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[CEDEC 2022]XRとメタバース業界で過去1年間に起きた,技術やビジネスの動向を凝縮して語るセッションをレポート
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印刷2022/08/27 15:32

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[CEDEC 2022]XRとメタバース業界で過去1年間に起きた,技術やビジネスの動向を凝縮して語るセッションをレポート

 ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2022」の2日めとなる2022年8月24日,「メタバースの激流とXR業界のイマ」と題するセッションが実施された。
 このセッションでは,ZOZOの技術戦略部 創造開発ブロック長の諸星一行氏と,MyDearestのUnity/VRエンジニアを務める中地功貴氏が登壇し,2021年夏から最近までの約1年間にわたるXR業界の動向を中心に,知っておくべきトピックスを交えて「業界のイマ」が語られた。

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「CEDEC 2022」公式サイト

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 まずは,XR(VR/AR/MR)について簡単におさらいしておこう。
 XRはExtended Reality(エクステンデッドリアリティ)の略称で,VRやAR,MRといった技術の総称だ。Cross Reality(クロスリアリティ)とも呼ばれる。

 VRはVirtual Reality(バーチャルリアリティ)で,日本語では仮想現実と呼ばれ,仮想世界を現実のように体験できる技術となる。専用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し,360°どこを見ても仮想空間が広がっている。

 ARはAugmented Reality(オーグメンテッドリアリティ)の略で拡張現実と呼ばれる。現実の世界に仮想の世界を重ねる技術であり,デバイス(スマートフォンやHMDなど)を介して現実世界を見た際,仮想世界の画像やデータを合わせて表示できる。

 MRはMixed Reality(ミックスドリアリティ)で,複合現実だ。現実世界と仮想世界を融合させる技術で,ARに近いが,現実の机や椅子,木,建物などの位置や形状をデバイスが判断し,それらの上にデジタル情報をぴったりと重ねて表示できる。利用者の動きにシンクロするため,まさにVRとARを複合した技術だ。

 というわけで,セッションに移ろう。なお,「メタバースの激流とXR業界のイマ」が扱っているのは2022年7月31日現在の情報で,事前収録のため,もし7月31日から8月24日までに大きなトピックが起きていても,本セッションでは触れられていない。


業界動向の振り返り
2021年8月〜2022年7月


 セッションは,2021年8月から2022年7月までを3か月ごとに区切り,業界動向,メタバース,イベント,注目XRコンテンツ,VR関連ハードウェア,VTuberなどのトピックスで振り返るものだった。

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 2021年9月までの動向について諸星氏は,Nianticが3Dスキャンアプリ「Scaniverse」を買収したことに注目した。また中地氏は,SPINNSによる「バーチャル×ファッション」をテーマにした「SPINNS V MAGAZINE」の発行に注目する。これはバーチャルな存在を撮影したスナップ写真を実際の店頭に置いて配布するもので,新たな取り組みとして気になるという。
 注目のXRコンテンツでは,諸星氏が東京デジタルサービス局の「デジタルツイン実現プロジェクト」開設を挙げ,東京都がこのような取り組みを行うことは大きな出来事ではないかと話した。

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 2021年10月から12月までの大きな出来事として,中地氏はFacebookがMetaへ社名を変更したことを挙げた(関連記事)。「Connect 2021」で発表された社名変更に加えて,同社がSNSからメタバースに大きく舵を切ったことは,世界的な話題にもなった。

 諸星氏は,この出来事をきっかけに,メタバースへの取り組みや関連組織が数多く登場したと述べ,メタバースの具体的なサービスもこの時期から数多く発表されていると中地氏が補足した。

 そのほか,VR対応HMD「Meta Quest 2」専用タイトルとして発売された「バイオハザード4」にも注目した。「Meta Quest 2専用」は珍しく,体験時間も長く,遊び応えもあると中地氏は言う。さらに,中地氏が所属するMyDearestが「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」の制作を発表したことにも触れた。

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 2022年1月から3月では,Nianticが3月に8th Wallを買収したことが挙げられた。
 諸星氏によれば,8th Wallは,ブラウザだけでARが体験できる「WebAR」に強い企業で,WebAR業界には激震が走ったと当時を振り返った。
 また,「一般社団法人Metaverse Japan」や「一般社団法人 メタバース推進協議会」といった組織が同時期に設立されたことも挙げ,国内の業界動向も注目した。

 中地氏は,Ramen VRの「Zenith: The Last City」をピックアップした。VRでMMORPGを楽しめる作品だが,中地氏によれば,日本のコンテンツに大きな影響を受けているという。
 諸星氏はXR関連ハードウェアとして,ドコモとKDDIが発売したメガネ型デバイス「Nreal Air」に注目した(2022年7月にはソフトバンクも販売開始)。XRデバイスを国内の三大キャリアすべてが取り扱うのは初めてのことではないかという。

