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SteelSeriesの新世代フラグシップヘッドセット「7H」レビュー。これはいいものだ
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印刷2010/09/30 10:03

レビュー

SteelSeriesの新たなるフラグシップヘッドセットを試す

SteelSeries 7H
SteelSeries 7H USB

Text by 榎本 涼


SteelSeries 7H&SteelSeries 7H USB
メーカー:SteelSeries
問い合わせ先:窓口一覧ページ
予想実売価格:1万4500〜1万5000円程度(SteelSeries 7H),1万8000円前後(SteelSeries 7H USB)
※価格はいずれも2010年9月30日現在
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 「SteelSound」や「Icemat」といったブランド名を使っていた頃から,SteelSeriesは,プロゲーマーをターゲットにした純然たるゲーマー向けモデルと,ゲーム用途だけでなく音楽鑑賞も志向したモデル,2種類のヘッドセット製品シリーズを展開してきた。そして,今回取り上げる「SteelSeries 7H」は,前者の新製品だ。現行製品「SteelSeries 5H v2」の“上”に,新たなフラグシップとして置かれることになる。
 SteelSeries製ヘッドセットの上位ラインナップは,アナログ接続の単体モデルとは別にUSBサウンドデバイスの付属したモデルも用意されるのが伝統だが,今回も「SteelSeries 7H USB」としてその伝統は守られている。付属のUSBサウンドデバイスが「USB soundcard」と呼ばれるのもこれまでどおりだ。

 当初は2010年7月末の発売が発表されながら,生産が追いつかず,アジア市場向けの在庫が確保できなかったとして発売が9月30日まで延期されていた本製品だが,果たして待たされただけの価値はあるのだろうか。今回はSteelSeriesからSteelSeries 7H USBの貸し出しを受けられたので,アナログ接続とUSB接続の両面で,その実力を検証してみたい。


堅牢かつ軽量・分解可能な本体ユニット

イヤーパッドは2種類付属し,交換可能


 テストに先立って,まずはハードウェアをチェックしておこう。
 ワイヤードタイプで,オーバーヘッド型を採用する本体の外観は,ツヤ消しの黒でほぼ統一されている。ところどころに,ガンメタルの金属パーツがあしらわれ,アクセントになっているが,一言でまとめるなら「渋い」ルックスだ。渋すぎて地味に感じる人はいるだろうが,ムダに光沢処理ばかり多用した,ケバくて安っぽいデザインよりはよほどいい。

ヘッドバンドの“両端”と,エンクロージャ部でリング状にあしらわれたガンメタルの金属パーツはいい味を出しており,エンボス加工された頭頂部のSteelSeriesロゴも落ち着いたイメージの演出に一役買っている
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 スペックとして公開されていないので実測してみると,本体重量はケーブル抜きで実測約238g。端的に述べて非常に軽い。
 装着時の締め付けは絶妙で,しっかりホールドする割に,キツさはなし。頭を振ったくらいではズレないように設計されており,軽量さと相まって,装着感は非常に良好な部類に入る。頂部の分厚いクッションと,装着時に身体の左右方向へ向かって広がるヘッドバンドのおかげもあって,頭部の大きな人でもストレスなく装着可能だ。

マネキンに装着させてみたところ。マネキンの頭部はやや小振りなので,製品によっては固定させるのが大変だったりするのだが,SteelSeries 7Hだとそんな問題はなかった
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 エンクロージャとの接続部分はもちろん長さ調整が可能だが,そのカチカチとしたクリック感も硬すぎず柔らかすぎず,レベルが高い印象だ。

