北米時間2019年1月7日,Corsairは,CES 2019に合わせて新製品発表会を開催し,独自のワイヤレス技術「
SLIPSTREAM CORSAIR WIRELESS TECHNOLOGY」(以下,SLIP
STR
EAM)に対応するワイヤレス&ワイヤード両対応マウス「
HARPOON RGB WIRELESS Gaming Mouse」(以下,HAR
POON
RGB
WIRE
LESS)や,背の高い筐体を採用するゲーマー向けデスクトップPC「
CORSAIR ONE」シリーズの2019年モデルなどの新製品を発表した。
イベントで発表となった新製品の概要をレポートしよう。
HARPOON RGB WIRELESS
Corsairは今回,HAR
POON
RGB
WIRE
LESSのほかに,ワイヤード接続型のマウス「
M65 RGB ELITE Tunable FPS Gaming Mouse」(以下,
M65
RGB
ELITE)および「
IRONCLAW RGB FPS/MOBA Gaming Mouse」(以下,
IRONCLAW
RGB)の3製品を発表している。ただ,発表会の主役となったのは,HAR
POON
RGB
WIRE
LESSだ。
北米市場向けのCorsair直販サイトではすでに販売中で,価格は
49.99ドル(税別)。Corsairによれば,そう遠くないタイミングで世界市場向けにも出荷を行う予定とのことだ。
HARPOON RGB WIRELESS。見た目はごく普通の右手用マウスである
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HAR
POON
RGB
WIRE
LESSは,USBケーブルによるワイヤード接続と,Bluetooth Low latencyによる無線LAN接続,そして2.4GHz帯の電波を使う独自のSLIP
STR
EAM方式による3種類の接続方式に対応している。この中で,Corsairがメインの接続手段としているのが,SLIP
STR
EAM方式だ。
SLIP
STR
EAMが使う2.4GHz帯は,無線LANやBluetooth,ほかの独自方式無線通信でも非常に良く使われるので,同じ周波数を使う無線通信機器の多い環境では電波の混雑で通信速度が低下したり,通信が途切れてしまうということが起きやすい。そこでSLIP
STR
EAMでは,
- データ通信のパケット1つを2つに分けて,ミリ秒単位で順次送り出す
- 空いている周波数帯を探して通信に使う周波数を動的に切り替える「Intelligent Frequency Shift」(IFS)
- インテリジェントな再送信技術で冗長性を確保する
といった仕組みによって,従来の無線通信方式よりも2.5倍の信号強度を実現しているとのことである。これにより,低遅延かつ通信が途切れにくくなっているのが,HAR
POON
RGB
WIRE
LESSの特徴であるそうだ。
SLIPSTREAMに使われている技術の概要
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加えて,SLIPSTREAM対応のUSBレシーバーは,1基で3台までの対応デバイスを接続する機能があるそうで,Corsairでは今後,SLIP
STR
EAM対応のワイヤレスキーボードやワイヤレスヘッドセットを製品化する予定とのことだった。
HARPOON RGB WIRELESS付属のUSBレシーバー(左)。右写真はSLIPSTREAM対応のワイヤレスキーボード試作機だ
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ワイヤレス以外の面では,最大60時間駆動できるだけのバッテリーを内蔵しながら,約99gという軽さを実現しているのもポイントだろう。
なお,搭載センサーの詳細は明らかになっておらず,光学式で最大1万DPIというスペック以外は不明だ。
HARPOON RGB WIRELESSの左側面には,2つのサイドボタンがある(左)。一方,右側面にボタン類はなく,滑り止めの模様があるだけだ(右)。ボタン配置は左右メインボタンとセンタークリック付きスクロールホイールに加えて,スクロールホイール隣接×1,左サイド×2となっている
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同時に発表となった2つのマウスについては,簡単に紹介したい。両製品は北米市場向けの直販サイトでは販売中で,価格はともに
59.99ドル(税別)となっている。
まずM65 RGB ELITEは,2016年に登場した「
M65 PRO RGB Aluminum Frame FPS Gaming Mice」の後継的な製品である。
M65 RGB ELITE。写真のホワイト以外に,ブラックのモデルも用意されている
