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新しい産業として注目を集めるeスポーツを現場とビジネスの両面から語った「AMDシンポジウム2018」聴講レポート
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印刷2018/09/14 18:39

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新しい産業として注目を集めるeスポーツを現場とビジネスの両面から語った「AMDシンポジウム2018」聴講レポート

 デジタルメディア協会 (英語名:Association of Media in Digital,以下AMD)は2018年9月13日,「AMDシンポジウム2018 激闘eスポーツ! 〜世界をめざす新産業 日本の挑戦〜」を東京都内で開催した。

新しい産業として注目を集めるeスポーツを現場とビジネスの両面から語った「AMDシンポジウム2018」聴講レポート

 このシンポジウムは,日本におけるeスポーツの認知度がこの1年ほどで大きく高まりつつある一方,後発となった日本は世界に追いつくためにさまざまな取り組みが必要とされている現状を踏まえ,現場とビジネスそれぞれの観点から今後の日本のeスポーツ市場を考えるというもの。会場では,パネルディスカッション形式で有識者が意見を交わした。

シンポジウムの主催者を代表して登壇したAMD 理事長 襟川恵子氏は,2019年1月開催予定の「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」の賞金を調達するために,清水建設や大和証券など一般企業から支援を受けたことを報告した
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来賓として招かれた総務省 大臣官房統括審議官(情報通信担当)の安藤英作氏は,日本におけるeスポーツを取り巻く環境がこの1年で大きく変わったことに言及し,今後もデジタルコンテンツの発展に取り組んでいくと意気込みを語った
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シンポジウムのモデレーターを務めた,慶應義塾大学大学院特別招聘教授の夏野 剛氏
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第1部「世界をめざすプレイヤー戦略」


 シンポジウムは2部制となっており,第1部「世界をめざすプレイヤー戦略」には,茨城県知事の大井川和彦氏,日本eスポーツ連合(JeSU) 副会長の浜村弘一氏,DetonatioN Gaming CEOの梅崎伸幸氏,そしてDetonatioN Gaming所属の板橋ザンギエフ選手が登壇し,eスポーツの現場に携わっている関係者の立場でパネルディスカッションを行った。

ディスカッションの前には登壇者各自がプレゼンテーションを行った。茨城県知事 大井川和彦氏は,2019年秋開催の「いきいき茨城ゆめ国体」「いきいき茨城ゆめ大会」に合わせ,「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」を開催することを紹介。本大会の競技種目には「ウイニングイレブン」シリーズが採用されている
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JeSU 副会長 浜村弘一氏は,2月に発足してからこれまでの同団体の活動を紹介した
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DetonatioN Gaming CEO 梅崎伸幸氏は,同eスポーツチームの活動およびマネジメントについて紹介
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板橋ザンギエフ選手は,プロゲーマーになった経緯や現在の自身の活動などを紹介した
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 ディスカッションの最初の話題は,この1年のeスポーツの盛り上がりについて。浜村氏はJeSU設立以降,さまざまな産業・職種からeスポーツに関する相談を受ける件数が増えたとし,例えば不動産関連企業がeスポーツ向けの施設を作ろうと検討していることを明かした。

 また全国都道府県対抗eスポーツ選手権については,大井川氏が国体の文化プログラム事業として開催されることを説明。その成果によっては,日本スポーツ協会が以降の国体のエキシビション種目,ひいては正式種目に採用する可能性があると語った。

 このようにeスポーツがメジャーなスポーツ大会の正式種目に採用されるためには,一つ一つ段階を踏む必要があるわけだが,その背景には,ほかのスポーツの選手とeスポーツ選手が肩を並べることに対する根強い抵抗感が世間一般にあるからだと大井川氏。そうした抵抗感をなくすためには,スター選手が国際的な大会で活躍する姿を一般メディアが取り上げるなど,露出の場を拡大していく必要があるとした。

 梅崎氏もeスポーツが発展していく上で,メジャーなスポーツ大会の種目として採用されることは必須だと考えているという。その理由は,eスポーツチームの運営とは,大会の賞金だけではなくスポンサー企業のサポートがあって初めて成立するものだからである。そのため,オリンピックのような認知度の高い大会でチームや選手が活躍できれば,それだけスポンサーになろうという企業が増えるというわけだ。
 また板橋選手も,「プレイヤーとして,活躍のチャンスが増えるのは基本的にウェルカム」と語っていた。