長さ調節のできるヘッドバンド。付け根部分はわずかに傾けられるようになっており,これも付け心地のよさに一役買っている
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エンクロージャからイヤーパッドを取り外すと,50mm径のドライバーユニットが覗き見えるようになる。手前のイヤーパッドは向かって右側が合皮製,左が布製
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 エンクロージャは密閉型で,50mm径のスピーカードライバーを内蔵。イヤーパッドは合皮製のものだが,標準でメッシュ織布タイプのイヤーパッドも用意されており,交換しながら使えるようになっているのが大きな特徴だ。
 これまでもイヤーパッドの交換が可能なヘッドセットはいくつかあったが,SteelSeries 7Hの場合は,イヤーパッド部に用意された6つのツメをエンクロージャ側の穴に差し込むだけの簡単設計。着脱は比較的容易で,これは明らかにメリットといえる。ただ,当然ながら,あまり頻繁に着脱を繰り返すと,ツメの部分が金属疲労を起こす懸念もある。

イヤーパッドにはプラスチックのリングがあり,そこから6つのツメが“生えて”いる。これを抜き差しすると着脱できるのだが,ツメの強度はお世辞にも良好とはいえないため,抜き差しを繰り返したときに折れたり曲がったりしないかは少々心配だ
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 左耳用エンクロージャ部に用意されるブームマイクは,SteelSeries伝統の仕様を踏襲。つまり,ブームを引き出して調整すると,その場所にぴたっと止まる,レイアウトの自由度が非常に高い仕様が健在ということだ。
 マイクユニットは,指定した範囲の音を主に集音する単一指向性なので,穴が3つ空いている側を口のほうに向けて使うことになる。念のため述べておくと,マイクは口のすぐ下くらいに配置するのがベスト。口にかかると呼吸時の息まで拾ってしまい,チャット相手に聞き苦しい思いをさせることになるので,注意してほしい。

マイクは穴が3つ空いているほうを口に向けるのが正解。ブームはとにかく設置自由度が高く,置きたい場所にぴたっと固定できるのが素晴らしい
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分解できるSteelSeries 7H。“つなぎ”の部分はかなりしっかり作ってある。ヘッドバンド側の端子が剥き出しに近いのはやや気になるが,強度面での心配はまずいらない
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 以上がハードウェアの基本仕様だが,SteelSeries 7Hがユニークなのは,本体を左右エンクロージャとヘッドバンドの3つに分解でき,さらに左耳用エンクロージャからケーブルも分離できるようになっていること。ヘッドセットを持ち運ぶとき,旅行用鞄などにそのまま“突っ込む”ように入れておくと,突起部分が損傷したり,ヘッドセットにとって望ましくない圧力がかかったりすることを避けるため,分解できるようになっているというわけだ。

 LANパーティがそれほど普及していない日本だと,メリットを享受できる人は少ないと思われるだけに,むしろ結合部分の遊びが大きすぎて,実用面での不安を覚える人がいるかもしれない。だが,先ほど装着感のところで述べたとおり,作りはかなりしっかりしているため,その点での心配はおそらく無用。経年劣化によって遊びが大きくなるかどうかまでは何ともいえないが,分解と組み立てを意識して繰り返したくらいではびくともしていない。

MicroUSBを物理インタフェースとして採用する
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 一方,エンクロージャとケーブルが着脱可能な点は,好みが分かれるかもしれないと感じた。冒頭で紹介したように,SteelSeries 7H自体はアナログ接続なのだが,そのアナログケーブルが,エンクロージャとの接続用物理インタフェースとしてMicroUSB(マイクロUSB)を採用しているからである。
 携帯電話の充電用インタフェースとして標準的に用いられているMicroUSBは,着脱の繰り返しを前提に設計されたインタフェースなので,耐久性という意味での不安が少ない。ただ,着脱を前提にしていることもあってロック機構がないため,ケーブルに少し力を入れるだけで簡単にすぽんと抜けてしまうのは少々気になるところだ。これを「何かあってもすぐケーブルが抜けるので,断線の心配がなく安心」と感じるか,「抜けやすくてイヤだ」と感じるかは人によると思うが,ある程度人を選ぶ仕様になっていることは指摘しておきたいと思う。

