM!!!」(歌唱:堀越せな,藤城リエ,未来みき,松岡ななせ,星咲花那)
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あかりGenerationが彩る,
オーケストラならではの大胆なアレンジ
さて,前提も共有できたところで,さっそく本編のレポートを始めていこう。
開演と共に,東京交響楽団のメンバーが観客の拍手に迎えられながら入場していく。そして,指揮者の水戸博之さんがひときわ大きな拍手で迎え入れられ,間髪入れずに1曲目がスタート。
その曲はもちろん,「芸能人はカードが命」だ。今回の『オケカツ!』の幕を開けるのは,アイドルのフィッティングBGMとしてシリーズを象徴する本曲。これから披露されるステージをめいっぱい楽しもう! そうやって,観客の気持ちをひとつにする力がある。
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ティンパニの弾むような低音が,大空あかりたちがしっかりと地面を踏みしめて歩いているイメージと重なり,前向きなワクワク感を与えてくれた。
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ここからは,『オケカツ!』恒例のBGMメドレーパート。「はじまりの予感」で,あかりGeneration が持つ軽快な爽やかさを表現したと思ったら,続いてはまさかの「あかり、オオゾラッコーン、行きまーす!」。急に荘厳な雰囲気になって,いったい何が始まるのかと驚かれた方も多かったと思う。
なぜならこのBGMは,作中の使用頻度は決して高くない,いわゆるドラマ回のBGMだからだ。ロボットアニメ感としか言いようがない雰囲気は,今までの『オケカツ!』にはない興奮があった。
かと思えば,続く「アイカツダッシュ!」「わたしたちのアイカツ!」で,また軽やかに戻してくる。この大胆な緩急も楽しい。
こういった選曲ができるようになったのも,公演を重ねることで選択肢が増え,さらに今回のようにテーマを絞ったおかげだろう。
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BGMパートが終わり,ここで最初の歌唱曲となる。天音みほさんによる「Passion flower」だ。
トップバッターとしてのプレッシャーを一切感じさせない,艶やかで伸びやかなパフォーマンスに観客のボルテージも上がっていく。
勇ましく,かつ優雅に咲き誇る様子に,終始目と耳を奪われた。
この日の会場付近はとりわけ風が強く,気温も高かったのだが,なるほど,その理由はアンダルシアの熱い風が吹いたからだったのかもしれない。
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そして,前述のとおり昼夜でプログラムが変わるパートになる。
まず昼公演では「いばらの女王」が披露された。パイプオルガンの前奏がとても印象的で,一気にその世界観に引き込まれる。美しくもあり,不気味でもある,アンビバレントな魅力が溢れていた。
一種の悲壮感すら抱かせるそれは,まさに本編の展開とシンクロして,ファンにはたまらないものになっていた。
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夜公演では,「タルト・タタン」が藤城リエさんの歌唱付きで披露された。まずイントロでの誘うような手振りに,ぐっと引き込まれる。年相応の愛らしさと,底知れないミステリアスさを同時に湛えた歌声,間奏での蠱惑的なささやき,すべてがロリゴシックの世界観を表現しきっていた。
サビ入りに代表される,激しく打ち鳴らされる演奏とのギャップもたまらない。
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ここからはまた昼夜共通パートに戻る。次に披露されたのが,「ロンリー・グラヴィティ」だ。
……「ロンリー・グラヴィティ」!? 前述したBGMメドレーでの「あかり、オオゾラッコーン、行きまーす!」と同様,驚かれた方も多かったと思う。こちらも同じドラマ回で披露されたもので,ステージパフォーマンスのない挿入歌だからだ。
入りがとても物々しく,重厚感たっぷり。これにはさすがに,いわゆる「これアイカツか?」状態に陥る。
しかし,オーケストラとパイプオルガンの演奏で宇宙規模の愛が繰り広げられていく様は,とてつもなくドラマチックだった。
