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【RAM RIDER】新企画「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」ここに始動!
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印刷2026/10/23 18:00

連載

【RAM RIDER】新企画「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」ここに始動!

RAM RIDER /  アーティスト /  音楽プロデューサー

画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 【RAM RIDER】新企画「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」ここに始動!

RAM RIDER「明日なにあそぶ?」

公式サイト:https://ramrider.com/


ゲーム好きなら誰もが一度は夢みる新企画

「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」ここに始動!


 ご存じの方も多いと思いますが,このコラムの主の職業はいわゆる音楽家です。これまでの連載でも,ゲームやそれにまつわる映画のレビューに加え,自身がDJとして出演した東京ゲームショウにおけるセガ/アトラス「ペルソナ」ステージの話や,音楽プロデューサーとして関わっているKONAMI「シャインポスト Be Your アイドル!」についてなど,ゲームに関わるエピソードを開陳してきました。

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 アーティスト,音楽プロデューサーとして活動しているRAM RIDER氏の不定期連載「明日なにあそぶ?」。今回は,音楽プロデューサーとして参加している「シャインポスト Be Your アイドル!」の話題です。

[2025/11/27 07:00]

 10代の頃から志してきた音楽の道に進み,それを今でも続けているという意味では「それなりに頑張ってきたな」と思わなくもないのだけど,一方で心の片隅にずっと残り続けている「半端な夢のひとかけら」があります。

 それは「ゲームクリエイター」になること。

 そう,僕はずっとビデオゲームをつくってみたかった。自由帳に思いつくままゲームの設定資料などを書き殴り,方眼紙にドット絵よろしく自作のキャラクターデザインをスケッチする。そんな小学4年生。
 そこから高学年になりMSXを手に入れ,MSX BASICというプログラミング言語と出会う。愛読書で,コンピュータについてのバイブルだった「堀井雄二のコンピュータ・クエスト」に載っていた「“国際的なハッカー風のやりとり”を演出するプログラム」を再現したことをきっかけに,「自分のゲームクリエイター人生は今ここから」と思っていたのが,時を同じくしてMMLという音楽記述言語に出会ったことにより,うっかりミュージシャンとしての歩みが始まってしまった。

 音楽の道は一度目指し始めると,それは苦しく,終わりのないマラソンのようなものでした。でした,っていうか基本今もそう。そんななかでゲームをつくるなんて余裕ぶっこいているどころじゃなくなり,毎日音楽理論やシンセサイザーと格闘しているうちに40年近くの時が経ったというわけだ。
 ところがですよ,巷では人間が手作業でコードを1行ずつ書いていく代わりに,AIに自然言語で指示(プロンプト)を出しながらプログラムやアプリを構築していく,新しい開発スタイル「Vibe Coding(バイブコーディング)」というのがあるらしいじゃないですか。

 この「Vibe」っていわゆる「バイブス」のことでしょ? フィーリングでコーディングってことですよね。音楽をつくるためにこれまで吐くような思いで乗り越えてきたあれやこれやを,とりあえず「置いておいて」,いきなり自分で動かせる何かを形にできる,まさに魔法のような話じゃないですか。

 確かにここのところ,気軽にアプリを作成する人が周りに増えた。旅行のチケット管理アプリから,コーヒーを淹れる際の分量を計算してくれるアプリ,音楽用の簡易シーケンサーなど,皆さん結構自由に,それもすごいスピードでつくっては公開してらっしゃる。

 それらのほとんどは,日本語での対話をベースにした上記「Vibe Coding」らしいのだが,実際のところ日々の相談事や画像生成ならともかく,チャットベースでのやりとりからアプリができる,というのがイメージできない。
 生成AIがマウスやキーボードを制御してPCの何かのソフトを勝手に動かしてくれるの(それはそれで怖いが)? それともどこかのオンラインサービスみたいなところに接続されるの? まったく想像がつかない。

