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  • 発売日:2018/12/20
  • 価格:パッケージ版:3200円+税
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パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー
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印刷2018/12/20 00:00

インタビュー

パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー

画像集 No.004のサムネイル画像 / パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー
 3gooから本日(2018年12月20日)発売となったPS4 / Nintendo Switch向けソフト「バトルプリンセス マデリーン」(Steam版は12月6日に発売済)は,「魔界村」をはじめとしたレトロゲームへの愛とオマージュに満ちあふれた横スクロールアクションだ。開発者がレトロゲームをリスペクトしているところまでは想像できると思うが,共同制作者がその娘であると聞けば驚くのではないだろうか。

Christopher Obritsch氏とMadelynちゃん
画像集 No.003のサムネイル画像 / パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー
 本作が誕生したきっかけは,Christopher Obritsch氏が「大魔界村」を遊んでいたところ,横で見ていた娘のMadelynちゃんが,主人公・アーサーの代わりに自分がゲームに出て戦いたいと言い始めたことだ。
 それを見たObritsch氏は,Madelynちゃんの5歳の誕生日を祝うプレゼントとしてゲームの制作を決意。プロトタイプを制作した後,クラウドファンディングサイト・Kickstarterで出資を募ることにした。父娘の物語は人々の心を打ち,約2000万円の開発資金を集めることに成功する。
 今回4Gamerでは,そんな父娘が共にレトロ風ゲームを作るという前代未聞のプロジェクトについて,Obritsch氏とMadelynちゃんにメールインタビューを行った。

KickStarterのサイトにあるプロトタイプと比べると完成版は異なる箇所も多く,開発には紆余曲折があったことが見て取れる
画像集 No.005のサムネイル画像 / パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー 画像集 No.006のサムネイル画像 / パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー


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 3gooから本日発売となったPS4/Nintendo Switch向けソフト「バトルプリンセス マデリーン」は,Christopher Obritsch氏がゲームに出たいという娘の夢を叶えるため,開発した異色のゲームだ。「大魔界村」などの,レトロゲームへのリスペクトを詰め込んだ本作のプレイレポートをお届けする。

[2018/12/20 00:00]


娘のゲームに出るという夢をKickStarterで叶えたゲームクリエイター


4Gamer:
 これまでの経歴や関わった作品について教えてください。

Christopher Obritsch氏(以下,Obritsch氏):
 ゲーム業界に入ったのは6年ほど前のことです。もともとはプログラミングの学校に行っていたのですが,テクニカルな作業を楽しむことができず,マルチメディアデザインの学校に入り直しました。そして,最終的にグラフィックデザイナーとなってカナダの出版社に入社し,男性向け雑誌「MAXIM」や,新聞「National Post」の担当をしていたんです。
 その後,空いた時間でゲームを制作していたのがメディアの目に留まり,オンラインゲームの製作を依頼される形でゲーム業界でのキャリアがスタートしました。

4Gamer:
 娘のMadelynちゃんは「ゲームに出たい」と言ったそうですが,普段からゲームを遊んでいるのを見ていたということでしょうか。

Obritsch氏:
 そうです。私がレトロゲームを遊んでいるとき,マディ(Madelynちゃんの愛称)はその様子を横で見てくれていました。「サンセットライダーズ」,「タートルズ・イン・タイム」,「ロボコップ」,「レジェンド・オブ・ヒーロー・トンマ」,「大魔界村」といったレトロゲームをプレイすると喜んでくれるんです。
 特にマディのお気に入りなのが「大魔界村」の1面ボス“シールダー”(※)です。彼女はシールダーに“グリーンヘッド”というあだ名を付けていて,私に何度も1面をプレイさせるんです。マディはいつの間にかアーサーに代わって“グリーンヘッド”と戦いたいと思っていたようで,それが「バトルプリンセス マデリーン」を作るきっかけになりました。

※「シールダー」
「大魔界村」のステージ1に登場するボス。自らの頭部をシールド(盾)のように掲げて襲い来る。鎧を着込んだ巨体がインパクト抜群なことに加え,のびのびとした線で描かれた一つ目の頭部は恐さとユーモラスさを兼ね備えている。30年の時を経てMadelynちゃんの心に“刺さった”のだから,いかに優れたデザインであるかが分かるだろう。彼女が「グリーンヘッド」と呼ぶのは頭部が緑色であるからか


4Gamer:
 「バトルプリンセス マデリーン」はどのようにコンセプトが作られていったのでしょうか。

Obritsch氏:
 最初はマディが墓場のゾンビと戦う冗談半分なゲームをイメージしていました。ボスもいないし,1ステージで終わるアーケード風のやつです。そのうち,マディがステージやモンスターについてアイデアを出してくれるようになり,ゲームの世界が膨らみ始めました。あれよあれよとステージも3つに増え,ボスも出る……とこうなったら止まりませんよね(笑)。

画像集 No.007のサムネイル画像 / パパ,私ゲームに出たい! 娘の夢を「バトルプリンセス マデリーン」で叶えたクリエイターObritsch氏と,娘のMadelynちゃんにインタビュー

