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ゲームの低遅延化技術「Reflex」や実況配信向けソフト「Broadcast」など,NVIDIAイベントから新型GPU以外の話題をピックアップ
イベントの目玉は,もちろん新型GPUなのだが,NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏は,GPU以外にもさまざまな技術や,今後登場する製品を紹介している。そこで本稿では,新型GPU以外のさまざまな発表について,簡単に紹介したい。
NVIDIA,新世代GPU「GeForce RTX 30」シリーズを発表。第1弾の「GeForce RTX 3080」は9月17日発売で税別約11万円前後
2020年9月2日,NVIDIAは,独自のオンラインイベントで,「Ampere」アーキテクチャを採用する新型GPU「GeForce RTX 30」シリーズの製品として,「GeForce RTX 3080」と「GeForce RTX 3070」,「GeForce RTX 3090」を発表した。
低遅延化技術「NVIDIA Reflex」と360Hz表示対応の「G-SYNC Esports Display」
1つめの話題は,とくにeスポーツを考慮した遅延の短縮に関する技術だ。
コンピュータゲームに付きものの遅延は,キーボードやマウスの入力から,PC内部でのハードウェアおよびソフトウェアの処理,そしてディスプレイやテレビといった表示装置側での処理など,さまざまな段階で発生している。こうした遅延のすべてをゼロにするのは不可能であるが,少しでも短縮できれば,とくに一瞬の操作が勝敗を左右することもある対戦型ゲームにおいて,有利に立てる可能性が出てくるわけだ。
そのためには,ユーザーの操作(入力)から,その結果が画面に反映される(出力)までの時間を計測したうえで,ボトルネックを見つけて対策することが必要となる。今回発表となった「NVIDIA Reflex」(エヌビディア リフレックス,以下 Reflex)は,NVIDIA製のドライバソフトウェアおよびゲーム側での遅延縮小に関する技術と,遅延の計測に関する技術をまとめた総称と理解していい。これはGeForce RTXシリーズに限らず,GeForce GTX 10シリーズなどでも利用できる。
ソフトウェア面での技術では,CPUとGPUのレンダリングパイプラインを最適化することで,最大50%の遅延短縮を実現するという。対応ゲームには,Fortniteや「VALORANT」,「Destiny 2」の名前が挙がっており,たとえばGeForce GTX 1050でFortniteをプレイする場合,120ms近くあった遅延が50ms台まで短縮できたそうだ。Reflexの技術は,2020年9月にリリース予定のGeForce Driverで導入するそうである。
一方,遅延の計測技術については,マウスの入力を検知して,操作を反映した映像の出力――たとえば,FPSにおける発砲の光――が発生するまでの時間を測定する「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」(以下,Reflex Latency Analyzer)を開発して,それをゲーマー向け液晶ディスプレイに組み込むという取り組みを行うそうだ。
Reflex Latency Analyzerを組み込み,垂直最大リフレッシュレート360Hzに対応するゲーマー向けディスプレイを,NVIDIAは,「NVIDIA G-SYNC Esports Display」(以下,G-SYNC Esportsディスプレイ)として認定し,eスポーツゲーマー向けに訴求していく。
G-SYNC Esportsディスプレイは,AcerやASUSTeK Computer(以下,ASUS),MSI,DellのALIENWAREブランドから2020年秋以降に登場する予定だ。また,ASUSやLogitech International,Razer,SteelSeriesの入力デバイスが,Reflex Latency Analyzerに対応するとのこと。ただ,対応する入力デバイスの新製品が登場するのか,既存の製品が同機能に対応するのかは明言されていない。
NVIDIA Broadcast:GPUとAI処理による実況配信向けプラグイン
次なる話題は,GPUとAI処理を使った実況配信やビデオ会議向けのソフトウェアプラグイン「NVIDIA Broadcast」(以下,Broadcast)だ。リリース時期は9月の予定である。
人気の実況配信者によるゲーム実況では,配信者の背景を除去してゲーム映像の上に合成する映像がよく見られるが,これと同じことをGeForce RTXシリーズとWebカメラ,およびソフトウェアで実現できるのであれば,自分の実況でもやってみたいという人は多いのではないだろうか。
Omniverse Machinima
Omniverse Machinimaでは,ゲームのアセットを取り込んで映像を作るだけでなく,レイトレーシングにより素材やライティングを変えたり,音声に合わせて人物の口の動きや顔のアニメーションを付けたりといった処理を,GeForce RTXシリーズを使って行える。
Omniverse Machinimaは,Unreal Engineや3ds Max,Maya,Photoshopといったゲームエンジンや映像制作,写真編集ソフトで利用可能とのこと。NVIDIA公式Webサイトでは,アーリーアクセスへの登録を行えるので,興味のある人は申し込んでみてはどうだろうか。
NVIDIA公式Blogの関連ポスト(英語)
NVIDIAのGeForce Special Event特設Webページ
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