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搭載センサーに,CosairとPixart Imagingが共同開発したという光学式「
PWM3391」を採用しているのも見どころの1つ。スペックの詳細は明らかになっていないのだが,1DPI刻みで最大1万8000DPIまでトラッキング解像度を調整できるのが特徴であるという。
重量が約97gと軽く,底面に最大3個の錘(おもり)を取り付ける重量調整機能を備えるのもポイントだ。
M65 RGB ELITEの左側面(左)。左側面中央にある大きめのボタンは,押している間だけトラッキング解像度を下げる「PRECISION SNIPER BUTTON」だ。底面に3つの錘を取り付けられる点は,先代のM65 PRO RGBと変わらない(右)
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もう1つのIRONCLAW RGBは,手のサイズが大きく,かぶせ持ち(パームグリップ)を好むユーザーに向けた右手用マウスであるという。搭載センサーは,こちらも光学式センサーのPWM3391となっている。
IRONCLAW RGB
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左側面には,大きめのサイドボタンが2つ並ぶ(左)。右手用なので,右側面は滑り止めの模様があるだけだ
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縦長筐体のPC「CORSAIR ONE」にRTX 20シリーズ搭載の新世代モデルが登場
2017年に,Corsair初のゲーマー向けデスクトップPCとして登場した「
CORSAIR ONE PRO」。そのコンセプトを受け継いだうえで,より高性能なグラフィックスカードへの対応と静音性の向上,さらに拡張性の強化も図った2019年モデルとして,「
CORSAIR ONE i160」と「
CORSAIR ONE i140」の2機種が発表となった。
新型CORSAIR ONEの筐体
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CORSAIR
ONE
i140は,Corsair直販サイトで北米市場向けの販売が始まっており,価格は2999.99ドルから。CORSAIR
ONE
i160は2月12日に北米市場で発売の予定で,価格は3599.99ドルからとなっている。
CORSAIR
ONEの2019年モデルは,いずれもTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)160WのCPUを,従来モデルよりも冷やせる冷却機構の採用や,NVIDIAの「TITAN」シリーズGPUにも対応可能で低負荷時は空冷ファンの回転を止める機構を備えた内蔵グラフィックスカード,そして低負荷時はこちらも空冷ファンを止められる電源ユニットといった特徴を備えているという。
CORSAIR ONE 2019年モデルの特徴を示したスライド
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CORSAIR ONE 2019年モデルと既存製品で,高負荷時におけるCPUおよびGPU温度を比較したスライド。CORSAIR ONE i140は,高負荷状態でもCPU温度が最大22%も低いという
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2製品の主な違いはスペックにある。CORSAIR
ONE
i160は,CPUに「
Core i9-9900K」,GPUには「
GeForce RTX 2080 Ti」を採用しているが,CORSAIR
ONE
i140のほうは,CPUに「Core i7-9700K」を,GPUには「
GeForce RTX 2080」を採用するというのが明確な違いである。
両機種ともメインメモリ容量は32GBで,内蔵ストレージはPCIe M.2接続で容量480GBのSSDと,Serial ATA接続で容量2TBのHDDという構成だ。
なお,Corsairでは,CORSAIR ONE 2019年モデルの派生でクリエイターやデザイナー向けのPC「
CORSAIR ONE PRO i180」を,2月12日に
4999ドルで発売することも発表している。
こちらは筐体の色が銀色となっているほか,CPUにSkylake世代で12コア24スレッド対応の「Core i9-9920X」を,GPUにはGeForce RTX 2080 Tiを採用するのが特徴だ。
CORSAIR ONE PRO i180。ゲーマー向けCORSAIR ONEの黒よりも,こちらの筐体色を好む人は少なくなさそうに思える
