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下校の真髄,ここにあり! 「放課後ライトノベル」第41回は『神明解ろーどぐらす』で楽しい下校ライフを手に入れよう
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印刷2011/05/14 10:00

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下校の真髄,ここにあり! 「放課後ライトノベル」第41回は『神明解ろーどぐらす』で楽しい下校ライフを手に入れよう



 さて,本コーナーのタイトルは「放課後ライトノベル」である。放課後,それは朝から夕方まで縛り付けられていた教室から解放される,最も清々しい時間だ。では,その放課後において最大のメインイベントといえば何だろうか?

 部活で青春の汗を流す?
 図書室でゆったり読書をしたり勉強したりする?
 人によって,答えはさまざまであろう。

 しかし,誰にとっても放課後に共通するイベントがある。それが下校だ。
 飛び級で入ってきたIQ180の天才児だろうが,授業中にはまったく姿を現さない不良だろうが,一度学校に来てしまったら必ず下校をしなければならない。そう,つまり学校生活において学園祭や期末試験以上に,下校こそがもっとも重大なイベントといえるのではないだろうか。

 そういったわけで,より楽しい下校生活を営むために,今回は先日完結したMF文庫Jの『神明解ろーどぐらす』を紹介しよう。女の子たちとの楽しいキャッキャウフフな下校生活を描いた本作を読めば,きっとより楽しい下校の参考になるはずだ……って,あれ? 何か凄い展開になってる!?
 なお,今回はストーリーの展開上,3巻,4巻のネタバレが含まれているので,シリーズ未読の人はご注意を!

下校の真髄,ここにあり! 「放課後ライトノベル」第41回は『神明解ろーどぐらす』で楽しい下校ライフを手に入れよう
『神明解ろーどぐらす5』

著者:比嘉智康
イラストレーター:すばち
出版社/レーベル:メディアファクトリー/MF文庫J
価格:609円(税込)
ISBN:978-4-8401-3858-1

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●男子1人に女子3人。楽しい下校生活の始まりです


 本作の主人公・池田十勝(いけだとかち)は,家が小中学校のすぐ近くにあったため,登下校の思い出がまったくなかった。そのことを非常に悔しく思う十勝は充実した下校生活を目指すため,わざわざ家から一番遠い高校に入学する。入学式も終わり,高校生活での初下校。颯爽とデパートに寄り道をした十勝は,そこで3人の少女に出会う。

 最初に出会ったのは千歳(ちとせ)キララ。長身で黒髪ロングの美少女なのだが,外見に似合わず,性格はとことんネガティブ。GW中にしばらく会わなかっただけで,その間に相手が自分のことを嫌いになったのではと考えてしまい,今までどおりに喋れずに敬語を使ってしまうぐらいの卑屈なマイナス思考の持ち主だ。

 次に出会ったのが丹下(たんげ)まりも。自分で自分のことを美少女といってしまう真性のナルシストで,常に自信満々。放送部で恋愛相談をやっているが,その一方で自身に恋愛経験がないのをコンプレックスに思っている。

 最後に出会ったのが,一見小学生にしか見えないミニマム少女,富良野咲(ふらのさき)。通称さきっぽ。ただでさえ小さいのに舌ったらずで,自分のことを「あーし」と言ったりしてますます幼く見えてしまうのだが,実はカメラマンとして写真集まで出版している,なかなかのやり手である。

 このバラバラなタイプの少女たちとの出会いによって,下校バカである十勝の下校ライフは大変充実。買い食いをしたり,かばん持ちをしたり,相合傘をしたり,デートプランを考えたりと,「流行の日常系作品を推してきたか。あざといな,さすがMF文庫Jあざとい」と言いたくなるような物語だったのに,3巻以降,物語は思いもよらない方向へ……。


※以下3巻,4巻の内容のネタバレを含みます

●下校を揺るがす急転直下の事態到来!


 キララの中学時代の唯一の友人,三石留萌(みついしるもい)。二人は別々の中学校に通っていたものの,仲が良かったため毎日一緒に下校していた。ところが,留萌はある日突然キララの前から姿を消してしまう。

 キララは留萌を探そうと,留萌が通っていたという中学校に向かうが,そんな生徒はいないと言われる。その後,市内の中学校すべてを回っても三石留萌という名前の生徒は存在しなかった。果たして,彼女は何者だったのか?
 そのような伏線が1巻の頃から張られていたのだが,物語の3巻でその三石留萌が思わぬ形で登場する。

 十勝たちの下校生活も順調なまま,無事夏休みを迎えた。しかし,十勝は下校バカ。夏休みでも下校したいと考える彼は,わざわざ補講を受けてまで学校へ通う。その補講もとうとう終わり,登下校のチャンスはしばらくお預けに。しかし,そのことを残念に思うのは十勝だけではなかった。

 これまで数々の下校イベントを一緒に経験したことで,まりもは十勝に恋をしてしまう。当分は今までどおりに会えなくなるということで,彼女は補講最終日に行われる夏祭りで,十勝に告白をしようと決意する。

 そうとは知らず,待ち合わせ場所で二人っきりになったキララと十勝。なかなかいい雰囲気だった二人だが,そのとき突然キララの様子が豹変。普段とは全然違う様子のキララにとまどい,十勝は思わず「お前誰?」と言ってしまう。その問いに対して,キララの口から出た言葉は――
あたしは,三石留萌だよ

