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Access Accepted第749回:ビッグパブリッシャによるビッグプロジェクトの行方
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印刷2023/02/06 10:30

業界動向

Access Accepted第749回:ビッグパブリッシャによるビッグプロジェクトの行方

画像集 No.006のサムネイル画像 / Access Accepted第749回:ビッグパブリッシャによるビッグプロジェクトの行方

 巨大買収劇で沸いた2022年に比べればおとなしいが,今年も1月から,大手パブリッシャのアナウンスが相次いだ。世界同時不況や国際紛争などへの懸念から不穏に感じる今日この頃だが,ゲーム産業もいろいろと先手を打ち始めているのかも知れない。今回は,そうした大手パブリッシャによる,ビッグプロジェクトの行方についてまとめておこう。


20周年にして新作が出ない超人気フランチャイズ


Infinity Ward,Sledgehammer Games,そしてTreyarchの3社持ち回りで年次リリースを貫いてきた「コール オブ デューティ」。本来なら2023年度は「ブラックオプス」シリーズで知られるTreyarchの担当予定だったが,果たしてどうなるのか
画像集 No.002のサムネイル画像 / Access Accepted第749回:ビッグパブリッシャによるビッグプロジェクトの行方
 もう1年ほど前となる2022年2月24日に本誌のニュース記事で報じたことだが,北米ニュースメディアのBloombergによると,第1作「コール オブ デューティ」がリリースされた2003年からちょうど20年めとなる今年だが,どうやら“新作”は発売されないようだ。Activision Blizzardが2022年11月に公開した業績報告書(※英文pdfが開きます)ではこの件に関して,「Activision は,2023年にはこれまでのフランチャイズの歴史の中で最も強力なライブオペレーションを行うことで,現在の勢いをさらに強化させていく予定です。来年の計画の中では,年次シリーズの次なる“フルプレミアムリリース”と,さらに全てのプラットフォームで魅力的な無料プレイ体験を含んでいます」と説明されている。

 “フルプレミアムリリース”という表現が少しわかりにくいが,Bloombergの記者であるジェイソン・シュレイヤー(Jason Schreier)氏は,自身のTwitter(外部リンク)で「それは,Sledgehammer Gamesが手掛けるModern Warfare II向けに有料で販売される大型拡張パックのこと」だと述べている。Treyarchによる純粋な“新作”は,2024年までの持ち越しにされているのは変わりないようだ。

シリーズ20周年となる2023年の「コール オブ デューティ」シリーズ新作は,厳密な意味での新作ではなく,“フルプレミアム”な「Call of Duty: Modern Warfare II」の大型拡張パックになると言われる。詳細は初夏にはアナウンスされるだろう
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 その詳細は,Activisionが慣例的に新作をアナウンスする初夏頃になるとわかるだろうが,2023年はBlizzard Entertainmentの「ディアブロ IV」をはじめとして,各社からの非常に強力なリリーススケジュールが控えているのは,「第747回:2023年注目の欧米産ゲームタイトルは,これだ!(後編)」関連記事)などでも紹介しているとおりで,そんな年に,ライブサービス化を明確にするためとは言え,人気フランチャイズの20周年となる年に「新作の穴」を空けてしまうことは大きな決断だったはずだ。

 世界同時不況や国際紛争などへの懸念で,“ポスト・コロナ”の時代ではゲーム産業も大きく変わりつつあり,アメリカでは現在,“ビッグテック”などと呼ばれるシリコンバレーの大企業の多くが人員削減を行っている。Activision BlizzardについてはMicrosoftが「既存の契約を尊重する」ことを表明しており(関連記事),今のところはプロジェクトの中止や開発規模の縮小といったニュースは聞こえてこない。


開発キャンセルや人員削減のアナウンスが次々と……


 CoDについては現状マイナスの事態ではなさそうだが,これ以外のパブリッシャや大型タイトルで,現状での収益性を高めるためにビジネス面でのさまざまな手を打ち始めており,今年に入ってから幾つかの情報が飛び込んできている。こちらも年始に本誌ニュース記事で報じたことだが(関連記事),Ubisoft Entertainmentは「マリオ+ラビッツ ギャラクシーバトル」「ジャストダンス 2023 エディション」が不調であったことで業績を落としているようで,3つの未発表プロジェクトをキャンセルすることが発表された。
 すでに,「Ghost Recon Frontline」「Splinter Cell VR」など4つのプロジェクトがキャンセルされていることが伝えられており,これで合計で7つものプロジェクトが1年のうちにキャンセルされたことになる。今後は,より収益が見込めるであろう「アサシン クリード ミラージュ」「Avatar: Frontiers of Pandora」,そしてまたもや発売の延期が公表された「スカル アンド ボーンズ」などのビッグタイトルに集中していく方針であるという。

再び発売延期となった「スカル アンド ボーンズ」だが,4月1日から会計年度が始まるUbisoft Entertainmentの発表によると「2023〜2024年の早い時期」,つまり晩春から秋頃へのリリース予定の変更があった
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 経営は健全だと念を押すUbisoft Entertainmentであるが,おそらく年内にようやくのリリースとなる「スカル アンド ボーンズ」に加え,2016年に制作が公式にアナウンスされて以降はほとんど情報が出てこない「Beyond Good & Evil 2」など,長期にわたって停滞しているプロジェクトを幾つか抱えている。これまで投じてきた開発費や人件費を考えると,もはや止めるに止められない不良債権的なプロジェクトなのかもしれないが,ファンにとってもヤキモキする進展具合だ。

 また,Electronic Artsが公式に認めたわけではないものの,こちらもジェイソン・シュレイヤー氏による記事で,2月2日(外部リンク)同社の状況について報じている。同社では,コードネーム「TFL」と呼ばれた未発表プロジェクトをキャンセルするとともに,その開発に従事していた50人ほどをメーカー内の別のチームに異動させているのだという。
 この「TFL」とは,EAゲームのファンにとっては待望とされた「タイタンフォール」の続編となる「Titanfall Legends」の略であり,「Apex Legends」と「タイタンフォール」の世界感の共通性を明確にするために開発されていた,シングルプレイ専用のアクションゲームであったという。このプロジェクトをリードしていた,Respawn Entertainmentの前身であるInfinity Ward時代からの古参メンバーだったモハマッド・アラヴィ(Mohammad Alavi)氏は,2022年の早い段階でElectronic Artsを退社しており,このキャンセルにつながる何らかの問題が発生していたことは想像できる。

「タイタンフォール」シリーズの新作は,以前からファンの要望が高い期待作だし,その開発については筆者も耳にしていたが,どうやらまたしばらくは日の目を見ないことになるのかも知れない
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 Microsoftも,2022年12月には「Halo」シリーズの担当だった343 Industriesの従業員を25%ほど解雇しており,不調だった「Halo Infinite」以降のシリーズ作品開発はサードパーティに任せるなど,フランチャイズの未来についてを模索しているようだ。ゲーム業界各所にも変化の波は押し寄せている。大作だらけの2023年が終わる頃,ゲーム市場はどのような姿になっているのだろうか。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

※来週(2月13日)の週刊連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,著者取材のため休載します。
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