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【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
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印刷2014/10/11 00:00

連載

【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?

西川善司 / グラフィックス技術と大画面と赤い車を愛するジャーナリスト

画像集#001のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?

(善)後不覚

blog:http://www.z-z-z.jp/blog/


 理由は分かりませんが,AMDという企業は,一風変わった場所でカンファレンスを行いたがる傾向にあります。たとえば,2007年5月に開かれたATI Radeon HD 2000シリーズの発表会は北アフリカのチュニジアで行われましたし(関連記事),「ATI Radeon HD 5800」の発表会はサンフランシスコ市の対岸で博物館となっている空母Hornetの艦上で(関連記事2),Radeon R9 290シリーズの発表に先だって行われたイベントは,ハワイ州オアフ島の真珠湾で記念艦となっている戦艦Missouriの艦上で行われたという具合です(関連記事3)。

ゴアで行われたカンファレンスの1コマ。ワークステーション用GPU「FirePro W8100」を,AMD幹部と共に掲げている中央の女性は,インドの人気女優Mandira Bediさん
画像集#002のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
 そして,去る2014年9月25日,FireProシリーズや「Radeon R9 285」の解説が行われたのは,インド西岸中部のゴア州にあるバーデス市でした。発表会の内容は10月2日掲載の記事でレポートしたとおりですが,初めて訪れたインドはなかなかに衝撃的だったので,その時の体験をかいつまんでお話ししたいと思います。

「Tonga」コアに隠された機能が明らかに。インドでのイベントでAMDがFireProシリーズの最新事情と「R9 285」の新情報を公開



西川善司,スリル満点のインド式ドライブを堪能


 インドを逆三角形で描いたとき,ゴア州は左辺の中央あたりに位置しています。バーデス市はそのゴア州北部,チャポラ川の川沿いにある街です。日本から渡航するときには,まず同国最大の都市であるムンバイまで飛び,そこから国内線の飛行機に乗り換えての移動になります。バーデス市の場所を知っている人はまずいないでしょうから,下にGoogleマップの地図を掲載しておきましょう。



 さて,日本からインドへの渡航には入国ビザが必要ですが,今回は話が急だったこともあり,ビザの申請はムンバイの空港到着後に行う羽目になりました。ビザの取得には少々時間がかかるため,インドへ到着した日はムンバイで一泊することになったりもしています。
 ちなみにあとで聞いた話ですけれども,イベント発案者の一人で,ノリのいい人物として知られるAMDの広報ディレクター,Chris Hook(クリス・フック)氏までもが,ビザの取得が間に合わず来られなかったというオチまでついています(笑)。

 今だから話せることですが,実はこのイベント,当初は6月下旬にスリランカで行われる予定でした。そのため,5月下旬にはスリランカへのビザを申請するようにとの指示があり,ビザを取得して準備をしていたものです。しかし,開催が差し迫ったころに同国で暴動が発生してしまい,安全を考慮して開催が中止になったのでした。これに懲りて次はアメリカでやるだろうと思っていたのですが,さすがは変わったところでイベントを開きたがるAMDといったところでしょうか。

インドではスズキの車がとても多いです。写真の車は,日本でもお馴染みの車「スイフト」のセダン版。ゴアでは日本で一般的なハッチバックボディよりも,セダンボディの方が多いみたいですね
画像集#003のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
 さて,インド入国から一夜が明け,早朝便の空路でゴアに到着したボクら日本人報道関係者は,会場となるホテルから来た送迎車に乗って宿泊地まで向かったのですが,これがまた刺激的なドライブでした。

 ゴアという街の交差点に,信号機はまずありません。行き交う車はクラクションを鳴らしながら横断したり,曲がったりしていきます。バイクの数もとても多いのですが,ヘルメットを被らない人が大多数。スクーター2人乗りも当たり前のうえ,ノーヘルの3人乗りバイクも見かけるほどでした。
 そのうえ,どのドライバーの運転がとても荒っぽいのです。誰も車線というものを意識しておらず,どんなときでも前の車を追い越そうとします。1車線ずつの対面通行しかできない道路で,追い越し中の車をさらに右側から抜こうとするツワモノがいることには衝撃を受けました。

