インタビュー
「ゼノブレイド2」総監督・高橋哲哉氏インタビュー。ネタバレを避けつつ「アルスト」の背景や,各種システムの意味合いについて聞いてみた
本作は,天空にそびえる「世界樹」を中心に広がる雲海に浮かんだ,「アルスト」と呼ばれる世界を舞台に繰り広げられる,SFとファンタジーが融合したRPGだ。「巨神獣(アルス)」と呼ばれる超巨大生物の上に人々が暮らす世界で,亜種生命体「ブレイド」をパートナーとして戦う「ドライバー」が主役となるなど,独自の世界観とゲームシステムが採用されている。
開発は,シリーズ第一作の「ゼノブレイド」(Wii / New ニンテンドー3DS)や「XenobladeX」から引き続き,モノリスソフトが担当している。4Gamerでは今回,本作で総監督および原案や脚本などを手がけるモノリスソフトの高橋哲哉氏にインタビューを行い,今作の開発意図や裏話などを聞いた。
なお,本作序盤のインプレッション記事も掲載済みなので,そちらにも合わせて目を通していただけると幸いだ。
まだ見ぬ“楽園”を目指す,少年と少女の王道ストーリー。「ゼノブレイド2」のインプレッションを掲載
「ゼノブレイド2」公式サイト
アルスが浮かぶ雲海はストーリーの根幹に絡む存在。
その下には何があるのか!?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
「ゼノブレイド2」は,「ゼノブレイド」(以下,ゼノブレイド1),「XenobladeX」に続くシリーズ3作目となりますが,ここでまたナンバリングに戻した理由から教えてください。
XenobladeXは,オープンワールドがベースのクエストや探索に主軸を置いたタイトルで,ゼノブレイド1のストーリードリブン型のRPGとは方向性が別だったんですね。今回は,ストーリードリブン型を採用したため,ゼノブレイド1を引き継ぐ存在として,ナンバリングタイトルにしました。
ですので,今作のマップはオープンワールドではなく,エリアで区切られていますが,その中で自由に遊んでいただくことで,ストーリーとゲームシステムの両方を楽しめるスタイルになっています。
4Gamer:
ストーリーや世界観につながりはないんでしょうか。
高橋氏:
はい,直接的なつながりはなく,ゼノブレイド1の直系のタイトルとしてイメージしてもらうための「2」という意味合いが強いです。
4Gamer:
では,シリーズをプレイしていなくても問題なくゲームを楽しめるということですね。
高橋氏:
ええ。ゼノブレイド1のプレイヤーに喜んでいただけるような仕掛けも用意していますが,物語自体はそれぞれで完結していますし,シリーズの未経験者でも楽しんでいただけるようにしています。
4Gamer:
そんな本作の舞台となるのは,巨神獣(以下,アルス)の上という設定で,ゼノブレイド1に登場した巨神や機神などともテイストが似ているように思うのですが,高橋さんはこのような世界観に何か特別な思い入れがあるんでしょうか。
高橋氏:
どうせ冒険するのであれば,日常にない風景の場所のほうが面白い,という考えが根底にはあります。
そういう意味で,本作でもゼノブレイド1のお客さんになじんでもらえるような舞台装置として,アルスという設定を用意したところはあります。
4Gamer:
アルスの上は景観が非常に美しく,壮大でロマンを感じますね。
高橋氏:
せっかく長い冒険をして,たどり着いたところに何もないのも寂しいですからね。行く先々には,必ず何かしらの“ご褒美”を用意しています。
4Gamer:
では,旅の先々でアルスの果てに見える広大な雲海は,どのようなところから発想を得たのでしょうか。
高橋氏:
雲海はストーリーの根幹に絡む存在で,そこから導き出されたのがあの景観なんです。詳しくお話ししてしまうと完全なネタバレになってしまうので,そこはちょっと控えさせてください(笑)。
4Gamer:
ではちょっと角度を変えて……。
あの雲海は,我々の世界でいう海のようなイメージと考えればいいのでしょうか。
高橋氏:
確かにそうかもしれませんね。雲海はあくまで表層の部分に存在していて,大気と触れることで雲のように見えていて,実体は水に近い物質という設定なんです。つまり,現実の雲ともまた違うものなんですよ。
4Gamer:
とういうことは,その下にも何かがあると考えて良い?
高橋氏:
はい,雲海の中が一体どうなっているのかは,ゲームを進めていくことで少しずつ分かってくるようになっています。
ドライバーとブレイドの関係は,
「ウルトラマン」にルーツが?
