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20年後,ウメハラが都知事になる可能性は?――ウメハラ×ちきりん対談本「悩みどころと逃げどころ」発売記念トークイベントレポート
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印刷2016/10/08 21:01

イベント

20年後,ウメハラが都知事になる可能性は?――ウメハラ×ちきりん対談本「悩みどころと逃げどころ」発売記念トークイベントレポート

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 2016年7月31日,東京・渋谷のイベントスペース,レッドブルホールにて,プロゲーマーのウメハラ氏と,社会派ブロガーのちきりん氏によるトークイベントが開催された。
 このイベントは,両氏の対談を収録した新書本「悩みどころと逃げどころ」(小学館刊)の発売を記念して行われたもの(関連記事)。同書は,現在の教育や社会そのものについての考えを,生まれた時代や育った環境もまったく異なる両者が語り合うというもの。今回のトークイベントもまた,その延長として,ページの都合で掲載できなかった話題をはじめ,対談の収録や執筆にあたっての裏話が披露されるものとなった。会場には,事前の応募によって招かれた,両氏のファンが多数詰めかけ,さまざまなテーマに沿って繰り広げられるトークを楽しんでいた。

 トークは2時間以上にもおよび,そのすべてをここで紹介することはできないが,本稿ではいくつかのポイントに絞ってまとめてみた。掲載まで時間がかかってしまってしまったが,記事の最後には,イベント後の2人に話を聞いたインタビューも掲載している。こちらもぜひ,ご一読を。

■関連記事

長丁場のイベントを,疲れを見せることなくこなしていたウメハラ氏とちきりん氏。同書の制作にあたり,100時間以上語り合ったという両氏だけに,その内容も気が置けないものとなっていた
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ちきりん氏のブログ「Chikirinの日記」



自分の周囲2mの興味と,2kmより先の興味


 前半のトークは,本書で語られた論点について改めて整理しつつ,両氏の持論を確認する形で進行していった。本書では,「ちきりん『学校って、行く意味ある?』 VS.ウメハラ『大アリですよ!』」といったように,章ごとに対立軸を設けて対談が進行する形式になっているが,これは本書の裏テーマとして,ちきりん氏による“梅原大悟・洗脳の書”という狙いがあったからだという。
 とはいえ,もちろんそのすべてが成功したわけではなく,平行線で終わっている章も少なくない。その一つが,先に例とした「学校に行く意味はあるのか」というテーマである。

父親に本書のテーマが教育だと告げたとき,「調子に乗るのもいい加減にしろよ。お前が学校について語るなんて」と言われたというウメハラ氏。授業中はマイタオルを持ち込んで,寝てばかりだったそうだ
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 この論点についてウメハラ氏は,「学歴がないことで,差別を受けることがある」と言い,例えばアルバイト先などで問題が起こったときに,真っ先に自分が疑われたエピソードを語った。また,例えそういう場面に直面せずとも,学歴へのコンプレックスがあるだけで,それが仕事のパフォーマンスにも影響することは十分にあり得るという。
 対して,無理に学校に行く必要などないという立場のちきりん氏は,そうした差別が現実にあるということが信じられないと驚きつつも,それは運動の出来不出来,あるいは容姿の良し悪しによる差別と同じものではないかと疑問を呈する。

 ウメハラ氏は,運動や容姿による差別は学生時代に限られるが,学歴はずっと影響があると答えた。そして,ちきりん氏が語る学歴が重視されない環境は,ウメハラ氏もそういう世界が来ればいいと考えつつも,現時点では一握りの成功者達の周囲にしか存在しないのではと話していた。

ちきりん氏は,このテーマについて同じ時代を生きているとは思えないと感想を語っていた。ある意味,これまで両者が生きてきた環境が,かなり違っていることを示すエピソードかもしれない
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 一方で,対談の結果,ウメハラ氏が意見を変えた話題として紹介されたのが「辛いときは,逃げるべきか否か」というテーマだ。こうした内容の相談を友人などから受けたとき,ウメハラ氏は以前であれば「(そこで逃げたら)お前の魂は砕かれたまま生きることになる」と答えていたとのこと。しかしここ最近になって,自分もゲーム以外からは逃げまくってきたことに気付き,考えを改めたそうだ。ちきりん氏は,「アドバイスされた人がかわいそう(笑)」と感想を述べていた。