4Gamer:
 Obritsch氏が立ち上げたKickStarterでのクラウドファンディングでは,当初の目標金額を3日で達成したうえ,最終的には2000万円の開発資金を集めるなど,かなりの成功を収めています。クラウドファンディングを進めるときに,特別な努力をしたり,何かを心がけたりといったことはありましたか。

Obritsch氏:
 Kickstarterのクラウドファンディングについて豊富な知識と経験を持つ,PR Hound | Hound Picked Gamesに協力してもらいました。最初にしっかりした広告を作ってゲームの認知度を高めたことにより,素晴らしい結果を得ることができました。また,Steam Greenlight(関連リンク)にも応募し,デベロッパとして注目してもらえるよう,慎重に計画したキャンペーンを行いました。

4Gamer:
 KickStarterの開始から3年経ちますが,印象的だった出来事を教えてください。

Obritsch氏:
 一番大きな出来事は,熱意に溢れる素晴らしいコミュニティを築けたことですね。彼らは動画やスクリーンショット,そして文章を使い,世界中に私たちのゲームを広める手伝いをしてくれているんです。
 そして,私とチームも共に非常に多くのことを学びました。ゲームスタジオとしての強みや弱みを自覚したことで,今後の活動についての土台も固めることができたと考えています。

4Gamer:
 これまでに手がけた通常のゲーム開発と,娘さんとの共同作業はどう違いましたか。

Obritsch氏:
 通常のゲーム開発と違い,マディのアイデアをゲームに使えるように“変換”していくことが主だったことでしょうか。
 マディは基本的に絵でアイデアを説明してくれるんですが,ステージ構成といった大枠から,コイン袋からどんな風にコインが出てくるかという細かなところまで,決めてくれました。アートワークの場合は,まず私に絵を描かせ,気に入ったかどうかを教えてくれています。
 あとキャラクター作りでは特に苦労はありませんでしたが,アイデアをそのまま出してしまうと,ゲームとしてのメリハリやデザイン面に欠ける部分も最初はありました。
 例えば,マディは火を吐く敵が好きなようで,彼女の絵では,すべての敵が火を吐いていました。それではさすがにメリハリを欠きますし,ワンパターンになってしまいます。
 そこでマディと話し合い,火を吐くのは数体に留めてもらいました。また,彼女が考えたボスの1体が「大魔界村」に出てくるものとあまりにそっくりだったので,別のデザインをお願いしたこともありましたね(笑)。

4Gamer:
 開発において最も苦労した点はどこですか。

Obritsch氏:
 個人的に辛かったのは,本当に多くの仕事を同時にこなさなければならなかったことです。1週間の労働時間は126時間ほどになってしまい,ほとんど眠ることができませんでした。肉体的にも精神的にもきつかったですね。
 Kickstarterで成功したおかげで,開発の規模は当初計画していたよりもかなり大きなものになりました。これに伴い,外注作業の納期,作業のやり直し,パブリッシャの問題など,色々な課題が出てきましたが,これらはゲーム開発では避けて通れないものです。何かひとつの事柄について「苦労した!」というものはないです。

 マディが苦労していたのはボス「ロボットラビット」のデザインです。兎のロボットなんですが,とにかく巨大なキャラクターにしたいということで,頭にあるアイデアを説明しながら絵を描くのに苦戦していました。結局,私が代わりに絵を描くこととなり,気に入ってもらえた絵をもとにグラフィックスを作りました。

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4Gamer:
 娘さんとの共同開発の中で,思い出に残っている出来事を教えてください。

Obritsch氏:
 娘と一緒に挑戦するゲーム作りは本当に楽しい体験になりました。特に「パパ,こういうの嫌い! バカみたい!」といった具合に批判的な意見をもらったときのことは忘れられません(笑)。
 あと,マディがボスキャラのネコとの戦いについてアイデアを出したときには,とても誇らしく思いましたね。ネコにエサを投げて気を散らせ,後ろから攻撃するんです。子どもとは思えないようなアイデアで,絵を描いているときからワクワクしてしまいました。

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4Gamer:
 本作からは,「大魔界村」や「ブラックドラゴン」の影響を強く感じます。これらのゲームのほかに影響を受けたゲームがあれば教えてください。またそれらの作品の魅力についても聞かせてください。

Obritsch氏:
 「大魔界村」からは主にアートスタイルやアーケードモードに関してインスピレーションを受けています。また,ストーリーモードに関しては「モンスターワールドII ドラゴンの罠」の影響が大きいでしょう。
 「ブラックドラゴン」は個人的なお気に入りで,アーケード筐体を持っているほどに好きなゲームですね。「バトルプリンセス マデリーン」だけでなく,我々の前作「Insanity's Blade」関連リンク)も影響を受けているんです。
 「バトルプリンセス マデリーン」では,ステージデザインこそ「ブラックドラゴン」のダークな雰囲気に影響されていますが,基本的には娘が好きな「大魔界村」のアートスタイルに近づけたうえで,オリジナルの要素を付け加えています。

