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[GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法
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印刷2024/03/20 16:12

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[GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 サンフランシスコで開催中の「Game Developers Conference 2024」で「FINAL FANTASY XVI: Wrangling Complexity to Deliver Top-Quality」という講演が行われた。これは,「FINAL FANTASY XVI」(以下,FF16)の映像表現を紹介する内容で,スクウェア・エニックスでリード テクニカル アーティストを務める岩渕栄太郎氏によって語られた。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 FF16には300シーン以上におよぶ膨大な量の映像コンテンツがあり,そのワークフローはかなり複雑だったという。そこで最初に制作チームがやったのは,作業プロセス全体を0から11のレベルに分類し,各レベルのタスクを徹底的に可視化/具体化することだ。

 レベル0ではシナリオの作成,課題の特定,ナラティブ会議の準備が行われる。レベル1ではナラティブ会議で各シーケンスの方向性と問題点を議論。レベル2でナラティブガイドラインのテストを実施し,ストーリーボードを作成,エフェクトの発注も行った。

 レベル3では演出を決定し,アニメティックスでカメラワークを確認したうえで,シナリオを各言語でチェック。一時的な実装でディレクターが全体像をイメージできるようにする。ここでモーションキャプチャの準備が整えられるという。

 そしてレベル4でモーションキャプチャが実施され,レベル5でメインの制作フェーズになる。ここでモーションキャプチャデータの実装とカメラのセットアップを行ってレイアウトを確定し,アニメーション,エフェクト,ライティング,音声の各担当に制作を指示するという。

 レベル6でレイアウト時のキャラクター設定,レベル7でボスキャラクターの調整,レベル8で全アセットの最終調整と製作総指揮の監督レビューが入る。レベル9でアニメーション,エフェクト,ライティングのブラッシュアップ作業が行われ,レベル10で音声の最終調整,振動設定,さらにライティングの作業が始まる。レベル11で再び監督の最終確認を経て,納品となるそうだ。

 このようにタスクをレベル分けして徹底的に可視化/具体化したことで,各工程の進捗を常に把握できるようになり,発生した問題への対処が迅速に行えるようになったという。

 映像制作で使われたツールとテクニックも紹介された。

Cut Editor


 Cut Editorは,FF16の映像シーンを作成するためにスクウェア・エニックスが独自に用意した専用ツールだ。タイムラインにさまざまな特殊クリップを配置し,細かいシーン設定ができる。

 たとえば「武器構え切替」クリップでは,戦闘時と非戦闘時の武器の付け根の位置を指定でき,「素材変更」クリップでキャラの手のひら素材を「汚れ」「濡れ」「ダメージ」などに変更可能だ。「低速度」クリップで時間の流れを調整でき,その値を0にすることで動きを完全停止できるが,アニメーションや音声には影響しない。ほかにも「フェイスキャップ」「Bonmik風」「キャラ可視化」など,さまざまな特殊クリップが用意されている。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法


DCCツールとの連携


 モーションキャプチャデータや環境データは主にDCCツール(Maya,MotionBuilderなど)で作成されるが,ゲームエンジンで必要なデータはCut Editor内で設定する必要があるという。つまり,DCCツールとCut Editorを密に連携させることが重要となるわけだ。そのため,DCCツールで設定したキャラクターのセンター位置や武器の構え動作のタイミングを,Cut Editorに出力できるツールを新たに開発した。
 また,ゲームの広大な環境データはDCCツールでは一度にロードできないため,参照する範囲を指定してFBXデータに出力,DCCツールに読み込むといった工夫が行われている。

画像集 No.003のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 モーションキャプチャでは表現できない動作は,DCCツールで作成したモーションにメタデータを埋め込み,Cut Editorで挙動を上書きするといった対応が取られた。このように,制作の効率とデータフローを最適化するため,双方のツールの長所を組み合わせるさまざまな仕組みが構築されたという。


特殊な映像演出


 FF16の映像には,以下のようなさまざまな特殊な演出が施されている。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

・涙の表現
 通常は実装後にフェイシャルアニメーションとVFXエフェクトを並行して制作するが,涙の演出ではそのワークフローが変更された。なぜそのようにしたかと言うと,フェイシャルアニメーションが決まらないと涙の軌跡が定まらないからだそうだ。
 そのため,フェイシャルアニメーションを先に作り,それに合わせてVFXエフェクトを作成するという,ステップ形式のワークフローが採用された。

 具体的なプロセスは以下の通りだ。

(1)顔にキャプスチャリングテクスチャを割り当てる
(2)ペイントエフェクトツールで涙の軌道カーブを作成
(3)カーブを好みの形状に編集
(4)カーブを顔に合わせる
(5)モーションパスに合わせてVFXガイドジョイントを動かす
(6)VFXガイドジョイントのアニメーションをCut Editorにエクスポート
(8)Cut Editorで涙のVFXを追加し,軌跡やテクスチャを調整