ここで一旦指揮者がステージからはけて,ステージの照明も落ち,パイプオルガンにのみライトが当てられる。
そう,次の「チュチュ・バレリーナ」は,パイプオルガンの独奏なのだ。一種の儀礼的な厳かさすらあるその幻想的な演奏に,思わず息を呑む。
会場の構造も相まって,降り注ぐ音色のカーテンに,優しく包まれている心地だった。これは間違いなく,ほかの「アイカツ!シリーズ」のライブでは体験し得ない,『オケカツ!』ならではのものだろう。
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前半パートもいよいよ終盤となってきたこのタイミング,昼公演ではここで「START DASH SENSATION」が遠藤瑠香さんの歌唱付きで披露された。
あかりGeneration,主人公の大空あかりを象徴する本楽曲。それに相応しく,力強さも優しさもめいっぱい,詰め込める限り詰め込んだパフォーマンスが繰り広げられていく。
ステージ上で表現された希望に満ち溢れた世界に,感極まった観客の方も多いのではないだろうか。その感動の一助として,このタイミングで披露されたという,構成の力もあったと思う。
プログラムを俯瞰すると気付くのだが,実は昼公演はあかりGeneration の歌唱曲が,夜公演は『アイカツスターズ!』の歌唱曲が多い。そして,次の曲を終えたら,後半は『アイカツスターズ!』パートになる。
つまりこの曲自体に,あかりGeneration から『アイカツスターズ!』へのAnniversary Batonという文脈が付与されていたのだ。
それが歌唱と演奏に力を与えないわけがないし,受け手により深い印象をもたらさないわけがない。
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この流れで前半最後の楽曲となるのが,「Lovely Party Collection」だ。パレードコーデをまとった歌唱担当の7名が勢ぞろいして,ステージがひときわ華やかになる。
作中では学園長の誕生日をお祝いする光景がOPで描かれていたが,その賑やかな雰囲気は『オケカツ!』でもそのままに,歌唱担当の方々もとても楽しそうにパフォーマンスを繰り広げていた。
『オケカツ!』では前回の仙台公演で初披露されていたが,そのときと同様に,観客も一体となっての拍手がさらに楽しさを加速させていく。
歌詞にもあるとおり,このハッピーな空間は「みんながいるおかげ」で実現したものだと実感。とても温かな気持ちで,前半を終えることができた。
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『アイカツスターズ!』に受け継がれたバトン
この日だけの輝きと圧倒的なパフォーマンス
休憩時間明けの後半は『アイカツスターズ!』パートに入っていくわけだが,その1曲目を飾るのはもちろん,この作品のフィッティングBGMである「SHINING ROAD」だ。
前半は「芸能人はカードが命」で幕を開け,後半は「SHINING ROAD」で幕を開ける,このまっすぐな構成が心地いい。「こういうことがしたい」という主催側の意図が明確に伝わってくるから,こちらもスムーズに入り込めるというものだ。
さらに,構成の妙が炸裂していく。フィッティングBGMに続いて,いきなり歌唱付き楽曲で加速していこうというのだ。
ここも昼公演と夜公演で楽曲が異なり,まず昼公演で披露されたのは「1, 2, Sing for You!」。シリーズ2曲目のOP楽曲であると同時に,桜庭ローラの持ち歌としての側面も持つ本曲を,藤城さんがソロで歌い上げる。
ローラが持つ力強さを表現しながら,噛みしめるように歌い上げていく様がとても胸に響いた。そのおかげで,歌詞のメッセージ性もより明瞭に受け取れたように思う。
オーケストラ公演ということで,普段のライブのようなコール&レスポンスはない。しかし,ステージと客席の間には,確かに心と心のコール&レスポンスが存在していると,実感させてくれるパフォーマンスだった。
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そして,夜公演では「スタートライン!」が,遠藤さんと堀越せなさんの歌唱付きで披露された。ここで,昼公演の前半で「START DASH SENSATION」が披露されたことが効いてくる。