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 2022年4月から6月までの出来事としては,VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORが,東京証券取引所グロース市場に上場したことを挙げた。また,群馬県が「メタバースワールドの企画・作成・運営」の公募を開始したことにも着目する。先に東京都が「デジタルツイン実現プロジェクト」を開設したことと共に,メタバースに取り組む都道府県が出てきたことが興味深いと話す。

 また,Nianticが発表した「Peridot」にも注目した。IPと位置ゲーを組み合わせたタイトルが多かったNianticの完全新作ARゲームということで期待していると,中地氏はコメントした。

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 2022年7月には,一般社団法人Metaverse Japan主催の「Metaverse Japan Summit 2022」や,Metaが主催した「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」などのイベントが開催された。
 また,日本のVR向けJRPG「RUINSMAGUS〜ルインズメイガス〜」も取り上げられた。CharacterBANKが開発した本作は,映像クオリティの高さが業界の話題になったという。
 「Meta Quest 2」の価格改定も,注目すべきトピックだ。

 ざっくりと約1年間を振り返ったが,スライドに記載した項目以外にも多くの出来事がメタバース,XR業界で起きていたと補足を入れ,次のテーマ,「XR関連ハードウェアの動向」へセッションを進めた。


関連ハードウェア。この1年の全体動向


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 XRデバイスの過去1年間の動向としては,全体として半導体不足や円安などの影響を大きく受けたと俯瞰する。
 VR関連ではハンドトラッキングが普及の兆しを見せていることや,「Meta Quest 2」が好調であることなどに触れた。MRについては,価格が高くなりがちだとし,どちらかというと法人向きの動きが主流になっているとの所感を述べた。

 過去1年以内に国内販売を開始したVR/ARデバイスについてまとめてみると,思いのほか種類が多いことが分かる。スライドでは製品名の横に接続方法も記載されているが,中地氏は「ThinkReality A3」がPC接続とスマートフォン有線接続の2種類を発売している点に注目した。

 直近1年以内に国内販売を開始したXRデバイスでは,写真や動画が撮影できるサングラス「Ray-Ban Stories」や,カメラ「Insta360 ONE RS 1インチ 360度版」の発売が挙げられた。
 また,アプリと連動してリアルタイムにARエフェクトが付くタカラトミーの電動ヨーヨー「ムゲンヨーヨー」も話題になったという。

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※グラフは左端が2021年1月で右端が2022年6月

 ここで,各デバイスの販売台数予測をまとめたものが提示された。
 諸星氏は2021年3月に調査会社のSuperData Researchが閉鎖されて以降,販売台数の予測が難しい状況になっているとしたうえで,信頼度の高い数字として,2022年6月時点で「Meta Quest 2」の販売台数が1480万台に達したを発表した。

 また,Steamが定期的に行っているハードウェア&ソフトウェア調査のデータで,VRデバイスのシェアを見ると,2022年6月の「Meta Quest 2」のシェアは49.2%だった。「Meta Quest 2」はスタンドアロンでも遊べるが,SteamのデータはPCに接続している人の割合であるため,Meta Quest Storeを利用してプレイしている人を含めれば,シェアはもっと高いのではないかと中地氏は言う。

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 そんな「Meta Quest 2」の動向だが,Meta Quest Japanは公式アンバサダーの募集を行い,第1期4名,第2期8名が選出されている。
 また,業界の大きな話題になったのが,Metaアカウントの登場によって,必須だったFacebookアカウントとの紐付けが不要となったことだ(関連記事)。「Meta Quest 2」の購入を検討する人の中には,Facebookに未登録だったり,紐付けを面倒だと思っていた人もいたはずなので,この方針転換は注目すべきだという。

 そのほか,ソフトウェアアップデートでハンドトラッキング機能が向上し,以前はできなかった,指を使った動き(両手でハート型を作るなど)の操作もできるようになった。その一方で,上記のように,製造・出荷コストの増加による値上げも行われている。

 Metaが2022年内の発売を予定している新たなVR HMD「Project Cambria」は,「Meta Quest 2」の後継機ではないとしつつ,「Meta Quest 2」と同様に一体型で,さらに,これまでなかった「カラーパススルー映像」「フェイストラッキング」を搭載するという(関連記事)。

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 続いて,「PlayStation VR2」の動向だ。2023年初頭の発売が発表されたのは記憶に新しいが,セッションでは,この時点で判明している「PlayStation VR2」の機能紹介が行われた。
 諸星氏はとくに,シースルビュー(「Meta Quest 2」のパススルーとほぼ同じ)を取り上げ,HMDを装着したまま外側の様子が確認できることは大きな変化だとしたうえで,USB Type-Cケーブル1本で接続できる手軽さと簡易さにも注目した。