 さらに昨今の日本におけるeスポーツの盛り上がりは,世界にも影響を与えているそうだ。梅崎氏によると,世界でも有名なeスポーツチームのいくつかが日本のeスポーツ市場への参入を狙っているとのことで,その理由は「世界各国のeスポーツ市場はある程度確立してしまったが,日本はまだブルーオーシャンだから」だという。

 その一方で,オリンピックなどの既存の大会に頼らずとも,アメリカのメジャーリーグや欧州のサッカーリーグのように,eスポーツを独自の産業として成立させる方法もある。実際,「League of Legends」を筆頭に,大会を興行として成立させているeスポーツタイトルも存在している。

 この件について梅崎氏は,仮に「League of Legends」がオリンピックの種目に採用されたとして,IPホルダーであるRiot Games主催の大会と日程が被ってしまったら,「Riotの大会に出場せざるを得ないだろう」と語った。
 また浜村氏は,アメリカにて「eスポーツはオリンピックの競技種目よりも,エンターテイメントに近いのではないか」という議論があることを紹介した。

 それに対して大井川氏は,「国体の種目に採用されることには,eスポーツの裾野を広げるという役割もある」と持論を展開。「すでにeスポーツが認知されている欧米と比較すると,注目を集めているとはいえ日本ではまだまだ。その状況で国体などの大会に採用されれば,観客を含めて裾野が広がるきっかけになり得る」と続けた。

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 話題は,日本のeスポーツ選手層の厚さにもおよんだ。板橋選手は,「格闘ゲームに関しては,間違いなく日本が世界で一番厚い」とし,「アーケードゲームやコンシューマゲームの文化の中でコミュニティが形成され,お互いに情報を交換しあうなどして最先端を行っている」と説明。

 しかし最近では海外の選手に追いつかれつつあり,板橋選手は「今後どうなるかは分からない」との見解を示した。また格闘ゲームはその性質上,反射神経よりも経験がものをいう側面が強いため,引き続き日本の選手が優位を保つには「積み重ねたノウハウを若手に伝えていく育成の場が必要」とコーチングの重要性を説いた。

 梅崎氏は,そうしたコーチングについてとくにチーム制のeスポーツタイトルについて必要なものであると説明。しかし日本では現役の選手が多く,引退してコーチになる人材が少ないため,なかなかノウハウを伝授する機会がないという。
 それを受けて大井川氏は,地方創生の施策として,eスポーツのコーチ育成事業が使えるかもしれないと話していた。

 ディスカッションの最後の話題は,eスポーツの種目として扱われるゲームタイトルがどのように選定されるのか,という点について。
 浜村氏は「基本的にはプレイ人口とプレイされている国の多さによって選出されるはずだが,今のところ誰がどのように決めるかは定まっておらず,大きな課題となっている」と説明。
 また梅崎氏は「League of Legendsは一時期グローバルで1億人がプレイしていたという実績があるから,誰もがeスポーツとして認めている。今後もそうやってeスポーツとして認められるタイトルが出てくると思うが,今は静観したい」と語っていた。

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第2部「市場を生み出すビジネス戦略」


 第2部「市場を生み出すビジネス戦略」には,内閣府 知的財産戦略推進事務局長の住田孝之氏,清水建設 代表取締役社長の井上和幸氏,大和証券 代表取締役副社長の松下浩一氏,慶應義塾大学大学院教授の中村伊知哉氏が登壇し,新たな産業としてのeスポーツの可能性などを論じた。

内閣府 知的財産戦略推進事務局長 住田孝之氏は,クールジャパン戦略の観点からeスポーツへの期待を語った。またeスポーツの裾野を広げるという意味では観客の育成や,高齢者向け施策の展開も重要であるとの見解を示していた
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清水建設 代表取締役社長 井上和幸氏は,同社の取り組みを紹介するとともに,年齢や性別,障がいの有無に関係なく個人が活躍できるeスポーツへの共感を語った
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大和証券 代表取締役副社長 松下浩一氏は,同社がスポーツ事業や文化事業に協賛していることを紹介。その一環としてeスポーツの支援を行うという
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慶應義塾大学大学院教授 中村伊知哉氏は,eスポーツ先進国のアメリカと韓国の事例を紹介し,日本が追いつくには早急な環境整備や人材育成が必要であると説いた。また自身が携わっているプロジェクトにて,eスポーツ関連の展開をしたいとも話していた
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 ディスカッションの最初の話題は,今後eスポーツがビジネスとして発展していくにあたり,どのように社会的なルールを定めていくかというもの。中村氏は「そうした議論は確かにあるが,そればかりに注目していると新しい産業が発展しにくくなってしまう」とし,「盛り上げつつも,八百長などの反社会的行為の芽を摘んでいかなければならない」と語った。