 同じくウメハラ氏の意見が変わったテーマとして,自身が興味を持つ範囲についての話題もある。以前のウメハラ氏は「自分の周囲半径2m以内」――つまり自分とその友人程度まで――にしか興味が及ばず,むしろ興味を向ける対象を絞ることが,集中して物事にあたる秘訣だと考えていたという。しかし今はそれが変わり,多くのことに興味を持とうと努力しているそうだ。
 今でも政治や音楽といったものに興味を持つことは難しいというが,それに関わる“人”には興味があり,そうした人達とつながれないのはもったいないと感じるようになったのだとか。

ちきりん氏の「ちなみに,今日大きなイベントがあるんだけど知ってる?」という質問に「ちょっと待って。花火とかじゃないですよね? 勘ですけど……選挙?」と返したウメハラ氏。会場からは拍手が巻き起こった(※この日は東京都知事選の投票日だった)。ウメハラ氏「政治はハードルが高い。まだ早いですね(笑)」
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 一方で,ちきりん氏はウメハラ氏の「自分の周囲2m」とは対照的に,「2kmより先」にしか興味が持てない人間なのだと語った。それがつまり社会であり,自分はその傍観者にすぎない。そして,それが自分の欠点だと考えているそうだ。
 その上で,これまで両者共に避けてきた,あるいは逃げて来た「2mから2km」の範囲――影響を及ぼすことはできるけれど,直接動かせるわけでもない,つまり他人との共同プロジェクトや経営といった世界――に,ウメハラ氏が足を踏み入れようとしていることを指摘し,そこで発生するはずのフラストレーションにどう対処するかという疑問がちきりん氏から投げかけられた。
 ウメハラ氏は,「こんなに世界って面倒なんだってことを思い出しつつある」と言いながらも,しかし2m以内には飽きたので,メンドクサイとは思いつつも,やり甲斐を感じていると話していた。

「ちきりんさんの人生は順風満帆に見えるけど,失敗はないのか」というウメハラ氏の質問に,自分の失敗談を公にしたことがないと初めて気付かされたというちきりん氏。「2km先にしか興味がないってことは,2m以内を軽視するということ。自分や周囲に重きを置かず,体や人間関係を壊してしまったことが何度もある」と告白。しかし,それが挫折からの成功というお涙頂戴の物語として受け取られてしまうことには,抵抗があるという
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自分は1番を目指す中毒


 ウメハラ氏と一緒にいると怒られてる気分になるというちきりん氏。そのストイックさにあてられて,自身がいいかげんに生きてきたという人生に「ちょっとだけやる気が出た」という半面,「こんなストイックな人から見たら,“分かっているけど頑張れない人”はどう映るだろうか」という疑問を持ったという。

 それに対してウメハラ氏は,そうした人に対し,若い頃はネガティブな感情を持っていたと語った。かつては,誰もが何かしらで1番を目指しているものだと思っていたそうで,「格ゲーで1番になろうとしないこいつらは,何で1番になるつもりなんだろう,とナチュラルに思ってた」そうである。そして。そうした周囲に対して寂しさを感じることもあったとか。
 ただ,仲間内でこの話題を出すと,皆が嫌な顔をして空気が悪くなるので,次第に避けるようになり,それが「とんでもない誤解」(ちきりん氏)だったと気付いたのは,格ゲーから離れ,次に選んだ道である麻雀を辞めたときだったそうだ。

ウメハラ氏「ゲームは自分にとってはまっすぐに進める道だった。終わりのない冒険のようなもので,麻雀もそうだと思ってた。それを辞めた26〜7歳のとき,『あ,これか』って思ったんです。俺は今,何も目指してない。だから皆,嫌な顔してたんだ。」

