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Wii U版「ドラゴンクエストX」の発売を記念した「春祭り」が開催。齊藤陽介氏と藤澤 仁氏らが開発秘話を明かした「開発者ステージ」をレポート
世界観&ストーリー編
開発者ステージ第1回のテーマとなったのは,プレイヤーが高く評価しているというドラゴンクエストXの世界観とストーリーが,いかにして生み出されたかについてだ。登壇したのは,本作のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏と,ディレクター/シナリオチーフの藤澤 仁氏,そしてバージョン2.0よりシナリオチーフの成田篤史氏の3名である。
プロデューサー 齊藤陽介氏 |
ディレクター/シナリオチーフ 藤澤 仁氏 |
シナリオチーフ 成田篤史氏 |
次は,どんな種族を導入するかだが,エルフとドワーフについては,これまでのシリーズでもサブキャラなどとして登場してきたので,イメージしやすかったという。そしてオーガ,ウェディ,プクリポの3種族に関しては,まず開発チームで設定を決めていったのだそうだ。
そして,その設定をもとに鳥山 明氏がキャラクターデザインを行ったわけだが,初期のデザインではオーガは男女とも今以上に大きくたくましく,ウェディは“魚+ウルトラマン”のようなイメージだったという。そこで鳥山氏に「もう少しイケメン風になりませんか」といったような打診をした結果が,今のオーガとウェディの姿なのである。
ちなみに藤澤氏は,主人公が人間ではないことについて,当初は異を唱えていたそうだが,齊藤氏とゼネラルプロデューサーの堀井雄二氏に説得されたという。
しかし,藤澤氏の「ドラクエの主人公は人間」という思いは極めて強く,そこから本作における主人公が,人間と各種族の双方の姿を持つという設定が生まれた。また当初の仕様は,1日の中で一定の時間になると人間と各種族が切り替わるというものがあったのだが,システム上の課題が生じたため,断念せざるを得なかったという。
藤澤氏は,それらの設定や仕様上の理由から,ストーリーをどう紡いでいくか考える側面もあったと話す。また齊藤氏は,ゲームがオンラインモードに入った当初,プレイヤーが人間の姿になれないことにより,結果として各種族への愛着を抱くプレイヤーが多くなったのではないかと分析しているようだ。
続いてのお題は,2013年2,3月に行われたバレンタインデーとホワイトデーのイベントについてだ。両イベントは,ゲーム中に登場する女性キャラと男性キャラの人気投票だったのだが,とくに大変だったのは,個性的かつ魅力的な多数のキャラクターの中から,男女10名ずつ候補を絞り込む段階だったと成田氏は語る。
ちなみに男性キャラクターで3位となったズーボーは,あとから追加された職業であるパラディンの職業クエストにしか登場しないため,プレイヤー全体の認知度から見るとかなり低いはずである。そうした不利な状況を乗り越え,結果を残したことについて,シナリオスタッフは喜んでいると藤澤氏は話していた。
ほかにも,ゲームのオープニング部分に登場する「カメさま」についての開発中のエピソードが紹介された。カメさまは,鳥山氏が人間のイラストを描くにあたり,騎乗用の亀を添えたことが発端だったとのことだ。その圧倒的な描き込みや存在感をゲームに生かそうと考え,さまざまな設定を加えていったと藤澤氏と成田氏は語る。
またフウラが抱いている,ぬいぐるみの「ケキちゃん」は,もともとリアルでのグッズ化を想定してデザインされたものと,藤澤氏は明かす。実際,プレイヤーからもグッズ化の要望が寄せられたとのことだが,あまりにもデザインに凝りすぎたために,いざ,ぬいぐるみ化しようとすると,かなり原価が高くなってしまうという結果になってしまったそうだ。会場では,採算を度外視したぬいぐるみの試作品が披露されたが,販売するためにはコストの見直しを図る必要があるとのことで,残念ながら直近での実現は難しいようである。
ステージの後半では,藤澤氏が「ドラゴンクエストX」で,ぜひプレイしてほしい部分を紹介。1つめは,主人公の兄弟姉妹が活躍するオフラインモードで,氏は「クリアしておくと,将来的にオンラインモードへとつながることがあるかもしれない」と話す。また独自の武具や「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」などにあった「錬金釜」のような,オンラインモードにはない遊びにも,ぜひ触れてほしいと語っていた。
2つめは配信クエストだ。藤澤氏は,配信クエストのシナリオの制作には,本編と同じくらいの手間がかかっていて,かつボスモンスターは本編よりも強めになっているので,本編とはまた違った楽しみ方ができるのではないかと説明する。とくに成田氏は岳都ガタラの配信クエストを,齊藤氏は上記のパラディンの職業クエストをオススメに挙げていた。また藤澤氏いわく,オルフェアの配信クエストも人気が高いそうである。
