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「あんさんぶるスターズ!」のユニットを知るにはこの過去イベがおすすめ! 第1回:fine,2wink,Valkyrie編

 2019年4月にリリース4周年を迎え,アプリ内外でさまざまな展開が行われている「あんさんぶるスターズ!」iOS / Android / PC。以下,「あんスタ!」)。メインストーリーは全5章にわたる第一部と,3部作の第二部(「キセキシリーズ」),前後編で構成された第三部(「Saga」シリーズ)が公開されており,さらにイベントストーリーとスカウトストーリーは,2019年3月までに200本近くが公開されています。キャラクター個別のストーリーも合わせれば,これまでに公開された数は膨大なもの。いまでは,すべてのストーリーを読破しているファンは決して多くはないかもしれません。

 そこで4Gamerでは,その膨大なストーリーの中から各ユニットの歴史や魅力を知るために筆者が重要だと思うものを選び,4回にわたって紹介していきます。個人的にはイベントの公開順に読み進めていくのが自然な流れかと思いますが,本記事では,時系列ごとにもストーリーを取り上げつつ,それぞれのユニットについて語っていきます(紹介するおすすめストーリーの数はユニットのイベント登場数などによって異なります)。

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※読みたいユニットのユニット名をクリックorタップしよう!

 なお,前回お届けしたメインストーリー紹介記事にあるとおり,考察の内容はあくまでも筆者の見解であり,絶対的な正解ではありません。また,ストーリーの核心的なネタバレには触れていませんが,スクリーンショットなどを貼っている箇所がありますので,未読の方はご注意ください。

「あんさんぶるスターズ!」公式サイト

「あんさんぶるスターズ!」ダウンロードページ

「あんさんぶるスターズ!」ダウンロードページ



おすすめストーリー〜fine編〜


  • メインストーリー第一部
  • 幕開け!夢ノ咲サーカス(2015年6月)
  • 決別!思い出と喧嘩祭(2015年8月)
  • 羽ばたき!雛鳥と皇帝の凱旋(2016年2月)
  • 誉れの旗*栄冠のフラワーフェス(2016年4月)
  • 演舞 天の川にかける思い(2016年6月)
  • 追憶*集いし三人の魔法使い(2016年8月)
  • スカウト!ダンスフロア(2017年8月)
  • ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル(2017年11月)
  • 駆け引き◆ワンダーゲーム(2019年2月)
  • (※公開順)



■fine[フィーネ]
〜常に勝利をおさめてきた夢ノ咲学院最強ユニット!〜


 夢ノ咲学院で絶大な権力を誇るユニット。リーダーの天祥院英智が幼いころから病弱なため活動頻度は決して高くないものの,個々の能力は非常に高く,実力も人気も学院のNo.1を誇る。メインストーリー第一部では“ラスボス”的なポジションである。

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■旧fineから現fineへ


 fineが現在のメンバー構成になる前には,いわゆる“旧fine”と呼ばれる時代がありました。旧fineは,現fineのリーダーでもある天祥院英智,Switchの青葉つむぎ,現在は秀越学園に通う乱 凪砂(Eden/Adam)と玲明学園に通う巴 日和(Eden/Eve)の4人からなります。夢ノ咲学院を大きく動かそうとしていたかつての英智は,何を考えて旧fineを結成したのか,また何を目指していたのかが語られるのが,通称「エレメント」こと「追憶*集いし三人の魔法使い」です。現fineには,かつて夢ノ咲学院で“悪の象徴”として祭り上げられ,英智によって倒された五奇人の日々樹 渉が所属しています。彼がなぜ敵である英智率いるfineに所属したのか,その理由は今もはっきりしていませんが,本ストーリーでは英智と渉の出会いと対決までが描かれました。

 さらに,「駆け引き◆ワンダーゲーム」でも旧fine時代が語られました。「エレメント」で実際にストーリーに登場するメンバーは英智とつむぎのみですが,「ワンダーゲーム」では,夢ノ咲学院時代の凪砂と日和も出てきます。彼らからは今とは異なる印象を受ける場面が多々あり,こちらも注目のポイントとなっています。
 なお,英智以外の現・旧fineメンバーは登場しないものの「追憶*モノクロのチェックメイト」(2017年5月公開)でも,同時期の夢ノ咲学院や英智についての重要な物語が描かれますので,ぜひおさえておきたいところです。

 そして,現fineとなってから時系列的に最も早いストーリーが「誉れの旗*栄光のフラワーフェス」です。これは主人公=プレイヤーである転校生(プロデューサー)が夢ノ咲学院に転入して間もなく,Trickstarと出会って革命計画を進める時期の物語です。ちょうどこのころは英智が入院していたため,英智と同じ三年生の渉に加え,英智に憧れて夢ノ咲学院に入学したばかりの一年生である姫宮桃李,彼の執事として転校生と同時期に転入してきた二年生の伏見弓弦の3人でライブに取り組む,新鮮な状況を見ることができます。

「追憶*集いし三人の魔法使い」より
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■fineの転機と進化


 活動の機会は少ないものの,絶対的な権力と実力を持つ“夢ノ咲No.1ユニット”として,メインストーリーにおける主役ポジションTrickstarの“強大な敵”たるfineが描かれたのがメインストーリー第一部です。ここで起きた革命――戦いとその結果は,当然ながらその後の彼らにも多大な影響を及ぼしました。
 先ほど紹介した「フラワーフェス」もそうですが,「幕開け!夢ノ咲サーカス」など時系列的に初期のストーリーを読むと,fineが最初から完成されたユニットではなかったことがよく分かります。ユニットの中心である天祥院英智,彼が憧れてやまなかった渉,英智を慕う桃李,桃李に忠誠を誓う弓弦。それぞれに強いつながりはあれど,fineとしての結束力は決して高いとは言えませんでした。たとえ実力あるユニットでも,メンバー同士がしっかりと結びついていなければ,おそらくいつかどこかで綻びができていたでしょう。英智のことなので,たとえあの革命がなかったとしても何らかの手は打っていたと思いますが,革命によって王者ではなくなったfineは,言ってみればこのとき“1つのユニットとして成長のチャンスを得た”のではないかと思います。

