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eスポーツを使ったコカ・コーラのマーケティング戦略の概要と事例が紹介されたセッションをレポート
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印刷2020/02/08 12:00

イベント

eスポーツを使ったコカ・コーラのマーケティング戦略の概要と事例が紹介されたセッションをレポート

 リード エグジビション ジャパンは2020年2月5日から7日にかけて,「第7回 ライブ・エンターテイメント EXPO」を千葉・幕張メッセにて開催した。この展示会は,ライブ・エンターテイメント分野の専門展で,eスポーツ関連の企業なども出展している。本稿では,日本コカ・コーラ マーケティング本部 IMCコネクションプランニング&メディア 統括部長 今西 周氏によるセッション「eスポーツを活用したコカ・コーラのコネクション戦略」をレポートする。

画像集#001のサムネイル/eスポーツを使ったコカ・コーラのマーケティング戦略の概要と事例が紹介されたセッションをレポート

 セッションの冒頭で,今西氏は広告の投資対効果について説明した。それによると現在はテレビ番組のタイムシフト視聴により広告をスキップしたり,またスマートフォンアプリもアドブロックアプリにより広告を表示させないようにしている人が増えていたりする。加えて,広告が存在しないサブスクリプションタイプの動画配信サービスも人気だ。つまり,従来のマーケティングコミュニケーションでは広告の投資対効果は高くないのである。
 そんな状況の中で投資対効果の高い手法として今西氏が挙げるのが,「体験価値」がしっかりあり,インパクトの質の高いマーケティングコミュニケーションだ。

今西 周氏
画像集#002のサムネイル/eスポーツを使ったコカ・コーラのマーケティング戦略の概要と事例が紹介されたセッションをレポート

 コカ・コーラでは,統合されたマーケティングコミュニケーションとして「IMC(Integrated Marketing Communication)」を推進しているとのこと。今西氏は,IMCの意義として「消費者との結びつき」や「世の中への影響を及ぼす」ような「質の高いブランド体験」を届けることを挙げ,すなわち「消費者に求められるコンテンツ」を作り出そうとしていると説明した。
 具体的にコカ・コーラでは,「新元号発表時の号外新聞に広告を掲載」「2020年1月1日のカウントダウンに合わせて,渋谷のスクランブル交差点のデジタルサイネージすべてにコカ・コーラの動画広告を配信」といった施策により,消費者との結びつきや世の中に影響を及ぼすことを試みている。

 そうしたコカ・コーラの新たなマーケティングコミュニケーションの1つが,eスポーツの取り組みである。今西氏によると,同社がeスポーツに注目しているのは,新しいカルチャーであり,とくに若者にとってパッショントレンドとなっているからだという。さらにeスポーツの可能性として,「ティーンエイジャーとブランドをつなぐ接点になり得ること」「実際に競技に参加するコア層だけでなく,試合を観戦して楽しむミドル・ライト層を巻き込んでいくスケールの大きい市場になり得ること」が挙げられた。

 またコカ・コーラがeスポーツを活用する上で,重視している3つのポイントも示された。1つめは,コカ・コーラというブランドのイメージにマッチするよう展開する「ブランドセーフティの担保」。2つめは,競技者やコアゲーマーだけでなく,より広い層にアピールする「コア層以外も巻き込むスケール感」。そして3つめは,大会会場や配信以外の場にも話題を広げる「熱量を伝達させる話題拡散力」である。

 以上をまとめて今西氏はコカ・コーラのeスポーツ戦略を,「ティーンリクルートメントを行える」「新しい消費者のタッチポイントとして強いコネクションを開発できるのではないか」と表現した。

画像集#003のサムネイル/eスポーツを使ったコカ・コーラのマーケティング戦略の概要と事例が紹介されたセッションをレポート

 会場では,コカ・コーラのeスポーツへの取り組みの事例も紹介された。同社がトップスポンサーを務めた高校生対抗eスポーツ大会「STAGE:0 e-SPORTS High-School Championship 2019」(関連記事)には,1475校の約1800チームが参加し,予選本戦を通じて会場には5000人以上の観客が集まったとのことで,今西氏は「十分なスケール感が担保された」とコメント。
 続けて,この大会のために「eスポーツの時間はコークでしょ。」というキャッチコピーを盛り込んだ専用CMを制作したことも紹介し,「eスポーツをプレイしたり観戦したりするときにコカ・コーラがあると楽しい。そうした消費者に望まれるであろう体験を提示した」と説明を加えた。

 また認知分析を行ったところ,3000万人というゲーマー人口のうち,この大会を認知していた130万人からは,「若者」「コカ・コーラの購入頻度が高い」「一般ゲーマーより情報感度が高い」という傾向が見られたという。さらに「コカ・コーラが協賛している大会」と認識している48万人は,今後のコカ・コーラの飲用意向も高いという結果が出たことも示された。今西氏はこれらの結果について,「我々が今後,どこに力を入れるべきなのかが分かってきた」「どうやれば協賛社としてのコカ・コーラの価値を多くの人達に広げられるのか,理解していけるはず」と話していた。

 次に,こちらもコカ・コーラがスポンサーを務めた「eBASEBALL プロリーグ」の事例が紹介された。今西氏によると,この大会はプロ野球12球団がKONAMIの「実況パワフルプロ野球」を用いてペナントレースを争うということで,大会としての権威があり,また多数のプロ野球ファンにもアピールできることから,コカ・コーラは初年度から着目し参画していたという。

 また新たな試みとして,ゲーム内広告のコカ・コーラの看板に打撃を当てた選手に製品をプレゼントしたり,「冷たいコカ・コーラはいかがですか」といった音声広告を導入したりしていることも紹介された。
 配信された試合の視聴回数は約530万回で前年度の2倍弱となったそうで,今西氏は「会場の盛り上がりはもちろん,会場外でも成長し始めた」と見解を述べた。

 最後に今西氏はセッションの内容を振り返りつつ,「今後ファンが増加し,ターゲット層が広がっていくであろうeスポーツは,コカ・コーラが取り組んでいくべき世界の1つ」とコメント。さらに聴講者に向けて「我々の考え方を理解していただいて,一緒にこの市場を広げていけたらいいんじゃないかと考えています」と呼びかけていた。
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