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どうすれば自分のゲームを見つけてもらえるのか。Steamラボを立ち上げたIchiro Lambe氏が,一極集中の時代を生き抜く所作を伝授する[GDC 2026]
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母方が日本人ということで,イチローという馴染み深い名前を持つ彼は,その後もSteamにおける無名デベロッパのタイトルを紹介するサイト「WhatsOnSteam.com」を立ち上げている。これをきっかけにValveに採用され,同社ではSteamラボの立ち上げを主導。さらにSteam Discovery機能の開発にも関わっている。
Access Accepted第436回:デジタル配信時代に求められる“ディスカバラビリティ”
Steamを運営するValveが,「Steam Discovery」という新機能を追加した。Eコマースにおいて,ある商品やサービスが利用者に発見される確率は,それらが増えるほど低くなってしまう。こうした問題に対して,メーカーはどのように対処しているのか。今回は,ValveのSteamと,Yelpに反旗を翻した個人経営のレストランを例に,この話題を進めてみよう。
- キーワード:
- PC
- ライター:奥谷海人
- 奥谷海人のAccess Accepted
- 業界動向
- 連載
- PC/MAC:Steam
- MAC
現在,Lambe氏は再び独立し,「We Love It」という,インディーゲームのディスカバラビリティを支援する専用サイトの運営を手がけているそうだ。
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そんなLambe氏によると,2026年現在におけるゲームの発見(Discovery)は,ソーシャルメディアを起点としたものが圧倒的だという。消費者は年間で1260億時間もの時間を,XやYouTube,TikTok,Twitter,RedditといったSNSで過ごしており,その動向がアルゴリズムを通じてSteamにも反映される。
氏の指摘によれば,こうした巨大SNSのアルゴリズム自体が,特定のコンテンツを“おすすめ”し,人気を一極集中させる傾向を持つという。そのため,Steamにおいても注目を集めるタイトルが極端に偏る結果になってしまうのだ。
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Lambe氏が紹介したのは2023年のデータではあるものの,この「注目度の集中」はそのまま収益格差にも直結している。
新作ゲームの収益の61%を上位10タイトルが占めており,これを上位100タイトルまで広げると,全体の91%に達する。つまり,その年にSteamでリリースされた約1万5000タイトルのほとんどが,残る9%の市場をめぐって競い合っている計算になる。
2025年にはリリース数が2万タイトルを超え,2026年はさらにそれを上回ると予想される。まさに「超供給過多」の時代であり,限られた9%の市場をめぐる争いは,今後ますます熾烈になっていくことだろう。
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Lambe氏によると,一般的なマーケティングと同様,ゲームの購入プロセスは大きく3段階に分けられる。
すなわち,(1)SNSや情報サイトでゲームの存在を知り,(2)レビューを読んだり実況動画を見たりして興味を深め,(3)ストアページを訪れ,「価格が高すぎる」などの明確な理由がなければ購入に至るという流れだ。
しかし前述のとおり,例えば「Minecraft」の動画ばかり視聴しているプレイヤーには,YouTubeやTikTokのアルゴリズムがエンゲージメントを最大化するために,同様の「Minecraft」動画や類似作品ばかりを推薦する傾向がある。その結果,プレイヤーが新しいゲームを発見する機会は狭められてしまう。
開発者の立場から見ても,この問題は無視できないものだ。人気ゲームに埋もれてしまい,「埋もれた宝石」にならないためには,Steamのストアページを作成するにあたり適切な対策を講じる必要があるという。
氏は,その改善策を大きく3つに分類して紹介した。
1. ポジショニングを明確にする
「このゲームは何についてのゲームなのか?」を,言葉ではなく1枚のアニメーションGIFで説明する。「吊り下げる」「建設する」「NPCと会話する」といった具合に,視覚的に3つほどの核心を伝えることが重要だ。
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2. ターゲットを「絞る」のではなく「選別する」
「誰のためのゲームか?」という問いの答えは,逆に「どんな人を即座に不快にさせ,去っていくのか?」を考えることで見えてくる。万人に好かれようとするのではなく,特定の層に強く刺さるアイデンティティを持つべきだ。
3. メッセージングを磨く「100本ノック」
ほかのゲームの説明文を100本読む。そうすれば,「ユニークな体験」「美しいグラフィックス」「没入感のあるアクション」といった言葉が,いかに無意味で氾濫しているかに気づくはずだ。こうした表現を避け,自分のゲームならではの具体的な魅力を伝える必要がある。
例えば「ユニーク」という抽象的な表現は,氏が調査した8万5000本の作品のうち3万2494本で使われており,総計では5万4245回も登場していたという。
最後は時間切れとなったものの,Lambe氏は「ディスカバラビリティの仕組みは,本来,あなたのゲームをそれを愛してくれるはずの人へ導く道であるべきです」と語り,セッションを締めくくった。
システムレベルでの変更が行われる可能性もあるが,そうした改革は結局のところ,誰かが得をし,誰かが損をする結果になりかねない。少なくとも現状では,Lambe氏が提唱するような無料で実践できる改善策を取り入れるだけでも,ゲーマーに対するビジビリティを高められるだろう。
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