「幕開け!夢ノ咲サーカス」より
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 夏を迎え,彼らにはまた変化の機会が訪れます。その1つが「演舞 天の川にかける思い」でした。ここで英智は,元五奇人の1人である斎宮 宗がリーダーを務め,しばらく表立った活動をしていなかったValkyrieにある提案をします。平たく言えば,英智が宗を“煽って喧嘩を売りにいった”状態に近いわけですが,この戦いもまた英智はもちろん,桃李と弓弦の“主従コンビ”の絆に大きな影響や前進の機会を与えたように感じられました。

 喧嘩をふっかけると言えばもう1つ「決別!思い出と喧嘩祭」も,ぜひおすすめしたいストーリーです。これはfineというよりも英智自身の心の深いところを描いたという意味で,読んでおきたい物語です。ここで描かれるのは彼の幼馴染の蓮巳敬人が率いる紅月と,英智が率いるfineの戦いです。長い時間をともに過ごしてきた彼らが,それぞれの道行きで見つけた宝物を見せ合い,ぶつかりあって理解し合う……「あんスタ!」の中でもとくに読後感の爽やかな,素晴らしいストーリーの1つです。

 さまざまな出来事を経て,絆を深め,盤石の地位がありながらも内側では少しずつ変化を見せてきたfine。そんな彼らの進化が感じられるおすすめのストーリーの1つが「スカウト!ダンスフロア」です。本作はイベントストーリーに比べると短く,“なんでもない日の,なんでもないfine”を描いた物語なのですが,以前とは変化した彼ら4人の空気やその魅力がじんわりと,かつ深く伝わってくるので,fineファン以外にもおすすめしたいエピソードになっています。

「スカウト!ダンスフロア」より
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 三年生の所属するユニットが,私たちが知る夢ノ咲学院生のメンバーのままで活動できるのは,ほんの1年という限りある期間しかありません。fineもまたその1つであるわけですが,彼らが活動の終盤でさらなる進化を遂げたのが,クリスマス時期の「ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル」と,年明けの「羽ばたき!雛鳥と皇帝の凱旋」でしょう。
 fineにとって,リーダーである英智をめぐる物語はもちろん重要なのですが,筆者は,ユニットのもう1つの要となるのは“桃李の成長”だと考えています。英智と同じく名門の子息である桃李は,高校生ながら執事を召し抱え,恵まれた環境で育ちました。そのぶん少々わがままなところもあり,周囲にも自信満々な態度で接するのですが,内面ではfineの一員としての実力不足に日々悩んでいます。さらに英智と渉の卒業後は,自分がfineを引っ張らなければいけないと考え,1人の人間としての責任感が芽生えるのです。

 「スターライトフェスティバル」では,“美しく強いfine=英智”を信じて疑わなかった無垢な桃李と,これまでの歴史や真実を知り,より広く世界を見渡すことで大人になる桃李自身の姿が描かれました。それらの成長を経て,彼がfineを背負う覚悟を見せたのが「皇帝の凱旋」です。これらの物語は,fineというユニットが,長い歴史を経て新たな姿に昇華した場面を切り取ったものだと言えるのではないでしょうか。

「羽ばたき!雛鳥と皇帝の凱旋」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


 ユニットを知れば,おのずと所属するキャラクターのことが分かります。そして各キャラクターを理解すればするほど,ユニットへの理解も深まるはずです。そこで,一部ではありますが“ユニットの箱イベ”以外での各キャラおすすめのストーリーを紹介します。

■天祥院英智

 天祥院英智を知るということは,すなわち夢ノ咲学院の歴史を知ることと言っても過言ではないでしょう。したがって,ここまでに紹介したものはもちろんのこと,このほかにも読むべき物語が多く存在します。とくにキセキシリーズSagaシリーズは,英智が登場していないストーリーもありますが,主人公に陰で協力する強い助っ人としての英智の存在が見逃せません。彼が目指す未来をより深く理解するという意味で,一連のメインストーリーはすべておすすめしておきたいです。

 また,「追憶*モノクロのチェックメイト」で描かれた月永レオとのその後として「反逆!王の騎行」(2015年9月公開),「スカウト!コンチェルト」(2017年7月)も興味深く読めるでしょう。これらは比較的ハードな雰囲気のストーリーですが,逆に,一男子高校生としての生き生きとした英智の姿を見たいなら,ある日の紅茶部を描いた「スカウト!ティーパーティー」(2016年1月公開)や,紅茶部の始まりを描いた「スカウト!アフタヌーン」(2018年10月公開),3年A組がゲームセンターに行く物語「スカウト!荒野のガンマン」(2016年6月公開),ナイトキラーズ再結成の「リバイバル☆一夢のダイナーライブ」(2019年1月公開,これも月永レオとのその後という意味で興味深いです)などが,和やかな雰囲気でおすすめです。