 続いて話題は,高齢者とeスポーツに移行。住田氏は超高齢化社会を迎える日本において,今後ゲームに親しんできた世代が高齢者になったときにチームを組んで対戦ができる,ひいてはコミュニティを形成できるようなタイトルが登場すれば,一種の社会的インフラになり得るのではないか,との見解を示した。
 また井上氏は,高齢者が楽しめる場を増やすことが重要であるとし,それが社会全体の活力を高めることつながると語った。
 そして松下氏は,かつて株式取引を扱ったゲームが年配の層に受けた事例を引き合いに出し,高齢者向けのゲームがあればきちんと機能するだろうと予想した。

 中村氏は,今後AIとロボットが仕事を肩代わりするようになると人間は暇になるので,エンターテイメント産業が今以上に必要とされるだろうと予測。その中でも急成長しているeスポーツ産業は,ゲームタイトルのみならずPCなど機材の生産・販売やアリーナなど施設の建設,コーチなど人材の育成と,さまざまなビジネス展開ができるとの期待を示した。

 そうした展開を拡大するには,政府の後押しも重要となる。住田氏は,昼間のゲームセンターに高齢者が集まっているという事例を引き合いに出し,例えば病院の隣にゲームを遊べる施設を作り,診察待ちの時間に利用できるようにするといった,これまでにない新しい発想がeスポーツという切り口からも生まれてくるのではないかと話していた。

 住田氏の言葉を受けて井上氏は,「建設業界は近い将来,一人の技術者が複数のロボットを操作して作業を進めるようになるのではないか」との予想を示し,「そのとき,ゲームやeスポーツを通じて培った戦略性や戦術性が必要になるかもしれない」と語っていた。
 また松下氏は,海外のサッカークラブが企業として上場している事例を挙げ,「証券会社としては,日本のeスポーツチームもぜひそうなってほしい」と期待を語った。

 そして中村氏は,「ゲームは民間のものなので本来なら政府には黙っていてほしいところだが,韓国の事例を見るに,これから日本で一層eスポーツを盛り上げるには,官民で連携して推進していく必要がある」とし,「各省庁にやってもらうことがある。スポーツ庁にはJOCやIOCにeスポーツをプッシュしてほしいし,文科省にはプログラミング教育の一環としてeスポーツを取り上げてほしい。経産省にはクールジャパンでプッシュしてほしいし,総務省には5Gをeスポーツ向けに整備してほしい。厚労省には高齢者向けの施策を,環境省には聖地化プロジェクトをそれぞれお願いしたい」と語った。

 そうした中村氏の発言を受けて住田氏は,「そういった話が,いろんなところから聞こえてくることが望ましい」とし,「例えば『eスポーツはそもそもスポーツなのか』『スポーツ庁が扱うべきものなのか』という議論が生じてしまうのが役所。医療や介護など実務に近い部分から入っていくのが一番早いのでは」との見解を示した。

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 話題は,「働き方改革」に伴う副業・兼業として,eスポーツの大会に出場して賞金を稼ぐことにもおよんだ。井上氏は「時短を進めてできた余暇時間の使い方は人それぞれだが,それをゲームやeスポーツに費やす人もいるだろう」とし,「副業としてeスポーツに取り組めるような施設が出てくるかもしれない」と展望を語った。

 また松下氏は,大和証券には10年以上前から19:00までに退社するというルールがあることを紹介し,とくに若い社員は帰宅してからゲームを遊んでいるケースが多いことを明かした。加えて関連企業でも,eスポーツに取り組んでいる社員が予想以上に多く,驚かされたという。

 松下氏の話を受け,住田氏は「それだけeスポーツに取り組んでいる人が多いのであれば,ぜひプレミアムフライデーを活用してほしい。全国で毎月プレミアムフライデーに大会を開催することが定着すれば,eスポーツに関心のある人が当たり前のように早く帰宅するようになる」と提案し,「そうなると月1回ではなく,もっと大会を開催しようという好循環が生まれるのではないか」と期待を示していた。

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