無数の柱を飛び渡る独特のステージ構成は「ブラックドラゴン」の影響
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4Gamer:
 「魔界村」のように,剣などの使いづらい武器も用意されているようですが,こうした武器を実装した理由を教えてください。

Obritsch氏:
 武器ごとの扱いやすさに差があるのは確かですが,それぞれに長所と短所を持たせ,極端に使いにくい武器がないように配慮しています。問題の剣も「大魔界村」ほどに使いづらいわけではなく,強化すれば射程が伸び,遠くの敵も攻撃できるようになります。ムチも同様ですね。
 実は開発中にはブーメランがあったんですが,強すぎたので没にしました。現時点で銃などの火器類は出てきませんが,アップデートで追加するかどうか検討中です。

4Gamer:
 相棒の幽霊犬「フリッツィー」には特定のモデルがいますか。いるとすれば,なぜゲームの中に出したのでしょうか。

Obritsch氏:
 フリッツィーのモデルは,私の母が飼っていたシュナウザー犬です。娘にとって初めてのペットで,一緒に育った友だちでもあります。その後,フリッツィーは17歳でこの世を去り,マディの経験した初めてのお別れとなりました。私はフリッツィーをゲームに登場させ,いつでも会えるようにしようと考えたのです。

ゲームのフリッツィーは,マデリーンを庇って力尽きるが,幽霊となって寄り添う
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4Gamer:
 完成した「バトルプリンセス マデリーン」はかなり難度が高いように感じられましたが,娘さんが遊んだときの感想はどうでしたか。

Obritsch氏:
 マディは自分でゲームをプレイするより,私がプレイするのを見るのが好きなようですね。前に自分でプレイしたときはあまり先へ進めませんでしたが,また近いうちに挑戦してくれると思います。

4Gamer:
 今後も機会があれば娘さんとの共同開発をしたいと思いますか。

Obritsch氏:
 もし次回作に挑戦するなら,公平を期すために次女を登場させることになるかもしれません(笑)。そのときは,ぜひともマディには手伝ってもらいたいと考えています。今回の開発でも,マディは余裕のない私たち大人に代わって多くの仕事をこなしてくれましたから。
 マディは,ゲームが完成した今になって「恐竜を登場させたかった!」と言っています。というわけで,彼女たちの中では次に冒険する舞台はもう決まっているみたいですね(笑)。

4Gamer:
 日本のプレイヤーにメッセージをお願いします。

Obritsch氏:
 「バトルプリンセス マデリーン」や私の家族,そしてチームに興味を持っていただいて感謝しています。私たちはただただゲームが好きで,楽しんでゲーム作りをしています。皆さんに同じくらいに楽しんでプレイしていただけることを願っています!


ゲームで戦う王女になった,マデリーンちゃんにも話を聞いた


4Gamer:
 あなたはどうしてゲームに出てみたいと思ったの?

Madelyn Obritschちゃん(以下,Madelynちゃん):
 “グリーンヘッド”と戦いたかったの。面白いモンスターだから!

4Gamer:
 実際にゲームが完成して,あなたの願いが叶いました。今はどんな気持ち?

Madelynちゃん:
 最高! 自分が家族を助けるゲームがあるなんて,すっごくうれしい!

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4Gamer:
 好きなゲームと,好きなゲームのキャラクターを教えてくれる?

Madelynちゃん:
 好きなゲームは「Minecraft」で,お気に入りのキャラクターはAlex(※)!自分で好きなものを作れるのが楽しい。

※「Alex」
「Minecraft」の中で使える,デフォルトの女性プレイヤースキン


4Gamer:
 学校では今何がはやってるの? 学校ではほかにゲームを遊ぶ女の子はいる?

Madelynちゃん:
 体育の授業で,パラシュートやキャットアンドマウス(※)をやるのが楽しい。女の子にもゲームをやる子がいて,「Roblox」(※)がはやってるの。

※「パラシュート」「キャットアンドマウス」
「パラシュート」は,皆で大きな布の縁を持ち,広げる遊び。「キャットアンドマウス」はいわゆる「だるまさんがころんだ」


※「Roblox」
Roblox Corporationのバーチャルユニバース。ブロックで世界を構築,オリジナルのゲーム世界を作り出せる。バトルやピザの配達,木こりシミュレーターなどバリエーションは多彩


4Gamer:
このゲームを作っている間,どんなことを考えて過ごしていたの?

Madelynちゃん:
 かっこいいモンスターを考えてた。ドシドシ歩く,すっごく強いやつ! キャラクターやステージの仕掛けなんかを色々考えるのはすごく楽しい!

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4Gamer:
 将来はどんな仕事をしたい? お父さんのようなゲーム開発者?

Madelynちゃん:
 将来は獣医さんになりたい。でも,これからもパパと一緒にゲームを作りたい。

4Gamer:
 最後に日本のプレイヤーにメッセージを!

Madelynちゃん:
 わたしたちも楽しんで作ったから,あなたも楽しんでプレイしてください!

「バトルプリンセス マデリーン」公式サイト

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