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 なお,ケーブル自体は布巻き仕様で,そこそこの太さがありながらも,柔らかく取り回しやすい。エンクロージャと接続するケーブルの長さは1mなのだが,2m長の延長ケーブルも用意されているので,ノートPCで使うときには短く,デスクトップPCで使うときには長くといった調整も可能だ。

 短いケーブルには,MicroUSB端子から約0.7mのところに出力ボリューム調整とマイクミュートの有効/無効を切り替えるインラインのリモコンが用意されている。リモコン部は端的に述べて「SteelSeries Siberia v2」とまったく同じで,マイクのミュートスイッチが硬めになっており,加えて爪を引っかけるような突起もないため,少々扱いづらいというのも変わっていない。

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アナログケーブルは延長ケーブルも含めて布巻き仕様。取り回しやすさはかなりのレベルに達している
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インラインのリモコン。ボリューム調整はともかく,マイクミュートの切り替えはややしにくい

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 SteelSeries 7H USBにのみ付属するUSBサウンドデバイスは,0.25m程度の長さを持つケーブルと一体化した形状。ミニピンのヘッドフォン出力とマイク入力の端子を持つだけという,非常にシンプルなものになっている。
 ちなみに,製品ボックスなどには記載がないのだが,USBサウンドデバイスのドライバはSteelSeriesの公式Webサイトからダウンロードする必要がある。インストールすると,C-Media Electronics(以下,C-Media)製の標準ユーザーインタフェース(以下,UI)そのままの専用コントロールパネルが利用できるようになるが,使うのはおそらく2chと7.1ch(※表示上は「8CH」)の切り替えくらいで,コントロールパネルから設定を追い込んだりするような必要は基本的にない。

「SteelSeries Xai Laser」など,SteelSeries製マウスだと,UIはけっこう凝った作りなのだが,SteelSeries 7H USBのUIはC-Mediaそのままといった印象。USBサウンドデバイス自体もPCからC-Media製として認識される
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イヤーパッドの選択で出力音質は大きく変化

合皮にも布にもよさがある


 さて,毎度毎度同じ説明で恐縮だが,筆者のヘッドセットレビューでは,ヘッドフォン部を試聴で,マイク入力は波形測定と入力した音声の試聴で評価を行っている。
 ヘッドフォン出力品質のテストは,「iTunes」によるステレオ音楽ファイルの再生と,「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)マルチプレイのリプレイ再生が軸。比較対象として,AKG製のヘッドフォン「K240 Studio」を用意しているので,本製品との比較を交えながら述べていく。
 一方,マイク入力に関しては,とくに波形測定方法の説明が長くなるため,本稿の最後に別途まとめてある。基本的には本文を読み進めるだけで理解できるよう配慮しているつもりだが,興味のある人は合わせて参考にしてもらえれば幸いだ。

 テスト環境はに示したとおりで,SteelSeries 7H USBのUSBサウンドデバイスは,マザーボードのUSB端子と直接接続している。

画像(038)SteelSeriesの新世代フラグシップヘッドセット「7H」レビュー。これはいいものだ

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 というわけでまずはヘッドフォン部からだが,最初に指摘しておくべきは,イヤーパッドによって音質が大きく変化する点だろう。一言でまとめると,合皮は低強高弱で,布は高低の周波数バランスがいい。
 ……と書くと「布のほうがいいのか」と思うかもしれない。とくに,数年前にゲーマー向けヘッドセット業界で流行した低強高弱の製品は,低域が強すぎ,高域が弱すぎるものがほとんどだったので,その記憶が強い人ほど即断しそうになるのではないかと思う。

 ただ,SteelSeries 7Hの合皮パッドがもたらしている低強高弱は,そこまで極端なものではない。重低域から低域,中低域までほどほどの強さに落ち着いているため,高域が弱すぎたりすることもなく,ほどほどの強さまで丸まっているのだ。“耳当たり”がいいというか,オーディオ的な表現をあえて使うなら,スイートな音質傾向といったところである。
 対して布製イヤーパッドだと,高域のマスキングが減り,結果として澄んだ高域とバランスのよい周波数特性が得られる。非常にタイトでアタックの速い音質傾向だ。