4Gamer:
本作では,プレイヤーが操作するドライバーと,パートナーとなるブレイドという存在が大きな意味を持っているようですが,この設定にはどういった狙いがあるんでしょうか。
設定よりもシステム的なところを考えたのが先でしたね。XenobladeXには,「アーツパレット」を方向ボタンで選択して技を繰り出すというシステムがあったんですが,移動しながらだと操作しづらく,直感的にも分かりづらかったという反省点がありました。
今回はまず,Nintendo Switchの特徴である,Joy-Conが左右二つに分かれていて,それぞれにボタンがあるという仕様のもとで,直感的な操作ができるようにアサインしたんです。ただ,それだけでは面白くないので,操作に対してキャラクターの個性付けができないかと考え,ドライバーとブレイドという関係を紐付けることにしたんです。
4Gamer:
ドライバーとブレイドの関係は,武器を渡すという特別な関係で,単純なパートナーとは少し違うようですね。
高橋氏:
ブレイドは大気中にある「エーテル」というエネルギーを取り込んで,それを武器として送り出せる存在です。ドライバーはその武器を使って戦うんですが,2人が一緒になることを「エンゲージ」と呼んでいて,ブレイドにエンゲージされているとドライバーの筋力や敏捷値といったものが,常人より遙かに上がるという設定があるんです。15歳の少年であるレックスがあれだけの戦闘力を出せるのも,ブレイドとエンゲージしているからなんですね。
4Gamer:
ゲーム内の設定の範囲内で,きっちり理論付けがされている,と。
高橋氏:
そんな武器をドライバーが振るうことで,武器の中にエネルギーが溜まっていき,それをブレイドに渡すことで,溜めた力を解放させてさらに強い技を撃つというサイクルが成立するんです。
イメージとして分かりやすいのは,「ウルトラマン」のハヤタ隊員とウルトラマンの関係なんです。力を持っている者から,力を与えてもらって強くなった人間が戦うという図式ですね。
4Gamer:
なるほど,それは非常に分かりやすいです(笑)。
高橋氏:
本作のストーリー設定自体も,ウルトラマンに当てはめても成り立つような作りにしているんですが,さすがに40mの巨人を画面に出すわけにもいかないので,人間サイズに小さくして,主人公とヒロインを描くストーリーにしています(笑)。
4Gamer:
それが公式サイトにある「ボーイ・ミーツ・ガール&ジュブナイル」というキーワードにつながるんですね。
高橋氏:
そういうことですね。
4Gamer:
ウルトラマン的な設定を,ボーイ・ミーツ・ガールの作品へと昇華させているのも,ちょっと意外に感じました。
高橋氏:
ボーイ・ミーツ・ガールの部分は,僕が昔から好きな「銀河鉄道999」の影響があるかもしれません。最近は殺伐とした世界の中のキャラクターが多かったので,本作ではちょっと童心に返って,昔自分が好きだったものを元にして作ってみようと思ったんです。
4Gamer:
確かに今回の主人公レックスは,活発で非常に男の子らしい主人公ですね。
高橋氏:
ええ。最近は「なろう系」と呼ばれる小説などに見られるように,一切努力せず,ピンチにも陥らず,それなのに強くてモテるみたいな主人公がはやっていて,そういうキャラクターが出てくる作品に人気が集まっているのも分かってはいます。
でも僕自身ちょっとひねくれ者なところがあるので,今はあえてそこからは距離を置いたものを作りたいという思いが,今回のストーリーのテーマとなるボーイ・ミーツ・ガール&ジュブナイルというところにつながっているんですよ。
4Gamer:
そのレックスと同調するホムラが,先日の「ゼノブレイド2 Direct 2017.11.7」で,ヒカリと同一人物だということが判明して話題を呼んでいましたが,あれにはどういった意図があるんでしょうか?
