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吉田修平氏の基調講演後編。2012年「Gravity Daze」から今年「Beast of Reincarnation」まで,16作品の共創例を紹介[CEDEC 2026]
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印刷2026/07/29 15:23

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吉田修平氏の基調講演後編。2012年「Gravity Daze」から今年「Beast of Reincarnation」まで,16作品の共創例を紹介[CEDEC 2026]

 ゲーム開発者会議「CEDEC 2026」で2026年7月22日,yospの吉田修平氏による基調講演「私が出会った素晴らしいゲーム,クリエイター,そしてその創造性について」が行われた。

 同セッションでは,インディーゲーム界隈でアドバイザーとして活躍する吉田氏が,初代PlayStationから現在までに,自身が関わったゲームタイトルおよびクリエイターについて振り返った。
 なお,講演中に吉田氏が言及した全26タイトルのうち,前半の10タイトルに関しては,すでに別記事として掲載している。

 本稿は,後半の残り16タイトルについてのレポートとなる。

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 国内最大級の開発者向けカンファレンス「CEDEC 2026」が2026年7月22日に開幕した。本稿では,yospの吉田修平氏が,初代PlayStationから現在までに自身が関わったゲームタイトルおよびクリエイターについて振り返った講演を,ダイジェストでお届けする。

[2026/07/23 18:17]

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吉田修平氏
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 吉田氏は1986年にソニーへ入社後,1993年に当時のソニー・コンピュータエンターテインメント(SCE)に設立メンバーとして参画した。

 1996年にはSCEがパブリッシングするゲームの開発にプロデューサーとして携わるようになり,2000年にはアメリカのゲーム開発部門責任者,2008年にはワールドワイド・スタジオ プレジデント,2019年にはインディーズ イニシアチブにそれぞれ就任。

 2025年にソニー・インタラクティブエンターテインメント(SIE)を退社し,自らが代表取締役を務めるyospを設立して現在に至る。


■「Gravity Daze」(2012,PS Vita)
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 2011年12月にリリースされた携帯ゲーム機「PlayStation Vita」(PS Vita)の開発には,ワールドワイド・スタジオに在籍していたゲーム開発者たちの意見が多数盛り込まれた。

 とくにJAPANスタジオは,提供されたプロトタイプのハードを使ってゲームを開発し,それをもとにハード開発者と議論を交わしていたそうで,吉田氏自身もPS Vitaには思い入れがあると語る。

 中でも「Gravity Daze」のディレクションを手がけた外山圭一郎氏は,チームに大きな方向性を提示した。
 メンバーそれぞれのクリエイティビティと解釈を用いた提案を求め,最終的に自身の判断で採用するか否かを決めていったとのこと。

 本作はリリース後の評判が非常によく,シリーズ化も決定したが,会社の方針などもあり,続編のプラットフォームはPS4に移行することとなった。しかし,PS4のコントローラパッド「DUALSHOCK 4」を用いた操作では,PS Vitaならではの体験に最適化された「Gravity Daze」本来のよさの一部を再現できず,吉田氏は残念に思ったそうだ。

 その後,JAPANスタジオは2021年4月の組織再編で実質的に消滅する。吉田氏によると,外山氏ら同スタジオに所属していたクリエイターは,クリエイティブなアイデアを創出する半面,企画の規模があまり大きいものではなく,AAA規模にスケールするのが難しかったという。
 会社からは「God of War」や「アンチャーテッド」のような,ハードを牽引するAAAタイトルが求められていたため,外山氏らが新しいアイデアを提案してもなかなか実現に至らなかったとのこと。

 それから時が流れて,吉田氏は,外山氏や「パタポン」シリーズを手がけた小谷浩之氏ら,かつてのJAPANスタジオを離れた人材が今ではインディーゲームを手がけるようになり,マルチプラットフォームで新作が提供されていることへの喜びをあらわにした。


■「風ノ旅ビト」(2012,PS3)