「スタートライン!」は,『アイカツスターズ!』初代OP。つまり,「START DASH SENSATION」で渡されたAnniversary Batonを,この楽曲で受け取っているのだ。その構成の妙と同時に,パフォーマンスの素晴らしさを語らないわけにはいかない。
シリーズ初代OPということで,まっすぐ夢に向かって走り出す光景がありありと伝わってくる。演奏のスケール感も相まって,未来が広がっていくようでワクワクさせられたし,最後に大きく手を広げた2人の姿が,まさにその輝きに手を伸ばしているようだった。
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続いては,本公演が初披露の『劇場版アイカツスターズ!』主題歌「POPCORN DREAMING♪」。こちらもオーケストラアレンジでガラッと印象が変わった一曲だろう。
原曲は可愛らしくハイテンションなナンバーだが,オーケストラアレンジによって重厚さも加わることで,新たな景色が見えてくる。
奏でられる音色の一つ一つが弾けるポップコーンのようで,さらにその一粒一粒が異なるフレーバーで味付けされている。次はどんな味が楽しめるのか期待しながら聴き進めていくのは,とても新鮮な体験だった。
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この楽曲も初披露なのだが,選曲を意外に思った人もいるだろう。実際,プログラムを見渡してもかなり異色だ。そもそも元楽曲の特徴として合いの手が多く,オーケストラアレンジでどういう印象になるか想像がつきづらい。
しかし,ここにもまた『オケカツ!』の魔法がかかっていた。とても賑やかで,わいわいとした雰囲気はジャングル感満載で,楽しげな動物たちの声も聞こえてくるよう。2人のパフォーマンスも息ぴったり,ステージを全力でエンジョイしていて,拍手煽りもお手の物。最後の愛嬌たっぷりのパフォーマンスもとても素敵だった。
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そして,『オケカツ!』定番ナンバーの一つと言いたい,「裸足のルネサンス」がくる。
まさにオーケストラ向きの楽曲として,出だしから,いざ出陣! と言わんばかりの勇ましさに溢れていた。山場は言うまでもなく,コンサートマスターの田尻 順さんによるヴァイオリンソロ。凛とした音色が,誇りを胸に剣を振るう姿を幻視させた。さまざまな感想が胸に渦巻いたが,結局のところ「カッコいい」の一言に尽きる。
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本公演のプログラムは,緩急を自在に使いこなしているのも特徴のひとつだが,ここで「Bon Bon Voyage!」が続いたのもその好例だ。
ハープの清らかな音色で入った雰囲気そのままに,とにかくチル。豊かに音が響きながらも,静寂すら感じさせるそれは,穏やかなクルーズを彷彿とさせる。原曲はどちらかといえば乗り気な航海のイメージだったが,それよりもかなりリゾート気分。楽曲の持つ多様な可能性を味わわせてもらった一幕だった。
さらに,ここでまた緩急のメーターがガコンと急に振れる。「Dreaming bird」だ。テンポは『オケカツ!』でも最速の部類だろう。
鐘の音が鳴り響いたが最後,一気に駆け抜けていく疾走感はまさに一陣の風。最高速度のままサビにたどり着き,圧倒的な解放感で視界を開かせてくれる。この楽曲はショート風にアレンジされており,この一連の流れのみで完結する。それがまた,徹底的に削ぎ落とされた美を感じさせた。
ここからまたプログラムは昼夜で異なり,夜公演ではここで「荒野の奇跡」が松岡ななせさんの歌唱付きで披露される。独り荒野を突き進むような勇ましいパフォーマンスは,壮大な叙事詩の一篇を編み上げているかのようだった。
そもそも元楽曲からして,ステージで歌うこと自体とてつもなく難しい楽曲だ。それをソロで,普段とは違うオーケストラとの共演で,ここまでストーリーまで感じさせてくれるレベルで歌い上げてみせるのだからすさまじい。
これが成り立つのは,各歌唱担当の方々が長い時間楽曲と向き合い続けてきたことの証明だろう。
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続いての歌唱付き楽曲は,初披露となる「Summer Tears Diary」。天音さんと星咲さん2人のパフォーマンスが,香澄夜空・真昼姉妹とぴったり重なる。