高橋氏:
ストーリー的な説明はネタバレになってしまうので控えますが,システムや見た目的な話で言うと,平成ウルトラマンで出てくるようになったモードチェンジ的なものと考えていただくのがいいかもしれません。
ホムラとヒカリは同じアタッカーでも,特性が違っていますので,遊びの幅なども含めて楽しんでいただければと思います。
入手できるブレイドは40種以上存在
バランスによってはコモンでもかなり強くなることも
4Gamer:
本作のバトルは,これまでのシリーズ同様,リアルタイム戦闘が大きな特徴となっていますが,これにはどんなこだわりがあるのでしょうか。
ゲーム中のどこかで読み込みが入ってしまうと,どうしても興ざめしてしまいますから,それを回避したいというのが,リアルタイム戦闘を採用している最大の理由です。
それでもまだ途上の段階で,例えばフィールドやバトルからイベントに入るときなどは読み込みが入るので,いずれはそういったところもすべてシームレスにしていきたいんですよね。
4Gamer:
シームレスで戦闘に入っていく感覚や,とてつもない強い敵が序盤からうろついている様子などは,MMORPGをプレイしているような手応えもあったんですが,それも意図したものなんでしょうか。
高橋氏:
本作の世界を作るうえで,その中でプレイヤーにいつまでも遊んでいたいと思わせる仕組みとしては,ああいうスタイルが一番適していると考えていて,意図的にMMORPG的な見せ方をしています。
4Gamer:
序盤からかなり強い敵が出てきてそれに挑めたり,弱い敵と戦っていると近くにいる強敵が乱入してきたりするので,最初のうちは驚かされました。
高橋氏:
恐らく多くの方が,ハイレベルモンスターの洗礼を受けると思います(笑)。それによって,「いつか倒してやろう」というモチベーションにもつながるんですよね。リニアにつながっているマップの最後にそういう敵が出てくるのはRPGでは当たり前の展開ですが,最初に出会って洗礼を受けた敵に,強くなってからあらためて挑んで勝ったときの達成感は格別ですから。
4Gamer:
強敵に限らず,戦闘中にほかの敵が合流することもよくありますよね。
高橋氏:
モンスターのアルゴリズムなども,ゼノブレイド1以上に凝ったものにしたいという現場の思惑があって,そういう形になっています。
4Gamer:
ところで,XenobladeXで4人だったパーティが今回3人になったのは,やはりドライバーとブレイドがペアになって,合計6人登場するというのが理由なんでしょうか。
高橋氏:
はい,パーティの人数変更は,戦闘での画面処理が大きな理由です。システム上,ドライバーとブレイドは必ず対となりますので,バトルで合計8人が出てくるとなると,リソースの管理や処理速度などに大きく影響してきますからね。
4Gamer:
そうなっては快適に遊べなくなりますもんね。
では,ストーリーで仲間になるものを除いて,ブレイドはどのぐらいの数が用意されているんでしょうか?
高橋氏:
コモンまで含めると,40程度というところですね。またエキスパンション・パスなども含めて,発売後のアップデートでブレイドは増やしていく予定です。
4Gamer:
ブレイドにはコモンとレアがありますが,レアなブレイドって,一体どのぐらい“レア”なんでしょう?
高橋氏:
レアであっても,実はそれほどレアでなかったりもするんです(笑)。
4Gamer:
えっ?
高橋氏:
ストーリーで一番最初にじっちゃんがくれる「無銘のコアクリスタル」は,チュートリアルを兼ねていてレアブレイドは出ない設定なのですが,それ以降,2回目からは出る可能性が十分にあります。ゲームを進めていけばグレードの高いコアクリスタルもけっこうな数が手に入るので,普通にプレイするだけで,それなりの数が手に入るというバランスにはしていますね。
また,コモンにも星の数でグレードがあって,星4個の一番グレードの高いものはけっこう強くて,レアの手に入りやすいものよりも出現確率は低くなっています。
4Gamer:
ゲームをクリアするまでプレイして,レアは出るけど,コモンの星4つは出ないというようなこともあるんでしょうか?
高橋氏:
あるかもしれませんね。たとえコモンだとしても,基礎パラメータやスキルはランダムなので,その割合によってレアよりも使いやすいブレイドになる可能性もありますから。
レアは突出した能力がある一方,今一つなところがあるものもいますので,バランスによってはコモンのほうが使える場合があるんです。
4Gamer:
ブレイドによって武器が違うのは,何か理由があるんですか?
