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ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた
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印刷2013/08/10 00:00

レビュー

ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。入力遅延を徹底検証

HORI ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA

Text by アール

ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA
メーカー:HORI
問い合わせ先:製品サポートページ
定価:1万5800円(税込)
画像集#001のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた
 HORIのPlayStation 3用新作アーケードスティック「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」(以下,WRAP)が,2013年8月3日に発売された。WRAPは,同社のフラッグシップ製品であるアーケードスティック「リアルアーケード Pro.V3 SA」(以下,V3SA)をベースに,さらにBluetoothによるワイヤレス接続にも対応した,ワイヤレス/ワイヤード両対応の製品だ(関連記事)。

 業務用パーツを使ったアーケードスティックでは,初のワイヤレス対応製品ということで,使い勝手が気になっている人は少なくないハズ。とくに,ワイヤレス接続によるケーブルレス環境に魅力を感じる人にとっては,遅延の具合が気になるところだろう。本稿では,ワイヤレス接続時の遅延にフォーカスを当て,使い勝手を検証してみたので,その結果をレポートしてみたい。


使い勝手の良さはV3SA譲り。ペアリングも簡単に行える


 ワイヤレス接続の検証を始める前に,まずはWRAPの基本部分について,あらためて紹介しておこう。冒頭でも述べたとおり,WRAPのベースは,同社のフラグシップ製品であるV3SAだ。そのため外観などは,ほぼV3SAのそれを踏襲した形状となっている。あえて違いを探すとすれば,赤から青ベースに変わった天面デザインの配色と,天面左下に描かれたロゴマークくらいのものだろう。なお天面右上に配置された設定パネルにも若干の変更があるが,これについては後述する。

天面上部からの写真。[START]ボタンが主要8ボタンの右側に配置されている。左下にはWRAPの製品ロゴがデザインされている
画像集#002のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 では中身はどうなのかといえば,これもV3SAと変わらない。型番に「SA」とあることからも分かるように,レバーとボタンは三和電子製の汎用パーツが採用されている。ボタンは「OBSF-30」と「OBSF-24」,レバーは「JLF-TP-8YP-SKU」で,いずれもゲームセンターでお馴染みの,ド定番部品だ。
 なおボタンレイアウトは,タイトーの汎用筐体「VEWLIX」準拠である。

本体背面にはUSBケーブルの収納ボックスが用意されており,ケーブルを収納することでスマートに持ち運べるようになっている。この辺りもV3SAと変わらない
画像集#011のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 ワイヤレス対応のためか,重量こそV3SAから0.1kg増えた2.3kg(公称値)となっているが,実際に触ってみてもV3SAとの違いを感じるのは難しい。端的に述べて,ワイヤード接続時の使い勝手は,ほぼ同一と考えてよいだろう。

同梱のマニュアルより。ペアリングの方法
画像集#014のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた
 では,ワイヤレス接続時はどうか。
 WRAPをワイヤレス接続する場合には,PlayStation 3の標準コントローラである「DUALSHOCK 3」と同様,最初にPlayStation 3本体とのペアリングを行う必要があり,まずこの部分の手順が気になるところだろう。WRAPでは,この操作に2つの方法――「Bluetooth標準ペアリング」と「シンプルペアリング」が用意されていて,比較的簡単にペアリングが行える。
 Bluetooth標準ペアリングでは,通常のBluetooth機器と同じくPlayStation 3の設定メニューから設定を行うことになるが,シンプルペアリングの場合は,設定パネルからモードをBlutoothに切り替えたうえで,本機をPlayStation 3とワイヤード接続し,[PS]ボタンを押すだけという簡便さだ。
 ただし,本機をワイヤレス接続で使う場合には,PlayStation 3のシステムソフトウェアのバージョンが4.40以上である必要がある。たいていの場合は自動でアップデートされているだろうが,場合によっては確認が必要かもしれないので,念のため頭に入れておきたい。

