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「ブロックチェーンゲームを再考せよ!Oasysの戦略とは?」聴講レポート。昨年のIVSで発表したタイトルが,今年は続々とローンチ
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印刷2024/07/05 16:19

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「ブロックチェーンゲームを再考せよ!Oasysの戦略とは?」聴講レポート。昨年のIVSで発表したタイトルが,今年は続々とローンチ

 起業家や投資家,開発者向けのカンファレンス「IVS Crypto 2024 KYOTO」が,2024年7月4日から6日の3日間,京都にある京都パルスプラザで開催されている。

 初日には,double jump.tokyoの代表取締役 CEO・上野広伸氏と,OasysのRepresentative Director・松原 亮氏によるセッション「ブロックチェーンゲームを再考せよ!Oasysの戦略とは?」が行われた。
 松原氏は元double jump.tokyoということもあり,両者は関係性を持つ。本稿では,そのセッションの様子を紹介しよう。

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上野広伸氏(右),松原 亮氏(左)

 松原氏は,ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」を展開する人物だ。昨年の「IVS Crypto 2023 KYOTO」では,大型イベント「Oasys Special Event」を二条城で開催し話題となった。


 また上野氏が代表を務めるdouble jump.tokyoは,2018年からブロックチェーンゲームを開発・運用している株式会社で,Oasysの発足にも深く関わっている。

 セッションではまず,先日セガを退社し,スゴロックスを創業した西山泰弘氏が「Battle of Three Kingdoms」のプロデューサーに就任することが発表された。
 同作は,セガのアーケードゲーム「三国志大戦」のライセンスを受けた新作ブロックチェーンゲームだ。double jump.tokyoが,昨年のOasys Special Eventで発表したタイトルで,2024年冬のリリースが予定されている。
 なお西山氏は,「三国志大戦」の生みの親として知られている。

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 その後のセッションは,上野氏が松原氏に質問する形で進んでいった。この1年がどうだったかを聞かれた松原氏は,コンテンツを正しく届ける準備をしていたと話す。
 昨年発表したゲームのいくつかは,今年リリースできるとのことで,Ubisoftの「Champions Tactics」,enishの「De:Lithe Last Memories」,BLOCKSMITH&Co.の「QAQA」などを紹介していた。

 なお,全体的にローンチが遅れてしまったが,昨年の暗号資産市場は厳しい状況だったので,トークノミクスを含むタイトルにとっては良かったかもしれないと語った。

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 次に「ブロックチェーンゲームのマスアダプション」の話に移った。松原氏は,まだ誰もマスアダプションを実現しておらず,それに最も近い国は日本ではないかと話す。ここ1〜2年に流行ったブロックチェーンゲームは,トークノミクスのみに力を入れていて,暗号資産投資界隈でお金を回しているだけだったという。

 外部への発信という観点では,ゲームの平均課金額で世界1位,売上シェアで世界3位の日本に高いポテンシャルがあると分析した。しかし,日本の税制によってセカンダリーマーケットの流動性が低いことは問題だと指摘し,仕組みを変えれば世界一のマーケットになるのではと述べた。

 上野氏は,大手メッセージアプリ「Telegram」のアプリ内ブラウザで,ブロックチェーンゲームが流行し始めていることを紹介した。中でも「Hamster Kombat」は,ユニークユーザーが2億人を突破しているそうだ。上野氏は,これにマスアダプションの兆候を感じていると話していた。

 一方で松原氏は,この業界はトレンドの移り変わりが激しいので,2〜3か月後には別の波が来ているだろうと予想,それがOasysになるようにがんばりたいと語った。

 なお上野氏から松原氏に,TelegramではTONというブロックチェーンが主に使われているが,TON以外のブロックチェーンもアプリ内ブラウザで使える仕組みになっているので,OasysもTelegram向けに何か出してほしいとお願いする場面も。松原氏は「発表できる日を楽しみにしています(笑)」と返していた。

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 続いて「日本におけるブロックチェーンゲームの状況」についての話になった。
 松原氏は,「Axie Infinity」がフィリピンで流行したことや,double jump.tokyoがリリースした「My Crypto Heroes」の初期にイランやナイジェリアのプレイヤーが多かったことを例示し,暗号資産は自国の通貨に不安を抱えている人に求められていると指摘。そして昨今の日本は,急激な円安や緩やかな経済衰退が進んでいるので,そうした状況に近しくなっていると続ける。
 「メルカリ」や「タイミー」といったWeb2の人気アプリを見ても,稼ぐことへの需要は明らかであり,このニーズにうまくハマれば日本でブロックチェーンゲームが流行するだろうとも語っていた。

 上野氏は,コロプラの「Briliantcrypto」を例に挙げ,ゲーム開発費をトークンのIEOで回収できるなら,事業者にとって可能性が広がるだろうと期待する。
 ゲーム業界には,AAAタイトルの開発にお金がかかりすぎるという課題がある。これまではゲーム会社の自己資本で賄っているが,プロジェクトの資金集めとしてWeb3的なやり方が役に立つそうだ。事業者のニーズを満たすこともまた,マスアダプションには重要だと上野氏は説明し,松原氏もそれに同意した。
 
 最後に上野氏は,「Oasysの戦略」について尋ねた。松原氏は,これからコンテンツとユーザーが増えていけば,どこかで壁にぶつかるだろうと予想しており,それに先んじて進めているのが,先日発表した技術ロードマップ外部リンク)だという。

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 技術ロードマップには3本の柱があり,ひとつ目は「App Data Availability」になるそうだ。イーサリアムはレイヤー2のデータをレイヤー1から捨てる方向に舵を切っているが,Oasysはゲームのデータをレイヤー1に残す方針だという。My Crypto Heroesのキャッチコピー「ゲームにかけた時間もお金も情熱も,あなたの資産となる世界」に象徴されるように,プレイした証を残していきたいと松原氏は語った。
 
 2つ目は「Layer2 Interoperability」である。これは,レイヤー2チェーン間で暗号資産をやり取りできる仕組みであり,My Crypto Heroesで得た暗号資産で,Battle of Three KingdomsのNFTを購入するようなことが可能になる。現在は,暗号資産の取引所が実質的なブリッジとなっているが,将来的には取引所を介さずに取引できる形を目指しているという。
 
 3つ目は「Ecosystem Scalability」。ゲーム開発も大変な作業だが,ブロックチェーンのエコシステムを構築するのも同様に大変な作業であり,両方をこなすのはほとんどの会社にとって不可能だと松原氏は説明する。そこで,Oasysでレイヤー2チェーンを立ち上げる際には,ウォレットやエクスプローラーなど,業界のスタンダードとなっているものが最初から使えるようにするとのこと。
 
 セッションの最後には,質疑応答の時間が設けられた。「どうしてゲームがOasysでローンチされると,トークンであるOASの価値が上がるのか」という問いに対し,松原氏は「チェーンの上に価値が溜まっていく」と語り,各ゲームの価値が上がっていけば,OASの時価総額も上がっていくと解説した。

 上野氏は,単体のコンテンツがさまざまな取引所にトークンを上場させるのは難しいとし,OASがさまざまな取引所に対応していれば,OASが米ドルのような基軸通貨となり,そうすれば自ずと価値が上がっていくと説明する。
 また,イーサリアムなどのよりメジャーなブロックチェーンに対抗できるポイントとしては,Oasysのほうがゲームに集中しているので,ゲームコンテンツやゲーマーに対して発信しやすいことを挙げた。

「IVS Crypto 2024 KYOTO」公式サイト

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