高橋氏:
ブレイドごとに個性付けをしつつ,ロールも設定したいなと思っていて,それなら提供する武器も変えたほうがいいと考えたのが理由ですね。
設定上は2人がエンゲージしていれば,武器がなくても戦えるぐらいの力を持つんですが,ゲームとしては何らかのカスタム要素があったほうがいいので,武器を後付けして,バリエーションを増やしたという経緯です。
4Gamer:
そのブレイドの中には,ハナのような「人工ブレイド」もいますが,彼女はどういう立ち位置なのでしょうか。
高橋氏:
ストーリー上は,トラがドライバーになれないので,自分で作ったロボットみたいな存在なのですが,だとすれば成長システムもほかのブレイドとは異なるはずだろうと考え,別のシステムを載せてみたんです。
彼女はかなりカスタマイズ要素に幅を持たせてあって,ゲーム中で「Tiger!Tiger!」というミニゲームをプレイすると手に入る「エーテル結晶」というアイテムを使えば,任意にパーツを購入でき,それだけでも強くなっていきます。ハナは最初はタンクとして登場するんですが,カスタマイズ次第でヒーラーにもアタッカーにもなれるので,自分の好きなタイプで戦いに参加させられるようになっています。
4Gamer:
今お話しに出たTiger!Tiger!ですが,なぜあれがハナのパーツを手に入れるゲームなんですか?
高橋氏:
明確な設定ではないんですが,雲海の中に落ちているアイテムを転移させているという裏設定があるんです。「伝説のゲーム」として代々受け継がれているゲーム機で,それを改造したのではないかという噂です(笑)。
最初はトラと話すとミニゲームが起動するような簡素なものだったんですが,あまり面白くないので,ああいう筐体を作ってみました。
思いがけないところを降りてみると,
きっと何かがある世界
4Gamer:
本作もフィールドがかなり広く作られていますが,そこでプレイヤーを遊ばせるために,気をつけている点はありますか?
まず第一にあるのは,とにかく飽きさせず,冒険してもらうからには必ずそこに報酬を持たせたいというところですね。明らかに何かありそうな場所には,必ずアイテムやエネミーを配置して,達成感を得られるような工夫はしていますし,ルートの設計にも気をつけています。
前作のXenobladeXは「登山ゲーム」と呼ばれていて,上れるところを見つけてどんどん上っていくような遊び方ができましたが,今回はどちらかというと「下山ゲーム」で,フィールドの構造が横だけでなく縦にも作られているので,思いもかけないところから下に降りられて,その先に新しい場所がある……というところをかなり多く仕込んでいるので,上だけでなく下にも目を向けていただくと,より攻略のしがいがあると思います。
4Gamer:
さらに雲海の満ち引きという,海の潮汐みたいな概念もありますよね。
高橋氏:
はい,雲海が引いていたり,逆に満ちていたりしないと行けない場所もあります。そこは宿屋に泊まることで調整ができますので,プレイヤーさんの攻略のペースに合わせて進んでみてください。
4Gamer:
アルスはその雲海の上を泳ぐように移動していますが,ランダムで移動しているのか,それとも特定のルートで移動しているのか,どちらなのでしょうか。
高橋氏:
世界の中央にある「世界樹」の周りを周回しています。そういうこともあって,ゲーム中のミニマップには方位の概念を入れていないんです。フィールド自体が特定の場所を動いているので,方位を設定すると混乱してしまいますからね。
4Gamer:
よくある東西南北みたいな表示がないのは,そういうことだったんですね。
アルスはゲーム中に大小様々なものが登場していますが,成長して大きくなっていくような存在なのでしょうか。
高橋氏:
詳しい設定はしていませんが,年月を経て大きくなっていくようなイメージはあります。雲海を摂取してエネルギーにしているということは,ゲーム中で語られているので,雲を食べて育っていると考えていいかもしれません。
4Gamer:
そもそも広大な雲海に巨大生物が浮かんでいて,その上に人々が住んでいるという設定がかなり独創的ですが,この発想はどんなきっかけで生まれたんでしょう?
高橋氏:
普通の地面を歩いていても面白くないだろうという,自然な流れから生まれたものですね。ゼノブレイド1の巨神と機神のように,インスピレーションで湧いてくるものもあるんですが,本作の場合は,最初に設定した根幹となるお話しがあって,そこから論理的思考によって導き出された結果がこのアルスという存在です。
ゲーム全体を通して遊んでいただくことで,そこは理解してもらえるのかなと思っています。
4Gamer:
ちなみに,今回マップの広さはどのぐらいあるんでしょうか?
