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IBM,都市開発をテーマにしたシリアスゲーム,「City One」を2010年秋に公開予定
週刊連載「奥谷海人のAccess Accepted」で何度かテーマとして取り上げた,シリアスゲーム。2005年に掲載した第35回では,国連の開発した人道的食糧支援ゲーム「Food Force」を,また2007年の第121回では,同じく国連が制作した,災害を未然に防ぐゲーム「Stop Disasters」などを紹介した。また,連載の第113回で取り上げたアフリカの農民の厳しい現実を訴える「3rd World Farmer」は,ライターの徳岡正肇氏がレビューまで書いているので,ぜひ参照してほしい。
「City One」公式サイト
このように,世界のさまざまな問題をゲームの形で提示し,解決策を探ろうというシリアスゲームに新たなタイトルの制作が発表された。それが,「City One」だ。
開発しているのは,アメリカのIT関連企業であるIBM。1980年代後半まで,メインフレーム(大型コンピュータ)市場をほぼ独占する世界最大のメーカーとして知られたが,メインフレーム市場が縮小した現在,ハードウェアの製造/販売だけでなく,企業向けのコンサルティングやサービスなどが中心になっている……と説明する必要もないほど,有名な会社だろう。
City Oneは,プレイヤーが現代の都市が直面するさまざまな問題を解決していくという内容になる。大きな都市に,どのようにして効果的にエネルギーを供給するか,十分な量のきれいな水を都市に送るにはどうすればいいか,銀行をより健全に運営し,小売店が利益を出すにはどうすればいいか,といったテーマのミッションに挑み,都市を経営していくというゲームになるようだ。
5月2日から7日までラスベガスで開催されたIBMのイベント「Impact 2010」において公開されたというが,今のところ公式サイトにはイメージ主体のムービーがあるだけで,実際のゲーム画面がどのようなものになるのかはよく分からない。
公的組織や教育機関が主体となって制作されることの多いシリアスゲームだが,このように私企業によって作られることもあり,IBMもこのCity Oneのほか,環境破壊をテーマにした「Power Up the Game」という作品を開発したことがある。
多くのゲーマーにとって,「シリアスゲームはシリアスすぎ」という感じかもしれないが,3rd World Farmerの例を見るまでもなく,ゲームとして興味深い作品に仕上がっているタイトルも多い。City Oneの正式リリースは2010年秋が予定されているので,期待してみよう。
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