その先のバージョン2.0では,人間の大陸「レンダーシア」が登場。従来シリーズに近い世界観を持つ大陸で,成田氏いわく「勇者」も登場するかもしれないという。また既存種族同様,専用のBGMにも注目してほしいと齊藤氏は話していた。
4月1日から始まる「お花見ツアー」イベントには,「ドラゴンクエストV」の妖精ベラが登場。これまでの季節イベント以上の大ネタが仕込まれているらしい |
同じく4月1日には配信クエスト「遠い約束」がスタート。シナリオスタッフの中でも人気が高いシナリオとのことで,こちらも期待が高まる |
アストルティア誕生編
アストルティアは,最初は人間の暮らすレンダーシアが中心にあるという設定だけが決まっており,そこに堀井氏が出した「だいたいこんな感じ」というイメージを加えたものを,ゲームに即した形に落とし込んでいってできあがったのだという。その結果,当初のイメージとかけ離れたものになっていることも多かったそうだ,ちなみに,ゲーム内のガートラント城内にある会議室には,今のアストルティアの原型となった世界地図が飾られているとのことで,藤澤氏はぜひチェックしてほしいと話していた。
続いて,各大陸のイメージについて,スタッフ間の共通認識を深めるために制作されたというムービーや,街のイメージアートも特別に公開された。いずれのイメージも現在のゲーム内に実装されている内容に近いことが印象的だ。
なお,齋藤 力氏いわく,カミハルムイの渡し舟は,最初の案の時点で構想に入っていたそうだが,諸事情によりバージョン1.3でようやく実装されたとのことである。
こうしたドラゴンクエストXの開発中は,藤澤氏の無茶振りによって開発チームが振り回されることも多かったと齋藤 力氏。たとえば朝のニワトリの声,夕方のカラスの声,ゲルト海峡のバンジージャンプ,夜空に浮かぶ月の満ち欠けなどは,かなり開発が進んでから,藤澤氏が思いついたように「入れよう」と言い出したものだそうである。いずれもゲームとしてはあったほうが望ましいが,齋藤 力氏は「最初から入れると決めて仕様を固めていれば,そう難しいものではないのですが,途中からの仕様変更となると大変」と説明した。
ステージの後半では,藤澤氏が,アストルティアの注目スポットを紹介。まずホラースポットとしては,「夢幻の森」にある石の一つが地蔵の頭であることが挙げられた。また真実かどうか分からない話としては,魔法の迷宮の一つ「百鬼の隠れ屋敷」にて,ある時間帯だけ障子に無数の手のあとが表示されたり,坪庭に人影が現れたりするという。
さらに複数のプレイヤーからは,「捨てられた城」の一角で女性の泣き声が聞こえるという報告が寄せられているが,サウンドチームでは一切そんなギミックを入れていないとのことで,藤澤氏は「ひょっとすると,僕達も知らない“何か”があるのかもしれない」とコメントしていた。
またアストルティアには,各種族やモンスター以外にもさまざまな生物が存在するが,なかなか見落とされやすい。会場ではカミハルムイの馬,マップ内ワープの実装で死角になってしまったドルワーム王国のラクダ,ミュルエルの森にいるカブトムシのメスが紹介された。
住宅村の話題では,「Sサイズの家をいくらで買ったか」というデータが公開され,多くの人が底値の2万ゴールドで買っていることが判明。藤澤氏は「あせって高く買う必要はまったくないです」とコメントしていたが,自身は全財産の半分以上を切り崩して,30万ゴールドで人気の草原地区6番地のMサイズの家を買ったという(底値は10万ゴールド)。
また新家具も続々登場するとのことで,バージョン1.4では,「クエストのムービーを好きなときに見たい」というプレイヤーの要望に応え,新家具「思いで映写機」が登場予定。藤澤氏いわく,触手で映写機を操作するナスビナーラが可愛いそうだ。さらに実装時期は未定だが,武具を飾るマネキンも開発中。ボタン1つで,飾ってある武具をまとめて装備できる機能もあるとのことで,何かと転職する機会の多い本作ではかなり便利な家具になりそうである。
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」公式サイト
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ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
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ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
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