 なお,英智の登場は少ないながらも筆者が強くおすすめしたいのが,流星隊の返礼祭イベント「バトンタッチ!涙と絆の返礼祭」(2017年2月公開)です。このイベントで英智はたった3話にしか登場していないのですが,とくに最後の1シーン,明星スバルとの会話は,ここまでの彼の物語を追いかけてきた人にぜひ見ていただきたいです。スバルと英智はこの1年間,要所で短いながらも心に残る会話を見せてくれました(明星スバル・キャラストーリー「皇帝に真珠」もおすすめです)。この「返礼祭」では,夢ノ咲学院での彼の青春を締めくくるに相応しい名セリフが聞けるので,ぜひ。

「リバイバル☆一夢のダイナーライブ」より
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■日々樹 渉

 渉はとくにミステリアスな人物で,“本当は何を考えているか”をなかなか見せてくれません。しかも,明かされた話が後のタイミングでひっくり返される場合もあるので,語られた話は真実なのか,理解が非常に難しい人だと感じます。

 類まれなる才能に恵まれた彼は,同時に幼いころから孤独でもあったはずで,だからこそつながれた“五奇人”の縁は,彼にとってかけがえのないものだったに違いありません。当時の様子は先ほど挙げた「追憶*集いし三人の魔法使い」でほんの少し見ることができますが,離れてしまった五奇人が奇跡的に一堂に会し,年末の穏やかなひとときを過ごすのが「スカウト!エキセントリック」(2016年12月公開)です。心を許したかつての仲間に見せる彼の笑顔は,また特別なもののように感じられます。

 また,fine,五奇人のほか,彼にとってもう1つの大切なつながりが“演劇部”ではないでしょうか。普段から奇想天外な行動を繰り返す彼ですが,ところどころで「なんでもない関係,なんでもない会話が嬉しかった」という意味の言葉を口にします。そんな彼にとって演劇部は,純粋に“青春”を感じられる場の1つであったように感じられるのです。

 演劇部としてのストーリーではないのですが,真白友也との関係性をとおしてほんの少し彼の内面が明らかになった「対決!華麗なる怪盗VS探偵団」(2015年12月公開)や,氷鷹北斗との関係性をとおして彼の想いが明かされた「奇跡☆決勝戦のウィンターライブ」,さらに彼の卒業間近であり,演劇部の締めくくりの物語が描かれた「スカウト!透明と仮面」(2019年1月)をとおしで読むことをぜひおすすめしたいです。「透明と仮面」は言ってみれば“演劇部の返礼祭”。これらの一連のストーリーは,彼という謎多き人物のあたたかい内面を知るために,ぜひ読んでいただきたいです。

「スカウト!透明と仮面」より
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■伏見弓弦

 伏見弓弦も渉と同様に,自分の役割に徹し,本心を見せないタイプの人物です。これまでは“姫宮桃李の執事”としての印象が強かったわけですが,新たに明かされた彼の過去や他人との関係性によって,ほんの少しだけ理解が進んだように思えます。

 執事あるいは使用人として,普段は主人である桃李に物静かに寄り添う彼ですが,実は腕っぷしが強く,非常に頭が切れる人でもあります。そんな彼の一面がよく描かれているのが「灼熱!南国景色とサマーバカンス」(2018年7月公開)です。こちらはfineとUNDEADが海外リゾートに赴いて合宿とライブを行うストーリーなのですが,筆者はfineにおける彼の“立ち位置”が,ここで確立されたのではないかと考えています。彼の能力が活かされたという点では,表立った活躍ではないものの「軌跡★電撃戦のオータムライブ」もおすすめです。

 そして姫宮家の執事になる前,幼少期の彼がどのように日々を過ごしていたかが明かされたのが「スカウト!ギャング」(2018年4月公開)です。このストーリーにおいて,現在秀越学園に通う七種 茨と関係があったことも明かされました。このシナリオによって,彼がこれまでいい意味で“曲者”に見えていた理由や,なぜそこまでして桃李に尽くそうとするのかが分かります。彼の原点という意味で見逃せないストーリーでしょう。

 なお,執事でありながらも普通の男子高校生として青春を満喫する姿が見たい方には「スカウト!プール開き」(2015年7月公開)や「満喫♪秋の修学旅行」(2015年11月公開),年少期に得たスキルが生かされる「スカウト!ミリタリー」(2019年3月公開)などが,気軽に楽しめておすすめかと思います。彼の天然でコミカルな一面が見られるものなら,「ドロウドロウ」(伏見弓弦キャラクターストーリー/春)を始めとしたキャラクターストーリーにもシュールな笑いが多く,ぜひ見ていただきたいです。

「スカウト!ミリタリー」より
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■姫宮桃李

 fineは姫宮桃李の成長物語でもあると前述しましたが,時系列順に物語を追うと,それがより伝わってくるように思います。しかし彼は,“あるときから心を入れ替えた”わけではなく,比較的最初の,それこそfineに加入して間もない「フラワーフェス」やメインストーリー第一部のころからずっと自分の実力不足を認識していて,成長したいと望んでいたのです。

 メインストーリー第三部にあたるSagaシリーズにおいて,桃李は臨時ユニットの一員に選ばれました。Sagaは最初の春から次の年にかけての長いスパンで描かれる物語です。前編の「Saga*かけ上がるレインボーステージ」(2018年9月公開)と,後編の「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」(2018年12月公開)では,これまでにぽつぽつと語られてきた彼の成長が,1年をとおして感じ取れたように思います。

 彼はユニットとはまた異なった人間関係を,クラスメイトや同じ一年生と構築しています。平たく言えば,この学院で彼にとって“友達”と言える存在ができるわけです。そうした関係性が描かれるストーリーは多いのですが,なかでもとくに親しくなった紫之 創との「スカウト!ベストショット」(2016年7月公開)や,自分と似たところがあるせいか,何かと反発し合う朱桜 司との「スカウト!冬の初詣」(2016年12月公開)などは,微笑ましいやりとりが多くおすすめです。