 ちきりん氏が,改めて「好きなのに努力ができない人がいるってのは分かる?」と問うと,ウメハラ氏は「それはやっぱり,本当にやりたいことじゃないってことでは」と返しつつ,そうした人に対しては今なら怒るのではなく,努力のコツを教えられるだろうとコメント。
 かつての苛立ちや絶望,そしてバカにする気持ちも今はなくなったそうで,その理由としては,自分に欠けていた部分を,そうした周囲の人が助けてくれていたことに気づいたからと答えていた。「自分は1番を目指す中毒であり,それはいいことでも悪いことでもなく,単なる役割に過ぎない。立場としてはいい気なものなので,今はもう自分と同じタイプの人間には興味がない」とのことである。

会場から寄せられた「もし子供がいたら,どんな教育をするか」という質問に回答する両氏。ウメハラ氏は,もし男の子だったら,1番を目指すことを強要してしまうだろうと語り,それが怖いと話していた。一方で女の子だったら,悪い男に捕まらなければなんでもいいのだとか。ちきりん氏は「それ,絶対病気になるよ」とウメハラ氏をたしなめつつ,自分だったらマレーシアなど,国外で育児をすると回答。ちきりん氏「今の日本は,私みたいな人生捨ててる人にとってはパラダイス。でも未来があるなら,日本のような有権者の半数が変化を望まない国にいてはダメになる」ウメハラ氏「それは分かりますね。納得です」
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興味の幅を広げ,変化を恐れないこと――ウメハラ×ちきりん インタビュー


 ここからはイベント後の2人に伺った話を,インタビュー形式で紹介していこう。なお,トークの模様はTwitchでリアルタイム配信が行われていたほか,YouTubeのDaigo the BeasTVチャンネルにもアーカイブが残されている。興味がある人は,そちらも合わせてチェックしてみよう。



4Gamer:
 本日はお疲れ様でした。足掛け4年にわたる対談を経て執筆されたという「悩みどころと逃げどころ」ですが,トークの中で,本書は“ちきりんによるウメハラ・洗脳の書”という側面もあるとおっしゃっていました。ちきりんさんから見た,ウメハラさんの変化の過程はどんなものだったのでしょうか。

ちきりん氏:
 自分が納得したときには,ちゃんとそれを受け入れられる人なんだ,という認識は,対談を始めて1年ぐらいの頃から感じていました。例えば,「Daigo The BeasTVには英語音声を付けるべき」だとか,私が一生懸命唾を飛ばしながらしゃべったことを,2〜3か月後ぐらいには取り入れていることが何度かあって。
 そもそも,ウメハラさんは“変わり続けることが勝ちにつながる”と本に書いているくらいなんだから。それって格ゲーに限った話ではないよね?

ウメハラ氏:
 うん,そうですね。

ちきりん氏:
 その「勝ち続ける意志力」についても,2年以上前から「英語版を出すべき」って煽ってたんです。それも最初は「難しい」とか言ってたのに,Red Bullさんにスポンサードされたときには,ちゃっかり英訳の話もしていたりして,「……意識してんじゃん!」って。だから煽りがいはありますね。直接言うと意地を張りそうだけど(笑)。

4Gamer:
 ウメハラさんは,ちきりんさんの影響で自分が変わった部分というのを意識されていますか?

ウメハラ氏:
 いやあ,変わったと思いますよ。ちきりんさんとは生きてきた世界が全然違うから,刺激はかなり受けたんだろうなって。

4Gamer:
 その変化というのは,ガラッと変わった感じですか。それともグラデーションのように少しずつ変化していった感じですか?