 ということで実際につくってみることにしました,ゲーム。

 幸い僕の周りにはゲーム業界の方も多く,困ったり迷ったりしたらアドバイスをもらって次に進めばいいかな,と思ってる部分もある。同時に,そういった方々から「とにかくゲームは完成させるのが大変」という話もよく聞く。うっかりつくり始めたが最後,1年経っても2年経っても終わらないもの,と脅しに近い助言を受けた。
 なるほど,そういうもんかもしれません。だが僕にも音楽家としての経験があるのだ。ジャンルは違えど,納期の有無にかかわらず「作業を終わらせて作品として完成させるプロ」ではあるわけで,そこはなんとかなるのではないか。
 ということで,ゲームをつくろうと思い立ってから実際に遊べるようになるまでをリアルタイムでここに残す企画を立ち上げることにしました。しかもゲーム制作もできて原稿執筆も捗るなら一石二鳥ではないか。

 題して,

 「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」通称「なげつく」

 そうと決まったらさっそく制作を開始だ。

 目指すのは「複数のジャンルをミックス,あるいは横断しつつ,それでいてシンプルなドット絵ベースのグラフィックスを基調とした飽きのこないゲーム」。僕がつくるのだから,音楽要素も欠かせない。音の変化がゲームに影響するタイプが良いでしょう。もちろん作曲に関しては自分でやろうじゃないの。
 この時点でいかにも素人が考えつきそうなアイデアだという自覚はある。でもいいのだ。「ゲーム制作で失敗しがちな“やっちゃいけないことあるある”」を連発したって,最低限この連載のネタにはなる。もちろんゲームとして完成したら最高だ。どんなに短いものでも,自機を操作して物語が進み,エンディングを迎えられたら,自分にとってはそれが「ゲーム」だ。

 確かみんな「Claude」を使っていた気がするので,まずは例のオレンジ色のぐじゃっとしたアイコンをタッチし,相談してみる。自分自身のPC環境とあわせ,つくりたいゲームのおぼろげなイメージや公開方法(今回はまずブラウザで気軽に遊べるスタイルを最優先にしつつ,ゆくゆくはSteamやコンシューマ機での配信を目指す,ということに)などを伝えた。

 Claudeはまず,仕様書の重要性を説いてきた。

・「○○が△△する,音の変化で進める□□ゲーム」のような1行コンセプトを書く。
・最小の完成形を決める。最初からさまざまなジャンルのミックスを狙わず,どれか1つ,しかも一番短い1エンディング分のシナリオで「完成」を定義する。「完成しない病」の9割はスコープ肥大(リソース管理におさまりきらない作業の増加)なので,最初の紙の段階で削るのが一番効くとのこと。
・音楽家としての強みをどこに使うかを明文化する。「音の変化=ゲームプレイの中核ルール」を1〜2文で言語化しておくと,あとでエンジン選定・実装方針がぶれない。

 なるほど。なんとなく「頭の中にある」と思っていたおぼろげなゲームのイメージだが,こういうふうに言われると,全然1行で表現できるようなアイデアになっていないことに気付かされる。

 次に,ずっと疑問だった「そもそもどうやって生成AIがゲームをつくるのか」「Claudeでゲームをつくるということは具体的にどういう仕組みなのか」について。この謎には,ここで初めて答えが提示された。
 実際にClaudeがマウスやキーボードを操作してプログラムを組み立てていくのではなく,こちらのリクエストに沿ってゲーム用の記述をテキストベースで出力してくれる,とのこと。そして「Claude Code」という別のツールがあり,これをPCにインストールして使うんだと。ターミナル(コマンドライン)上で動き,プロジェクトフォルダの中のファイルを直接読み書きする。
 なるほど。Ableton Live(音楽ソフト)をAIが操って音楽をつくるのではなく,そのセーブデータの中身を直接書いてくれるようなイメージか。

 いろいろな提案を受けた結果,まずはオープンソースの「Godot」というゲームエンジンを使うことにした。またGitHubを利用することでバージョンや変更履歴を管理しやすくなるということなので,とりあえずそのアカウントもつくった(この辺はまだよく分かってないので,理解できた際にあらためて詳しく書きます)。


「まず仕様を固めましょう」


画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / 【RAM RIDER】新企画「なぁゲームをつくろうじゃないか!!」ここに始動!
 こちらとしては,「そうと決まれば話は早い。じゃあとりあえずなんか動かしてみてよ」と言いたいところだけど,コードを書く前に仕様書をつくりましょう,とClaudeから提案された。
 まずは自分の中のぼんやりした構想を仕様書に落とすため,音楽的な演出,参考作品,開発環境,公開したいプラットフォームなどをまとめる。この時点でRPGなのか横スクロールアクションなのかといった何も決まっていない要素について,それぞれのジャンルの「完成しやすさ」や想定されるリスク,技術的な実現方法をClaudeが丁寧に説明してくれる。

