プレイレポート
Nintendo Switch版「深世海 Into the Depths」プレイレポート。深海ならではの操作感とミステリアスな世界観が独特な2D探索型アクション
なお,本記事には一部ネタバレ要素が含まれている。今後プレイする予定の人やネタバレを気にするという人は注意してほしい。
「深世海 Into the Depthss」公式サイト
言葉無くして紡がれる深海を舞台にした物語
本作の舞台となるのは,地表が氷に覆われ,人々が海中で暮らすことを余儀なくされた「世海」。広がり続ける氷によって故郷を追われた主人公は,「世界がどうなってしまったのか」「自分のほかに生き残りはいるのか」,そして「『世海』の底には何があるのか」といった数々の謎と疑問を解き明かすため,深い海の底を目指すことになる。
探索の基本的な流れは,まず資源が埋蔵されている場所をサーチし,マップに表示されたアイコンまで移動して資源を採掘する。そしてその資源で潜水服や武器を強化したり,消費アイテムを作成したりしつつ,マップに示された目的地を目指してエリアを踏破していく。
もちろん探索中には敵と遭遇することもあるし,乗り越えなければならない障害物も多数配置されているうえに,海中での移動は独特の浮遊感があり思うように動けなかったりと,決して簡単ではない。
本作でとくに重要になるのが,水圧と酸素だ。ゲーム開始当初の主人公は,水圧の低い浅いエリアしか探索できない。仮に水圧限界エリアに進入してしまうと,潜水服や画面左上に表示される酸素ボンベがダメージを受け,モタモタしているとゲームオーバーとなってしまう。
海中を自由かつ素早く動くために使う「ブースト」は,多くの酸素を消費する。調子に乗ってブーストを使いまくっていると,酸素が無くなりこれまたゲームオーバーである。さらに酸素ボンベは高い場所から落下したり,敵から攻撃されたりしてもダメージを受ける。落下ダメージを防ぐためにブーストを使わざるを得ない局面も頻繁にあり,とくに酸素ボンベの最大所持数が少ないゲーム序盤はリソース管理が結構大変だ。
敵への攻撃手段は,近接攻撃と5種類の銛(もり)。銛は種類に応じて役割が異なり,敵にダメージを与えるだけでなく,海中ギミックの起動・解除に使うこともある。ゲームの終盤には敵やギミックが至るところに配置されているステージもあり,銛を切り替える頻度も高くなる。
ナラティブな展開,美しい深海の表現とまるで水中にいるかのようなエフェクトが施されたサウンド,そして独特のミステリアスな世界観から,筆者は当初本作を「リソース管理が少々厄介だけれども,いわゆる“雰囲気ゲーム”だ」と思ってプレイしていた。「ああ,これは文明の記録らしきものからいろいろ考察したり,深海を散策してレアな海洋生物を発見し図鑑を埋めたりして楽しむゲームなのだろう」と。
しかし中盤以降のステージでは,探索を進める上で同時に考えるべきことが増え,アクションゲームとしての歯応えも増していく。とくに終盤のステージ「海底火山」は,至るところにいる「原核古生細菌」のコアを「発破銛」で露出させて倒し,壁に張付きながら「切削銛」で向かいの地形の奥深くにあるコアを破壊してマグマを止め,消費アイテム「ダウンプレッシャーキット」を使って水圧限界を一時的に解除し……と,これまでのステージで学んだ知識と操作を総動員して挑むこととなる。
ゲームの序盤から中盤では,「あれ,銛の切り替えってどうやるんだっけ?」「消費アイテムってどうやって使うんだ?」と独特な操作体系を覚えきれなかった筆者も,ここまで来れば迷わず操作できるようになっており,その手触りはアクションゲームが得意なカプコンならではのチューニングになっていると感じた。
そして迎える最終ステージ「封印された深海文明」を終える頃には,これまで提示されてきた断片が1本のストーリーにまとまり,深海文明が発達していった過程や,結局は封印されてしまった理由が何となく分かったような気になる。明確なストーリーが語られるわけではないので,人によって解釈が異なる部分もあるだろう。
ともあれ,本作の美しいグラフィックスや独特の世界観に惹かれた人,ストーリーの断片から考察を進めるのが好きな人,そしてもちろんメトロイドヴァニアが好きな人であれば,楽しめる作品なことは間違いない。1990円とお手頃な価格で購入できるので,気になっている人はぜひプレイしてほしい。
「深世海 Into the Depthss」公式サイト
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