ウメハラ氏:
 ガラッと変わることもあります。例えば,自分が何か聞かれたときの受け答えなんかは,自分でも意識して気をつけてきたからそうでもないんだけど,これが聞く側に回ってみると,本当にヒドいものだってことに気付かされました(笑)。今回のこのイベントは,それをなんとかしようという試みでもあって,意識が180度変わった結果ですよ。ただ,それだって自分の中に「なんか違うな」っていう感触があって,それが積もり積もってのことだから,そういう意味ではどっちとも言えるかな。

4Gamer:
 今回の番組で,ウメハラさんは「もっといろいろなことに興味を持つようにしたい」と言っていましたよね。ちなみに,「Pokémon GO」に興味は出てきましたか? ……半月前は,「知らない。強いの?」って言ってましたけど。

(一同笑)

EVO2016の会場にて,海外メディアから「Pokémon GO,知ってる?」と質問されたウメハラ選手。それに対するまさかの返答がこのセリフだった
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ちきりん氏:
 ちょっと,何それ(笑)。本気で言ったの? それともボケたの?

ウメハラ氏:
 いや,本当に知らなくて,Pokemon Goっていうプレイヤーか,何かの新キャラだと思ったんですよね。「強いの?」って答えておけば,大体アタリだろうと思ったんだけど……。

ちきりん氏:
 なるほどね。で,興味は湧いた?

ウメハラ氏:
 うーん,俺はハマらないタイプのゲームかなって思いました。もちろん,遊んでいる人に対してどうっていうのはないんだけど,ああいうやらずにはいられない仕組みは個人的にはあんまり好きじゃなくて。……でも,これは俺の頭が固いのかな?

ちきりん氏:
 いやあ,ウメハラさんが中毒性のあるゲームとそうじゃないゲームを分けて話すなんて,すごく意外かも。

ウメハラ氏:
 まあ,格ゲーだって中毒性はかなり高いけど,対人戦には学びがあると思うんですよね。あと,競争がないと辞めるきっかけもないじゃないですか。例えば格ゲーだったら,「ああ,俺向いてねえや」ってなったら辞められる……もちろん辞めてほしくはないんだけど(笑)。

ちきりん氏:
 私としては,ゲームに限らず中毒性のあるものにハマるって経験は,若いうちにしておいたほうが良いと思いますね。大人になってからそういうのにハマると,辞め時が本当に分からなくなっちゃうから。

ウメハラ氏:
 ああ,それは同意見です。例えば自分の場合は,若いうちから麻雀を散々やってきて,身を持ち崩すような人をたくさん見てきたので,きっとこの先ギャンブルで失敗するようなことはないと思う。

ちきりん氏:
 ギャンブルとかアルコールとかだけじゃなく,世の中にはあんまり問題になっていないけど中毒性の高いものがいろいろあるんですよ。女性にはいっぱいいますけど,買い物をしないとストレスが解消できない買い物中毒とかね。
 こういうのは脳を麻痺させられているような状態なので,そうなる前に「何かしら手を打って離れないとヤバい」っていう感覚を学んでおいたほうがいいと思います。

ウメハラ氏:
 そういうものがあると理解していれば,ブレーキがかけられると。

ちきりん氏:
 そう。中毒で大変なことになる前に,早めに一度そういう経験をしておいたほうが絶対いいと思う。それも学びだと思うから。


■20年後のウメハラはどうなる?


4Gamer:
 話は変わりますが,先ほどまでお2人のサイン会が行われていました。このウメハラさんのサインについて,ちきりんさんはどう思われますか(笑)。

ちきりん氏:
 ええと,それはこの(文字の)やる気のなさについて?

(一同笑)

サインの写真を撮り忘れたので,過去に掲載した記事から,ウメハラ氏のサインを引用。今でもおおむねこんな感じです
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ちきりん氏:
 私のサインもかなりの脱力系なんですけど,それは置いておいて。まずプロゲーマーってリングネームで活動する人が多いですよね。

ウメハラ氏:
 そうですね。リングネームを使っている人のほうが多いんじゃないかな。

ちきりん氏:
 だとすると,ウメハラさんが本名で活動してきたというのは,ある意味,象徴的なことなんじゃないですか。私がちきりんという名前で活動しているのは,リアルな自分を離れて楽しく生きられる別人格が欲しかったからだけど,そういう願望を持っている人って,実はたくさんいると思う。もし“ちきりん”が恥ずかしいことをしたとしても,私自身ではないからって逃げられるし,嫌になったら消えることもできる。名前を変えることは,弱い人間にとって人生をやり直すための良い方便なんです。

4Gamer:
 ゲーマーにとってのリングネームも,それと同じようなものだと?