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 吉田氏が,自身が関わってきた中でもっとも誇らしいタイトルを問われたとき,名前を挙げるのが「風ノ旅ビト」だという。

 本作はPS3のリリース時に,PSネットワーク(PSN)で配信するためのオリジナルゲームを作るべく立ち上げられたプロジェクトの1つで,サンタモニカスタジオの一角にアメリカ・南カリフォルニア大学(USC)の卒業生のチームを招聘したとのこと。本作は同プロジェクトにて世に出た3タイトルのうち,最後の1本であった。

 チームの中でも,Jenova Chen(ジェノヴァ・チェン)氏のゲームデザインは,それまでのゲームクリエイターとは一線を画しており,「プレイヤーにどんな気持ちを抱いてほしいか」を重視したそうだ。
 本作では,プレイヤー間のトラブルが発生しやすいオンラインゲームであっても,誰もがハッピーになれるゲームデザインを大きなテーマの1つとして掲げた。それともう1つの大きなテーマは,ゲームプレイを通じて人の一生を描くことだった。

 本作をオンラインプレイしていると,途中でほかのプレイヤーキャラクターと出会う。プレイ中はテキストや音声でやり取りすることができないため,意思疎通は自身の行動を通じて行う。
 行動をともにするのも,途中で別れるのもプレイヤーの自由だが,ゲームクリア後には出会った相手のPSN IDが表示され,プレイヤーはそこで初めて誰とマッチングし,一緒に遊んだのかを知ることになる。

 本作は第16回D.I.C.E.アワードでGame of the Yearに選出されたことを筆頭に,2012年にリリースされたタイトルを対象とするゲームアワードにてさまざまな賞を獲得した。Chen氏のもとには,ファンの1人から「本作をプレイすることで,父を亡くした悲しみを乗り越えられた」という旨のメッセージも寄せられたそうだ。

 吉田氏は「新しいゲームを通じて人の気持ちを動かし,その人の人生にポジティブな影響を与えることができる。しかも小さなチームが作った小さなゲームで,それを実現できる。その開発に少しでも貢献できたことを誇りに思う」と話していた。


■「サウンドシェイプ」(2012,PS3 / PS Vita)

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 「サウンドシェイプ」もまたPSNで配信されたタイトルだ。ベースはステージ制のリズムアクションゲームで,ステージに配置されたノートを取ると音が増え,楽曲として構築されていく。

 かつてはプレイヤーがステージを作り,シェアできるオンラインサービスも提供されていた。吉田氏はそうしたクリエイティブな面をもって,本作を一番好きなPS Vitaタイトルに挙げているとのこと。


■「Bloodborne」(2015,PS4)

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 「Demon's Souls」でのすれ違いがあったものの,「Bloodborne」で吉田氏はフロム・ソフトウェアの開発タイトルを再びプロデュースすることとなった。吉田氏は本作を,宮崎英高氏の手がけた一連のアクションRPGの中でも最高傑作の1つと評する。

 また自身の一番誇らしかった体験の1つとして,YouTubeのPS公式チャンネルにて配信された動画内で,本作のやり込み要素「聖杯ダンジョン」の強ボス「旧主の番犬」の討伐に初めて成功したことを挙げた。

 吉田氏は,本作のファンが熱望するリマスター版やPC版,あるいは続編がリリースされていない理由を「謎」と表現。1ファンとして,続編が作られることを願っていると口にした。


■「PlayStation VR World」(2016,PSVR)

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 吉田氏はPlayStation VR(PSVR)の開発にも関わった。その始まりは草の根活動のようだったと述べる。

 PS3時代,吉田氏はサンタモニカスタジオに出向いた。「God of War」チームが作ったVR試作機を装着したときは,「God of Warの世界の中にいる!」と感動するとともに,目線を下げると,自身の身体がクレイトスになっていることに衝撃を覚えたという。