[PS]ボタンや[SELECT」ボタン,またスティック機能切替,連射速度切替,SELECT/START切替などのスイッチなどが並ぶ設定パネル。ワイヤレス接続に対応したことで,Bluetooth/USB切り替え用のスイッチが新設されている。なおBluetooth接続時には,[PS]ボタンによるPlayStation 3本体の起動にも対応する
画像集#003のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 筐体内部の構造は,以下のとおり,写真で簡単に紹介するに留めるが,ワイヤレス接続に対応するための基板とバッテリーが追加されているのが分かるだろう。基板とバッテリーは強固に接着されているため,簡単に取り外すことはできなかったが,0.1kgの重量増は,おそらくこの部分によるものと思われる。

下段の2枚がワイヤレス基板とバッテリー。基板ごととりはずして裏返してみたが,Blutoothのチップなどを確認することはできなかった
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 なおメーカー公称値によれば,このバッテリーで30時間の連続使用,300回の繰り返し充電が可能とのことである。300回というと若干少ないように思えるが,HORIによれば,これは満充電と完全放電を繰り返した場合の回数とのことで,一般的な使用においてはもう少し長く使えるとのことだ。

【主な仕様】
  • 寸法 全長 約430mm x 奥行き 約240mm x 高さ 約125mm (※突起部分含まず。仕様は仮のものです。)
  • 重量 約2.3kg
  • ケーブル長 約3.0m
  • Bluetooth無線通信距離 約10m以内 (※周囲の状況により通信距離が短くなることがあります)
  • バッテリー動作時間 約30時間 ( ※使用環境によって変わります)
  • 充電時間 最大 約10時間
  • 充電電池容量 2100mAh
  • 同時使用可能数 最大7台


ワイヤレス接続は使い物になるか?


 それでは,いよいよワイヤレス接続時の遅延検証に移っていこう。とりあえずは,実際にWRAPを使ってゲームをプレイし,体感できる遅延があるかどうかを試してみることにした。今回はテスト用にWRAPを2台用意できたので,一方をワイヤード接続,もう一方をワイヤレス接続し,交互にプレイしながら違いを比べてみようという算段だ。

 なおテストには,筆者の独断でカプコンの「スーパーストリートファイターIV」を使用した。使用キャラクターは,これまた筆者の持ちキャラであるガイを用い,トレーニングモードを小一時間ほどプレイしてみている。

1P側をワイヤード接続,2P側をワイヤレス接続し,交互に同じキャラをプレイしてみた
画像集#004のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 ……違いが分からない。

  シビアな目押しコンボや,体感フレーム消費が必要なセットプレイなどを,1P2Pを入れ替えつつ繰り返し試してみたのだが,明確に一方が遅延しているという感触は,ついに感じることができなかった。もちろん,どちらも大会などで使用するにあたり,何ら問題のないレベルでだ。これはひょっとすると,遅延がない,もしくはあったとしても1フレーム(約16ms)以内なのでは……?

 というわけで,より正確なデータを取るべく,以下のようなテスト環境を構築してみた。

テスト環境
画像集#005のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 少し説明が必要だろう。
 配線を辿ってもらえると分かるのだが,これは1P側の弱パンチボタンに,ワイヤード接続したWRAP(1P側)とワイヤレス接続したWRAP(2P側)の配線を多重接続したものである。内部的な配線によって,2台のWRAPへ同一のタイミングで信号を送ることになるため,この状態で1P側の弱パンチを押せば,1Pと2Pが同時に弱パンチを繰り出すこととなる。つまり,遅延がないなら,双方が殴り合えば,必ず相打ちが発生することになるわけだ。

 もし2台のコントローラ間に遅延が少しでもあった場合,遅延の少ないほうの技が一瞬早く出るため,そのコントローラが接続された側のキャラクターが,一方的に勝つことになる。ただしゲームが60fpsで動いている以上,ゲーム側はコントローラからの入力を1フレーム単位でしか解釈できない。そのため,(遅延の具合にもよるが)実際には常に一方が勝つわけではなく,「一方的に勝ったり,相打ちになったり」という現象になると思われる。

 つまりどちらが勝ちやすいかを検証する必要があるわけで,今回は同時押しボタンを使って技を100回出し合い,相打ちがどのように発生するかを調べてみることにした。なおテスト時の詳しいプレイ環境,そしてテスト結果は以下のとおりだ。