 そして時系列としては最もあとであり,三年生の卒業後の物語である「スカウト!高貴なる遊戯」(2017年3月公開)では,桃李と司,英智という夢ノ咲学院きっての御曹司が勢揃いします。こちらはコミカルなシーンも多く楽しいストーリーなのですが,“アイドル業界において彼らにしかできないこと”が語られる終盤がとくに見どころです。彼らの矜持であり責任でもある“権力”について誓いを新たにする場面では,成長とその後の活躍がさらに期待できるように思いました。

「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」より
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■終わりと始まりのfine


 夢ノ咲学院のみならず,アイドル業界においても権力を持つ天祥院英智がリーダーを務めているところや,最初のメインストーリーにおける立ち位置から,fineは“親近感”や“親しみやすさ”を感じさせるタイプのユニットではなかったかもしれません。けれど,彼らの揺るぎない誇りの陰にある努力や涙,絆を深めていく様子が,さまざまなストーリーから伝わってくるため,それによって共感を覚えるようになった人も多いのではないかと思います。

 そうした彼らの物語を読むうちに筆者が気づいたのは,4人はいわゆる“普通の子供時代”を過ごしていなかったのではないかということです。普通の……というと少し語弊があるかもしれませんが,たいていの人が体験するような子供同士の無邪気なやりとりの経験がほとんどないか,あっても少なかったのかもしれないと。そして,“特別”であるということは,それが恵まれたものであったとしても,多くの人とは違うという意味で“孤独”でもあるのです。しかし彼らは皆,苦悩や痛みばかりに目を向けません。自分の果たすべき役割に矜恃を持ち,立ち止まることなく前へ進もうとするのです。

 fineの公式キャッチコピーにある「常に勝利をおさめてきた夢ノ咲学院最強ユニット!」という言葉の陰には,それぞれが積み重ねてきた経験と,ともに手を取り合って築いてきた絆があります。何かを成すために作られた“過去のfine”が役目を終えたあと,寄り添うように集まってきた現在のfine。“fine(フィーネ)”とは,音楽用語では“終わり”を意味します。何かが始まるとき,それは何かが終わるということでもあります。英智,渉,弓弦,桃李が奏でるアンサンブルは,闇の終わり,光の世界の始まりと,永遠を世界にもたらす音色……fineとは,そんなユニットのように思えるのです。

「ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル」より
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おすすめストーリー〜2wink編〜


  • メインストーリー第一部(2015年4月)
  • 幕開け!夢ノ咲サーカス(2015年6月)
  • スカウト!夜の怪談(2015年7月)
  • 雪花*流星のストリートライブ(2015年12月)
  • 衝突!思い還しの返礼祭(2016年2月)
  • スカウト!苺狩り(2016年3月)
  • 傾け!梅雨払いの錦(2016年6月)
  • スクランブル*夢の中のトイランド(2016年11月)
  • 招福*鬼と兄弟の節分祭(2017年1月)
  • 航海!早春のクルージングライブ(2018年2月)
  • (※公開順)



■2wink[トゥウィンク]
〜テクノポップな双子ユニット!〜


 双子の一年生による2人組ユニット。アイドルとしてのユニット結成は夢ノ咲学院への入学後ではあるが,彼らは幼いころから兄弟で大道芸などをしていたため,2人が“芸”で活動してきた期間はほかのユニットに負けない長さを誇る。2人とも軽音部に所属しており,部長の零に噛み付く大神晃牙(零と晃牙はUNDEAD所属)のなだめ役となっている。メインストーリー第一部では零の腹心として活躍した。

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■2winkのはじまり〜初期


 双子の一年生で結成された2winkは,夢ノ咲学院の“アイドルユニット”としては活動期間が短めです。しかし彼らは,学院に入学するずっと前から大道芸などを行っており,“このメンバーでの活動”という意味では,学院のどのユニットよりも長い歴史があると言えるでしょう。生まれたときから,いや,彼らの言葉を借りるならば「生まれる前から母親のお腹の中で一緒にいた」2人は,家族であるが故に生まれる感情によって何度も衝突すると同時に,決して消えることのない強い絆をも感じさせるできごとが多かったように思います。

 メインストーリー第一部では,学院に革命を起こすべく立ち上がったTrickstarの指導者である朔間 零(UNDEAD)の腹心としての活躍を見せました。しかし,DDDでTrickstarを勝たせるために戦うとなれば,2winkとして初めて上がるステージの勝利が確約されていないということでもあります。敏い2人はあらかじめそれを理解していたと思いますが,彼ら自身の勝敗よりも大切なものがあったからこそ,全力を尽くしていたように感じられました。幼いころから家庭の問題でずっと寂しい思いをしてきた彼らにとって,零は良き先輩であり,そばでいつでも優しく見守ってくれる兄や父のような存在でもあったのかもしれません。

 DDD後に行われた「幕開け!夢ノ咲サーカス」で,2winkは再び“前座”としてライブを行うことになります。彼らは圧倒的パフォーマンスを見せたものの,メインのfineの素晴らしいステージのあとに,「観客はもう自分たちのことなど覚えていない」と悔しがる姿が印象的でした。さらに2winkは「傾け!梅雨払いの錦」のS2ステージで紅月に真っ向から勝負を挑んだり,「スクランブル*夢の中のトイランド」では,fineと手を取り合って臨時ユニットとしてステージに上がったりします。上記では挙げていませんが,春先の「生け贄◆不死者たちの復活祭」(2018年3月公開)や,秋の「開演 ダークナイトハロウィン」(2015年10月公開)なども,まだ一年生とは思えない,彼らの高いパフォーマンス力やポテンシャルを感じることができます。しかし,年少なうえにたった2人のユニットである彼らは,ハンデが多くどうしようもない壁にぶつかることも少なくありませんでした。そうした焦燥感は,後の彼らに大きく影響していきます。