 このようにフェイシャルアニメーションに合わせて段階的にVFXを構築することで,より自然な涙の表現を実現したという。

・風の表現
 キャラクターの髪の毛などに反映される微細な風の動きを表現するため,物理ベースのBonamikシミュレーションとバーテックスアニメーションの組み合わせが用いられた。まずBonamikでおおまかな動きを作り,さらにバーテックスアニメーションで細かいノイズを加えることで,より自然な風の表現を実現したという。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 一方で,Bonamikシミュレーションでは再現が難しい複雑な場面の場合は,Bonamikをすべてオフにし,ハンドメイドのアニメーションのみで表現するといった対処がとられた。ゲームエンジン上ではBonamikの表現が不完全な部分もあるため,DCCツールでBonamikの結果を出力し,アニメーションをリタッチする手法も取られたという。

Bonamikはスクウェア・エニックスが開発したボーンベースでシミュレーションするエンジン
画像集 No.006のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

・止まる/動くオブジェクトの表現
 FF16の一部場面では,止まっているオブジェクトと動くオブジェクトが混在している。通常の「低速モーション」クリップでは全オブジェクトが同じ速度変化になってしまうため,止まる/動くオブジェクトを個別に制御できない。そこで特殊な処理が施された。

画像集 No.007のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 止まるキャラは,DCCツールでアニメーションを停止,ダイナミクスとバーテックスアニメーション,UVスクロールをオフにし,動くキャラはそのまま動作させる。
 エフェクトも同様に,止まる部分と動く部分が分けて作成された。さらに,Bonamikやバーテックスアニメーションの動きを打ち消すレンズを使うなど,緻密な調整を行ったそうだ。

・ハイブリッドレンダリング
 リアルタイムレンダリングだけではパフォーマンスの問題から一部の高負荷シーンが描けなかった。だが,プリレンダリングだけでは画質が落ちる可能性がある。そこで「ハイブリッド」と呼ばれる手法が取られた。

 これは,リアルタイムレンダリングでキャラクターと背景を描き,プリレンダリングでエフェクトと群衆をレンダリングしたうえで合成するという手法だ。このようにリアルタイムとプリレンダの長所を組み合わせることで,パフォーマンスと画質の両立を図ったという。

画像集 No.008のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

 具体的なハイブリッド手順は以下の通り。

(1)リアルタイムプロダクション手順でシーンをレンダリング
(2)キャラクターと背景の実画像をリアルタイムレンダリングで出力
(3)エフェクトと群衆アニメーションはプリレンダリングで作成
(4)リアルタイムレンダリング画像とプリレンダリング画像を合成

 この手法により,リアルタイムレンダリングの高いリアリティとプリレンダリングの自由度を兼ね備えた,最高画質の映像を実現したという。

・高度なレンダリングテクニック
 FF16の映像制作では,高度なレンダリングテクニックが多数用いられた。その1つが「SSTL」(スキニングシミュレーショントランスフェアライン)と呼ばれる手法だ。これは,ジオメトリキャッシュのシミュレーションをボーンアニメーションに変換するために開発された技術で,以下のように行われる。

画像集 No.009のサムネイル画像 / [GDC 2024]「FINAL FANTASY XVI」映像制作の裏側に迫る。開発チームがかけた映像の魔法

(1)ジオメトリキャッシュを物理演算ソフトで計算し,シミュレーションする
(2)SSTLを用いてシミュレーション結果をボーンアニメーションに出力
(3)ループモーションをクリップに追加して仕上げる

 この一連の工程を経ることで,物理ベースでシミュレートされた自然な動きを,実際のキャラクターにボーンアニメーションとして実装できるという。
 講演では,SSTLを使って作られたシーンの1つが紹介され,風に揺れる髪の動きがリアルに表現されており,この高度なテクニックの重要性が力説されていた。

 FF16のカットシーンは,ここで紹介したような細かな作業,微細な調整の連続だ。この膨大な工程と精緻な技術の結集は,ただ単に美しい映像を作り出すだけでなく,FF16の世界をリアルに,そして感動的に体験させるためのものとなる。

 各シーン,キャラクターの一挙手一投足にまで細心の注意が払われ,映像制作の限界を超えたと言えそうな結果が生み出されている。スクウェア・エニックスの開発チームは,技術的な壁に挑み続けることで,ゲームをプレイした人達の感情を揺さぶる映像の魔法を実現した。涙の表現1つにも徹底的にこだわる職人魂が,単なる視覚的な美しさを超え,物語に深みを与えたと言える。

岩渕栄太郎氏
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