画像集#020のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった? 画像集#021のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
インドでは民間車両には車検制度が事実上存在しない――15年ごとに点検だが,機能していない――ものの,業務用車両にはあるとのこと。しかし,この写真のように,タイヤサイズが見るからに適合していないバスなども運行されています。このバスはタイヤ幅の小さいタイヤを履いているため,ヤジロベエのようにフラフラした挙動で走っており,はたから見ても非常に危険でした

 野良犬がやたらと多いことにも気付かされます。荒っぽい運転の犠牲になったのかは分かりませんが,犬の死骸もそこら中で目に付きました。
 牛が道を闊歩しているのは,いかにもインドらしい風景といった感じですけれども,これらはもちろん野良牛ではなく,適当に放牧されている牛とのこと。夕方になると,勝手に牛舎に帰っていくそうです。牛は巨体ですし,インドでは神聖な生き物として扱われていますから,車のほうが避けます。とはいえ,牛をどかすのにクラクションを鳴らしまくっていましたが。
 ちなみに,牛糞もそこら中に落ちていますが,皆お構いなしです。街の一部という感じで,車も人も普通に踏んでいるようでした。

 下の動画は,ゴアの街をホテルの送迎車で移動しているときの様子です。ダイナミックな運転とボクのリアルタイムコメントにご注目ください。



ゴアの街はリアル「CryENGINE」の世界?


会期中,ボクが宿泊していたコテージ。生い茂った植物は,当たり前ですがすべてホンモノです
画像集#005のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
 カンファレンス会場となったバーデス市のホテルは,ビーチ沿いに広がるコテージスタイルのリゾートホテルです。カンファレンス自体は大きな宴会場で行われ,参加者は会期中,ホテルの各コテージに宿泊することになりました。

 各コテージは,熱帯の気候の恩恵を受けて生い茂ったジャングルみたいなところにあります。現地では蚊が媒介する病気が珍しくないため,「虫刺されは危険だ」と注意はされていましたが,寝室で寝ていると蜘蛛が手の上を横断したり,風呂場にカエルがやってきたりすることもあって,次第にどうでもよくなってきますね。

 ホテルの敷地内はなんというか……,まるで「CryENGINE」で描いたような世界です。「それをいうなら,『Far Cry 2』以降のDunia Engineではないのか?」という意見もあるかもしれませんが,とにかくそんな感じです。

画像集#006のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
ホテル敷地内にある別棟のレストラン。Far Cryなら敵のアジトといった風情
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ホテルから外に続く未舗装の道路。すごくリアルなテクスチャ……ではなく現実の情景です


Far Cryシリーズで見たことあるような,剥き出しの変電施設。囲いも何もされていないので,普通に触れます。いや,触ったら死ぬので触りませんでしたけど
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 ホテルの敷地から出ると,さらにCryENGINEめいた景色のオンパレードです。廃墟や,乗り捨てられたボロボロの自動車も多かったりして,「The Last of Us」のような「終末もの」(ポストアポカリプス)っぽい印象も受けます。
 ゲームならば「レベルデザイナー,植物植えすぎだろ!」と修正が入りそうなくらい植物だらけの世界を突き進んでいくと,未舗装の道路に無数のタイヤ痕が。ゲームマニアならば「ハイエンドGPUじゃなくても高品位な視差遮蔽マップがオンになってる〜!」と大騒ぎしそうなシーンです。はい,自分もつい興奮してしまいましたよ。
 さらにこの悪路を進んでいくと,怪しげな教会っぽい廃墟に遭遇しました。CryENGINE系の世界から,バイオハザードっぽい世界に迷い込んだ感じがします。

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小さな街にはこうした廃墟がゴロゴロしています。ゲームならばシークレットアイテムが隠されている雰囲気
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営業しているのか,捨てられているのか分からない,ドアの外れたボロバスの列。ゲームならば上がり込んでアイテムの有無をチェックするところ

