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ARグラスを使った「みんなで楽しむARゲーム」や,コンテンツに応じて香りが飛んでくる機器をCES 2023で体験してみた
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印刷2023/01/06 22:06

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ARグラスを使った「みんなで楽しむARゲーム」や,コンテンツに応じて香りが飛んでくる機器をCES 2023で体験してみた

 米国・ラスベガスで行われている大規模展示会「CES 2023」の主会場外では,公式,非公式のサブイベントが多数行われている。そうしたイベントの1つ「ShowStoppers@CES」に,日本貿易振興機構(JETRO)が支援する日本のスタートアップ企業が何社も出展して,興味深い技術やソリューションを披露していた。
 本稿では,日本からの出展企業から,とくにゲームやARに関わるものを2つ,ピックアップして紹介したい。


みんなで遊ぶARゲームを目指して

Graffity


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 まずは,ARゲームやARソリューションの開発を手がける「Graffity」が制作したARゲームを2本紹介したい。
 ひとつめのゲームは「SushiCraft」。もう名前だけで何だか想像が付きそうだが,想像どおり寿司を握るゲームだ。ARゲームではあるものの,会場で体験できたバージョンは,むしろ外界を遮断してゲームに没入するVRゲームに近いものだった。

 ゲームの内容は,実にシンプル。相撲取りのような風貌のお客が,寿司を注文する。それを見て,右手で寿司ネタを,左手でシャリを取って,左右の手を触れるくらいに近づけると寿司ができる。握った寿司をお客に出して,注文どおりであれば正解,間違っていれば不正解になるという単純なものだ。

まず,お客が寿司を注文する。なお,ARグラスでプレイヤーが見ている映像は撮影できないで,SushiCraftの公式動画からキャプチャしている
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ARグラスの前に手を持ってくると,各関節の動きも反映したハンドトラッキングができる
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眼前の台には,寿司ネタのマグロ,玉子,エビがあるので,右手で正しいネタを取り,左手でシャリをすくう。両手を近づければ自動で寿司の完成だ
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正しければ正解
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 SushiCraftのデモ動画が公開されていたので,掲載しておこう。


 会場で体験した開発中のバージョンは,とくに時間制限はないので,間違えた寿司を作っても,客に出す前に捨てて作り直せばいいだけだが,時間制限のような要素を加える予定だそうで,そうなると俄然,ゲームらしくなるだろう。

体験デモに利用したThink Reality A3。メガネ感覚で着用できる手軽なARグラスだ。ただし,単体でも価格は税込19万2500円である
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 SushiCraftの体験に使ったARグラスは,Lenovo製の業務用ARグラス「Think Reality A3」で,Qualcommが提供するAR開発プラットフォーム「Snapdragon Spaces」を利用してソフトウェアを開発したそうだ。

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 もうひとつのゲームは,リズムアクションの「GrooveWave」だ。
 こちらも基本はシンプルで,ドラゴンのようなモンスターが繰り出す攻撃を避けると攻撃回数が蓄積され,4回1セットの攻撃が終わると,蓄積した攻撃の分だけ敵にダメージを与えられる。これを繰り返して,こちらが攻撃を受けると体力が減り,ゼロになったらゲームオーバーというものだ。

 攻略のポイントは,攻撃を避けるところにある。敵が攻撃してくる前には,どのようなパターンで攻撃がくるかを予告する線や面が表示される。その予告を参考に,飛んでくる攻撃を体ごと動いて避ければいい。

まずはオレンジ色の線で,4回1セットの攻撃がどう来るかを予告する
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予告が終わると,敵がビームを放ってくるので,大きく動いて避ける。ビームは扇型だけでなく,広範囲に広がる面でも飛んでくるので気が抜けない
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攻撃を4回避けると反撃タイム。回避に成功した回数だけ敵にダメージを与えられる
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 こちらもゲームのイメージがつかめる動画が公開されている。


 説明を聞くだけなら,極めて簡単そうに思えるだろう。しかし,どこまで体を動かせば攻撃を避けられるのかが,短時間では把握しにくいので,なかなかうまくは避けられない。筆者が体験した時点では,来場者でこれをクリアできた人はいないとのこと。筆者も「動きの感覚が掴めたかな?」と思う頃にはゲームオーバーになっていた。
 うまく避けるには,ダイナミックに体を動かす必要があるのだ。


 SushiCraftとは異なり,GrooveWaveは,Nrealが開発したARグラス「Nreal Light」を使用する。Nreal Lightは,2つのカメラで外界を認識して,ユーザーの動きを検出する機能がある。そのため,外部からユーザーの動きを認識するためのセンサーは必要ない。

GrooveWaveは,メガネ型のARグラスであるNreal Lightでプレイする
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 SushiCraftもGrooveWaveも,体験できたバージョンではどちらもVRゲーム的な作りになっていて,ARゲームである意義が今ひとつ分からなかった。そこで,デモと説明を担当していただいたGraffityのCOO兼ゲームディレクターの斉藤翔太氏に聞いてみたところ,同社がARゲームで目指しているのは,同じ場所に複数人が集まって,一緒にプレイするゲームであるという。