美しいハーモニーはどこかセンチメンタルも帯びていて,どこか夏の夕暮れを想起させた。
しかし,美しいハーモニーと一言でいうのは簡単だが,実際その難しさは想像も及ばないほど。ここまで当たり前のように歌唱付きで披露と書いてきたが,そもそもこれは普段のライブとまったく勝手が違う試みだ。
イヤモニもなければ,常に指揮者を見ていられるわけでもない。
そのなかでオーケストラと,共に歌う相手と,美しいハーモニーを奏でているのである。ここで改めて,その試みに敬意を表したい。
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そんな歌唱付き楽曲の流れは止まらず,続いてはエルザ フォルテのターンとなる。
昼公演では「The only sun light」,夜公演では「Forever Dream」が相沢梨紗さんによって披露された。
まず「The only sun light」は,圧巻の一言。すべてを焼き尽くすかのような,あまりにも眩しい太陽。その立ち姿に,まるでエルザがオーケストラを引き連れているような印象を受けたが,公演パンフレットに掲載されていた相沢さんのインタビューで,「エルザなら自分専用の楽団を抱えていそう」と語られていたので,そのイメージはズレていなかったようだ。
そして,「Forever Dream」は,エルザが最初に披露した楽曲ということもあって,彼女のオリジン,彼女そのもの。広い会場にあまねく響く,情感に満ちた歌声でこの空間を支配していた。王者――そう形容するに相応しい出で立ち,パフォーマンスだった。
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「Message of a Rainbow」は,虹野ゆめと七倉小春のデュエットを,歌唱担当の堀越さんと松岡さんがパフォーマンスされるのだが,その掛け合いのかわいらしさといったらない。
拍手煽りもノリノリで,元気いっぱいに歌い上げていた。そして,注目ポイントはパフォーマンス後にもあって,なんと2人が笑顔で手をつないで舞台袖にはけていったのだ。
まるでゆめと小春を思い起こさせるその光景に,尊さを感じた人も多かっただろう。
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いよいよ後半も終盤,ここで満を持して披露されたのが,「STARDOM!」だ。
『アイカツスターズ!』2年目の前期OPとして,メッセージ性の強い,シリーズを代表する楽曲の一つ。夢を見ることは美しい。どんなに道のりが険しくとも,美しいと信じさせてくれる。壮大な演奏が,力強く歩み続けるアイドルたちの輝きを,余すところなく描き切っていた。
そして,プログラムのラストを飾るのは,『アイカツスターズ!』初期EDの「episode Solo」だ。
この「episode Solo」には,最後の最後でしてやられた。プログラムの一部が発表されたときから,ゴリゴリのEDMとして名高い本楽曲を,一体どうオーケストラアレンジしてくるのか興味津々だったが,まさかの弦楽四重奏調。厳密に言うと,1stヴァイオリン,2ndヴァイオリン,ヴィオラ,チェロの各1プルトのみで演奏するというアレンジだった。
原曲が足しに足した重層的な“動”だとしたら,こちらは引き算によって根源的な美を引き出すような“静”。しかも,この構成ってS4を意識していますよね? と,ファンをニヤリとさせる要素まである。
ちなみにこれはありがちなファンの邪推ではなく,公演パンフレットに掲載されていた,編曲者による楽曲解説でもその意図が明言されていた。
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実はここまでの感想も,かなりの部分が編曲者の方々の意図どおりであることを,後々パンフレットを読んで知ることになる。編曲者の方々が,分かりやすく伝わるよう工夫を凝らしてくれたからこそ,オーケストラビギナーの筆者でも,メッセージを明瞭に受け取ることができたのだと実感できた。
涙腺を刺激する「TRAVEL RIBBON」と,
未来へつながる「MUSIC of DREAM!!!」
さて,ここでプログラムは終わり……かと思いきや,うれしい驚きが待っていた。
サプライズで,まずは「TRAVEL RIBBON」が披露される。アンコールパートのエピソード紹介は公演パンフレットに載せていないので,ここに掲載したい。