高橋氏:
面積だけでいうと,ゼノブレイド1ぐらいになると思います。ただ攻略の手応えについては,かなり増えていますね。意外なところに入口があったりして,それを探していただくのも楽しみの一つとなっています。
4Gamer:
サブクエストなどもかなり多く用意されていて,そこに夢中になってしまうと,得てしてメインのシナリオを忘れてしまうようなことがあったりもしますが,それに対する対策などは入れていたりするんでしょうか。
高橋氏:
特別なことはしていません。もちろんメインのシナリオを進めたときに,どこへ行けばいいかがわかるよう導線を敷いて,現在の目的が分かるようにはなっていますが,基本的にはどちらを遊んでもいいようにしています。
一つお伝えしておくと,メインのストーリーは進めていくにつれてどんどんシリアスになっていくのに対して,サブクエストは割とコミカルな内容のものが多くなっています。メインのほうではラスボスとの戦いが始まりそうなのに,サブではすごくコミカルな話が進んでいくみたいな状況にもなったりするんですが,それはそれで面白いので,ギャップを楽しんでもらえればと思っています。
4Gamer:
そこの遊び方は,プレイヤーにゆだねているんですね。
高橋氏:
はい。今回はブレイドという存在があるので,彼らにも「キズナクエスト」と「ブレイドクエスト」という専用のクエストをたくさん用意しています。それによりブレイドも強くなるので,自分がエンゲージしたブレイドによっては,これらをこなしていくことが重要になるんです。
ただ,そうしたクエストも義務にはしたくないので,楽しく遊んでいただけるような内容にすることは心がけました。
4Gamer:
極端な話,メインストーリーだけを進めてもクリアできるようなバランスと考えてもよろしいでしょうか。
高橋氏:
はい,メインだけでも大丈夫かと思います。ドライバーにはパートナーとなるブレイドが必ず1人設定されていて,彼らが個性的でかなり強いので,そこを押さえていれば,メインストーリーの流れを追っていくだけでクリアできる難度にはなっています。
もちろんその先にいる,レベル100超の強敵は,かなりしっかりやりこんでいないと返り討ちに遭うので,そこは自由に遊んでみてください。
4Gamer:
ラスボスよりも強いモンスターがフィールドをうろついていたりするということですね。
高橋氏:
ええ。ただ今回は命中判定を若干ゆるめに設定してあるので,ゼノブレイド1よりは多少レベルに差があっても当たるようにはなっていますし,攻撃が当たらないときなどはブレイドがブレイドアーツで命中率を上げてくれることもありますので,戦いやすくはなっていると思います。
4Gamer:
遊びやすさ的な部分で,間口は広がっているんでしょうか。
高橋氏:
間口は……広がってるのかな? 僕らは毎回どうしても作り込んでしまう癖があって,一見間口が広そうに見えても,蓋を開けてみるとけっこうマニアックなシステムだったりするので(笑)。
やり込みが好きな人には,いつまでも遊んでもらえるような仕様になっているという自信はあるのですが。
4Gamer:
ゲームクリア後も当然,ずっと遊んでいられる,と。
高橋氏:
ええ,むしろクリア後が本番かもしれません。ゲームクリアだけですと,メインのブレイドのキズナリングもすべては開放できないと思います。レベル上げをしたりクエストを進めたり,キャラクタービルドをしている間に,キズナも開放されてより強くなっていくという流れなので,
4Gamer:
では,ボリューム的にはどのぐらいになるのでしょうか。
高橋氏:
ストーリーボリュームでは,ゼノブレイド1の1.2倍から1.3倍ほどあります。それに加えて,さまざまなサブクエストや探索,ハイレベルモンスターとの戦いなども入っているので,ゼノブレイド1よりは確実にボリュームがありますね。
僕がスタートからラスボスまで,脇目もふらずに必要最低限のカスタマイズでプレイして,60時間弱かかるぐらいだったと考えていただければと。
4Gamer:
ゲームを知り尽くしている高橋さんでもそのぐらいかかるということは,これは相当のボリュームですね。
サブクエストもきっちりこなしながら進めていくと,メインの難度が妙に低く感じられてしまうようなことはありませんか?
高橋氏:
サブクエストで得られる経験値は,宿屋で任意のキャラクターに振り分けができますから,サブクエストを進めてもレベルが極端に上がってしまうようなことはありません。
例えばメインでストーリーを進めていて,ボスに挑むにはちょっとレベルが足らないなと思ったときは,サブで集めた報酬を宿屋で少しつまんで,必要なだけレベルを上げて挑むようなことも可能です。そうしたバランス取りには,けっこう気を遣っていますね。
エキスパンション・パスも鋭意制作中
購入者には発売日以降,定期的に特典も配信
4Gamer:
今回はNintendo Switchでの発売となりますが,このハードで開発するにあたっての印象はいかがでしたか?