 VRゲームでは,仮想空間内に没入してプレイするのが定石なので,プレイヤー同士は同じ場所にいる必要はない。しかし,Graffityが目指すARゲームは,リアルな場所を共有して楽しむものにしたいということだった。分かりやすい例としては,マルチプレイヤーゲームの「Overcooked」シリーズのように,皆で集まってワチャワチャと楽しむようなゲームを目指しているそうだ。
 実際に,同社の過去作品では,たとえばプレイヤー同士が学校に集まって,ひとつのゲームをプレイするといった事例もあったという。

 場所の違いをどうARゲームに生かすかは難しそうではあるものの,リアルな場を共有して楽しむというのは,たしかにARならではの楽しみ方になるかもしれない。今後の開発に期待したいところだ。

Graffity公式Webサイト



香りが飛んでくる不思議なAR体験

アロマジョイン


 もうひとつ紹介したいのは,世界初という「デジタル香りコントロール装置」の開発を手がける「アロマジョイン」の機器「Aroma Shooter」と,その発展型デバイスだ。

左右にあるのがスタンドに取り付けたAroma Shooter。写真中央下側に見えるのは,新開発のネックバンド型ウェアラブルデバイス「Aroma Shooter Wearable」だ
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 最初のデモでは,すでに販売中のAroma Shooterを体験してみた。本製品の見どころは,名前のとおり香りが飛んでくるように吹き付けてくるところ。しかも,ほのかに香る程度ではなく,映像と連動してはっきりとした香りを嗅げるのだ。

Aroma Shooter
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 大人の事情により,映像は見せられないが,たとえば花が咲き誇る庭園の映像が流れると,かぐわしい花の香りがする。某ねずみポケモンが電撃を放つと,柑橘系の香りが飛んでくる。いかにも甘そうな溶けたキャラメルの映像では,むせかえるような甘い香りが漂うという具合だ。香りははっきりと感じ取れ,「これは花,これは柑橘系の香りかな?」と嗅ぎ分けられるくらいに鮮明だ。

 Aroma Shooterの中には,香りのカートリッジを最大で6個はめ込むことができる。この香りカートリッジは,ソフトウェアによって香りの放出タイミングや時間,香りの濃さなどを調整可能だ。かすかな香りや強い香りといった具合にコントロールできるうえ,複数の香りをミックスして放出することもできるとのこと。

Aroma Shooterのフタを開けた状態。香りの名前が書かれたカートリッジが6個入っていた
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 あるカートリッジから,別のカートリッジに切り換えて香りを変えるのにかかるタイムラグは,わずか0.1秒であるというのが,Aroma Shooterの大きな特徴ともなっている。
 今回のデモは,ビデオ映像のタイムラインに合わせて,任意のタイミングで一定時間,香りを放出するという比較的シンプルなものだった。しかし,アロマジョインが提供する開発キットを使えば,たとえばゲームで何らかのイベントが起きたとき,イベントの内容に合わせた香りを,必要な時間だけ放出するといった複雑な動作も可能であるとのことだった。

Aroma Shooterのデモは,iPad上で動くアプリで,映像のタイムラインに応じて任意の香りを指定した時間だけ放出するというシンプルなものだった
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 既存のAroma Shooterシリーズは,いずれも固定して設置するタイプの機器である。しかし,今回のイベントでアロマジョインは,ネックバンドスピーカーのように首へかけられるウェアラブル型製品「Aroma Shooter Wearable」を公開した。

Aroma Shooter Wearable
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 Aroma Shooter Wearableは,最大で6個の小型カートリッジを装着できる機器で,Bluetooth経由でスマートフォンと接続して,アプリ側から香りの放出を制御できるのが特徴だ。バッテリーで駆動するため,ユーザーは動き回れるのも重要な点だろう。

片側3個,左右合わせて6個のカートリッジをはめ込める
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Bluetoothで母艦となる機器とペアリングすると,先端が明るく青色に光る。装着しているのは,アロマジョイン代表取締役の金 東煜氏だ
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 たとえば,テーマパークで参加者にAroma Shooter Wearableを着用してもらい,アトラクション内で何かのイベントが起こるたびに,適切な香りを放出して臨場感を高めるといった使い方ができそうである。

 会場で説明を担当してくれたアロマジョイン代表取締役の金 東煜(キム ドンウク)氏は,同社の製品やソリューションが,すでに化粧品会社や家電メーカーなどに採用されていることに触れたうえで,香りはこれからの体験に重要であることを力説した。
 カートリッジの種類や数に左右されるとはいえ,Aroma Shooterは,たしかにはっきりと強い香りを感じられる。これまで筆者が体験したことのある香り体験用機器と比べても,香りのリアリティが高いので実用性もあるだろう。

 さすがに,一般のゲーマーが自宅に用意する機器になるか,と言われれば難しそうであるが,アトラクションや店頭での展示,あるいは映画館や劇場などで,香りを利用して臨場感を高めるといった用途には,すでに実用できるレベルにあるようだ。料理をするゲームで,調理中や完成時にいい香りがただよってくれば楽しさも増すだろう。あるいは,香りを嗅ぎ当てるゲームなんてものも,実現できるかもしれない。
 活用の場が広がることに期待したい技術と製品ではないだろうか。

アロマジョイン公式Webサイト

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