使用ゲームタイトル:スーパーストリートファイターIV
ゲームモード:トレーニングモード
使用キャラクター:ガイ(1P/2Pとも)
1P側:ワイヤード接続WRAP
2P側:ワイヤレス接続WRAP
同時押しボタン:中パンチに設定



相打ち:84回
1P側のカウンターヒット:10回
2P側のカウンターヒット:6回

 なんと,ほとんど差がない結果になってしまった。100%の相打ちではないため,遅延が完全にないというわけではなさそうだが,あったとしてもごくごく僅かな差であると思われる。ワイヤード接続である1P側の勝利回数が若干多いものの,有意な差とは言いがたい印象だ。なお,念のため1Pと2Pの接続方法を入れ替えた――つまり1P側がワイヤレス接続,2P側がワイヤード接続の環境でもテストを行ったので,そちらの結果も掲載しておこう。

相打ち:77回
1P側のカウンターヒット:10回
2P側のカウンターヒット:13回

 以上の結果からも,やはり遅延はほぼないものと結論づけてよさそうである。



遅延のないワイヤレス接続機能がついてプラス3000円なら十分に買い。トーナメントシーンへの普及にも期待


画像集#010のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた
 正直なところ,今回のテストに臨むにあたり,筆者はワイヤレス接続時の遅延があることを前提に考えていた。むしろ,厳密なテストを行わずとも,少し触ればすぐに答えは出るはずで,その部分をどう読者に伝えたものか悩んでいたくらいである。なにしろ,今回のような同時押し配線によるテストでは,遅延の有無は明らかにできるものの,遅延の度合いを数値化することまではできないのだ。結局のところ,体感できる差があるかどうかなのではないか。

 しかし,そんな懸念はまったくの杞憂に終わった。WRAPは実用レベルで遅延のないワイヤレスアーケードスティックであり,これまでケーブルの存在に悩まされていたプレイヤーにとっては,かなり価値のある製品といって過言ではない。問題は,定価にして1万5800円(税込),実勢価格で1万3000円前後(※2013年8月8日現在)というコストをどう見るかだが,ゲーム機の周辺というのは,どうしてもケーブルが増えていくもの。通常のV3SAが1万円弱の価格であることを計算に入れても,3000円程度の価格差であれば十分にアリなのではないだろうか。

 なお今回はあまり時間が取れなかったため,Bluetoothの到達距離に関して突っ込んだテストはできていないが,本体から数メートル離れたくらいでは,操作感に違いを感じることはなかった。少なくとも一般的な日本の室内であれば,距離が問題なることはまずないはずで,たとえばベッドの上から数メートル先の大画面テレビの格闘ゲームをワイヤレスで遊ぶことも不可能ではなくなるだろう。

画像集#015のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた 画像集#016のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

 しかし,これがトーナメントシーンで使えるかというと……それはまた別の話だ。多くのプレイヤーが,入れ替わり立ち替わりでコントローラを接続していくトーナメントの現場では,ワイヤレス接続のコントローラというのは,なかなかにトラブルを招きやすい存在だからである。WRAPのシンプルペアリングは確かに簡単ではあるものの,それなら最初からワイヤード接続したほうがスマートといえる。
 しかし筆者の経験から言うならば,トーナメントシーンでのワイヤレスコントローラには,1つ大きなメリットがある。……負けた瞬間,すぐさまその場から立ち去れるのだ。仮に観客がいようがいまいが,負けたときには1秒でも早く消えさりたいのが選手の心理というもの。そんなときに,ケーブルを回収することなく席を立てるというのは,かなり大きい。WRAPの発売を期に,ワイヤレスコントローラを使用した場合のスームズな運営進行が普及してもらえたら,筆者としてはこれほど嬉しいことはない。

 とにもかくにも,ワイヤレス=遅延というこれまでの固定観念を打ち砕いてくれたWRAPは,アーケードスティックの新たな可能性という意味においても,価値のある製品だ。アケコンの購入を考えている人は,選択肢に入れておいて損はないだろう。

画像集#013のサムネイル/ワイヤレスアケコン時代がついに到来か。HORI製「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」の遅延を徹底検証してみた

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「ワイヤレス リアルアーケード Pro.V3 SA」製品ページ

HORI公式サイト

  • 関連タイトル:

    ファイティングエッジ,リアルアーケードPro.

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