『アイカツ! 10th STORY 〜未来へのSTARWAY〜』の作中,星宮いちご世代の卒業記念ライブでルミナスの3人が披露したのが本楽曲だ。パフォーマンス前,あかりたちはステージ上で先輩への感謝の言葉を述べていく。そして,お世話になった先輩へのリスペクトを込めて,自分たちも卒業してからもアイドルとしての旅を続けていきたいという決意を,この「TRAVEL RIBBON」に込めて届けてみせた。
いわば,いちご世代からのバトンを受け取ったあかりたちが披露した楽曲を,この公演のアンコールで披露するという形であり,まさにここでもバトンの受け渡しが行われているということだ。
楽曲そのものが持つ力に,オーケストラアレンジと演奏の力,そして本公演ならではの文脈が重なった時,それが涙腺を刺激するものになることは,想像に難くないだろう。
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そして,アンコール2曲目,正真正銘のラストとなるのが,5人の歌唱付きでの「MUSIC of DREAM!!!」だ。こちらも公演パンフレットに掲載しなかったテキストを紹介したい。
『アイカツスターズ!』2ndシーズン後期のOPテーマであり,革新と困難を乗り越えてきた2ndシーズンを総括するような歌詞が強く心に残る楽曲。
劇中では第85話「輝きを渡そう」や第96話「みんなで輝く!」など,ゆめのアイドルとしての輝き方が印象深い。第85話ではゆめが参加するオーディションの新曲として,学園の後輩たちとの交流から着想を得て自ら作詞に関わった。
かつての自分のように困難に直面する後輩や駆け出しアイドルたちを導かんとするそのステージに,ゆめの目指すアイドル像がよく表れている。第96話では仲間たちとの結束を経て,すべての人の心を輝かせたいという想いとともに,アイカツ!ランキングの決勝ステージで披露した。
みんなと一緒に輝きたい,みんなを輝かせたいという気持ちが彼女の衣装を太陽のドレスに変化させ,エルザを破って勝利を掴んだ。
このように作中でも何度も印象的な場面で披露されてきた楽曲を,しかもクライマックスで披露するとなれば,歌唱担当の方々の気合もひとしおというもの。
届けたい音楽を,必ず届けてみせるという勇敢な決意を,情感を込めて歌い上げてくれた。当然,指揮にもこの日一番の力が入る。観客も含めて,全員がすべてを出し切っていた。
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こうして,昼夜公演共に万雷の拍手で公演は幕を閉じた。公演直後から会場内では口々に感想を語る声で溢れ,SNSでも大きな反響が見られた。
「アイカツ!シリーズ」は,直近では「データカードダス アイカツ!アンコール」として筐体の稼働が告知されるなど,常に途切れることなく希望のバトンが受け継がれ続けている。
そして,『オケカツ!』にもまた,今回のようにバトンをつなげ続けてほしいと願わずにはいられない。今回,今までにはないコンセプトでの構成で,新たな可能性をたくさん感じることができた。
まだ披露されていない,披露されることが期待されている楽曲もたくさんある。ファンの方々の願い,熱量があれば,それは決して不可能なことではない――笑顔で帰路につく人々を見て,その気持ちは強まるばかりだった。
最後になるが,本公演のほぼすべての楽曲を編曲した穴沢弘慶さんによる,「TRAVEL RIBBON」と「MUSIC of DREAM!!!」の編曲解説もここに紹介し,本稿の結びとさせていただく。
「TRAVEL RIBBON」
原曲を聴いてぶったまげました。すっげー複雑なんだけどすっげーいい曲,と。実は最初に手を付けたものの,難しすぎて仕上がりが一番最後になってしまった楽曲です。いろいろ迷った結果,歌詞から「未来へのワクワク」をキーワードに原曲をリスペクトしつつアレンジしました。
「MUSIC of DREAM!!!」
過去の『オケカツ!』でのインスト版は,原曲に近い形でアレンジしたので,今回はもう一度アニメ本編を振り返り少しテイストを変えたいなと思っていました。その結果,原曲にある元気さは失わないよう,“星が消え,新たな世界へと変わる新時代への幕開け”をテーマにアレンジしました。
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