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田中公平氏とヒャダインこと前山田健一氏の対談が実現。前山田氏が「このままじゃ大丈夫じゃないことが分かりました」と語った訳は……?
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印刷2012/03/31 00:00

インタビュー

田中公平氏とヒャダインこと前山田健一氏の対談が実現。前山田氏が「このままじゃ大丈夫じゃないことが分かりました」と語った訳は……?

「田中公平」という名前がブランド化すれば

名前が勝手に仕事をとってきてくれる(田中氏)


4Gamer:
 結局のところ,若いうちにピークを迎えるより,若いうちは苦労をしていろいろなものを身につけて,ある程度の年齢でピークを迎えられるように準備しておいたほうがいい,ということでしょうか。

田中氏:
 そうです。だから後半型の人生のほうが幸せなんですよ。
 若いうちは,人に頭を下げるのも平気なんです。「よろしくお願いします!」って気軽にできるでしょう。でも50代になって,30代のクライアントなんかを相手に,這いつくばるようにしながら「よろしくお願いします」なんてやることになったら,自分も相手もつらいでしょう。
 だから,50代になったときには若いクライアントから「この人と一緒に仕事をしたい」と思われるようになっておかないとまずいんです。

4Gamer:
 田中さんは,これまでのお話を聞く限り,まさにそのとおりになっていますよね。

前山田氏:
 ですね。田中さんみたいになるための秘訣みたいなものはありますか?

田中氏:
 秘訣ってわけじゃないけど,私が一番最初に考えたのは,「『田中公平』のブランド化」なんですよ。名前がブランド化すれば,名前が勝手に仕事をとってきてくれるようになりますし,幻想も生まれますからね。

4Gamer:
 幻想……?

田中氏:
 「音楽・田中公平」とクレジットされることで,受け手がそれだけで何か凄いもののように感じてくれたり,クライアントが売り上げに+何万本かの勢いがつくと思ってくれたり,そういうことです。

4Gamer:
 ああ,なるほど。確かにそういうブランドってありますよね。安心感に直結しているというか。
 とはいえ,そうやってブランド化していくためには,それなりの年月が必要ですよね。一つ一つの積み重ねがないことには。

田中氏:
 まあ数年では無理でしょうね。それにブランド化の仕方も人によっていろいろありますしね。それぞれ合うやり方も合わないやり方もあるんです。ただ,私の場合はうまいこといきました。

4Gamer:
 例えば先ほどおっしゃっていたように,人がいないからアニメの音楽をやろうとか,ほかの人達がシンセミュージックに走るならアコースティックにいこう,みたいなものが生きたわけですよね。

田中氏:
 その一つ一つを,ブランド化のためにやってきたわけですよ。
 だから最近でも,GRAVITY DAZEの音楽を田中公平が手がけましたとなると,それだけで期待してくれる人がいるわけじゃないですか。

4Gamer:
 そして実際にゲームに触れてみると,やっぱり「田中公平すげえ!」みたいに思いますし。

前山田氏:
 でも僕は今,それが逆……というか,半々なんですよね。「あのヒャダインが!」と思ってくれる人もいれば,「ちっ,ヒャダインかよ」みたいな人もいて。


田中氏:
 若いうちはね,賛否両論あったほうがいいんですよ。今,みんなが持ち上げてくれていたら,落っこちる日だって近くなりますからね。

前山田氏:
 ああ,確かに。

田中氏:
 それに「ヒャダインかよ!」と言われるってことは,その人はヒャダインを知っているということなんですよ。悪口を言ってくれる人は,なんだかんだでちゃんと聴いてくれてますからね。それをありがたいと思ったほうがいいんです。

4Gamer:
 関心がまったくなかったら,悪口すら出ませんし。

田中氏:
 そう。だから私は「アンチを育てろ」ということも,若い人達にはよく言うんです。ヒットする作品はたいてい,最初のうちは支持者とアンチが半分ずつぐらいいるんですよ。その比率が7:3ぐらいになったときに,大ヒットするんです。「新世紀エヴァンゲリオン」も,そうでしたからね。
 それに,私がウィーゴー!を作るときも,アンチを増やそうと思ったんです。

4Gamer:
 狙って,ですか?

