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動物に乗り移るアドベンチャーや引っ越しパズルなど,インディーズゲームの祭典「BitSummit 7 Spirits」から個性的なPCゲームを紹介
「BitSummit 7 Spirits」公式サイト
いろいろな動物に乗り移り,大自然を冒険する「Lost Ember」
「Lost Ember」は,主人公の狼が,謎の光球(精霊?)に導かれて大自然を冒険するアドベンチャーだ。狼には“他の動物に乗り移り,その動物の力を使えるようになる”という特殊能力があり,子豚なら地面を転がり,アヒルでは空を飛び,ハチドリはホバリング&ボタン連打での高速飛行ができるなど,いずれも個性的だ。坂道を勢いよく転がり抜けたり,川を飛んで渡ったりといった,多彩な能力を使っての探索が面白い。また,自然がとにかく美しく,地を駆けるのも,空を飛ぶのも気持ち良く感じられた。
世界には「Memories」(記憶)が点在しており,これを探し出すのが狼の目的となる。記憶はこの地に住んでいた部族の運命にまつわるもののようで,族長母娘の触れあいがあったり,何らかの争いが暗示されていたりなど,先の展開が気になるものだった。道に迷った時にナビゲーションのボタンを押すと,狼が心細げな遠吠えを上げて光球を呼ぶなど,雰囲気も抜群だ。HTC ViveやOculus RiftといったVRデバイスにも対応しているそうで,2019年7月20日の発売を楽しみにしたい。
「Lost Ember」公式サイト
ドット絵の小物類が可愛い引っ越し系パズル「unpacking」
引っ越しの荷物整理をパズルゲームにしたという「unpacking」。公式からは「一部テトリス,一部インテリアデザイン」という説明がされている。
部屋にはダンボール箱が積み上げられており,クリックするといろいろな品物が出てくる。子供部屋のステージなら,ぬいぐるみや日記帳,ゲーム機,フィギュア,本,カメラが,台所では,お皿にカップ,鍋,コーヒーメーカーなど,それぞれの部屋にちなんだ品が出てくるので,それらをドラッグアンドドロップで片付けていくのだ。品物は4方向に向きを変えることができ,わずかな空きスペースをうまく活用できたときは嬉しい。“一部テトリス”といわれる所以だろう。
ジャンルとしてはパズルゲームに分類されるだが,本作にはスコアや制限時間は存在せず,パズル的な思考や反射神経を競うものではない。“電化製品はコンセントの近くに置かなければならない”など,ある程度のルールはあるものの,基本的に品物は自由に配置してよいのだ。しかし,本棚に何冊かの本を並べる際に大きさを揃えたり,調味料の棚をコンロの近くに置くなど,見た目や利便性を考えた片付けをしている自分に気づく。まさに“一部インテリアデザイン”だ。
ある程度片付けたところで電子レンジのような大物が出てきてスペースを空けなければならなくなったり,どんどん床に品物を並べてしまって収拾が付かなくなったりと,“引っ越しあるある”を感じられるのも面白い。ドット絵の小物類がとにかくキュートで,「どうぶつの森」が好きな人はハマるかもしれない。
「unpacking」公式サイト
サイボーグ少女たちが,互いを破壊しながら戦う「Cyborg」
「Cyborg」は,サイボーグの少女同士が戦う,ローグライク系格闘アクションゲームだ。手足や胴体のパーツには個別の耐久力が設定されており,それが尽きるとその部位が破壊されて使えなくなる。相手の頭か胴体を破壊すると勝利だ。直接頭や胴体を狙いにいくのはもちろん,腕を壊してパンチを封じたり,足を攻めて移動速度を遅くしたりと,戦略的な戦い方も可能。狙ったパーツをうまく壊した際は破片が飛び散って爽快な一方,腕が取れても戦い続けるサイボーグ少女たちが可哀想にも思えてくる。
敵を倒すとパーツが獲得でき,中には特殊な技や,攻撃力補正といったスキルが付与されているものも存在する。本作を手がける「娯匠」の代表取締役である堀内雅史氏によれば,「強いスキルを持つパーツの耐久力が減った際,壊れる危険を承知でこれを使い続けるか,安全性を重視して,敵を倒した際にドロップする無傷の弱いパーツと取り替えるか……といったジレンマも取り入れていきたい」とのこと。娯匠といえば「グラディエーター ロード トゥ フリーダム」や「餓狼伝 Breakblow Fist or Twist」など,“敵の特定部位を狙って攻撃し,バトルを有利に進める”というゲームに携わってきたデベロッパーで,そうしたテーマ性が強く出たタイトルといえるだろう。
「Cyborg」公式サイト
歯ごたえ充分の,ドット絵ソウル系「Chrono Sword」
記憶を失った主人公・エノールが,不気味な敵と戦う「Chrono Sword」は,公式で「『ダークソウル』系のアクションアドベンチャーゲーム」と謳われているだけに,ダークなムードとシビアなバトルが「DARK SOULS」っぽいゲームだ。
敵は数に任せて攻めてくる上に,一撃のダメージが大きく油断できない。ガードや回避を駆使し,堅実に立ち回る必要がありそうだ。フィールド上の巻物を手に入れると,スキルが取得可能で,スキルを発動するには,敵が特定条件にあるときにスキルボタンを押す必要がある。敵の攻撃を直前で防ぐ「パリィ」を決めた時や,敵が壁を背にした時に大ダメージを与えられるといった具合で,しっかりと観察していればバトルを有利に進めることができる。展示されていたデモ版の完成度は高く,じっくりと遊び込んでみたいと思えた。
「Chrono Sword」公式サイト
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