 PSVRが製品化したときは,吉田氏自身もプロモーション活動に加わったが,とくに「PlayStation VR World」のデモ体験者が,サメに襲われるときの反応が楽しかったそうだ。
 また,当時はOculusやValveのメンバー,ゲームクリエイターとデモを見せ合い,VRに関する情報交換をしていたことも明かされた。


■「Rez Infinite」(2016,PS4 / PSVR)

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 「Rez Infinite」は,リズムシューティングゲーム「Rez」をVRに対応させ,新ステージ「Area X」を追加したタイトルである。

 壇上では,本作を手がけた水口哲也氏が,画面の枠という制約をようやく乗り越えられた旨を語っていたことや,Oculus(当時)のPalmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏が本作に感動し,プレイ中に涙を流したといった逸話が,吉田氏より紹介された。

 また「サマーレッスン」を手がけた原田勝弘氏や,「バイオハザード7 レジデント イービル」のVR対応を主導した竹内 潤氏らが,熱意をもってVRコンテンツに取り組んでいたことにも言及した。


■「人喰いの大鷲トリコ」(2016,PS4)

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 上田文人氏の前作「ワンダと巨像」から,実に11年を経てリリースされた「人喰いの大鷲トリコ」は当初,PS3向けに開発されていた。公開されたデモ映像も仕上がりがよく,世界中のファンから期待が集まったが,その裏ではPS3上だとまったくパフォーマンスが出ない事態に陥っており,水面下でPS4に移行することが決まったとのこと。

 そのため,本作の公式情報は長い期間にわたり出されなかったのだが,その間も吉田氏は,インタビューなどで必ずといっていいほど,本作に関する質問を受けていたそうだ。

 吉田氏は「上田氏に限らず」と前置きしたうえで,「ゲームクリエイターは,自分で作っているものの欠点がずっと見えてしまう。プレイヤーがほとんど気づかないようなことでも,どうしても直したい,よくしたいという思いが最後の最後まである」と説明。
 結局,直したい部分の一部を上田氏に我慢してもらうことで,本作のリリースにこぎ着けられたと話した。


■「Astro Bot: Rescue Mission」(2018,PSVR)

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 吉田氏によると,Team ASOBIのディレクターを務めるNicolas Doucet(ニコラ・ドゥセ)氏は,カメラ入力を用いたゲームの開発に長らく取り組んでおり,やがて日本でPlayStationのハード開発とワールドワイド・スタジオの架け橋になった人物だという。

 その流れで,PS4の「The Playroom」や,PSVRの「The Playroom VR」の開発を手がけることとなったそうだ。

 「Astro Bot: Rescue Mission」は,「The Playroom VR」の中に用意されたゲームの1つをフルサイズに仕上げたタイトルで,吉田氏はDoucet氏のチームを「非常に優秀でクリエイティブ」と評した。


■「Fall Guys」(2020,PS4 / PC)

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 吉田氏は,2019年末にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)でインディーズ イニシアチブに就任し,それまで以上にPlayStation対応のインディーゲームに深く関わることとなった。
 中でも「Fall Guys」は,PlayStationのパートナータイトルの1つで,吉田氏の記憶に強く残っているという。

 本作は,最大60人のプレイヤーがミニゲームや障害物レースで腕を競い合い,最後の1人を目指すというものだ。リリース当時,吉田氏は毎朝プレイして,1位になった,もしくは1位を取れそうだったときに,PS4の機能を使って最後の1分間だけを録画し,SNSに投稿していた。

 1位になったかどうかは動画を最後まで見ないと分からないため,吉田氏のフォロワーは連日ハラハラしていたそうだ。


■「Ghost of Tsushima」(2020,PS4)

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 「Ghost of Tsushima」は,吉田氏がファーストパーティとして関わった最後のタイトルの1つとのこと。デベロッパのサッカーパンチ・プロダクションズからは,大好きな日本映画のような映像で日本を舞台にしたゲームを作りたいという申し出があったそうだ。