「開演 ダークナイトハロウィン」より
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■2winkの転機と進化


 見た目は同じでも性格は正反対に見える2人は,ことあるごとに小さな争いをしていました。「似ているからといって兄と一緒にされたくない,個人として尊重してほしい」と訴える弟のゆうた,「弟が大好きだからずっと一緒に活動したい,でも弟の気持ちも汲み取ってやらなくてはいけない」と考える兄のひなた。ぶつかって生まれる小さな亀裂は,何度も衝突していくうちに大きく広がり,やがて爆発したのが「雪花*流星のストリートライブ」での事件でした。ここまでの彼らを見ていた周囲の人にとっては,そのぶつかりあいは単なる“喧嘩するほど仲が良い関係性”に見えていたかもしれません。けれど実際は「いつまでも一緒にはいられない」と考えていたのはひなたのほうで,2人の仲は周りが思っていたよりもこじれ,根深い問題になっていたのが明らかになったのです。

「雪花*流星のストリートライブ」より
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 ゆうたはひなたに反発しながらも,本心ではその存在を頼り,どうにか追いつきたいともがいていました。一方のひなたは,ゆうたのことを想うからこそ,“同じ”に見られないために自分が変わることを選んでいました。お互いを思いやるが故にすれ違う様が描かれた「ストリートライブ」は,クリスマスという時期もあって「賢者の贈り物」(オー・ヘンリーの短編小説)を思わせます。このストーリーで彼らは胸の内をさらけ出し,いったんは問題解決となりますが,その後,またしても大きな転機が訪れます。それが「招福*鬼と兄弟の節分祭」でした。

 「節分祭」で語られた彼らの生い立ちや,“双子”として生きていくことをお互いがどう考えているかという一連の会話は,息苦しいほど重く,こちらの心にも突き刺さるものです。この会話の中で彼らはふと,普段の「ゆうたくん」「アニキ」ではなく「お兄ちゃん」「ひなたくん」と,お互いを逆の立場に据えて呼び合いました。おそらく彼らは幼いころから,立場を取り替えたイタズラをしてきたと思うのですが,もしも本当に母親のお腹から取り出された順番が逆だったとしたら――この呼び替えからは,これまでの2人が「2人で1つ」の双子である事実と,兄と弟というそれぞれの役割に自らをずっと縛り付けていたことに,あらためて気づいたのではと感じました。

 同時に,この学院には自分たちと同じように“ちょっと変わった”者たちがたくさんいて,2人だけで傷つけ合わなくてもいいんだ,居場所はここにあるのだと,今を受け入れたようにも思うのです。そうした感謝の気持ちとつらい過去への決別が,「衝突!思い還しの返礼祭」の零や先輩たちへの言葉で語られたように思います。

 血の繋がりは決して消えないように,彼らの問題も,この先もずっとついてまわるものだろうし,これからも喧嘩はするのだろうなと思います。けれど,三年生が卒業したあと,春の「スカウト!苺狩り」での彼らを見ると,最初のころと変わらぬ軽いやり取りでも,どこか肩の力が抜けた自然な姿に変化したことが伝わってきます。2度目の春を迎えて1つ大人になった彼らを見ていると,たしかな成長とともに頼もしささえ感じられました。

「招福*鬼と兄弟の節分祭」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■葵ひなた

 葵兄弟は,学年もユニットも部活も同じで2人そろって登場するイベントが多いのですが,兄弟のどちらか1人が登場するストーリーや場面を見ると,それぞれの本音や実情があらためて明らかになることも多くあります。

 ひなたは2winkの活動を支えるために,ゆうたには内緒でよくアルバイトをしていました。しかし理由を知らないゆうたにしてみれば,しょっちゅう姿を消す兄のことを,遊びほうけてばかりだと捉えることも少なくありません。そうした誤解を受けるひなた側の状況は,「スカウト!悪魔の館」(2018年5月公開)や,「スカウト!カンフー」(2015年9月公開)などで見ることができます。アルバイトの話ではありませんが,個性を出したいゆうたのために,鬼龍紅郎に衣装の変更を相談しにいく「着せ替え任侠」(葵ひなたキャラストーリー/春)でも,すれ違う彼らの“ひなた側”の思いを垣間見ることができます。

 また,「ドロップ*遠い海とアクアリウム」(2017年9月公開)で,ひなたは一緒に水族館で遊んでいた春川 宙からの助言に「(アドバイス的なものは)耳にタコができるくらい聞いてうんざり」と答えるシーンが非常に印象的でした。こうしたやりとりを見ていると,このころの彼にとってはゆうたの存在が唯一無二で,どんなに親しくしていても,周囲の言葉を受け入れない頑なさがあるように感じられます。

 ゆうたに対しての自己犠牲とも取れるような発言や態度も多いひなたですが,そうした危うさを感じ取っていた1人が,流星隊の守沢千秋です。彼は「ストリートライブ」でもリーダーの重責について語り,ひなたを心配する様子を見せていましたが,再びその関係性が描かれたのが「航海!早春のクルージングライブ」でした。これまでひなたが拒絶していた,2人の世界の外から差し伸べられる手を取ることは,結果2人の世界を守ることにもなったのかもしれません。