Wii Uとの比較ですと,2画面を使っていない分,メインの画面作りに集中できました。GUIの部分もXenobladeXよりはかなり大きめに設計しているので,視認性も上げられたと思います。
Joy-Conによる操作系なども含め,作りやすさは感じましたね。
4Gamer:
開発をしていて,Nintendo Switchならではの魅力を感じた点はありますか?
高橋氏:
やはり,いつでもどこでも遊べるというコンセプトがRPGとマッチしていますね。例えばレベル上げやアイテム集めなら,通勤や通学の途中にもできますし,ボス戦やイベントは家に帰って大画面で遊ぶとか,そういった部分が一番魅力的なハードですよね。
それと本体のディスプレイが高性能なので,携帯モードで解像度が変わっても,TVモードとの差がほとんど分からないんですよ。
4Gamer:
先ほどエキスパンション・パスのお話がでましたが,こちらは,開発段階から配信が決まっていたんでしょうか。
高橋氏:
はい,開発の中期ぐらいから,もっともっとアルストの世界で長く遊んでもらいたい,そのために発売後もコンテンツを追加していきたいという話が出ていて,現在は鋭意制作中です。先行してご購入いただくことで,ゲームの発売日からいくつかお得アイテムを提供させていただきつつ,以降も定期的にクエストや新規のレアブレイドなど配信していく予定です。
4Gamer:
2018年秋までと,かなり長期の計画ですが,それはやはり開発期間を見越してのものなのでしょうか。
高橋氏:
そうなりますね。シナリオはもう完成しているのですが,予定している新規のストーリーにけっこうなボリュームがあって,それを作るのがかなり大変で,そこから逆算したスケジュールです。
4Gamer:
新規のストーリーは,ゲームクリア後にプレイするような内容ですか?
高橋氏:
ゲームクリアをしていなくてもプレイは可能ですが,クリアしていたほうが楽しめると思います。
4Gamer:
新規のレアブレイドについては,もうすでにアイデアがあったりするんでしょうか。
高橋氏:
ブレイドって,実は1体作るのにもかなり労力がかかってたいへんなんです。デザインしてモデルを組んでアニメーションを付けてクエストを載せて声の収録をして……,という手順を踏まなければならないので(笑)。
そういったこともあって数を用意するのは難しい部分があるため,際立ったものを出させてもらおうと考えています。
4Gamer:
エキスパンション・パスに限らず,有料DLCとして個別に配信する可能性などはいかがでしょうか?
高橋氏:
ご要望があれば……とは思うのですが,今はエキスパンション・パスの開発がたいへんで,そこまで手が回るか,現状ではちょっと見えないですね。
4Gamer:
エキスパンション・パスを開発しつつ,次回作の構想なども高橋さんの頭の中にはあったりするのでしょうか。
高橋氏:
そこはまだですね。まずゼノブレイド2ありきで,それが多くの方に遊んでいただけないと話になりませんし,まさに今エキスパンション・パスの開発にかかっているところですので,もう少し時が経てば,考える余裕も出てくるのではないかと思っています。
4Gamer:
Wiiで発売されたゼノブレイド1がNew 3DS用として発売されたように,XenobladeXをほかのハードで遊べるようにするといった可能性はありますか?
高橋氏:
個人的に,ふとXenobladeXを遊びたくなることがあるので,Nintendo Switchで遊べるといいな……という気持ちはあります。もちろんそこはニーズや,任天堂さんの今後の計画と相談しつつ考えていきます。
4Gamer:
さまざまな形でこのシリーズを継続的に遊べることを,楽しみにしています。
では最後に,ゼノブレイド2を待ち望んでいる方々へのメッセージをお願いします。
高橋氏:
ボリューム的にはかなり盛りだくさんで,長く遊んでもらえるように作っています。その中で,ブレイドという新しいシステムを入れているので,出会うブレイドによってプレイスタイルが変わってくると思うんです。それをSNSなどで情報交換しつつ,楽しさを共有していただければと思います。
スタンドアローンのゲームですが,自分の中だけで完結せず,いろいろと情報発信,情報交換をしながら遊んでいただければ嬉しいですね。
4Gamer:
ありがとうございました。
まだ見ぬ“楽園”を目指す,少年と少女の王道ストーリー。「ゼノブレイド2」のインプレッションを掲載
「ゼノブレイド2」公式サイト
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