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微細なLEDを並べた「CAPELLIX LED」を採用するメモリモジュール
Corsairはゲーマー向け製品のほとんど,たとえばメモリモジュールにもカラーLEDイルミネーションを搭載しているが,そのLEDについても,新しい発表があった。
「CORSAIR
CAPELLIX
LED」(以下,CAPELLIX
LED)というそのLEDシステムは,従来のLEDよりも大幅に小さいチップLEDを多数並べることで,単一のLEDよりも60%ほど高輝度で,40%ほど低消費電力,なおかつ長寿命なLEDイルミネーションを実現できるという。
CAPELLIX LEDの写真を示したスライド。左のスライドは,下側に既存のLEDモジュールを,上にCAPELLIX LEDで使う小型のチップLEDを並べたものだ。右写真は,CAPELLIX LEDの拡大写真で,チップLEDを多数並べているのが分かる
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CAPELLIX LEDのサンプルと,既存のLEDモジュール。チップ抵抗のように小さなチップLEDが132個も並べられている
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Corsairでは,CAPELLIX LEDの用途としてゲーマー向けキーボードやマウス,光るPCケースや光る空冷ファンといったものを挙げているのだが,第1弾の採用製品となるのは,光るDDR4メモリモジュール「DOMINATOR
PLATINUM
RGB」になるそうだ。
DOMINATOR PLATINUM RGBは,Corsairの統合設定ソフト「iCUE」に対応しており,発光色や発光パターンをユーザーがカスタマイズできるという。
DOMINATOR PLATINUM RGB
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低消費電力という特徴をいかせば,たとえばワイヤレスタイプのマウスやキーボードでLEDを点灯しても,バッテリー駆動時間に与える影響が少ないデバイスを作れるのではないだろうか。今後の採用製品に期待したい。
Elgato Gamingは,スマートフォンやタブレット用ゲームの実況配信システムを出展
Key Lightの実機。基本的にはポールの先に取り付けて,ディスプレイの上から実況者を照らすといった使い方を想定している。最大輝度は2500ルーメンとのこと
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イベントでは,Corsairが
2018年に買収したゲーマー向けキャプチャデバイスやキャプチャ関連製品のブランド「
Elgato Gaming」による発表もあったのだが,残念ながら新ハードウェアは,実況者の顔を照らすためのLED照明システム「
Elgato Key Light」(以下,Key Light)と,とくにゲーム用途とは無関係なThunderbolt 3対応ドックだけだった。
Key Lightは,PC上のソフトウェアで輝度や色温度を調整できるのが特徴のである。発表会場には1台しかなかったのだが,Elgato Gamingでは,2台を使って左右から実況者を照らすという用途をアピールしていた。
Screen Linkのイメージ図。左側のスマートフォンやタブレット上で動くゲームの映像を,右のPCに配信する
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ハードウェア新製品以上に興味深かったのは,「
Elgato Screen Link」(以下,Screen Link)というiOSデバイス向けのゲーム実況ソフトウェアだ。
Screen Linkは,iPhoneやiPad上で動作しているゲームの映像をMacに配信したうえで,Mac側のソフトウェアで実況映像に必要な処理や加工を施して配信,または録画するというシステムである。
ソフトウェアだけで完結するので,キャプチャデバイスの類が不要であるうえ,「OBS Studio」や「Streamlabs OBS」といったメジャーな配信ソフトウェアに対応しているのも利点と言えよう。
Screen Linkのデモ環境。左写真にあるiPadの画面を,右側のMacBook Proにストリーミングしている
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Screen Linkは,1セッションあたり15分までの時間制限がある無料版と,制限なしで9.99ドルの有料版「
Screen Link Pro」がラインナップされている。iPhoneとMacを所有するゲーマーは,Screen Linkでスマートフォンゲームの実況に挑戦してみるのもよさそうだ。PC用ソフトウェアの登場にも期待したい。