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ベテランクリエイターのジェフ・ストレイン氏が,新たな開発会社Possibility Spaceの設立を発表
ストレイン氏は,Blizzard Entertainmentで「StarCraft」や「Diablo」シリーズなどの開発に関与し,「World of Warcraft」の初代リードプログラマーとしてプロトタイプを制作した人物だ。2000年にBlizzard Entertainment退社し,NCsoftの元でArenaNetを設立。2005年には「Guild Wars」の正式サービスを開始した。2009年にはUndead Labsを立ち上げ,「State of Decay」の開発を主導するなど,これまで多くのヒット作や話題作に関わってきた経歴を持っている。
Undead Labsは2018年にMicrosoft Studiosの傘下に入り,ストレイン氏は3年後の2021年4月に退職した。退職後は,投資会社であるTranscend Fundと,ソフトウェア開発会社のUnity Technologies,そしてルイジアナ州政府の出資を受け,ニューオリンズで起業したという。
設立されたばかりのPossibility Spaceには,ArenaNetで「Guild Wars」のデザイナーなどを務めたリア・リヴェラ(Leah Rivera)氏がシミュレーションおよびナラティブシニアディレクターとして就任したほか,「State of Decay」のデザインを担当したリチャード・フォージ(Richard Foge)氏がデザインディレクターに,「Firewatch」や「Half-Life: Alyx」に携わったジェーン・グ(Jane Ng)氏がビジュアルディレクターに,Ubisoft Entertainmentで「Watch Dogs: Legion」の開発を担当したリズ・イングランド(Liz England)氏がナラティブディレクターとして参加したとのこと。さらに,エンジニアリング副社長を元Oculusのブランドン・ディロン(Brandon Dillon)氏が,またテクニカルデザインディレクターを元Magic Leapのブライアン・ジェニングス(Brian Jennings)氏が務めるなど,ゲーム業界のベテランが顔を揃えている。
現時点で,Possibility Spaceがどのような作品に挑むのかは発表されていないが,同社は「人間の体験を共有できる革新的なモデルを中心にする」とのことで,上記のメンバーにVR/ARゲームに関わっていた人物が多いことが注目できる点だ。
メディア向けのリリースでストレイン氏は,「この(新型コロナウイルス感染症で揺れた)18か月間は,多くの人に耐えられないような不安と恐怖,孤独をもたらしました。このことが,Possibility Spaceを設立する大きな動機になっており,私が長年夢見ていた,楽しくなるゲームの開発を目指します」と述べている。アメリカでも貧困率の高いルイジアナ州との提携には,ゲーム開発コミュニティを育てていく目的もあるとのことだ。同社の今後に注目したい。
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