田中氏:
 すっごい狙いました。「幼稚だ」とか「歌いにくい」とかいろいろ言われましたけど,全部思った通りの反応でしたね。

4Gamer:
 でもそれって,絶大の自信がないとできないことですよね? 誰だって叩かれたら落ち込むモノじゃないですか。

前山田氏:
 そうですよ!

田中氏:
 いや,叩かれるのって面白いですよ。たまに,なるほどなって思うこともありますし,ただ凄い凄い言われているほうが怖いですから(笑)。

前山田氏4Gamer:
 つ,つええ!


「GRAVITY DAZE」では

「誰だこれ?」というような曲も書いた(田中氏)


4Gamer:
 何だかお話が尽きる気配がまったくないんですが,そろそろ時間もおしてきちゃいましたね。そこでお二人の近作のお話を聞かせていただきます。

田中氏:
 金策? あ,どうすんのマンション。

前山田氏:
 そこなんですよね。こういう仕事をしていると,銀行がなかなかお金を貸してくれないんですよねぇ。でもなんとかしたいなって。


4Gamer:
 ええと,近々発表される作品のお話を……。

田中氏:
 あ,そっちは,アニメ「氷菓」の音楽をやりました。
 ここでも発注されてない曲を作ったりしたんで,それがどこで使われているのか,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 ありがとうございます! ……って,ゲーム情報サイトである4Gamerとしては,GRAVITY DAZEの音楽について,もう少しお聞きしたいんですが……。

田中氏:
 だいたい公式サイトで喋っちゃいましたからねぇ。

4Gamer:
 ですよねぇ。

田中氏:
 まあ,GRAVITY DAZEでは,一曲,自分でも凄く出来がいいと思えるものが作れたんです。でも,先方からは「このシーンのイメージとは違う」というリテイクが入ったんですね。確かに話を聞くと,そのイメージとはちょっと違ったから,そのときは「じゃあこのシーンのための曲は作ります。だから,こっちの曲もどこかで採用してください」という交渉をしました。

4Gamer:
 GRAVITY DAZEを遊びつつ,それがどの曲のことなのかを想像するのも楽しそうですね。

田中氏:
 そうやって探してみてほしいですね。だから,ぜひ買ってください。日本国内だけでなく,世界中でも構わないのである程度売れれば,また続編の話もでるでしょうから。

4Gamer:
 それはやはり,やり甲斐のあるお仕事だったということでしょうか。

田中氏:
 そうですね。GRAVITY DAZEに関しては,先方から昭和のアニメみたいなものを踏襲してほしいと言われたんです。そこは外さずに,まったく新しい世界観を構築しようと思いました。なので先方がメインだと思っている部分……オープニング,ザコバトル,街の曲については,先方が思っているようなものの中で,一番格好いいものを書いています。
 でもそれだけじゃなくて,変わった変な曲もたくさん書いて遊んでいるんです。なので最初は「田中公平の格好いいのが来た!」と感じてもらえると思うんですが,そのうちにどんどん気持ち悪く変な感じになっていって,「誰こいつ?」みたいになるでしょう。そこら辺も楽しんでほしいですね。

前山田氏:
 いっさい,守りに入らないんですねぇ。

田中氏:
 アンビエント系の曲を書いて,譜面を同じ事務所の井内啓二君という若い奴に送ったら,「何ですかこれは」って言われましたよ。「僕らが田中さんに勝とうと思ったら,こういうことしかないのに,なんでこっちまでやっちゃうんですか」って(笑)。

前山田氏:
 「おらが畑を荒らすな」って(笑)。

田中氏:
 すんまへーんって。
 まあ,そんな感じなので,GRAVITY DAZEはメインじゃない,端々の曲が面白いと思ってます。

GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

日本のアイドルという文化を

世界に知らしめたい(前山田氏)


4Gamer:
 前山田さんはいかがでしょう?

前山田氏:
 スクウェア・エニックスから配信される「拡散性ミリオンアーサー」(iOS / Android)で,音楽と主題歌を担当しました。主題歌は,ちょうちょという新人さんに歌ってもらっているんですが,それの英語バージョンは僕が歌ってます。

田中氏:
 なんで英語バージョンだけ歌うの?