ちきりん氏:
 ええ。でも,ウメハラさんはそんなことはまったく考えずに,ただひたすら格ゲーが好きでまっすぐにやってこられた。あのサインはある意味,それを象徴していると思います。

4Gamer:
 ちなみに,ウメハラさんはリングネームを付けようと思ったことはないんですか。

ウメハラ氏:
 初めて格ゲーの大会に出たときに,明らかに本名じゃない名前の人がいっぱいいて,「へえ,そういうのがあるんだ」とは思ったけど,真似しようとは思わなかったかな。最初はフルネームを漢字で書いてたんだけど,珍しい名前だからかリングネームだと思われることがあって,それで苗字だけにしたんです。あとになると漢字も億劫なのでひらがなになり,さらにカタカナのほうが楽ってことに気がづいて,今に至るという。

(一同笑)

ちきりん氏:
 でも漢字だと英語圏の人が読めないし,“Umehara”だとアジアのどこの国の人か伝わりにくいから,やっぱりカタカナがいいと思うよ。カタカナだったら,ビジュアル的にグローバルで通用するから。

ウメハラ氏:
 でもアメリカとか英語圏でサインするときは,漢字で書いてますよ。

ちきりん氏:
 ええっ,なんで!?

ウメハラ氏:
 英語圏だと,漢字のほうが喜ばれるんですよね。しかも,梅原じゃなく“大吾”って。

4Gamer:
 ああ,海外だと“ウメハラ”よりも“Daigo”のほうが通りがいいですよね。

ちきりん氏:
 ああ,そうかあ。

ウメハラ氏:
 あと,台湾とか中国みたいな漢字の国に行ったときはカタカナでサインしてます。字に自信がないからっていう,セコい考えで(笑)。

ちきりん氏:
 英語圏の人が漢字を喜ぶのは分かるけど,世界に進出し始めている今こそ,ブランドとして統一しておいたほうがいいんじゃないかな。有名になってから名前を変えるのはすごく面倒だから。“ナショナル”と“パナソニック”が実は同じって言われても,なんか納得できないじゃない?

ウメハラ氏:
 うーん,統一するならカタカナかなあ。……でも,これで言われたとおりにすると,また「洗脳成功」とか言われて癪なんだよな(笑)。

ちきりん氏:
 「ちきりんに言われて変えた」って言いふらします!

4Gamer:
 まだまだお話を聞きたいところですが,そろそろお時間のようです。最後の質問ですが,本の最後のところに,「20年後にふたりとも生きてたら、もう一回、対談しませんか?」という話があって,ちきりんさんは,「20年後にはウメハラさんはすっかり社会派になってて」と予想をしていましたね。今日のトークでも都知事選の話が出てきましたが,例えばウメハラさんが都知事になっているような可能性もあるでしょうか。

ウメハラ氏:
 仮に俺が立候補したとして,さすがに何も起きないでしょ(笑)。

ちきりん氏:
 いや,そんなのはまったく想像の範囲内だと思いますよ。例えばヤワラちゃんとか鈴木大地さんとか,アスリートが政治の世界に進出するのは,よくあることですから。ウメハラさんは今はまだ政治に興味はないみたいだけど,20年後には違うかもしれない。ビジネスについてだって,最初にお会いした頃は全然興味がないそぶりだったのに,今は「人を雇うことに興味がある」とか言い出してるくらいですからね。

4Gamer:
 うーん,なるほど。

ちきりん氏:
 ただ私としては,むしろウメハラさんにはもっと違うことをやっててほしいですけどね。だって,梅原大吾が誰にでも想像できるようなことをやっちゃいけないでしょう?

ウメハラ氏:
 じゃあ,月にでも移住しようかな(笑)。

4Gamer:
 格闘ゲーム星人が地球に攻め込んできたときに備えて?

ウメハラ氏:
 うん,倒します(笑)。

(一同笑)

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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