 そのため,「合皮か布か」というと,「プレイヤーによる」ということになる。合皮製イヤーパッドの場合,高域が若干抑えられるため,装着して長時間プレイしても疲れにくい
 そして布製イヤーパッドだと,高域の情報量が豊富なため,手榴弾の跳ね返る音など,勝ち抜くために必要な音情報を拾いやすい。ただ,ボリュームを上げすぎると,耳が痛くなる可能性も高まるので,この点は注意が必要だろう。

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 この違いはどこから来るのかだが,おそらく,音漏れの程度が原因と思われる。合皮は密閉性が高く,その分,スピーカードライバーの再生する低音が耳とイヤーパッドの隙間から抜けにくい。そのため,低音が失われることなく耳に到達するわけだ。
 もう一方の布だと,セミオープン型ヘッドフォンのような「自然の音漏れ」が発生し,低音――人によっては余分な低音――が漏れ,適度に失われることで,よりバランスのよい音になっているものと思われる。

 音楽を聴いたときの印象は,まさにこのままだ。個人的には合皮の「長時間の利用に堪える」音質傾向のほうが好みで,下手な音楽鑑賞用ヘッドフォンやイヤフォンよりよほど気持ちのいい音だとも思うが,布製イヤーパッドのバランスも捨てがたい。購入したらまずは,普段よくプレイしている2chステレオサウンドのゲームや,聞き慣れた音楽ソースで,どちらを使うかじっくり比較してみるのが正解だろう。せっかく2種類のイヤーパッドが付属しているのだから,試さないと損だ。

SteelSeries 7H USBでバーチャルサラウンドを利用する場合,専用コントロールパネルの設定を「2CH」のままにしておくと,単なるステレオ・トゥ・サラウンドになってしまう。正しいサラウンド定位が行われないので注意してほしい
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 なお,この傾向は,バーチャルサラウンド出力時にも維持される。SteelSeries 7Hのバーチャルサラウンド検証にあたっては,「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium HD」(以下,X-Fi Titanium HD)と接続して,「CMSS-3Dheadphone」を有効化したほか,SteelSeries 7H USBの検証では専用コントロールパネルから「8CH」モードを有効化しているが,合皮と布がもたらす音質傾向の違いは,2chステレオ時と同じだ。

 サラウンドの“回り方”を比較してみると,X-Fi Titanium HDとアナログ接続したときのほうが,前方のサラウンド感を強く得られる印象を受けた。ただ,高域が相対的に強いためか,バーチャルサラウンドヘッドフォンのアルゴリズムが持つ特有の変調感(=モジュレーション)も大きい。
 後方でのサラウンド感はUSBサウンドデバイスを用いるSteelSeries 7H USBのほうが上で,後方での音源移動は,X-Fi Titanium HDとのアナログ接続時よりもはっきりと分かる。低域がより強く感じられるが,これはUSBサウンドデバイス側のアルゴリズム的に,各チャネルのミックス量設定がX-Fi Titanium HDと異なるためだろう。
 ゲームで再生された5.1chなり7.1chなりのオーディオ信号を2chにまとめるにあたって「どうやるか」は,バーチャルヘッドフォンのアルゴリズムによって違いがある。SteelSeries 7H USBに付属するUSBサウンドデバイスのアルゴリズムは,CMSS-3Dheadphoneよりサブウーファの割合が多いバランスのほうがベターだと考えて設定されている,というわけである。


マイクは低域が少ない高域強調型

情報としての声を伝える方向性


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 続いてはマイク入力だ。
 ここでは,X-Fi Titanium HDとアナログ接続した状態,付属USBサウンドデバイスと接続した状態の2パターンで検証することにするが,実際に収録してみると,いずれも見事なまでの低弱高強型。低域成分が少ないため迫力には欠けるが,情報として何を言っているかは分かりやすい。

