インディーズゲームの小部屋：Room＃163「EFFY one of unreasonable “if”」

　「インディーズゲームの小部屋」の第163回は，Project ICKXのフライトシューティング「EFFY one of unreasonable “if”」（以下，本作）を紹介する。

　本連載の古くからの読者や，国内のインディーズゲーム事情に目を光らせている人なら，スクリーンショットを見ればすぐにお分かりになるとおり，本作は連載第7回で紹介したRectangleの「RaidersSphere3rd」（以下，RS3）の世界観を下敷きにした作品だ。


　グラフィックスの雰囲気はRS3に非常によく似ているが，それもそのはず，本作はRS3に付属するエディタ機能「RaidersSphereEngine3.5」を用いて制作されており，RS3の最新バージョン「RaidersSphere3rd 3D-Dive Edition」で搭載されたアナグリフ方式（赤青メガネ）による3D立体視にも対応している（赤青メガネ自体はゲームには付属していない）。


　また，RS3と世界観を共有しているため，RS3で非常に印象的な敵であったクジラ型の飛行戦艦が本作にも登場するといった要素もある。しかし，ストーリー自体は独立しているので，本作からプレイを始めても問題なく楽しめる……のだが，ゲーム難度はRS3経験者を想定しているためか，かなり難しい。ゲーム難度はEasy，Normal，Hardの3段階から任意に選択できるが，Normalモードのミッション1（最初のステージ）からすでに数10機の敵と対峙するはめになり，思わず涙目になる。もうやめて！　gingerのライフはゼロよ！


　本作では，ミッションをクリアすることで新たな機体と武装がアンロックされていく。獲得した武装はほかの難度でも使用可能なので，Normalモードをプレイして「こりゃあ，あかん！」と思った人は，まずはEasyモードから始めることを強くお勧めする。
　そしてもう一つ，まったくの初心者向けに，ひよこっぽい黄色の機体を使って基本操作を練習できるチュートリアルモードも用意されているので，「ぶっちゃけ，飛び方すら分からないよ！」という人は一通りレッスンを受けておくといいだろう。


　さて，本作におけるプレイヤーの立場は，民間の軍需企業であるICKX兵工技研が開発した実用試験機，R-S2O Y1のテストパイロットだ。人類と交戦したエイリアンの技術解析に成功し，事実上これを独占しているICKX兵工技研には敵も多い。主人公達は試験飛行中に謎の集団からの襲撃を受け，わけも分からぬうちに戦いに巻き込まれていく……というのがそのストーリーだ。出撃前の準備画面では，作戦概要の確認や，機体/武装の選択が可能なのでミッション内容に合わせて万全の態勢を整えよう。


　上述のとおり，Normal以上の難度ではかなりの苦戦を強いられるだろうが，そこで活用したいのがR-S2O Y1に搭載された，「ACS」「RCS」という2つの特殊機動。どちらも一度使うと，ゲージが再チャージされるまで使用不能になるものの，前者では短時間の爆発的な加速，後者では急激な機首上げが可能だ。緊急回避や攻撃の切り札としてうまく使いこなし，戦いを有利に進めよう。


　また本作には，2つを除いたすべてのステージに「通過すると攻略がちょっと楽になるポイント」がある。何が起こるのかは見つけ出してからのお楽しみということにしておきたいが，絶体絶命のピンチ（筆者の場合は大体いつもそう）でも最後まであきらめずに戦えば，活路を切り開けるかもしれない。


　ちなみに，チュートリアルを除くすべてのシーンでフルボイスによるメッセージが流れる本作だが，キャラクターのグラフィックスは表示されない。では，パッケージに描かれた女の子は一体誰なのか？　ここでは，あえて誰とは言わないが，フルトちゃんは人づかいが荒いけど可愛いから許しちゃうよ！　とだけ言っておこう。

　そんな本作の公式サイトでは，ゲームの序盤やチュートリアルをプレイできる体験版が公開されているので，本作に興味を持った人は，まずはこちらからお試しあれ。また，製品版は1350円（税込）にて発売中だ。大空こそ自分の死に場所であると自負する戦闘機乗りの諸君は，ぜひこちらで激しさを増す戦いを最後まで見届けてほしい。

■「EFFY one of unreasonable “if”」公式サイト

http://www.effy.info/