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[SIGGRAPH]次世代PSPは360°全方位立体視に対応か。ソニー,SIGGRAPH 2010で「視差数360個&360°裸眼立体視対応」の小型LEDディスプレイを公開
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印刷2010/07/28 19:18

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[SIGGRAPH]次世代PSPは360°全方位立体視に対応か。ソニー,SIGGRAPH 2010で「視差数360個&360°裸眼立体視対応」の小型LEDディスプレイを公開

 ソニーは,「Emerging Technologies」と名付けられたSIGGRAPH 2010の展示セクションで,新しい形の立体視ディスプレイ「RayModeler」(レイモデラー)を公開した。



360°どこから見ても

立体視が可能なディスプレイ


SIGGRAPH 2010のソニーブース
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 プロトタイプとされるこの装置は,いわゆる裸眼立体視ディスプレイに属するものになる。
 外観はジュースを作るミキサーのような円筒形で,透明パーツで覆われた箇所が表示面になる。寸法的には高さ270mm,幅130mmで,大きさ的にもミキサー程度だ。表示面は360°分あり,本体の表から裏に至るまで,全外周面に映像が表示される。

 そう聞くと,液晶パネルの左端と右端を外向きにつなぎ合わせたようなものを想像してしまうかもしれないが,表示部に継ぎ目はない(※透明な保護パーツには継ぎ目があったが,これは量産時には消せるとのこと)。
 360°の各視線方向に対応して,個別の映像表示ができるため,結果として裸眼立体視の効果が得られる。視覚体験としては,「円筒形の内部に立体物が閉じ込められていて,それを見ているような感じ」になる。

移動して角度を変えれば,その位置からの立体像が見える
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 表示映像解像度的には横96ドット×縦128ドット×360°分の解像度があり,リフレッシュレート(≒フレームレート)は30Hzだ。96×128ドットという画素比率を見ると縦長の画面かと思われるが,実際の映像は正方形になっているので,横長の長方画素になっているのだろう。

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画面を拡大すると,こんな感じ
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カメラのシャッター速度をかなり上げると,回転している“何か”を捉えることに成功した
 映像パネルの発光画素そのものはLEDだと説明されているが,その表示原理は現時点では非公開だ。シャッター速度を上げて撮影すると水平方向にRGBの単色走査線が現れるので,水平方向にスキャニングして映像を結像させていると推測される。また,シャッター速度を下げて撮影していくと各水平走査線の色味が豊かになっていくことから,RGBのLED発光画素が同一走査線に存在することも推測できそうだ。フルカラー発色は,プラズマやDLP(Digital Light Processing)などのように,時間積分的に行われているのだろう。
 円筒形状でなおかつ時間積分的にカラー表現を行う以上,縦方向に配列されたRGBのLED発光画素パーツを回転させて映像を作り出しているのではないかと質問したのだが,これについては肯定も否定もされなかった。

 ちなみに,これまでにも発光体を回転させてその残像効果で映像を作り出す回転系の360°ディスプレイは存在したが,このRayModelerは向こう側が透けて見えないのが特徴だ。その代わり,向こう側が黒く表示されるので,映像のコントラスト感はかなり高く感じられる。

左の写真から右の写真へ向かって,シャッター速度を上げて撮影していくと,このようにRGB原色に近づいていく。つまり,時間積分型のフルカラー表現を採用していることが分かる
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IRモーションセンサーを搭載

PS3を使った360°立体視ゲームデモも


 RayModelerは煎じ詰めれば,1°ずつ別々の映像を表示させることを可能にしたディスプレイということになる。左目と右目,異なる角度の視線になり,この視差に対応した映像を見ることで,立体像が得られるというわけだ。
 つまり,360個の全方位分,1°ごとに異なる360枚の映像を同時に表示することで,複数人がどの角度から見ても,立体像が知覚できるのである。

 こうした原理であるため,視差は水平方向にしか発生せず,RayModelerを横に倒したり,あるいは首を横に傾けてしまうと立体映像としては見えなくなり,普通の2D映像として見えるようになる。

 ちなみに,RayModelerの映像の入力インタフェースは現在のところHDMIのみだそうだ。今回の展示ではHDMI経由でPCやPlayStation 3と接続されていた。PCやPlayStation 3上では,それぞれの角度から見た映像を360個用意し,RayModelerは,それらを各角度に割り当てて表示することになる。

1フレームをそれぞれの角度から見た360枚の画像を描画し,これをRayModelerに伝送している
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 会場のデモでは,コントローラでリアルタイムに動かせるCGキャラクターを全方位から立体視できたほか,動く女性モデルを,任意の位置から立体視出来るデモが公開されていた。
 このほか,表示範囲を2分割〜4分割して,特定の範囲の人に対して個別の立体映像を出力するデモも行われていた。例えば2分割にすると,向かい合った2人が異なる立体映像を見られることになる。

4つの映像を1台のRayModelerに表示したデモ
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表示部の上側にはIRモーションセンサーも備え付けられているため,手を動かすことで,表示映像をターンテーブルのように回すこともできた
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 展示で人気を集めていたのは,2人同時プレイに対応した「360°ブロック崩し」だ。
 PlayStation 3で動作するこれは,円筒内を飛び回るボールを,各プレイヤーが操作するバーで打ち返し,円筒内壁に敷き詰められたブロックをすべて破壊するというもの。縦横無尽に飛び回るボールを追いかけるべく,プレイヤーはこの360°ディスプレイの周りを歩き回ることになり,ゲームプレイは意外に忙しい。立体視に対応しているので,まるで本当に透明な円筒の中でボールが飛び回っているように見える。


次世代ゲーム機用のディスプレイ用途も視野に


 縦方向の視差には対応していないため完全なボリュメトリックディスプレイとは言い難いが,それでもインパクトは相当に大きかった。価格およびリリース時期はまったく未定だが,単なる基礎研究だけではなく,商業的な展開までを視野に入れた開発であるとのこと。

(左)360°立体視のブロック崩しが遊べるようになっていた。ゲームの開発はSCEが担当している。(右)二人でのプレイも可能。ボールは円筒内を動き回るので,RayModelerの周りをぐるぐると回りながら遊ぶことになる
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 想定されている主な用途としてはインタラクティブなキャラクターを表示させてインタラクションを楽しむアミューズメント向け製品のほか,博物館のバーチャル展示,医療,デジタルサイネージなどが考えられている。
 技術的に大型化は比較的容易だそうなので,等身大のものが実現できれば,ドットピッチが現在のように低解像度のままでも,とくにデジタルサイネージ用途には価値が出てくるだろう。

 医療用途,アミューズメント用途では,さらに解像度の向上が要求されることだろう。解像度の向上については,技術的には可能だが,解決するべき課題も多いとか。
 ソニーは,小型化と高解像度化が両立できれば携帯端末やゲーム機への応用も期待できるとしており,バーチャルペット玩具やコミュニケーション機器用途への応用などを,具体的な応用事例として挙げていた。

 個人的には,これをベースにしたゲーム機があれば面白いと思う。展示されていたモーションセンサーは横方向の動き検知しかしないが,360°対応のタッチセンサーや加速度センサーなどまでを組み合わせれば,まったく新しいゲーム体験を提供することも可能になるはずだ。とくに「ラブプラス」や「Nintendogs」といった,バーチャルキャラクターを前提としたゲームならば,全方位立体視と相まって盛り上がりそうである。
 今後の進化が楽しみなデバイスだ。

次世代ゲーム機のディスプレイとしての採用なるか!?
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