 なるほど,格闘ゲームは技やキャラクターの組み合わせ,敵の挙動などが膨大で,初心者が完成まで持っていくには難度が高いらしい。音楽+対戦格闘は今後の夢にとっておこう。
 質問に答えながら仕様を詰めていくと,ひとまずClaudeがそれを1つの仕様書としてまとめてくれた。これまでの会話の断片がドキュメントという形に整理された瞬間だ。
 「.md」という見たことのない拡張子で出力されたので調べてみると,「Markdown」という見出しや箇条書きなどを簡単な記法で表現できるテキスト形式だそうで,さっそくMarkdownを扱いやすそうなエディタをインストール。

 なるほど,概要やコンセプトからコアシステム,音楽の実装方法まで分かりやすく整理されており,同時にステージ構成やストーリーなどの未決定事項もまとまっていた。こうしてみるとまだまだ決まっていない要素がたくさんあり,ここをさらなる対話で詰める必要性を感じる。
 仕様書づくりが進むことで頭の中にある「ゲームらしきもの」の輪郭が少しずつ見えてきたが,同時に一抹の不安もよぎってくる。
このままではいつまで経ってもゲーム制作に入れないのではないか。世界観の設定や方眼紙を塗りつぶしたキャラデザインで終わっていた子供の頃と変わらないではないか。周囲のゲーム関係者から散々聞かされてきた「完成しない」というやつ,もう始まっているのでは? こわいこわい!

 ということで,そんな段階ではない,とは重々承知のうえで,おそるおそる「そろそろ実際にブラウザで動かしてみたい」とClaudeに伝えてみた。

 ひっ! AIに怒られる! 怖い! 管理社会!

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 恐怖で閉じたまぶたをゆっくり開けモニタを見ると,想定と違う景色が広がっていた。画面の一部でカーソルが動き,コードのようなものが流れ続ける。気付くとチャット画面の右側に,ブラウザで実際に操作できる「ゲームのようなもの」ができあがっていた。
 矢印キーを押すと画面の中のキャラクターが左右に動く。BGMがあり,操作に合わせてさらに音が加わっている。ゲーム自体の詳しい内容については今後書いていくが,とにかく「ゲームのコアとなる要素」が,へっぽこな音とキャラクターではあるものの,すでにそこで動いていた。

 え,でも僕,まだ「Claude Code」とやらをインストールしてないですよ。入れたのは「.md」を読み書きできるMicrosoft製のテキストエディタだけ。
 どうやらこれは「Claude Code」ではなく,Claude自体が持つ「Artifacts(アーティファクト)」という機能らしい。ローカルのファイルには触れず,コードそのものをチャットの中で完結させて生成し,その場でブラウザ上に直接表示・実行できる,クラウド完結の「即席の実行環境」のようだ。
 こんなふうに,アイデアを一瞬で「動くもの」として確かめる機能があったんか。すご。
 頭の中で思い描いていたものが,突然目の前で動き出すとは思っておらず,ちょっとこの時点で,ぞわっとした感動のような,悪寒のような,なんとも言えない感情がこみ上げる。
 ゲームとしての面白さはまだ何もない。そこで鳴っている音楽も「単調」にすら届いてない,ただの電子音だ。いやいや,これはむしろ「完成」から一番遠い,Claudeによる「カマシ」のようなものだ。

 この種の小さな感動に足を止めてしまうことこそが,「完成しないものづくり」の入り口なのかもしれない,とも思う。音楽家として積み重ねてきた「完成させる」「間に合わせる」という感覚を,ここでこそ働かせなければいけない。
 うわ,あらためてこれ,大変なことに手をつけちゃったかも。

 この原稿が掲載されたら,もうあとには引けない。次回はもう少し具体的に自分がつくろうとしているゲームについても書きながら,制作を進めていきます。
 本当にできるのかなあ。

■■RAM RIDER(アーティスト / 音楽プロデューサー)■■
RAM RIDER氏は現在,YouTubeでは「オーディオギャラクシー」,Podcastでは「異業種Pたちの人生エンタメ会議室」「ストレージ2000」に出演中です。
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