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AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義
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印刷2007/11/19 14:01

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AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義

AMD 7シリーズ(正式名称は「AMD 7-Series Chipsets」)のロゴ
画像集#002のサムネイル/AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義
 新世代CPU「Phenom」のリリースに合わせ,AMDはPhenomをサポートする新チップセットシリーズ「AMD 7」を発表した。同チップセットは「RD790」などの開発コードネームで知られ,2007年6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2007でも参考出品されていた(関連記事)チップセットだ。

 COMPUTEX TAIPEI 2007の時点ではRD790=AMD 790Xと紹介されていたAMD 7シリーズだが,正式発表に当たって,3モデルが用意されている。具体的なラインナップは以下のとおり。

  • AMD 790FX:複数のGPUによるマルチGPUスケーリングを可能にする「CrossFire X」サポートの最上位
  • AMD 790X:従来と同様の,2枚のグラフィックスカードによるCrossFireをサポート
  • AMD 770:シングルカード構成のみのサポートとなるエントリー向け

AMD 7シリーズのラインナップ。AMD 790FX&AMD 790Xの上位2モデルがCross Fireに対応し,AMD 770はその下に置かれる。マザーボードの価格は,競合する「Intel 3」シリーズ搭載製品と比べて安価に抑えられる見込み
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 AMD 7シリーズは,Phenom対応チップセットとして,搭載マザーボードレベルで変更が加えられている。その最大の特徴は,Phenomが採用する「AM2+」CPUパッケージへの対応だ。

CPUとノースブリッジ機能では,コアの電力要求や電流量変化も異なる。そこでそれぞれ独立した電力系統を持たせることで,(電力供給の安定化によって)メモリパフォーマンスを向上させられるほか,電力供給の効率化も図れる。スライドは旧称だが,AM2+パッケージで採用されたのはDual Power Planesである
画像集#005のサムネイル/AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義
 Socket AM2互換となるAM2+パッケージは,最大帯域幅20.8GB/sを実現するHyperTransport 3.0――発表当初のPhenomでは14.4GBに留まる。詳細は別記事を参照してほしい――に対応するとともに,CPUコアとノースブリッジ機能で別々の電源回路を採用する「Dual Power Planes」(デュアルパワープレーン,初期は「Split Power Planes」と呼ばれていた)を採用したのが最大の特徴。これにより,CPUとノースブリッジ機能部で独立した電源管理が可能となり,より効率的なコア電圧供給と,メモリパフォーマンスの向上を実現する。また,Phenomファミリーでは,Dual Power Planesによって,CPUとノースブリッジの機能を独立して制御することも可能になっており,これまで以上のオーバークロックパフォーマンスを引き出せるとされている。

「The Heart of the AMD Spider Platform」(Spiderプラットフォームのキモ)とされる,AMD 790FXチップセットのブロックダイヤグラム。サウスブリッジは現行のSB600だが,2008年前半に投入予定なっているSB700とも組み合わせられる
画像集#006のサムネイル/AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義

 なお,3製品ともHyperTranspot 3.0とPCI Express 2.0対応。製造に65nmプロセスを利用することで,最上位モデルのAMD 790FXでも10Wという,非常に低い消費電力が一つのウリとなっている。

画像集#007のサムネイル/AMD,“Phenom世代”のHT3.0対応チップセット「AMD 7」発表――Reuven Soraya氏に聞くSpiderプラットフォームの意義
AMD 7シリーズは,製造技術に65nmプロセスを採用することでAMD 790FXでも最大消費電力を10W以下に抑えている。アイドル時の消費電力はなんと3W前後だ
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HyperTransport 3.0に対応するとともに,次世代CPUが採用する新パッケージもサポート可能な,AM2+環境を支えるチップセット。それがAMD 7シリーズだ


Spiderプラットフォーム

=Phenom+AMD 7+ATI Radeon HD 3800


カナダ,オンタリオ州マーカム(トロント市郊外)のAMDオフィス(※旧ATI Technologies本社)でインタビューに応じてくれたSoraya氏
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 メモリインタフェースをCPUに統合するAMDのソリューションにおけるチップセットの役割について,「プラットフォーム性能を最大限に引き出すことがより重要になる」と語るのは,AMDでチップセットのマーケティングを統括するReuven Soraya(ルーベン・ソラヤ)氏だ。Soraya氏は,AMDのフラッグシッププラットフォームとなる「Spider」を支えるAMD 790FXこそ,2008年最強のチップセットになると自信を覗かせる。
 AMDのGPUであるATI Radeon HDシリーズは,8192×8192ピクセルという巨大なテクスチャデータを扱えるが,データ帯域幅が倍になったPCI Express 2.0の登場により,このような高精細データでより高速なグラフィックス処理が可能になる。

CrossFire XのサポートにはHyperTransport 3.0への移行が不可欠だったとSoraya氏。PCI Express 2.0によってグラフィックスインタフェース帯域幅が2倍に広がって,マルチGPUがスケールアップするためのベースができ,そこにHyperTransport 3.0を組み合わせることで,CrossFire Xのサポートが誕生したという
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 グラフィックスインタフェースの高速化は,マルチGPU構成によるパフォーマンスアップなどに効果があるが,一方で,グラフィックス処理の負荷が高くなればなるほど,その命令を下すCPUとの間で,よりシームレスなやりとりが必要になるとSoraya氏。「グラフィックス性能を最大限に引き出すためには,PCI Expressだけでなく,CPUインタフェースのスループットも重要になる。その点,AMD 790FXではHyperTransport 3.0でCPUと結ばれるため,より高速かつシームレスなやりとりが可能になる」と,Spiderプラットフォームのアドバンテージを説明する。
 冒頭で説明したとおり,Spiderプラットフォームでは最大4枚構成のマルチグラフィックス環境「CrossFire X」をサポートするが,対応できたのは,PCI Express 2.0やDirectX 10.1世代のGPUだけではなく,HyperTransport 3.0によってCPUとの接続インタフェースを高速化できた部分によるところが大きいという。