 下に示したのはX-Fi Titanium HDのマイク入力端子とアナログ接続したときの周波数特性をまとめたもの。公称の周波数特性は50Hz〜16kHzなので,18〜125Hzと16kHz以上で大きく落ち込んでいるのは,ほぼ仕様どおりと言っていいだろう。1.5kHzから8kHzくらいまでがリファレンス波形と比べて最大10dB以上大きなっているのが,上で示した音質傾向を生んでいるものと思われる。

2つあるペインの上側に示した周波数特性は,グリーンがリファレンス。オレンジがSteelSeries 7Hのアナログ接続時だ。1.4kHz付近にある大きな落ち込みは,スイープ波形の出力に用いたADAM製モニタースピーカー「S3A」のウーファ−とトゥイーターとのクロスオーバーポイント(※2つのスピーカーユニットが持つ周波数帯域の交わるポイント)である
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 SteelSeries 7H USBに付属するUSBサウンドデバイスを用いた場合の結果は下に示したとおりだが,傾向そのものはアナログ接続時と変わっていない。18〜125Hzの落ち込みがアナログ接続時と比べると明らかに小さいが,試聴上,大きな差はなかった。
 ただ,今回のテスト環境だと,USBサウンドデバイスを介したマイク入力時に,「キーン」という高周波ノイズ(ヒスノイズ)が乗ったことは指摘しておきたい。このノイズは常に一定で変調しないため,気にならない人はならないかもしれないが,いずれにせよ,X-Fi Titanium HDとのアナログ接続時には発生しないので,USBサウンドデバイス側のアナログ−デジタル変換以降にある問題だろう。SteelSeries 7H USBを利用するときは,インラインリモコンからマイクミュートをこまめにオン/オフで切り替える必要があるかもしれない。

SteelSeries 7H USBでUSBサウンドデバイスを介した場合のマイク入力波形。ここでもグリーンがリファレンスとなる
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1万円台中盤のヘッドセットにおける

1つの到達点か。総合点は高い


 最近試してきた1万円前後のゲーマー向け製品は,「基本的に良好なのだが,残念な点もある」というものが多かった。それだけに,さしたる欠点もなく,純粋に「いい音」,そして「ゲームで使える音」を再生可能で,作りがしっかりしており,軽量で使い勝手も良好なSteelSeries 7Hは,希有な存在であるといえる。1万円台中盤のヘッドセット製品というのを安価とはお世辞にもいえないが,ゲームのBGMや音楽鑑賞用としても利用できるヘッドフォン出力品質を持っていて,しかもリスニング用として使うときはブームを収納することも可能な本機の価値を損なうものではない。

SteelSeries 7H USBの製品ボックス
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 SteelSeries 7H USBに関していうと,マイク入力時のヒスノイズだけは,おそらくソフトウェアを使ったフィルタリング処理,つまりドライバアップデートだけで対応できると思われるので,早急に対策してほしいと願ってやまないが,懸念点はそれくらい。前方の定位を重視する人からすると,音が多少後ろに行きすぎる嫌いはあるものの,十分実用的なバーチャルサラウンド環境を低コストで得られるので,単体サウンドカードを持っていないユーザーにとって,大きな意味のあるバーチャルサラウンド環境となり得るだろう。

 USBサウンドデバイスの取捨選択は人によるが,「せっかくだから長く使えるものを手に入れたい」というプレイヤーに勧められる,よい製品だ。


マイク特性の測定方法

PAZのデフォルトウインドウ。上に周波数,下に位相の特性を表示するようになっている
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 マイクの品質評価に当たっては,周波数と位相の両特性を測定する。測定に用いるのは,イスラエルのWaves Audio製オーディオアナライザソフト「PAZ Psychoacoustic Analyzer」(以下,PAZ)。筆者の音楽制作用システムに接続してあるスピーカー(ADAM製「S3A」)をマイクの正面前方5cmのところへ置いてユーザーの口の代わりとし,スピーカーから出力したスイープ波形をヘッドセットのマイクへ入力。入力用PCに取り付けてあるサウンドカード「PCI Express Sound Blaster X-Fi Titanium HD」とヘッドセットを接続して,マイク入力したデータをPAZで計測するという流れになる。もちろん事前には,カードの入力周りに位相ズレといった問題がないことを確認済みだ。