「航海!早春のクルージングライブ」より
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■葵ゆうた

 2winkの2人の小競り合いは,争いというよりもゆうたがひなたに対して文句を言うことが多く,図式としては「好き勝手ばかりしている兄に振り回される弟」という体をなしているように見えます。ですが上で述べたとおり,ゆうたはひなたを深く尊敬しており,兄が優秀だと思っているからこそ,弟であるが故の焦燥感にかられていたことが分かります。そういった「自分ではどうしようもない焦りと苛立ち」を吐露しているのが,先ほどひなたの項で挙げた衣装話の続き「続・着せ替え任侠」(鬼龍紅郎キャラストーリー/春)でした。そして「スカウト!夜の怪談」では,兄へ文句を言いながらも,とある状況でパニックを起こした際は,兄を求めて逃げ出す姿が印象的です。

 なお,ゆうたが単独で活躍する明るいストーリーとしては「特訓!凸凹なペアレッスン」(2015年10月公開)を挙げておきたいです。ここで仲良くなる忍との関係性は,普段の“弟”気質のゆうたではなく,少しばかり“お兄ちゃん”らしさも感じられ,初々しい魅力に溢れています(忍とのやりとりは「スカウト!ピカピカの一年生」(2017年3月公開)なども)。ゆうたは,同じ一年生と遊ぶ姿が描かれたストーリーも比較的多く,「スカウト!フルーツパーラー」(2016年9月公開)でも,日常の和気あいあいとした姿が見られ,気軽に楽しめるものではないかと思います。

 最後に,ゆうたのキャラクターストーリーではありませんが「あなたの色は」(春川 宙キャラストーリー/春)もおすすめしておきたいです。宙は葵兄弟と絡む機会がわりと多く,もしかすると,幼いころから周囲に“人とは違う”という目で見られていたことで,お互いに親近感を覚えているのかもしれません。宙は音や見えないものに色を感じる“共感覚”の持ち主で,相手がどういう色で見えているかを伝えることがあります。このストーリーで宙は,葵兄弟を「2人とも同じ色だけど,水彩と油彩のように塗り方が違う」と話します。この表現と,同じ色であったことに安心するゆうたの姿は,彼ら兄弟の関係性をよく表しているように感じられました。

「特訓!凸凹なペアレッスン」より
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■比翼の鳥,連理の枝


 中国唐の詩人によって作られた「長恨歌」という漢詩に,「天にあっては願わくは比翼の鳥となり,地にあっては願わくは連理の枝とならん」という一節があります。「比翼の鳥」とは,雌雄それぞれ1つの目と翼を持ち,常に一体となって飛ぶ伝説上の鳥で,「連理の枝」は,元は2本でありながら,枝が連なって1つにつながった樹木のことです。この漢詩は,夫婦の誓いの言葉から来ているのですが,先ほど挙げた「節分祭」のサブタイトルの1つでもある「比翼連理」とは,もしかしたらこの詩から取られているのかもしれません。

 2winkの2人は,「節分祭」のラストで“梅の精”の衣装を纏い,ステージに上がります。そして「返礼祭」では,「2人で片手ずつ繋いで,片翼ずつで羽ばたいてどこまでも行く」と言うのです。ほとんど同じ瞬間に生まれ,ずっと一緒に生きてきた2人。決して恵まれてはいなかった家庭環境だったからこそ,彼らは力を合わせて強く生きて来られたのでしょう。けれど,その“2人で生きていかなければ”という思い込みが,脆さを生みだしていたのかもしれません。彼らという樹木は,かけがえのない仲間という陽の光を浴びて強く育ち,彼らの翼は,あたたかい風を受けて上昇気流に乗っていく。そんな風に,2人は世界に見守られていることに気づけたからこそ,その絆がより確かなものになったように感じられるのです

 彼らはよく「いつか必ずてっぺんを取る」と口にします。言葉はやがて真実になると言いますが,2人を見ていると,本当にそうなるのだろうなと感じます。彼らが頂点を取ったとき,きっとカラフルで楽しくて幸せでいっぱいのステージを見せてくれるに違いありません。そして,その日は遠くないのかもしれないとも思うのです。

「衝突!思い還しの返礼祭」より
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おすすめストーリー〜Valkyrie編〜


  • 追憶*マリオネットの糸の先(2016年3月)
  • 演舞 天の川にかける思い(2016年6月)
  • モーメント*未来へ進む返礼祭(2018年2月)
  • リアクト★マジカルハロウィン(2016年10月)
  • 光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル(2016年11月)
  • スカウト!ノクターン(2016年12月)
  • スカウト!ヴィクトリア(2018年6月)
  • 発見!スチームパンクミュージアム(2018年11月)
  • (※公開順)


■Valkyrie[ヴァルキュリー]
〜芸術的な演出にこだわる格式高く情熱的なユニット〜


 もとは3人組のユニットだった。生徒会側の人間による策略で心に傷を負いユニットとしての活動がほぼできなくなってしまった宗は,革命後の学院で影片みかとの2人組,Valkyrieとして復活を果たす。宗は英智に対し今でも非常に強い憎しみを持っているためか,その後の宗と彼を師と崇めるみかは,英智に反逆したTrickstarに対して,自分たちこそが英智を倒したかったという意味での敵対心を抱く描写がされている。