前山田氏:
 世界対応のゲームなので,英語の歌もほしかったんです。なのでそちらは,アレンジャーも変えて,もの凄いアメリカンハードロックな感じにしています。
 プロデュースワークとしては,ももいろクローバーZの「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」という曲を作りました。ギターをマーティ・フリードマンさんにお願いして,シンフォニック・プログレ・メタルな曲に仕上げています。

4Gamer:
 「ロマンシング サ・ガ」的な。

前山田氏:
 ええ。かなり伊藤賢治さんの影響が出ている曲ですね(関連記事)。

田中氏:
 なるほど,イトケンか。

前山田氏:
 そうなんです。僕はイトケンさんの曲をかなり聴いて育ってきたので,イトケンイズムです。

4Gamer:
 さらに最近ではテレビにも?

前山田氏:
 ありがとうございます(笑)。東京ではテレビ朝日で,毎週月曜の深夜に「musicる TV」という音楽番組のMCをやらせていただいています。ミュージシャンをゲストに招いて,お話を聞くという。

田中氏:
 ゲストがいなくなったら呼んでください。

前山田氏:
 ぜひ!
 あと4月からはNHKワンセグで「ワンセグ☆ふぁんみ」という,毎週土曜日に放送する番組でも南波志帆さんと一緒に司会をやることになっています。

4Gamer:
 なんだか本当に大活躍ですねぇ……。

前山田氏:
 いろんなお話をいただけて凄く嬉しいんですけど,すぐに飽きられてぽいっと捨てられるんだろうなぁって不安もあったんです。でも,この3年間は出来ることをとにかく頑張って,3年後あたりは袋の中身を詰めるために,バークリーに行きます!

田中氏:
 まあバークリー行かなくても,方法はいっぱいあるから(笑)。

前山田氏:
 いえ,いきなりすっと消えたいと思います。


4Gamer:
 そしてバッと戻って来る,と。

前山田氏:
 ええ。違う形で。

田中氏:
 それなら,あんまり宣言もせずに,「ヒャダイン最近見ないねー」みたいに言われるような形がいいですよ。それで,本当にやりたい仕事だけ,バークリーに通いながらでもやればいいんです。

前山田氏:
 ですね。ありがとうございます。

田中氏:
 じゃあそれまでにも,何かこれを成し遂げようみたいな目標を持ったほうがいいですよ。

前山田氏:
 当座の目標としては,日本のアイドルという文化を……世界に知らしめたいという気持ちが自分の中にありますので。とくに,ももいろクローバーZとでんぱ組.incを。
 ももいろクローバーZは最近,知っている人も増えてきてました。でんぱ組.incのほうは本当に秋葉原のオタクに特化したアイドルなんですけど,それがかえって海外の日本のオタク文化に興味を持っている人には伝わりやすいんじゃないかと思っていて。

田中氏:
 きゃりーぱみゅぱみゅみたいなもん?

4Gamer:
 語弊はありますが,きゃりーぱみゅぱみゅがA面で,でんぱ組.incがB面みたいな感じはありますよね。山手線を東西で分けると,原宿と秋葉原ってだいたい対になる位置ですし。

田中氏:
 じゃあ,中田ヤスタカ君が原宿組で,前山田君が秋葉原組か。

前山田氏:
 同じ1980年生まれなのに,この違いですよ!

4Gamer:
 えー……ではひとまず,こんな感じで。
 お二人とも長時間ありがとうございました。


 読んでお気づきのとおり,ゲーム情報サイト4Gamerのインタビューにも関わらず,ゲームの話題はほとんどなく,田中氏が前山田氏にいろいろなことを教えていく様子を切り取ったような形になっている。
 ただ,田中氏が前山田氏に語ったことは,前山田氏個人だけに向けられているものではなく,ジャンルを問わず“ものを作ろうと努力している人達,学ぼうとしている人達”にも,ほぼそのまま当てはまる言葉のような気がする。
 そう判断したうえで,対談時の交わされた会話のほぼすべてを,ここに再現した次第だ。ここから何かを感じていただけると幸いだ。

※2012年1月24日収録


  • 関連タイトル:

    GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

  • 関連タイトル:

    拡散性ミリオンアーサー

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    拡散性ミリオンアーサー

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