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最近のゲームは,植物の数・量の表現という点ではいいところまで来ていますが,現実世界はやっぱり植物の種類が多いなぁ……
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バイオハザードやUnchartedを思わせる,ちょっとおどろおどろしい建物に遭遇。小さな教会跡でしょうか

 ホテルから離れた距離まで歩くと,周囲の視界が開けて,崖を挟んだ先に,宿泊していたホテルの施設を見ることができました。地図がないので分かりにくいかもしれませんが,要するに,崖を回り込むような格好で,U字状に歩いてきたというわけです。
 崖向こうのジャングルに古びたアジトっぽい建物を望めるというのは,ゲームでいえばJust Causeシリーズを思い起こさせる雰囲気です。同シリーズなら,この崖をグラップリング(ワイヤーアクション)でヒューンと渡るところですね。

崖の向こうに緑に囲まれた建物(ホテルの施設)が……。ワイヤーアクションでパッと渡りたくなる景色でしょう?(笑)
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 上の写真で左奥に見える橋を渡ってホテルの施設に近づいてみたところ,入口は鎖で結ばれた鉄の門で閉ざされており,簡単には開けられそうにありません。バイオハザードあたりなら,逆戻りしてバールでも探す展開になりそうです。

 で,この門を注意深く「調べる」ボタン連打で観察していたら,横に謎めいた置物が置かれているのを発見しました! ……冗談です。インドではありふれたガネーシャ像です。バイオハザードなら,像に宝石をはめ込むパズルがありそうですが,ボクは何もせずに退散しました。無理に開けると警備員が飛んできたでしょうからね。

画像集#015のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった? 画像集#016のサムネイル/【西川善司】AMDイベントで初上陸。インド・ゴア州はまるで「CryENGINE」の世界だった?
いかにも怪しい施設の入口っぽい門に出くわす(左)。門の横には謎の置物が!?(右)

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昼間と夜の景色の違い。湿気が凄いこともあり,街灯の光が右の写真のように光筋状で見える。まさにこんなところもCryENGINE風


インドの旅を終えて


 荷物を勝手に運んで金をせびってくる人や,あらゆる手段を使ってでも人を騙そうとしたりする人もいるにはいましたが,毎日出てくるカレーは美味しかったし,おおむね楽しいインド滞在でした。

 ただ,カンファレンスを行うのに適した場所だったかというと,微妙だったかもしれません。
 まず,ゴアは電力事情があまりよくないらしく,しょっちゅう停電するのです。ホテルのカンファレンスルームも電力の上限が厳しいようで,AMDのハイエンドGPUを複数枚搭載したデモPCは電気を喰いすぎるため,電源を入れるとカンファレンスルームのブレーカーが落ちてしまうことが事前に判明していたとか(笑)。
 会場には,4Kゲーム用と仮想現実対応ヘッドマウントディスプレイ「Rift」用,レイトレーシングエンジン「Fire Render」用のデモPC計3台が設置されていたのにもかかわらず,そうした事情もあって同時に動かせるのは1台だけ。デモを切り換えるたびに,PCの再起動が必要となってしまいました。
 性能電力比(Performance per Watts)を重視しているAMDですが,ゴアの電力事情に適合するには,もう少し頑張る必要がありそうです。

 さて,AMDは次回の発表会をどこでやるんでしょうね。

■■西川善司■■
テクニカルジャーナリスト。東京ゲームショウ2014が終わったらインドに飛び,日本に戻ってからはエレクトロニクス展示会「CEATEC JAPAN 2014」の取材と,多忙な日々を過ごす西川善司氏。とはいえ,忙しい中でもゲームはプレイしているそうで,先日は「The Last of Us Remastered」をノーマル難易度でクリアしたとのこと。Xbox Oneは発売日に購入していたものの,ドライブゲーム好きなら欠かせない「Forza Motorsport 5」は,まだ買っていないのだそうです。理由を聞くと「当時はステアリングコントローラが発売日未定だったので見送った」とのこと。今ではHORIやThrustmasterから発売されているので,「ステアリングコントローラを使ったForza Motorsport 5のインプレッションを書きたい」と意欲を見せています。でも,その前に片付けなくてはならない原稿があるんじゃないでしょうかね。

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