 その一方で,サッカーパンチ・プロダクションズには「日本のプレイヤーに,変な日本を描いていると思われたくない」という気持ちもあったため,日本のローカライズチームが全面的に協力したという。結果,日本のプレイヤーからも大きな支持を受けるタイトルとなった。

 ちなみに本作は,海外で作られたPlayStation向けタイトルとして国内で100万本セールスを達成しているが,これは「クラッシュ・バンディクー3」以来の記録になったという。


■「Stray」(2022,PS5 / PS4 / PC)

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 「Stray」は,元Ubisoftのアーティストを擁するBlueTwelve Studioが開発したインディーゲームで,ベースとなったのは同スタジオのアセットを販売するためのプロモーション映像だったという。

 その映像は,サイバーパンク化した香港のような都市の中を猫が歩いているという内容で,それを観たパブリッシャのAnnapurna Interactiveのスタッフが「ゲームにするべきだ」と提案し,人材を集めたとのこと。本作もPlayStationのパートナータイトルだった。


■「Synapse」(2023,PSVR2)

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 「Synapse」は,銃などの武器とテレキネシス(念力)を使って敵を倒していくVRアクションシューターだ。

 本作はPSVR2のアイトラッキング機能を用いて,対象を見るだけでエイミングし,テレキネシスで空中に飛ばして銃で撃つといったことが可能だ。本当に超能力者になったかのような気分を味わえることで,PSVR2タイトルの中では吉田氏が最も気に入っているとのこと。


■「Stellar Blade」(2024,PS5)

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 吉田氏がSIEのサードパーティリレーションズから要請を受けて,SHIFT UPへの訪問に同行したときに見せられたのが,「Stellar Blade」のプロトタイプだったという。

 同スタジオ代表のキム・ヒョンテ氏は,幼少の頃から親しんできたPlayStationで,ハイエンドな3Dゲームをリリースしたいと話したそうだ。吉田氏もまた,本作に可能性を感じたため,SIEからのリリースを推薦したとのこと。それについて「サードパーティリレーションズのスタッフの思惑どおりの結果となった」とコメントした。

 また続編の「Stellar Blade BLOOD RAIN」や,三上真司氏が率いるUNBOUNDがSHIFT UPの傘下に加わったことにも期待を示していた。


■「九日ナインソール」(2024,PC)

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 「九日ナインソール」は,いわゆるメトロイドヴァニアだが,フロム・ソフトウェアの「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」に強く影響されており,道中で遭遇する敵の攻撃を「弾き」で無効化しつつ攻略していく。

 吉田氏は,ボスの動きを覚えて,相手の攻撃をうまく弾いて倒していくことが非常に楽しい体験だったとし,「2024年にリリースされた中で一番好きなタイトル」と評していた。


■「Clair Obscur: Expedition 33」(2025,PC / PS5 / Xbox Series X|S)

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 「Clair Obscur: Expedition 33」を開発したSandfall Interactiveは,これまでさまざまなカンファレンスで開発手法を公開してきた。

 その中でも吉田氏は,Unreal Engine 5のBlueprint機能を活用するなどの工夫により,小規模チームでもスタッフの役割をしっかり分担し,優れたゲームを作り出したことに着目した。加えて,パブリッシャのKepler Interactiveとの協力体制にも言及した。


■「Beast of Reincarnation」(2026,PC / PS5 / XBOX Series X|S)

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 「Beast of Reincarnation」(2026年8月4日発売)のパブリッシャ・Fictionsは,吉田氏がアドバイザーを務めている。その関係で,ゲームディレクターの古嶋康太氏が,納得のいくまでFictionsのスタッフと入念な議論を重ねつつ,本作の開発を進めてきた姿を見てきたという。

 なお,吉田氏はすでに製品相当のバージョンをプレイしているとのことで,「すごく楽しい」と感想を述べた。

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 講演の最後,吉田氏はCEDEC 2026のテーマ「Co-Create(共創)」に改めて触れつつ,「これからも世界のインディークリエイターをサポートして,一緒に新しいものを世に出していく」と意気込みを見せた。

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