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印刷2015/03/07 17:12

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[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

Iulian Calinov氏(Lead Program Manager,Microsoft)
 GDC 2015の最終日である北米時間2015年3月6日,Microsoftはモバイルゲーム開発者を対象に,「Sustained Gaming Performance in Multi-Core Mobile Devices」(マルチコアCPU搭載モバイルデバイスで安定したゲームパフォーマンスを)というセッションを開催した。
 Microsoftが開催するセッションなので,念頭にあるプラットフォームは当然ながらWindows Phoneなのだろうが,内容自体はスマートフォン全般に適用できるものだ。ショートセッションなので情報は少ないものの,説得力のある興味深い内容だったのでレポートしよう。
 セッションを担当したのは,MicrosoftのリードプログラムマネージャであるIulian Calinov(ユリアン・カリノフ)氏である。


8コアCPU搭載スマートフォンの増加で

ゲームの発熱対策はさらに重要さを増す


 Calinov氏はまず,スマートフォン向けゲームでは,発熱対策を念頭において開発することが重要であると訴えた。曰く,「PCはファンを搭載する強力なグラフックスカードを搭載していて,発熱を気にする必要はないが,スマートフォンにはファンがない。したがって,発熱による限界が存在する」というのだ。
 発熱量と消費電力はほぼ比例するものであり,スマートフォンにおけるしきい値は5WになるとCalinov氏は述べる。つまり,CPUやGPUをフル稼働させてゲームの映像品質やフレームレートを向上させても,消費電力が5Wを超えてしまうと,発熱を抑えるためにOSがCPUやGPUの動作クロックを下げてしまうのだという。

スマートフォンにおける熱=消費電力の目安は5W。フルパワーでフレームレートを上げても発熱が増えれば性能は制約されてしまう,とCalinov氏
[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

 ゲーム開発者が熱の問題を強く意識しなければならない状況は,さらに強まっているとCalinov氏は指摘する。,英ARMの「big.LITTLE」構成を採用したCPUコアを8基搭載するSoC(System-on-a-Chip)の登場がその理由だ。
 「8コアのスマートデバイスは驚くべき性能を持っている。一方で,その発熱を抑えることは,開発者にとっての大きなチャレンジといえる」(Calinov氏)。
 氏によれば,典型的なbig.LITTLE構成のSoCをフル稼動させると,9Wというスマートフォンの枠を超えた電力を消費してしまうということだ。

棒グラフの左側は,典型的なCPU 4基のSoC,右側がbig.LITTLE構成SoCにおける消費電力を示したもの。フル稼動では9Wもの電力を消費するが,スマートフォンである以上,5Wという制限は変わらない
[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

 Calinov氏は,性能を追求しすぎるのは発熱だけでなく,バッテリー駆動時間にも悪影響を及ぼすと指摘する。「ゲームで遊んでいたら2時間しかバッテリーが持たなかったというのでは,ユーザーに不便を強いることになる」というわけだ。

 そこで,Calinov氏が挙げた最も効果的に消費電力を抑える手法とは,フレームレートを抑えることだった。
 下に掲載したスライドは60fpsを目標に作成されたゲームと40fpsを目標に作成されたゲームの,実際のフレームレートを示したものだ。60fpsを目標にしたゲームは,スマートフォンの温度が低い動作開始後しばらくの間は,高いフレームレートで表示ができている。しかし,消費電力が大きいため温度が上がってしまうため,時間とともに動作クロックが引き下げられてしまい,フレームレートは30fps台に下がってしまった。
 それに対して,40fpsを目標に作成されたゲームは,消費電力が抑えられるため安定したフレームレートが維持できている,というわけだ。

右が60fpsのゲームで,左が40fpsのゲームを動作させたときのフレームレートを記録したグラフ。発熱の影響で,60fpsのゲームは動作クロックが引き下げられてしまうので,フレームレートも下がってしまう
[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

 フレームレートを抑えたゲームは,温度の上がり方も緩やかになるという。次のスライドはスマートフォンの前面(front)と背面(back),両側面(side),そして環境温度(amb)の変化を記録したものだ。Calinov氏はグラフを示しながら,フレームレートを40fpsに抑えたゲームのほうが,温度上昇がゆるやかであると,その違いを説明した。

左が60fps,右が40fpsのゲームを動作させたときの温度グラフ。縦軸が温度で,横軸が経過時間を示しているが,40fpsのほうが温度のカーブがゆるやかなのが見てとれる
[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

 こうした実例を示しつつ,Calinov氏は,「たとえば,30fpsに抑えると,60fpsに対して40%も消費電力が低減できる」と述べて,ゲームのフレームレートはユーザー体験を損なわない範囲でできるだけ抑えるべきであると訴えていた。


LTEによる通信もスマートフォンの温度を上げる


 Calinov氏は,フレームレートを抑えること以外にも,消費電力を抑えるキーポイントをいくつか挙げている。たとえば,CPU負荷を抑えるのには「マルチスレッド化が効果的」(Calinov氏)であるという。シングルスレッドでCPUコア1基に処理を集中させるよりも,マルチスレッドにして複数のCPUコアで分散処理をさせたほうが,結果的に消費電力や発熱は下げられるそうだ。

 また,Calinov氏は「LTE通信もコストが高い」と指摘する。LTEで通信すると,それだけで1.5Wも消費してしまうというのだから当然だろう。対策はシンプルで,「不要な通信は行わないこと」とのこと。また,通信が必要な場合でもWi-Fiが使えるなら,Wi-Fiで通信することが消費電力の点で最も有利であるともアドバイスしていた。

Calinov氏が挙げた,スマートフォン向けゲームで消費電力を抑えるキーポイント
[GDC 2015]スマホに8コアCPUが載る時代のモバイルゲーム開発は「熱対策」が鍵に

 以上がCalinov氏によるセッションの概要となる。スマートフォン向けゲームを作り慣れているゲーム開発者であれば,常識の部類に入る話かもしれないが,発熱の問題がスマートフォン向けゲームの快適さや表示品質を左右していることがよく分かるセッションだった。
 これからスマートフォン向けゲーム開発に取り組もうと考えている人は,Calinov氏のアドバイスを念頭に置いて開発すると,ユーザーに優しいゲームを作れるかもしれない。

GDC公式Webサイト

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