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■Valkyrieの光と影


 元五奇人の1人,斎宮 宗がリーダーを務め,影片みかとともに活動するValkyrieは,元は3人組のユニットでした。もう1人は現在Ra*bitsでリーダーを務める仁兎なずなで,Valkyrieが夢ノ咲学院の頂点に君臨し,ある策略によってその座から転落して,なずなが脱退するまでを描いたのが「追憶*マリオネットの糸の先」でした。これは「あんスタ!」にValkyrieの2人が新ユニットとして登場して初めてのイベントで,初っ端から(ユニットの過去が語られる)追憶イベントで描かれたことや,残酷さをも感じさせる内容で鮮烈なインパクトを残しました。
 Valkyrieは,宗がすべてを構築し制御する,寸分の狂いも許さない完璧なステージを作り上げてきましたが,そのことが逆に弱みとなり,まさに砂上の楼閣のごとく崩壊してしまったのです。何度読み返してもハードな物語ですが,Valkyrieを語るうえで,これは間違いなく“原点”となるストーリーでしょう。時系列としては「マリオネット」は前年度の物語となりますが,この事件のあと,宗はしばらく閉じこもり,Valkyrieとしての活動ができなくなってしまいます。

 最初の春の“革命”によって,多くの生徒たちが生徒会による圧制から開放され,Valkyrieもまた少しずつ活動を再開していきます。といっても彼らの主な拠点は表舞台ではなく,ライブハウスの地下ステージでひっそりと,まるで日陰に育つ花のように人知れず蕾を膨らませていきました。その蕾が突然,日の当たるところへ引きずり出されて異形の花を咲かせ,“復活”を果たしたのが「演舞 天の川にかける思い」,通称「ミルキーウェイ」です。このストーリーでは,Valkyrieが天祥院英智に“解散かドリフェスへの参加か”と持ちかけられ,英智への怨嗟と芸術への愛,あらゆる感情を爆発させて観るものを圧倒し,かつての帝王としての存在感を示しました。誰にもできない,誰も作り上げることのできない唯一無二の世界を再び作り上げた2人はすさまじい執念に満ちており,痛快ですらあります。「マリオネット」「ミルキーウェイ」は,Valkyrieにとってだけでなく,夢ノ咲学院の歴史にも深く刻まれた物語と言えるでしょう。

「演舞 天の川にかける思い」より
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■Valkyrieの変化とその先


 宗の意向で,積極的にドリフェスに参加するわけではないものの,さまざまなステージをこなし,同時にたくさんのユニットや仲間たちと触れ合っていくValkyrie。活動は順調ではあるものの,その後2人の関係には少しずつ変化が表れてきます。
 そもそもValkyrieは宗がすべての中心となっているユニットで,みかも「自分の存在は宗の芸術を構築するための1つにすぎない」といった意味のことをよく口にします。みかが持ち込んだステージ仕事などの提案は,宗の気が向かなければみかが単独で参加することも少なくはありません。けれどそういうときの宗は,みかの失敗はValkyrieの経歴の傷につながるのだと言いながら,彼のピンチにいつでも対応できるよう,陰で見守っているのです(そうした姿は「復活祭☆イースターナイト」(2017年4月公開)や「打ち上げ!夜空の流星隊」(2017年6月),「発見!スチームパンクミュージアム」などで見ることができます)。

「発見!スチームパンクミュージアム」より
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 そうした関係性を続けるなかで,訪れたもう1つの変化は,宗が愛してやまない人形の“マドモアゼル”と彼の関係です。宗はいつも抱きかかえているマドモアゼルを介して会話をすることも多く,マドモアゼルと宗が2人きりのときは対話もします。しかし,「リアクト★マジカルハロウィン」などのストーリーに代表される秋ごろから,宗はマドモアゼルの“声”が聞こえなくなってくるのです。
 彼にとってのマドモアゼルの存在や,彼女が言葉を発する意味ははっきりと明言はされていません。しかし,次第に卒業の時期も迫り,己の進路や学院に1人残していくことになるみかの将来を案ずる宗の様子は,彼が少しずつ大人に近づいている証左にほかならないようにも思えます。そして訪れたクリスマス,“3人のValkyrie”という美しい奇跡が起きた「光輝★騎士たちのスターライトフェスティバル」では,過去を恨み悔やむだけでなく,本来の宗が持つ愛情が伝わり,根本は変わらずとも,それを表現できるようになった彼の姿が深い感動を呼びました。

「リアクト★マジカルハロウィン」より
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 そして,宗がついに卒業を迎えるストーリーが「モーメント*未来へ進む返礼祭」です。みかはかつて,Valkyrieの復活ステージで「(宗のためなら)自分の明日なんていらない」と言っていました。彼にとっては宗がすべてであるため,彼と離れるということは世界の終わりと言っても過言ではありません。非常に刹那的とも言える生き方をしていた彼ですが,自分の命よりも大切な宗が作り上げたValkyrieのこれからをどうするのか。ここで宗はみかにすべての判断を託すのですが,答えを決めたみかとそれを受け止めた宗,2人の表情と言葉は,あの「ミルキーウェイ」のステージで見せたものとちょうど対になっているように感じられ,胸が熱くなります。
 また,「リアクト★マジカルハロウィン」でみかが宗に対して言った「たとえ死んでも,地獄の底まで一緒だ」というセリフへのアンサーとも取れる言葉が宗の口から聞けますので,こちらもぜひその目で確かめていただきたいです。

「モーメント*未来へ進む返礼祭」より
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■キャラクター別おすすめストーリー


■斎宮 宗

 宗は自らの才能と作品に誇りを持ち,他人と気安くつるむタイプではありません。しかし,「傀儡の帝王」(斎宮 宗キャラストーリー/春)や「大人げないひと」(斎宮 宗キャラストーリー/夏),「スカウト!ヴィクトリア」などは,彼のそうした突き抜けた“芸術家らしさ”がコミカルに描写されており,読んでいてとても楽しいストーリーになっています。