 留萌の説明によれば,キララと留萌は二重人格で,キララの中から十勝の姿を見ているうちに,十勝のことが好きになってしまったという。十勝が自分とつきあわなければ,キララの身体を使って,「いろんな男の子とつきあっちゃうよ」と脅しをかける留萌。そのうえ,留萌は突然の事態にとまどっている十勝に対して,不意打ちのキスをお見舞いする。そして,その瞬間をちょうど待ち合わせ場所に着いたまりもが目撃してしまう。

 ハーレムと見せかけてまた修羅場か。女同士のキャットファイトか。「えげつないな,さすがMF文庫Jえげつない」と思っていたら,それだけでは終わらなかった。すでに十分ヘビーな展開だが,物語は4巻に入って,少女ばかりを狙って殺してきた通り魔が登場する。さらに,その通り魔の被害者の一人に,三石留萌という名前の少女が存在することが判明する……。あれっ楽しい日常は? キャッキャウフフな下校ライフは?


●みんなで無事に帰れるのか? 家に着くまでが下校です!


 4巻の中では,この通り魔が少女を殺すようになったきっかけが描かれるのだが,通り魔自らの視点から語られる,彼が少女を狙って殺すようになった理由は意外と論理的。それだけに,余計に通り魔の異常性がはっきりと浮き出ている。ちなみに作者の前作『ギャルゴ!!!!!』でも,噂長(そんちょう)というヤンデレ気味のサイコな人が登場していた。

 これまでの内容が明るい雰囲気だっただけに,突然人殺しが登場してしまうと,物語は一気に暗い雰囲気に包まれそうなのだが,そのダークさをかき消すぐらいの勢いがあるのがこの作品の特徴だ。そのテンションは最終巻の5巻でも留まるところをしらない。

 5巻の冒頭で,通り魔と接触したまりもを守るために,下校する生徒が集まる正面玄関の中心で十勝は叫ぶ。
おれは千歳が好きだ! でも丹下も好きなんだ!
おれはよ。千歳も丹下も,ついでにさきっぽも,おれの女だと思ってんだ。他の男には手を出させねえ!

 やだ……なにこの人……かっこいい
 一応この発言は,通り魔を女の子たちから遠ざけるための方便なのだが,衆人環視の中でこれだけのセリフを堂々と吐ける十勝はとても男らしい。このように,冷静でサイコな人殺しと熱い主人公の両方を書きながらも,上手くバランスをとって,物語全体の雰囲気を崩さないところに作者の手腕が光る。

 テンポ良く新刊が発売され,ほぼ1年間で完結した『神明解ろーどぐらす』。短い期間ながらも,ジェットコースターのように読者を振り回す,驚きの展開の連続だった。全5巻と手に取りやすく,そこそこの長さで完結した作品が読みたいという人には,ぜひお勧めしたい一作だ。ちなみに前作『ギャルゴ!!!!!』も全6巻で完結しているので,本作が気に入った人はこちらもどうぞ。

■実はライトノベルと縁が深い(?),北海道に関連する作家や作品を紹介

『這い寄れ! ニャル子さん』(著者:逢空万太,イラスト:狐印/GA文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
下校の真髄,ここにあり! 「放課後ライトノベル」第41回は『神明解ろーどぐらす』で楽しい下校ライフを手に入れよう
 今回紹介した『神明解ろーどぐらす』に登場するキャラクターの名前には,ある共通点がある。実は名前のほとんどに北海道に関連する単語が入っているのだ。作者である比嘉智康は北海道在住。麗しき郷土愛である。
 そういったわけで,今回は北海道に関連する作家や作品をご紹介。まず,最初に紹介するのは以前にも放課後ライトノベルで取り上げた『這い寄れ! ニャル子さん』(GA文庫)。主人公・真尋の苗字である八坂や,真尋のクラスメイトの余市というのも,元は北海道の地名だったりします。作者の逢空万太は北海道出身。そういえば,ニャル子さんも「なまら」とか北海道の方言をたまに使っていた。
 続いては,富士見ファンタジア文庫の人気シリーズ『生徒会の一存』。実は物語の舞台は北海道なのだ。普段は生徒会でダベってばかりなので,あまり実感はないけれど,ところどころで「内地」や「道内」って言葉も出てくる。作者の葵せきなは,これまた北海道出身。そしてこちらも以前紹介した『伝説兄妹!』も舞台は小樽で,北海道に関する固有名詞が多数登場する。作者は当然,北海道出身だ。
 また,北海道が舞台になっているわけではないが,これまでに紹介した作品以外でも『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)』の三浦勇雄が北海道在住だったり,『バカとテストと召喚獣』の井上堅二が北海道育ちだったりと,実はライトノベルと縁が深かったりする土地,北海道。「だからどうした」と言われればそれまでだが,北海道に限らず,作品を読むときに作者の出身地をチェックしてみたりすると,何か新しい発見があるかもしれない。

■■柿崎憲(ライター/北海道出身)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。高校時代の主な下校イベントは,古本屋の100円コーナーで買い物をするか,1プレイ50円のゲーセンに入り浸るかの2つだけだったという柿崎氏。そんな思い出の店も,今はもう潰れてしまったとのこと。ちなみに,かく言う柿崎氏も北海道出身だそうです。100へぇ。
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