 CrossFire Xについて見ていくと,AMD 790FXでは,2本のPCI Express 2.0 x16インタフェースを,スイッチチップを用いて16レーン×1+8レーン×2,あるいは8レーン×4に分けることで,2/3/4枚のグラフィックスカードによるCrossFire構成を実現する()。ちなみに,PCI Express 2.0の転送速度は従来比2倍なので,8レーン×4構成時でも,PCI Express 1.1 x16 ×4相当の転送速度を確保できることになる。
 さらにSoraya氏は,「(CrossFire Xを実現する)すべてのPCI Expressインタフェースが,『CPUとHyperTranspot 3.0で結ばれる』ノースブリッジ側に実装されている。これが4枚構成のCrossFire Xを実現するうえで役立っている」と指摘していた。また,PhenomがDDR2-1066をサポートし,メモリバス帯域幅が拡大したのも,CrossFire Xのパフォーマンス向上には寄与するとのことだ。

※AMD 580Xの正式名称は「AMD 580X CrossFire」,旧ATI Technologies時代の「CrossFire Xpress 3200」と同じ
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K9A2 Platinum
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 なお,多くのマザーボードにおいて,4枚構成はシングルスロット幅のカードのみでサポートされることになるが,MSIの「K9A2 Platinum」のように,2スロット仕様のグラフィックスカードを4枚搭載できる仕様の製品も登場する。ただしこの場合,マザーボードの端にあるPCI Express x16スロットに2スロット仕様のグラフィックスカードを差す必要があり,いきおい,PCケース側の対応も必要になる。


マザーボードを問わずパフォーマンス調整できる

「AMD OverDrive」


Spiderプラットフォームの国内事前発表会では,AMD OverDriveのデモが行われた。メインメモリに関する設定項目だけでこれだけある
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 しかし,Soraya氏がAMD 790FXを最強のチップセットと呼ぶのには,ほかにもワケがある。
 AMDでは,フラッグシップチップセットとなるAMD 790FX搭載マザーボードでのみ利用できるパフォーマンスチューニングツールとして「AMD OverDrive」を提供する予定だ。

 AMD OverDriveは,ATI Radeonでお馴染みのパフォーマンスツール「ATI OverDrive」のマザーボード版という位置づけのソフトウェアだ。AMD OverDriveでは,CPUのコア電圧や動作クロック,HyperTransportクロックや各種電圧,メモリクロックなどをWindows XP/Vistaから変更可能だ。また,ATI Radeon HD 3800シリーズなど,AMD製GPUを利用している場合,GPUのチューニングもAMD OverDriveから行えるようになる。

山ほどの詳細設定項目が用意されるほか,コアごとの温度監視が可能なモニタリングツールも付属する
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AMD製CPUとAMD製GPU搭載グラフィックスカード,そしてAMDが認証したパワーユーザー向けメモリモジュールを組み合わせたとき,(一般的なCPUだけ,GPUだけといったものではなく)プラットフォーム全体のパフォーマンスを10%引き上げる「Auto Xpress」が機能する
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 AMD OverDriveには,初心者向けの「Novice Mode」と,ユーザー自身が細かな設定を行える「Advanced Mode」,CPUクロックやメモリクロックの状態をツールが確認し,自動的に最適なオーバークロック設定を行う「Auto Clock」の3モードが用意されている。
 Novice ModeとAuto Clockで可能なのは,最大10%のオーバークロック。一方,Advanced Modeでは,HyperTransportインタフェースのクロックや電圧,一部のメモリレイテンシなど,BIOSを介さずに変更できる設定はすべてAMD OverDrive(=Windows上)で行えるようになっている。もちろん,「倍率制限のある一般的なCPUでは規定倍率以上に倍率を設定できない」などといった制限は存在するものの,比較的システムクラッシュを招いてしまいやすいようなものまで,項目は非常に豊富。オーバークロックに慣れた上級ユーザー向けの設定といえるだろう。

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CnQ 2.0有効時に,特定のコアにだけ負荷をかけると,そのコアだけフルスピードで動作するようになる。そんな状態もAMD OverDriveから確認可能だ
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AMD OverDriveはWindows Vista専用ツール……ではなく,Windows XP環境でも利用できる
 Soraya氏は「我々は,このAMD OverDriveを,マザーボード製造パートナーに広く提供していく。そこが,“純正製品”しかサポートしないIntelやNVIDIAとの違いだ」と強調する。AMDでは,単にAMD OverDriveソフトウェアを提供するのではなく,同ツールと連動するBIOSもプラグインモジュールとしてマザーボードベンダーへ供給することで,マザーボードブランドに関係なく,AMD 790FXチップセット搭載マザーボードでCPUやメモリ,GPUの性能を最大限引き出せるようにするという。

 もっとも,チップセットやGPU,無線LANコントローラなどで,幅広い選択肢を提示できるのがAMDプラットフォームのウリだとして,「Better by Design」を提唱していたのが2007年初頭のこと。「競合(=Intel)はハードウェアの仕様を決め打っている」と批判していたアレはいったい何だったのかという気も,しないでもない。
 しかし,AMD 790FXは,CPUとグラフィックスを持つAMDの強みを活かし,Phenomのパフォーマンスを最大限に引き出せるように設計されたチップセットということはできそうだ。Spiderプラットフォームは,CPUとチップセット,GPUを“AMD純正”で固めたときにこそ,その威力を発揮する存在とも換言できよう。

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