円安によるハードウェアの価格動向として,「Meta Quest 2」「VALVE INDEX」「Nreal Air」「iPhone / iPad」をピックアップして値上がり幅をまとめた。なお,8月25日には「PlayStation 5」の希望小売価格改定(日本では従来価格より5500円の値上げ)も発表されている(9月15日より実施)
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技術ドメイン別に見るビジネスの動向


 続いて,技術ドメイン別に見たビジネス動向が紹介された。メタバース,アバター,モーショントラッキング,VTuber,VRゲーム,VPS,WebXR,XRと通信キャリアといったキーワードに沿って,順に説明が行われている。

メタバースについての解説も改めて行われた。メタバースは,現時点で統一的な見解や学術的な定義はなく,企業,団体,個人などでその捉え方は異なっている。とはいえ,仮想空間上で複数人が同時にコミュニケーションを取れる点は,多くが絶対的な要件とする
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 日本でも話題に挙がることが多いメタバースだが,Metaの社名変更を機に認知度はさらに高まった。Googleトレンドでメタバースの検索キーワードを調べると,最近になるほどメタバースの検索数は増えていることが分かる(ただし,Googleトレンドは相対評価に基づく数字)。

 メタバースの盛り上がりに合わせて,関連書籍や雑誌の発行数も増加しているという。しかし,現段階でメタバースのあり方は多様で,これといった定義もない。セッションでは,メタバースの例がいくつか挙げられた。
 利用者の多い「VRChat」や,若年層に流行の兆しが見える「Roblox」,コミュニケーション手段としても使われる「Business Metaverse - oVice」や,「ZEPET - メタバースで遊ぶ」などがピックアップされており,日本生まれのものも少なくないようだ。

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 メタバース関連団体も,メタバースムーブメント以前から存在する団体と,それ以降に設立された団体に分けて紹介された。とくに,ソニー・インタラクティブエンタテインメントやMicrosoft,Google,Unity,NVIDIA,Epic Gamesなど,主要プレイヤーが参加する「The Metaverse Standards Forum」は注目すべきだという。

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 「The Metaverse Standards Forum」は,メタバース自体の標準化団体ではなく,さまざまなサービスの相互運用の標準化を図ることを目的とした団体で,何かを作ったりするわけではないという。VRMコンソーシアムなど,日本の団体も多く名を連ねており,世界の潮流と強調できるのはポジティブな要素に見えると中地氏は話した(関連記事)。

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 メタバースと関連性の深いアバターについても紹介された。アバターの利用は広がる一方であり,技術的,文化的に成熟しつつあるという。現在は,インフルエンサー向けから個人向けにシフトしているという状況で,それに合わせてアバター販売の活発化や新たなアバターメイキングサービスが登場が見られるが,競争が活発になるにつれ,「Vカツ」のサービス終了といったニュースも聞こえるようになってきた。

アバターを動かすモーショントラッキングについては,低価格帯のデバイスが次々に登場しており,個人でも所持できるものが増えてきているという
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 アバターを使用したコンテンツであるVTuberの動向について諸星氏は,VTuberという言葉が広く浸透していることを改めて確認しつつ,業界は成熟してきていると話した。

 VTuber業界のニュースとして,キズナアイの無期限スリープ(活動休止)や上記のANYCOLORの上場,壱百満天原サロメによるVTuber史上最速のYouTubeチャンネル登録者数100万人突破,ホロライブENの,がうる・ぐらによるVTuber史上初のYouTubeチャンネル登録者数400万人突破などが紹介された。

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 ここから,さまざまな項目についての注目すべきニュースや,それにまつわるデータなどが説明された。
 VRゲーム市場についてだが,資料によれば引き続き成長を続けており,「Meta Quest」向けソフトで売上高が約1億円を突破するタイトルは124本にのぼるという。また,収益額が25億円を超えるアプリも8つ登場しているとのこと。

過去1年間の「Meta Quest」向け国産タイトルの一部が紹介された
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 次は,ARグラスなどに搭載されているVPS(Visual Positioning System)について。VPSはカメラ映像などから周囲の状況を把握する技術で,現実世界に仮想世界を重ねる必要のあるARでは,高い精度が要求される。VPSに取り組んでいる企業は国内外で増加しており,今後も増えていくことが予想されるという。

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 続いては,WebXRで,これはWebVRや,上記のWebARなどをまとめたサービスだ。メタバースの波はこのWebXRにも到来していると諸星氏は話す。
 事実,WebXRを使ったメタバース系サービスも増加しており,昨年に引き続き,WebXRベースのバーチャルトライオン(衣装や靴,メイク,時計,ジュエリーなどを仮想空間で試着,試用できるもの)や,バーチャルツアーなどでの使用が広がっている。ブラウザベースで気軽に利用できるため,そこが利点と考えられているという。