 測定に利用するオーディオ信号はスイープ波形。これは,サイン波(※一番ピュアな波形)を20Hzから24kHzまで滑らかに変化させた(=スイープさせた)オーディオ信号である。スイープ波形は,テストを行う部屋の音響特性――音が壁面や床や天井面で反射したり吸収されたり,あるいは特定周波数で共振を起こしたり――に影響を受けにくいという利点があるので,以前行っていたピンクノイズによるテスト以上に,正確な周波数特性を計測できるはずだ。
 またテストに当たっては,平均音圧レベルの計測値(RMS)をスコアとして取得する。以前行っていたピークレベル計測よりも測定誤差が少なくなる(※完全になくなるわけではない)からである。
 結局のところ,「リファレンスの波形からどれくらい乖離しているか」をチェックするわけなので,レビュー記事中では,そこを中心に読み進め,適宜データと照らし合わせてもらいたいと思う。


 用語とグラフの見方について補足しておくと,周波数特性とは,オーディオ機器の入出力の強さを「音の高さ」別に計測したデータをまとめたものだ。よくゲームの効果音やBGMに対して「甲高い音」「低音」などといった評価がされるが,この高さは「Hz」(ヘルツ)で表せる。これら高域の音や低域の音をHz単位で拾って折れ線グラフ化し,「○Hzの音は大きい(あるいは小さい)」というためのもの,と考えてもらえばいい。人間の耳が聴き取れる音の高さは20Hzから20kHz(=2万Hz)といわれており,4Gamerのヘッドセットレビューでもこの範囲について言及する。

周波数特性の波形の例。実のところ,リファレンスとなるスイープ信号の波形である
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 上に示したのは,PAZを利用して計測した周波数特性の例だ。グラフの左端が0Hz,右端が20kHzで,波線がその周波数における音の大きさ(「音圧レベル」もしくは「オーディオレベル」という)を示す。また一般論として,リファレンスとなる音が存在する場合は,そのリファレンスの音の波形に近い形であればあるほど,測定対象はオーディオ機器として優秀ということになる。
 ただ,ここで注意しておく必要があるのは,「ヘッドセットのマイクだと,15kHz以上はむしろリファレンス波形よりも弱めのほうがいい」ということ。15kHz以上の高域は,人間の声にまず含まれない。このあたりをマイクが拾ってしまうと,その分だけ単純にノイズが増えてしまい,全体としての「ボイスチャット用音声」に悪影響を与えてしまいかねないからだ。男声に多く含まれる80〜500Hzの帯域を中心に,女声の最大1kHzあたりまでが,その人の声の高さを決める「基本波」と呼ばれる帯域で,これと各自の声のキャラクターを形成する最大4kHzくらいまでの「高次倍音」がリファレンスと近いかどうかが,ヘッドセットのマイク性能をチェックするうえではポイントになる。


位相特性の波形の例。こちらもリファレンスだ
画像(037)SteelSeriesの新世代フラグシップヘッドセット「7H」レビュー。これはいいものだ
 位相は周波数よりさらに難しい概念なので,ここでは思い切って説明を省きたいと思う。PAZのグラフ下部にある半円のうち,弧の色が青い部分にオレンジ色の線が入っていれば合格だ。「AntiPhase」と書かれている赤い部分に及んでいると,左右ステレオの音がズレている(=位相差がある)状態で,左右の音がズレてしまって違和感を生じさせることになる。
 ヘッドセットのマイクに入力した声は仲間に届く。それだけに,違和感や不快感を与えない,正常に入力できるマイクかどうかが重要となるわけだ。
  • 関連タイトル:

    SteelSeries

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