 なお,普段マドモアゼルの話す優しい言葉は,実際は宗によるもの(セリフのテキストボックスは「宗」になっている)であることからも,本当の彼はただ変わっているだけでなく,他人を深く思いやる人であることがよく分かります。排他的で,他人を攻撃する強い言葉を発しているように見えながらも,そうした優しい性格がにじみ出ている場面も少なくありません。
 例えば,“天敵”とも言える天祥院英智とは「スカウト!荒野のガンマン」で,歯に衣着せぬ言い合いをしながらゲーム対決に勤しんだり,「スカウト!ノクターン」では,幼なじみの鬼龍紅郎と息の合った小競り合いをしたりと,楽しい(?)かけ合いが見どころです。英智や紅郎,(「ノクターン」に登場する)青葉つむぎとは,過去につらいできごとがあった因縁の関係と言えますが,彼らを“無視”するのではなく,都度きちんと対面しているところから,宗は律儀な人物なのだと感じます。

 また,ぜひおすすめしたいのが「スカウト!エキセントリック」(2016年12月公開)です。このストーリーでは,年末の時期に偶然集まった元五奇人の仲間たちとの気のおけない会話がくり広げられました。彼らが思い出話に花を咲かせる場面では,宗があるネタで貴重な照れ顔を見せるため,彼の可愛らしい一面を知ることができます。

「スカウト!ヴィクトリア」より
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■影片みか

 みかは「あんスタ!」に登場するあらゆるアイドルのなかで,一番と言っていいほど自己肯定感が低いように思えます。彼にとっては宗が世界のすべてと言っても過言ではなく,宗の作品の一部であることがアイデンティティになっているため,自己認識が他人ありきで,自分の中で完結していないからです。彼はとても優しく繊細な心を持つ人物ですが,宗のためなら命さえ捨てかねないような,危うい面も持ち合わせています。
 よって,先ほど紹介した「卒業に向けての宗の変化」は,みかには天変地異のごとく動揺を与えるものとなります。「スカウト!テディベア」(2017年11月公開)では,そのころの彼の心の揺れと宗への傾倒ぶりを見ることができます。

 そんなみかですが,この1年をとおし,Valkyrieとは別の大きな流れにも身を置いていたことが分かりました。その様子は「Saga」シリーズ(「Saga*かけ上がるレインボーステージ」(2018年9月公開),「Saga*ぶつかり合うリバースライブ」(2018年12月公開))で見ることができます。ここでは,アイドル業界全体を巻き込む一大企画「Project-Saga(サガ計画)」の一貫で,みかは教師の椚 章臣率いる臨時ユニット「Ba-barrier」の一員となり,アイドルとしての在り方を見つめ直すきっかけを得ます。このできごとは恐らく,みか自身がアイドルを目指すうえでの心の在り方だけでなくValkyrieの活動にも影響をもたらしたことでしょう。

 なお,彼の無二の親友であるクラスメイトの鳴上 嵐との友情が光るストーリー「夏空*駆けるシュヴァルライブ」(2018年8月公開)や,子供たちや後輩など,自分より幼い者へ向けられた彼の優しい目線が感じられる「スカウト!ポイズンアラモード」(2019年2月)も,彼の魅力を知るうえで合わせておすすめしておきたいです。

「スカウト!テディベア」より
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■Valkyrieが作り出す“最高傑作”


 物語の解説から少し離れた説明となりますが,Valkyrieは「あんスタ!」のリリースから約1年後の2016年3月に追加された新ユニットでした。リーダーの斎宮 宗は“三奇人”以外で初めて登場した元五奇人であり,制服の着こなし方も含め,これまでにないイメージのビジュアルに驚かされました。さらに影片みかは,オッドアイで萌え袖の関西弁キャラクターで,シルエットの状態から彼らのビジュアルやスペックが明らかになったときは「設定がてんこ盛りだ」と,大きな反響があったことをよく覚えています。蓋を開けてみれば,あまりにも(無論いい意味で)人間くさいところのある宗と,彼を神のごとく崇めるみかの献身的な姿に,あっという間に多くのファンが魅了されました。

 筆者はValkyrieの2人のこの1年を,「お互いをすべて理解はできていなかったけれど,心から信頼しあっていた」関係と捉えています。表向きは執着や好意が一方通行に見えて,お互いが神であり天使であり,相手は自分とは違う個体でありながら,この地上で呼吸するうえで必要不可欠な存在だったのだろうと思うのです。

 先ほども挙げた「モーメント*未来へ進む返礼祭」において,彼らの関係性と将来にとって非常に重要な会話が交わされます。中盤の宗の一連のセリフはとくに素晴らしいのでぜひ読んでいただきたいのですが,ここで彼は,「芸術とは究極の人間性である」と語ります。だからこそ,みかには“人形”ではなく,自分と同じ人間になってほしいと願ったのかもしれません。そしてラストに出したみかの結論,みかが目指す未来は,宗が求める芸術と形は違えど,真意は同じものであると筆者には感じられました。

 Valkyrieはこれからも,さらに高みにのぼってゆくでしょう。芸術というものには正解も終わりもなく,宗の言葉を借りれば「満足は芸術家の死」であるからです。彼らが作り出す“最高傑作”は,それが生まれた時点から,次の作品が生まれるまでのもの。彼らがこの地上にある限り,きっとまた,これまでに感じたことのないような感動を与えてくれるのだろうと思います。

「モーメント*未来へ進む返礼祭」より
画像(023)「あんさんぶるスターズ!」のユニットを知るにはこの過去イベがおすすめ! 第1回:fine,2wink,Valkyrie編
 
第2回の記事もお楽しみに!


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[2018/12/29 00:25]

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