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XR×5Gの流れの中,どのキャリアもメタバースへの投資を加速している
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北米と中国,関連企業の動き


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 ここから,海外企業の動向が紹介された。
 Googleは以前からVRに投資していたが,現在は,ソフトウェア開発キット「ARCore」の拡張や使用促進を図っている。

 Amazonは,商品を部屋に置いて確認できる「ARビュー」や,複数の商品を同時に表示できる「Room Decorator」(海外のみ),さらに靴の試着ができる「Virtual Try-On for Shoes」(海外のみ)などを提供し,独自デバイスの開発は行っていないが,ECサイトならではのサービスを展開している。

 Metaは,InstagramのAR版「Spark AR」を始め,「Project Aria」「Project Cambria」といったプロジェクトを進めている。

 Appleは引き続きARへの投資を続けており,2022年1月の決算報告によれば,iOS向けのAR開発プラットフォーム「ARKit」を使ったアプリの数は1万4000以上にのぼるという。

 Microsoftは産業向けに注力しており,またNianticは現実世界とリンクしたメタバース,「Real-World Metaverse」の構築を目指している。
 Epic Gamesは以前からメタバースに全社的に注力すると発表しており,XR関連技術の3Dスキャンアプリ「RealityScan」を発表したほか,デジタルヒューマン作成ツール「Metahuman Creator」を公開した。
 Unityは,RT3D(リアルタイム3D)をキーワードに,オープンメタバースの支援し,フォトリアルなデジタルヒューマンが登場するデモも公開している。

 「The Metaverse Standards Forum」を運営するKhronos Groupは,XRに関連するさまざまな仕様を策定中であり,Snapは,「販売用ではない」としたうえで,次世代のARグラス「Spectacles」をテスト中だ。ビデオ会議の仮想背景を作る「Snap Camera」や「Lens Studio」なども提供しているが,海外でのサービスのため,日本ではあまりメジャーではないかもしれないと諸星氏は補足した。

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 XRやメタバースと聞くと北米企業が思い浮かぶが,中国企業もさまざまな取り組みを行っている。
 BaiduはスタンドアロンのVR HMD「百度VR一体机」やメタバースアプリ「希壌(Xirang)」を展開中だ。
 「The Metaverse Standards Forum」にも参加するAlibabaは,Alibaba Cloudを使ったメタバースの構築を目指している。
 Epic Gamesの株式を約40%保有し,Robloxとの戦略的パートナーシップを結んだTencentは,Tencent Cloudを使用したメタバース事業に積極的に取り組んでいるという。HUAWEIも「The Metaverse Standards Forum」に参加しており,VR HMD「HUAWEI VR Glass 6doFゲームセット」を発表した。ByteDanceは,独自のメタバースアプリ「派対島」をテスト中であり,また,TikTok向けのAR制作ツール「Effect House」のβ版を公開した。

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 最後に諸星氏と中地氏は,以下の2つのテーマについてトークを繰り広げた。


●“猫も杓子もメタバース”な現状のムーブメントはいつまで続くか?

 Metaの社名変更で,メタバースという言葉が一気に盛り上がったことから,一過性のワードなのではないかと考える人もいると中地氏は言う。

 諸星氏は,その答え合わせは先のことになるだろうとしたうえで,メタバースが「メタバースだ」と強調されて取り上げられることがなくなり,自然に使われていくのが理想だと述べた。

 諸星氏はまた,メタバースのサービスで大成功しているものが何かを聞かれても,挙げられるものはそこまで多くないとし,中地氏も,ユーザー数が増えてもそれがお金に結びついていないのではないかと同意した。したがって,ある程度の結果が見えてくるのは1年〜2年先になりそうだとしたが,両者ともポジティブな将来像を描いているようだった。


●XR関連デバイスの価格高騰は今後の普及にどう影響するか?

 「Meta Quest 2」の価格改定など,円安などの経済状況を考えると,今後も関連デバイスの価格高騰は起きると考えられている。それがデバイスの普及にどう影響するのかは,多くの業界関係者が気にするところだ。

 諸星氏はやや高くはなるものの,各デバイス間で競争原理が発生し,より面白いものが誕生することに期待しているという。「Meta Quest 2」については,リリースソフトに影響されるとしたうえで,勢力が拡大するのか縮小するのか,そこには注目したいと述べた。

 中地氏は最後に,いろいろな分野にメタバースの波が押し寄せてきている。今回,資料を作りながら改めて実感できたと感想を述べ,セッションを締めくくった。

CEDiL,SpeakerDeckでは,過去の登壇資料も公開しているとのこと
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「CEDEC 2022」公式サイト

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    Meta Quest(旧称:Oculus Quest)

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